東京臨海部実証実験の実施について~SIP「自動運転(システムとサービスの拡張)」~


平成30年11月13日
政策統括官(科学技術・イノベーション担当)
プレスリリース

戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」では、自動運転の実用化の加速を図るため、2019年から、交通インフラからの信号情報や合流支援情報の提供などの走行環境に関する基盤技術について、一般道や首都高速道路といった公道等での実証実験を実施することとしております(添付資料参照)。
本実証実験の実施については、国際的にオープンな実証実験の場を創出するため、SIPが主催する自動運転に関する国際ワークショップ「第5回SIP-adus Workshop 2018」の開催に合わせて、公表します。

1.これまでの取組状況

SIP第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」では、自動運転を実用化し普及拡大していくことにより、交通事故の低減、交通渋滞の削減、交通制約者のモビリティの確保、物流・移動サービスのドライバー不足の改善・コスト低減等の社会的課題の解決に貢献し、すべての人が質の高い生活を送ることができる社会の実現を目指して、産学官共同で取り組むべき共通課題(協調領域)の研究開発を推進しています。

また、未来投資会議(2018年3月)において、安倍総理より「2020年東京オリンピック・パラリンピックで自動運転を実現する。信号情報を車に発信し、より安全に自動運転できる実証の場を東京臨海部に整備するなど多様なビジネス展開を視野に一層取組を強化する」との発言がありました。 これらの実現に向け、(一社)日本自動車工業会をはじめ関連の産業界、東京都、関係省庁等と連携して、東京臨海部における実証実験を実施する具体的な地域、必要な交通インフラの機能や配置場所等について、調査検討を進めてきたところです。

2.東京臨海部実証実験の概要

交通環境が複雑な一般道においては、車両が交差し、歩行者や自転車等が往来するため、車両に搭載されたセンサー等からの情報のみでは、自動運転を実現することは難しい状況があります。また、高速道路においても合流部等、自動運転の継続が困難なケースがあります。これらの課題を解決する観点から、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会という機会を活用し、臨海副都心地域、羽田空港地域、羽田空港と臨海副都心等を結ぶ首都高速道路において、自動車メーカー等の参加のもと、公道の実交通環境下において技術検証を行います。

SIP第1期「自動走行システム」において実用化したダイナミックマップに加え、交通インフラから提供される信号情報や合流支援情報等を活用したインフラ協調型の自動運転技術による、より安全で快適な自動運転を実現可能とする走行環境を構築し、実証実験を行うことで、技術、制度、社会的受容性に係る課題解決に向けた取組を促進し、実用化と普及の加速を図るものです。 また、海外メーカー・大学・ベンチャー企業等にも参加を呼び掛け、国際的にオープンな実証実験の場とすることで、国際連携・協調の推進等も図っていくこととしています。本実証実験は、交通環境が複雑な一般道における自動運転の実用化を前提として、車両に搭載されたセンサー等による自動運転に加え、より安全性の高い自動運転を実現するために必要な交通インフラの検証等を行う国際的にも先駆的な取り組みです。

さらに、自動運転に対する一般の方々の理解促進等を図るため、(一社)日本自動車工業会と連携して、交通インフラを活用した自動運転の実証実験の公開、試乗イベントの開催等も予定しています。

本実証実験の概要(予定)は以下のとおりです。

1) 実施時期  2019年後半~2022年度末(詳細な実施時期は別途)

2) 実施予定エリア

  • 臨海副都心地域(一般道)
  • 羽田空港地域(一般道)
  • 羽田空港と臨海副都心等を結ぶ首都高速道路(一般道を含む)

3) 参加者

国内外の自動車メーカー、部品メーカー、大学・研究機関等を想定

  • 本実証実験に係る技術仕様の詳細及び参加募集要項(参加条件や手続き等)については、来年1月頃に公表予定です。なお、実証実験の実施にあたっては、具体的な実施条件や安全管理等について、関係者と調整の上、進めてまいります。

4) 主な実施内容(注)

  • 臨海副都心地域(一般道)

国内外の自動車メーカー、部品メーカー、大学・研究機関等を想定

交差点があり、歩行者や自転車等が往来し、自動運転でない一般車も含む混在交通環境下での移動サービスやオーナーカーによる自動運転の実証等を想定

  • 自動運転の実現に必要な信号情報の提供・認識技術等の検証
  • 自動運転の実現に必要な交通インフラ(信号情報を配信する無線路側機等)の配置に関する検証
  • 羽田空港地域(一般道)

空港等の限定地域において、公共交通機関であるバス・少人数輸送車等のインフラ協調型の自動運転制御による無人移動サービス等の実証を想定

  • 混在交通下でのバス・少人数輸送サービス等に必要な交通インフラ等の検証
  • 次世代型の公共交通システムに必要な技術、交通インフラの検証
  • 信号情報を活用した車両制御、遠隔監視等を活用した移動サービスの社会受容性等の検証
  •  羽田空港と臨海副都心等を結ぶ首都高速道路(一般道を含む)

自動運転の適用できる地域を高速道路から一般道への拡張するため、一般道から首都高速道路への合流、首都高速道路から一般道の分流等の実証を想定

  • 首都高速道路本線への合流、ETCゲート通過支援等に必要な技術等の検討
  • スムースな高速道路の合流部等での自動運転支援技術の検証
  • 交通情報(車線別規制情報等)の提供技術等の検証


(注)実施期間中に順次行う予定

3.その他

内閣府では、地方都市における道路交通に係る課題への対応の促進を図るため、今回発表の実証実験に加え、地方部・ニュータウン地域においても、自動運転技術等の活用に関する実証を行います。なお、このような取組にあたっては、関係省庁とも連携して実証実験を推進してまいります。

問合せ先

自動運転技術の実証について
内閣府 政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付 SIP自動走行システム担当(古賀、竹馬、杉江、畑崎)
電 話:03-6257-1314(直通)