コラム:エコデザイン推進のための学会連合の取り組み 環境技術は、さまざまな技術的側面を含み、さらに社会システムにか かわる問題であるため、さまざまな学協会、あるいは工業会がそれぞれ に独自の活動を行ってきた。しかしながら、環境技術は、あらゆる製造 技術、社会システム、ライフサイクル設計にまたがった学際的、産業横 断的性格を持っており、我が国独自の社会システムをベースにした循環 型社会の実現、環境ビジネスとしての展開などのためには、関連の学協 会、工業会が協力し、環境コンセプトと基盤技術の海外への発信を行う 必要があると考えられる。すなわち、ゴミゼロ・資源循環を実現するた めには、広義のエコデザイン、すなわち、工業製品、建築物、社会シス テム、経済システムを、循環を前提として設計、管理すること、の分野 横断的、領域融合的な活動と普及、啓発、海外へ向けての発信が重要な 意味をもつ。 * このため、日本学術会議生産システム学専門委員会などが中心となり、 国内の約50 の学協会を結集して、2000 年に「エコデザイン学会連合」 が発足した。その趣旨は、1999 年から開催されているEcoDesign シン ポジウム(これまで、国際、国内シンポジウム各3 回開催)の開催、運 営を中心にした環境技術の発信の場を息長く続けていくために、特定の 分野・学会に偏ることなく、広く種々の学協会と連携した、情報交換の ためのネットワークとして機能することにある。実際、エコデザイン学 会連合が主催(後援:環境省、経済産業省、国土交通省、文部科学省) して2003 年12 月に開催された国際シンポジウムEcoDesign 2003(3rd International Symposium on Environmentally Conscious Design and Inverse Manufacturing)では、150 編を超える質の高い講演と約300 人の参加を国内外から得て盛会のうちに終了した。 * この成果は、海外でも大きな反響を呼び、我が国の環境技術をベース にした横断的な研究発表の国際的な場として、世界的にも認知されてい る。このシンポジウムの目的は、日、欧、米、アジアを中心とした様々 な国から、様々な分野の技術者、企業経営者、研究者など様々な職種の 参加者が、環境調和型設計、要素技術、ビジネス戦略、社会システム、 ライフサイクル管理などのトピックについて、議論や情報交換を行う場 を提供することにより、エコデザインを推進することにあり、設計・生 産技術を中心として、広く社会、ビジネス、法制度などとの関係の中で 環境問題を議論し、生産活動に結びつけてゆくというのが特徴となって いる。このため、学術的な研究発表だけでなく、企業などの事例も多く 発表されている。 エコデザイン学会連合ではさらに、より機動的な組織として特定非営 利法人エコデザイン推進機構を2002 年に設立し、学会連合と表裏一体 の運営により、種々のエコデザイン啓発セミナー、アジア地区に対する エコデザインの普及、推進活動などを行っている。 関連ホームページ: エコデザイン学会連合 http://www.ecodenet.com/ed2001/unionofeco_top.html エコデザイン推進機構 http://www.ecodenet.com/