イノベーション・ジャパン2012
独立行政法人 情報通信研究機構 電磁波計測研究所 宇宙環境インフォマティクス研究室
主任研究員 津川 卓也

GPS受信機網による準リアルタイム高解像度電離圏観測技術
 
 
情報通信
出展分野 情報通信 プレゼンテーション
情報
PA-23 
プレゼンテーションA 
9/28 13:40-14:00
出展ゾーン 若手研究者による展示
展示会小間番号 P-23

研究成果概要

技術の概要

GPS等の衛星測位で利用される電波は、地球の電離圏を通過する際に周波数に依存して遅延が生じる。この性質を利用すると、GPS受信機の疑似距離及び位相の遅延量情報から電離圏プラズマの量(全電子数)を測定することができる。発表者らは、国内外の密なGPS受信機網データを効率的に処理し、高時間・高空間分解能で電離圏全電子数(TEC)を準リアルタイムで2次元的に観測する技術を開発した。これにより、巨大地震・津波後の電離圏変動の全体像を初めて詳細に捉えた他、衛星測位や電波伝搬に影響を与える数100kmスケールの電離圏変動の監視が可能になった。 本観測技術は、衛星測位誤差を軽減する高精度な電離圏補正モデルの構築や、電離圏監視による衛星測位・衛星通信の受信障害対策に貢献できる。また、広域の津波発生監視や津波到達予報にも応用できる可能性がある。

マッチングを想定する業界

宇宙、気象、電波通信

想定される用途

衛星測位、衛星運用、津波監視

従来技術に対する新規性・優位性

これまでの数点のGPS受信機網やレーダー、衛星等を用いた電離圏観測技術は、電離圏変動の空間構造と時間変化の分離が難しく、空間構造の一様性や一定の時間変化等を仮定する必要があった。本観測技術は、密なGPS受信機網を利用することで、そのような仮定を使わずに、数10km程度の分解能で広範囲に定常的な電離圏観測が可能となったことが新しく、優位な点である。

実用化に向けた課題

観測データを利用した1周波衛星測位用高精度電離圏補正モデル(予測値)の開発。電離圏変動による津波波源及び規模の推定手法開発。観測のリアルタイム化(数分以内)。

 
 
 
 

関連論文・特許、件数・概要

関連論文・特許、件数・概要1 主著論文:9件、H23国際学会発表:4件、 H23国内学会発表:8件 Tsugawa, T., et al. (2011), Ionospheric disturbances detected by GPS total electron content observation after the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake, Earth, Planets, and Space, 63, 875-879. 

お問い合わせ先

連絡先:津川 卓也
TEL:042-327-5239
FAX:042-327-6163
URL:http://www2.nict.go.jp/aeri/swe/member/tsugawa/
独立行政法人 情報通信研究機構のホームページ(別ウィンドウで開きます)
若手研究者展示ページに戻る

若手研究者による科学・技術説明会ページに戻る