4-4 国土交通省 ○建設・公共事業、運輸関連での課題  国土交通省の廃棄物・リサイクルに関連する行政施策のうち、建設事 業に関しては、建設活動に伴って発生する廃棄物等の循環的利用の促 進・適正処分と、公共事業等における再生資源、再生製品の利用促進が 大きな課題である。このほか、運輸関連では、資源の循環的利用に係る 物流、いわゆる「静脈物流」に関する検討を行っており、「港湾を核と した静脈物流ネットワーク」の検討、総合静脈物流拠点港(リサイクル ポート)の指定などが行われている。 ○建設分野のリサイクルに関する法的枠組み  まず、建設廃棄物等の循環的利用に関しては、「建設工事に係る資材 の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」が2000 年5 月に循環 基本法と時期を同じくして公布され、2002 年5 月から完全施行に移さ れた。 ※建設リサイクル法とは: 一定規模以上の工事、特定建設資材を対象とし、@分別解体等および再資源 化等の促進(関係者の適切な役割分担と連携等) A排出抑制のための方策 (資材の選択、施工の工夫等) B目標の設定等再資源化等の促進のための方策 (再資源化目標値= 95% 等) C再資源化により得られた物の利用の促進のた めの方策(公共事業での率先利用等) D分別解体等の意義に関する知識の普 及(環境教育、広報活動、講習、資料提供)を基本方針としている。 また、再資源化率等の目標(2010 年度)は、コンクリート: 95%、木材: 95%、アスファルト95%とそれぞれ設定している。  一方、建設分野で利用される資材に関する循環的利用促進のための取 り組みは、循環基本法や建設リサイクル法以前から、1991 年に制定さ れた「再生資源の利用の促進に関する法律(再生資源利用促進法)」の 枠組みの中で行われてきた。同法では、再生資源の利用が、技術的・経 済的に可能との条件に照らした上で再生資源の利用の拡大を求めるべき 「特定業種」を定めていたが、建設業は、土砂、コンクリート塊につい ての特定業種に指定されていた。同法が2000 年に「資源の有効な利用 の促進に関する法律(資源有効利用促進法)」と改正された際も、旧法 を引き継ぎ、建設業は、特定再利用業種(再生資源・再生部品の利用を 求める業種)に位置付けられている。  また、公共事業等における再生製品の利用は、環境負荷の小さな商品 や資材(環境物品)の調達、いわゆる「グリーン調達」の枠組みの中で もその促進が図られてきている。「国等による環境物品等の調達の推進 等に関する法律」(グリーン購入法)に基づき閣議決定された「環境物 品等の調達の推進に関する基本方針」(基本方針)に即して、各機関は、 毎年度「環境物品等の調達の推進を図るための方針」(調達方針)を定 めている。国土交通省の調達方針では、公共工事に係る資材等の調達に ついても定めており、再生骨材、高炉スラグ骨材、高炉セメント、フラ イアッシュセメントなどについて、事業ごとの特性や、供給状況の地域 格差などに配慮しながら、利用を促進すべきことが規定されている。 ○建設副産物センサスの実施  なお、建設分野のリサイクル推進のバックデータとして、建設活動に 伴う廃棄物等の副産物の発生、搬出、リサイクル等の実態を把握するた め、「建設副産物実態調査(建設副産物センサス)が定期的に実施され ている。 ※建設副産物センサスとは: 建設副産物対策の具体的な政策立案に必要な排出量や再利用の動向に関する 実態を把握するため、全国の建設工事(公共土木工事、民間土木工事、建築工 事)を対象に平成2年度以降、5年ごとに実施している統計調査である。 調査対象は、建設廃棄物(コンクリート塊、建設発生木材など)及び建設発 生土(建設工事の際に搬出される土砂)である。 ○個別施策と関係研究機関 国土交通省所管分野で、個別に進められている主な施策としては、 ・ゼロエミッション推進など公共事業における廃棄物対策・リサイクル推進 ・下水汚泥の減量化・リサイクル推進 ・住宅・建築物に係る建設廃棄物問題への対応 ・自動車リサイクルの推進 ・FRP 廃船など、プレジャーボート利用改善に向けた総合的施策の推進 ・港湾における静脈物流拠点の整備、廃棄物海面処分場の整備 などがあげられる。 ※関係の研究機関 国土技術政策総合研究所:住宅・社会資本分野で唯一の国の研究機関。 (独)土木研究所:土木技術に関する研究開発等 (独)建築研究所:建築・住宅・都市に関する研究開発等 (独)海上技術安全研究所:船舶技術に関する研究開発等 (独)港湾空港技術研究所:港湾・海岸・空港に関する研究開発等 (独)北海道開発土木研究所:北海道の土木技術に関する研究開発等