刊行の辞 総合科学技術会議は2001 年1 月、「重要政策に関する会議」の一つとして内閣府に設置された機関で あり、我が国の科学技術政策推進の司令塔としての役割を担っている。この使命に鑑み本会議は、「第 2 期科学技術基本計画(平成13 〜 17 年度)」が指定する重点推進分野について『分野別推進戦略』を 策定し、この中で環境分野では、(1)「地球温暖化研究」、(2)「ゴミゼロ型・資源循環型技術研究」、(3) 「自然共生型流域圏・都市再生技術研究」、(4)「化学物質リスク総合管理技術研究」、(5)「地球規模水循 環変動研究」の5 つを重点課題とした。さらに、これらを「各省により取り組まれている個別研究を整 合的に集成・再構築し、政府全体として同じ政策目標とその解決に至る道筋を設定したシナリオ主導型 の『イニシャティブ』で推進」することとした。 これを受け、国の研究開発を府省連携で効率的・効果的に進めるために、2002 年度から『イニシャ ティブ』による研究開発を推進している。そこでは、各省の縦割りを排した関連研究機関の連携を図り、 また『イニシャティブ』による研究の展開状況を節目節目ごとにシナリオと照らし合わせ、問題解決へ の歩みの確かさをチェックすることなどを狙いとして、有識者と関係研究機関の研究者によるイニシャ ティブ研究会合を開催してきた。 先に「地球温暖化研究イニシャティブ(気候変動分野)」において『地球温暖化研究の最前線―環境 の世紀の知と技術2002 ―』(財務省印刷局発行)を出版した。本書はそれに続く第2 弾として「ゴミゼ ロ型・資源循環型技術研究イニシャティブ」に関連する分野の研究開発の現状と展望をまとめたもので、 今回、刊行の運びとなった。これは直接には、国の「アカウンタビリティー(説明責任)」を果たすこ とであり、同時に本分野の現状と課題を関係者自身が再度認識することを目的としている。また、産業 界を含めて広く社会に発信することを視野に入れている。 「ゴミゼロ型・資源循環型技術研究」への取り組みは、一般社会からのメッセージを常に責任をもっ て受け止め、『イニシャティブ』推進に反映させていくことが肝要である。本書が関係者のみならず一 般読者にも広く読み込まれ、循環型社会構築に向けた取り組みに貢献することを願う次第である。 2004 年9 月 総合科学技術会議議員(環境担当) 薬師寺 泰蔵 内閣府政策統括官(科学技術政策担当)林  幸秀