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第76回総合科学技術会議議事要旨


(開催要領)

1.開催日時:2008年6月19日(木)16:45〜17:30

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

 議長 福田 康夫 内閣総理大臣
 議員 町村 信孝 内閣官房長官
 同 岸田 文雄 科学技術政策担当大臣
 同 増田 寛也 総務大臣
 同 額賀福志郎 財務大臣
 同 渡海紀三朗 文部科学大臣
 同 甘利  明 経済産業大臣
 同 相澤 益男  
 同 薬師寺泰蔵  
 同 本庶  佑  
 同 奥村 直樹  
 同 郷  通子  
 同 榊原 定征  
 同 石倉 洋子  
 同 金澤 一郎  
(臨時議員)    
議員
若林 正俊 農林水産大臣


(議事次第)

1.開会

2.議事
(1) 平成21年度の科学技術に関する予算等の全体の姿と資源配分の方針(案)について
(2) G8科学技術大臣会合の結果報告
(3) 最近の科学技術の動向「地球観測の最前線」

3.閉会


(配付資料)
資料1−1   平成21年度の科学技術に関する予算等の全体の姿と資源配分の方針について(PDF)
資料1−2   平成21年度の科学技術に関する予算等の全体の姿と資源配分の方針(案)(PDF)
資料2   G8科学技術大臣会合の結果(概要)(PDF)
資料3   最近の科学技術の動向「地球観測の最前線」(PDF)
資料4   第75回総合科学技術会議議事録(案)(PDF:332KB)


* 議事概要中の資料はPDFファイルです。

(会議概要)

1.議事概要

(1)平成21年度の科学技術に関する予算等の全体の姿と資源配分の方針(案)について

 「平成21年度の科学技術に関する予算等の全体の姿と資源配分の方針(案)」について資料1−1(PDF)に基づき、相澤議員から説明。


  資料1−2の「平成21年度の科学技術に関する予算等の全体の姿と資源配分の方針(案)」については、原案どおり決定し、総合科学技術会議から内閣総理大臣及び関係大臣に対し意見具申することとした。

  議題(1)に関する議員の意見は以下のとおり。


【薬師寺議員】
 6月11日に研究開発力強化法が公布された。この法律は、画期的な法律だと思う。この法律の第4章28条には、科学技術の振興に必要な資源は、柔軟かつ弾力的に配分を行うと書かれている。これまでは各省が積み上げてきた科学技術予算を、我々がSABC評価をして、最終的に決めるという方針だったが、この法律も交付されたので、方式を改める必要があると思う。今の相澤議員のプレゼンテーションにあったように、これからは内閣の方針、つまり総合科学技術会議で決める重要政策課題に沿って、各省、あるいは各研究独法は大枠を示し、その次に予算の細目をつくっていくという方式に改める必要があると思う。


【本庶議員】
 昨年の12月の第72回の本会議において、ちょうど山中教授のiPSの発表の後だったが、3つのことを申し上げた。
 まず第1点は、第2、第3の山中を目指すための基礎研究を支援する予算が必要だということ。第2番目は若い人を育てる場としての大学の強化が必要ということ。第3にライフサイエンスの全体像を見渡して有効な研究支援を行う司令塔機能の確立について申し上げた。
 幸いなことに、本日の資源配分方針の中で、大挑戦枠の創設を入れていただいた。これは大変いいことだと思う。また、ライフサイエンス分野の重要テーマである健康研究について、総合科学技術会議を中心として全体戦略を立て、これに基づいて府省横断的な予算要求を行っていくと。また、革新的技術推進費という新しい枠組も出てきた。これらは我が国の行政制度にとって大変画期的な取り組みではないかと考えている。特に健康研究分野は、今日、少子高齢化時代を迎え、すべての国にとって極めて切実な問題となっている。これを内閣主導型で総合的な政策立案を行い、これによって科学技術投資が有効に社会に還元されるような、先駆的な例にしていく必要があると考えている。


【奥村議員】
 私も一言、研究開発力強化法との関連で申し上げたい。
 大変時宜を得たタイミングで成立していただき、感謝している。この法律を拝見すると、大学や研究開発法人にかかわる研究開発システムの改革によって研究開発力を上げることに主眼を置いたもので、法律の冒頭に、我が国の国際競争力の強化及び国民生活の向上に寄与すると明確にうたわれている。御案内のように、国民1人当たりのGDPが18位と低下してきている中で、その危機感を反映した適切な表現であると大変うれしく思っている。
 一方で、研究開発機関や研究者の活動の目的も明確に書かれており、我が国の科学技術の水準の向上及びイノベーションの創出を図ることということで、イノベーションの創出が具体的に書かれたことも、大変わかりやすくなったのではないか。今後、この法律の趣旨を十分生かすべく、具体的な方策を実行していくことが重要だと考えている。


【榊原議員】
 産業界の立場から2点申し上げたい。
 1点目は、先ほど御指摘があった科学振興費1%規模の革新的技術推進費を創出していただいたわけだが、この予算はぜひ科学技術関係予算の外枠増分でお願いしたいと思う。5年間、総額25兆円の目標に少しでも近づけていただくということでお願いしたい。
 2点目は、この革新的技術推進費の運用についてだが、私ども産業界も国際競争力のある技術を持ち続けるために懸命な研究開発努力をしている。その経験から申し上げると、技術の創造にはそのベースとなる革新的な研究成果がまず必要だが、次にそれを事業に結びつける技術に仕上げていくためには、研究とは別のセンス、あるいはマネジメントが必要。実際に研究成果を実用的な技術に仕上げ、その技術で世界と闘った経験のある人材がテーマを選んで管理し、そこに経営が思い切った資源を投入することでいい結果が得られる。
 今回のこの革新的技術推進費の運用においても、目利き機能を整備して活用することになっているが、事業に結びつける技術を創造するわけなので、この目利き集団の委員の少なくとも半分は研究成果を実際に技術に仕上げた経験のある産業界出身者で構成し、経済成長に直結する技術を徹底的に検討し、そこに予算を思い切って投入するという仕組みが必要。


【石倉議員】
 私は、洞爺湖G8サミットが近いので、それに関したコメントをしたい。今週初め、クアラルンプールで開かれた世界経済フォーラム(ダボス会議を主催する組織)の東アジア版に出席したが、そこでの総理のスピーチについて、御紹介したい。
 この会議では、3つのF-燃料(Fuel)、食料(Food)、金融(Finance)―が、非常に大きな問題になっており、かつ緊急性を増している。それにどうアジアは対応していくか、という話が中心になった。アジアは経済が成長途上であるため、政治的にもこの3つは非常に深刻である。また3つの課題に直面して保護主義的な傾向をとる国もある。特に大統領選が進行中のアメリカでは保護主義的な傾向が見えるが、世界貿易やFDIなどに逆行するこうした動きに対して、アジアはどう対応するか、協働・連携するかという話がかなり出た。
 2日目に開かれたジャパン・ランチという催しで、福田総理が3つのF―特に最初の2つーという課題に対してどう考えるか、洞爺湖サミットで何をしようとしているかを説明されたビデオを流した。今朝、世界経済フォーラムのシュワブ会長にお目にかかったが、「総理のスピーチは短かったが、ポイントをついていてよかった」といっておられた。ジャパン・ランチでは、その他、日本の企業が持っている技術でこうした問題を解決できる、もっとアジアや世界市場にそれを広め、世界の課題解決に貢献しようという話も出た。
 おまけですが、ジャパン・ランチでは、川口順子さんが基調講演をされて、私がその司会と質疑応答をやった。最後に、「女性がこんなに出てきたから、日本も変わりつつあるのでは」というコメントが会場から出た。総合科学技術会議に任命したいただいた時に、私は「歩く広告塔」になりますと言ったので、それが少しは実践できたかと思っている。


【郷議員】
 今のお話で、女性が出てきたということで、大変評価を受けたということだが、私はもう一方の面で、科学技術のイノベーションに女性の力というのは大変重要だと思う。今、理工系を志す学生が減ってきている状況がある。例えば、東京大学でも優秀な学生や科学技術に明るい学生が金融業、外資系の投資銀行に行くことが多い。収入がそちらのほうがいいからだと言われている。日本では管理職に占める女性の割合では10.1%、これはドイツが37.3%、アメリカが42.5%と言われており、131カ国中で91位という大変はずかしいところにいる。それから女性の研究者の割合も12.4%で、昨年、韓国に負けた。そういう状況の中で、一方では進出しているが、そうではないところもある。先月、スペインで女性科学者を増やすといったディベートがあったが、どこの国も今一生懸命取り組んでいる。恐らくこれは、女性の持つ柔軟でしなやかな発想や、忍耐強さ、多様な思考というものがこれからの科学技術の発展に大事だという認識の上に起きているので、日本も、今の石倉先生の御発言のような大変うれしいことがある反面、随分、総合科学技術会議で取り組んでいるが、科学技術に女性がもっと行けるような方策を、加速する必要があるのではないかと思う。特にIT分野では女性が非常に活躍しており、産業界でも管理職に就いている方はたくさんいるし、19年度の就職力を、例えば読売新聞のやり方で数えると、大規模な大学はもちろん絶対数が多いが、就職した人数に対してどういう業界に何人行ったかという業種別があるが、お茶の水女子大は女子大学だが、東大、東京工業大学を抜いて、情報、それから通信に進んだ人が1位。いろいろなことが変わってきているということを申し上げた。


【金澤議員】
 資源配分の方針の話に戻るが、私も本庶議員が言われたように、非常に画期的な提案ではないかと理解をしている。これが成功していくためには、2つポイントがあるのではないかと思う。1つは運用にかかわること、もう一つは課題なりテーマなりの選定にかかわること。
 運用にかかわることは、これは実は本文の中にはきちっと書いてあるが、マネジメントの規制を緩やかにするとか、あるいは研究費の使い方について配慮するとか、そういうことが書かれており、この辺が非常に大事なポイントの一つだと思う。実はここには書かれていないが、投入される資金が多いからといって、頻回に評価をするのはいかがなものかという印象も同時に持っているので、ぜひお考えいただきたい。
 2番目の選定に関しては、これは先ほどのお話のように大挑戦研究枠であるとか、あるいは革新的技術推進費という意味で、目利きのグループが非常に大事だという御指摘があった。そのとおりだと思うが、要するにその場の思いつきでの評価ではなく、周到な準備が必要だろうと思う。そういう意味で、私はこれに非常に期待をしているが、同時にこの考え方は、我が国における例えばスプリング8のようなビッグサイエンスの選定に関しても同じことが言えるのではないかと思っているので、つけ加えさせていただいた。


【渡海議員】
 既に有識者議員からいろいろとお話が出ているが、経済成長力の範囲内というふうに、シーリングがかけられている科学技術振興費だが、今回革新的技術推進費が創設された。私は1%は正直少ないのではないかと思っている。もう少し大胆にやったほうがいいのではないか。これは来年以降の課題というふうに申し上げておきたいと思うが、ただでさえ第3期科学技術基本計画に掲げた25兆円の達成は厳しい状況にある。これは政府の一つの大きな目的である歳入歳出一体改革、財政再建ということもあるので、いたし方がないとして、これのベースになっているのが基本方針の2006、いわゆる骨太の取り組み。
 この取り組みの中に、今後の科学技術振興費の伸びは経済成長の範囲内とし、さらに科学技術の振興による成長力・競争力強化に資する取り組みについては、必要に応じて重点的な取り組みを行うと決めており、ぜひこの趣旨を生かしていただき、25兆円達成のために頑張るということもあるわけなので、これは外枠であっても財政再建に反しないと思うので、そういう取り組みをお願いをしたい。
 各省がどうかということもあるが、これから成長力に資するという考えのもとで、これをやっていくわけですので、そういう仕切りをしていただきたい。
 もう1点、研究開発力強化法のお話があった。当時やっていたのは私でして、自分ではできなかったわけですが、この法律は今後の科学技術の振興に大いに役に立つと思っている。
 法律ができただけではなく、今後総合科学技術会議においても、こういった法律を踏まえた上でのご議論をお願いしたい。


【甘利議員】
 我が国の持続的発展を目指すためには、第3期科学技術基本計画や革新的技術戦略の着実な推進が不可欠であり、総合科学技術会議のリーダーシップのもとに、資源配分方針に沿った取り組みがされることを期待している。
 革新的技術推進費については、予算を確保することに加えて、省庁の枠を越え、迅速かつ機動的な予算枠とすることが重要。そのために、総合科学技術会議が中心となって、常日ごろより各界の有望な研究開発情報を収集し、戦略的に資源を集中投入するべき課題を選定、実行できる機能と仕組みを整えることが不可欠。1%では私も不十分だと思う。同時に、先生方を支える事務体制の強化もしていかなければならないと思う。


【額賀議員】
 先般、岸田大臣からお話があり、今話題の革新的技術推進の研究分野について、1%枠を設定したいという御提案があった。考え方としては、選択と集中で集中的にやっていくという意味では、結構なことだと思う。それで、予算編成の枠の中で、今後相談していこうということにしている。
 榊原議員は、これは枠外でぜひやってくれということだったが、シーリングの枠外にすると、いろいろな分野の争奪戦的な印象も与えるので、その辺は慎重に考えなければならないと思っている。
 いずれにしても、科学技術が日本の成長の原点でありので、極めて重要であるという共通の認識を持っているので、今後予算編成の過程で何がそういうところに選択と集中になっていくのか、よく相談しながら、対応させていただきたい。


【若林議員】
 やや角度、切り口が違うが、一言発言させていただきたい。
 先日、福田総理ご列席のもとで、ローマでFAOハイレベル会合が開かれ、その議論に私も参加した。今後数年間は、食料価格が高止まりすることが見込まれる中で、この会合の宣言文の中で、各国が食料安全保障を恒久的な国家の政策として位置づけることを約束することが述べられている。
 同時に、食料と農業に関する科学技術への投資の増加、研究開発とその成果の普及について国際協力を強化することなどが盛り込まれているところであり、研究開発の推進が喫緊の課題となった。
 このような状況の中で、農林水産省としては、資源配分方針案の重要政策課題への重点化という基本的な考え方に賛成。このため、資源・食料価格が高騰する中で、重要性の高い食料自給率の向上や食料と競合しないバイオ燃料の生産を目指す研究開発を中心に、研究開発独立行政法人の性格を踏まえながら、重点化を図っていきたい。
 また、稲、麦、大豆などの優良品種の開発であるとか、ウナギ、マグロなどの養殖技術の開発といった食料生産にかかわる革新的技術について、研究開発を加速していきたいと考えている。

(2)G8科学技術大臣会合の結果報告

 「G8科学技術大臣会合の結果報告」について資料2(PDF)に基づき、岸田議員から報告。

(3)最近の科学技術の動向

 「地球観測の最前線」について、資料3(PDF)に基づき、相澤議員より説明。

 

2.福田議長(内閣総理大臣)しめくくり発言


【福田議長(内閣総理大臣)】
 平成21年度予算は経済成長戦略の一つの柱である革新的技術創造戦略を実施するための試金石。革新的技術開発を推進することは、激しい国際競争の中で我が国が持続的な経済成長をなし遂げるために不可欠。また、先週末に沖縄で開催されたG8科学技術大臣会合でも議論されたように、人類共通の課題への対応や国際貢献などにおいても、科学技術の果たす役割は極めて大きい。このような観点から、これまでも科学技術予算は例外的に伸ばし、科学技術創造立国を目指してきた。
 一方で、納税者の理解を得るためには、無駄な支出や府省間の重複を廃し、我が国として重要課題に集中投資が行われるように、限られた予算の最適配分を行っていく必要がある。総合科学技術会議の皆様においては、新しい予算調整の仕組みを導入し、科学技術予算の重点化を見極めていただきたい。

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