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日本睡眠学会に聞く!睡眠に関するQ&A

Q1 眠れないときはどうしたら良いですか?

Q2 睡眠不足が引き起こす病気・リスクは何ですか?

Q3 睡眠障害と睡眠不足の違いは何ですか?

Q4 適性な睡眠時間はどのくらいでしょうか?

Q5 他の病気から不眠になるって本当ですか?

Q6 「眠れない」とはどのような状況のことですか?

Q7 日本人の睡眠時間は世界で見るとどのくらいですか?

Q8 睡眠キャンペーンの良いところはどこですか?

Q9 「寝だめ」は出来ますか?

Q10 日本国内で睡眠不足が引き起こす経済損失はどのくらいですか?

Q11 寝酒はダメですか?

Q12 どうしても眠れないときには、どこに相談すれば良いですか?

Q13 お医者さんでは、どのような治療が行われるのですか?

Q14 三交代勤務や夜勤が続くときに気を付けたほうが良いことは何ですか?

Q15 眠れないときには、市販の睡眠薬を飲めば良いですか?

Q16 睡眠薬の副作用はありますか?


Q1 眠れないときはどうしたら良いですか?

A

寝床に入っても眠れない。夜中に目が覚めてそれから眠れない。このような時には、眠ろうと焦るほど頭がさえて眠れなくなります。こうした時には、開き直っていったん寝床から出て本を読んだりテレビを見て眠くなるのを待つ方が気持ちは楽になります。

暗いところで一人悶々としていると、私たちが祖先から受け継いだ本能的な警戒心が高まって、考え事をすると警戒心のあまり、悪い方にばかり考えてしまうのです。このため一人で寝室を独占できている方なら、電気をつけて明るくするだけでも良いです。

寝床に入っても眠れないのを予防するには、いくつか方法があります。第1に、就床前はゆったりして過ごし、眠くなってから寝床に入る習慣をつけることです。眠たくないのに床に入らないことです。第2に、休日も含めて、規則正しい起床時刻を守り、起床したら日の光を取り入れるようにすることです。こうすることで、朝が来たという情報を体内時計に与えていると、次第に寝つきがスムースになります。第3に、眠れないことを気にかけ始めると、ついつい眠たくないのに早くから就床し、寝床の中で過ごす時間が以前に増して長くなっていることが多いので、これをチェックして下さい。第4に、夏の暑い時には適度にエアコンを使い、寒い時には暖かくして眠って下さい。自然の方が健康にいいと我慢する必要はありません。心地よさが健康には最も大切です。(日本睡眠学会 内山理事)


Q2 睡眠不足が引き起こす病気・リスクは何ですか?

A

睡眠不足は昼間の眠気や全身倦怠感、頭重感、不安、イライラ感など身体的・精神的症状を呈するだけではなく、血圧や血糖や血清トリグリセライド値を上昇させ、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や心筋梗塞や脳血管障害のリスクを高めることが明らかにされています。また免疫力を低下させ、インフルエンザなどの感染症や癌の誘因や増悪因子になることも示されています。

睡眠不足は満腹感を感じ摂食を抑制するレプチンを減少させ、一方、空腹感を感じ摂食を促進するグレリンを増加させるため、食欲が高まり肥満を引き起こすことも知られています。さらには記憶力や集中力を低下させ、学生であれば成績を下げることに、社会人であれば仕事上の能率や生産性の低下を生じ、また、交通事故や産業事故のリスクを上げることにもつながります。

また、睡眠不足はうつ病発症の危険因子であり、うつ病やパニック障害では不眠が強いと自殺の危険性が高まることも示されています。(日本睡眠学会 内村理事)


Q3睡眠障害と睡眠不足の違いは何ですか?

A

長時間の通勤や通学、夜勤(交代勤務)、夜型生活などのためにその人にとって必要としている睡眠時間を確保できずにいると、日中の眠気や集中力低下、ケアレスミスの増加、倦怠感や食欲低下などの心身の不調が現れます。

このような不適切な生活環境や偏った睡眠習慣が原因となって十分な睡眠が得られずにいる状態を睡眠不足と呼びます。もともとその人が必要としている睡眠時間には大きな個人差があるため、何時間以上眠れば大丈夫、という万人に通じる基準はありません(「適正な睡眠時間はどのくらいでしょうか?」の項を参照してください)。一方、生活環境や睡眠習慣を正しく保っていても、精神、身体、神経等の病気のために不眠や日中の強い眠気などの睡眠問題が生じるのが睡眠障害です。多くの睡眠障害では正しい診断と治療が必要ですので、生活上の工夫を行っても不眠が続く場合には医療機関を受診することをお薦めします。(日本睡眠学会 三島理事)


Q4 適性な睡眠時間はどのくらいでしょうか?

A

平成18年社会生活基本調査(総務省)において、日本人の平均睡眠時間は7時間42分と報告されています。また、平成20年国民健康・栄養調査(厚生労働省)では、睡眠時間の長さを6段階から選択させたところ、6時間以上7時間未満を選択した者が最も多かったことが示されました。これらの報告から、日本人の平均的な睡眠時間は6〜8時間程度であると推測できます。

しかし、適正な睡眠時間の量について、万人に当てはまる基準を設けることはできません。これは必要とされる睡眠時間に個人差が存在するためです。発明家のエジソンの睡眠時間は非常に短かったと言われていますが、一方で、物理学者のアインシュタインは1日に10時間以上眠っていたそうです。

また、必要とされる睡眠時間は加齢と共に減少するとされており、個人内でも年齢や環境によって変化します。なお、睡眠時間は短い場合に問題視される傾向がありますが、長い睡眠時間が良いとは限りません。

多くの調査によって睡眠時間は短くても、長くても死亡率が高くなることが示されており、この特徴はうつ状態にも当てはまるとされています。つまり、自分の睡眠時間を他者や以前の自分と比較したり、より長く眠ろうとすることは適切とは言えません。日中に快適に活動できることを睡眠充足の目安とし、睡眠時間にこだわらない姿勢が重要だと考えられます。(日本睡眠学会 大井田理事)


Q5 他の病気から不眠になるって本当ですか?

A

最近の米国の調査によると、全く身体的病気のない人と比べ、病気をもつ人では不眠の程度が約2倍になり、4つ以上の病気をもつ人では約4倍に達することが報告されています。痛み、かゆみや夜間頻尿を呈する疾患は不眠が出現しやすく、パーキンソン病や認知症などの中枢神経疾患、喘息などの呼吸器疾患、心筋梗塞などの循環器疾患など様々な身体の病気が不眠の原因になります。

特に、高血圧や糖尿病などの生活習慣病では不眠を生じる頻度が高く、糖尿病では約30〜40%、高血圧では約30〜50%などの報告がなされています。また、身体疾患に不眠が合併している場合は不眠を改善することが身体疾患の改善にもつながることもわかっています。一方、身体疾患で不眠を発症し、治療せずにそのまま放置しておくとうつ病に発展していく可能性があります。したがって、身体疾患と不眠が合併した時は両者を並行して治療することが重要であり、さらにうつ病の予防効果も期待できます。(日本睡眠学会 内村理事)


Q6 「眠れない」とはどのような状況のことですか?

A

睡眠を確保するのに十分な時間があるにもかかわらず、寝つくのに30分以上かかる(入眠困難)、夜中に何度も目が覚め、再び寝入るのに時間がかかる(中途覚醒)、普段より早く目が覚める(早朝覚醒)、一晩眠っても回復感がない(熟眠障害)といった4つの症状のうちの1つでもあれば、「眠れない」すなわち、不眠ということになります。もっとも多いのは、心配事や痛みやかゆみで一時的に寝つくが悪くなる入眠困難という症状です。慢性身体疾患、癌、精神疾患などにしばしば不眠が伴います。夜勤などの交代勤務で生体リズムに鞭打って覚醒を続けることや若者がインターネットやテレビゲームで夜意識的に眠らないのは大きな健康問題ですが、それらは、「眠れない」のとはニュアンスが異なります。

不眠症は、大震災や家族の不幸などの急性のストレスで何日間か眠れない急性不眠症(適応障害性不眠症)と、4週間以上眠れない状態が続く慢性不眠症とがあります。眠りたいのに眠れないと意識すると益々脳が冴えて、眠りは遠ざかりますので、眠りを追い求めてしまうのは良くありません。睡眠時間に個人差がありますが、眠れないことに対しても、日常生活に支障がなければさほど苦にしない方と、眠れないことが一番の苦痛となってしまって、朝起床するや否や、夜の眠りの心配をされる方がおられます。主観が大切ともいえますし、眠れないことへの感受性(とらえ方)の問題ともいえます。

不眠症の多くは、日中の様々な障害が実は発生していることが問題となります。通勤の際の交通事故、学業や仕事の際の些細なミスや能率の低下、集中力・注意力・記憶力の低下、疲労感、意欲の低下、いらいら感やすっきりしない気分、日中の眠気、眠ることへの心配などの様々な症状を伴うことがあります。

自殺の危険因子としての不眠についていえば、第一に、爆睡年代の高校生、大学生、青年(労働者、フリーター)が、眠れないといったら、まずうつ病や統合失調症である場合が圧倒的に多く、自殺の危険があると判断すべきです。第二に、中高年の働き盛りで、意欲的に仕事をしていた勤労者が、身体的不調とともに、食欲不振や倦怠感などとともに、「眠れない」と訴えたら、うつ病発症と考えて、自殺の危険があると判断すべきです。第三に、常習飲酒者やアルコール依存症の方で、眠れないと訴えたら、抑うつを合併していて自殺も危ないと考えられます。第四に、大都市でも田舎でも、独居老人(夫婦、単身)の場合に、眠れないと訴えたら、やはり、自殺の危険のサインと受け止めて、適切な支援が必要となります。キャンパスでも、職域でも地域でも、不眠をキーワードにした自殺予防の介入が求められています。(日本睡眠学会 粥川理事)


Q7 日本人の睡眠時間は世界で見るとどのくらいですか?

A

日本は国民の睡眠時間が世界で最も短い国の一つです。最近、世界の18か国(欧米、アジア・オセアニア諸国など)における睡眠時間(15歳以上を対象)を比較したデータが報告されています(経済協力開発機構、2009年)。これによれば、日本人の睡眠時間は国際的にみてかなり短く、最短は韓国で469分、次いで日本(470分)、ノルウェー(483分)の順でした。一方、最長はフランスで530分、次いで米国(518分)、スペイン(514分)の順で、フランスと日本の差は何と60分もありました。NHK放送文化研究所によれば、国民の平均睡眠時間は1960年から2005年までの45年間で約50分短縮しています。また、幼児から壮年期を通じて就床時刻が次第に遅くなり、国民生活の夜型化が進んでいる実態が報告されています。(日本睡眠学会 千葉理事)


Q8 睡眠キャンペーンの良いところはどこですか?

A

まず、中年男性をピンポイントにしたキャンペーンであることです。中年男性のうつ病の早期発見のために慢性不眠がよい手がかりになる理由は以下の通りです〔注:中年男性以外の対象では一部当てはまらないものがあります〕。
<1> うつ病の9割近くに慢性不眠あり。
<2> 慢性不眠の原因の半数近くがうつ病やその他の精神障害。
<3> 不眠はうつ病患者のみならず自殺の危険因子。
<4> 不眠は本人自身にも家族にも気づかれやすい身体の症状
<5> 不眠は医者に相談しやすい身体の症状
<6> <4>、<5>の特徴から、ご家族の気づきによってうつ病候補者の中年男性をかかりつけ医に受診させることが容易

かかりつけ医がゲートキーパーになって、専門医と「顔の見える」連携がなされると、中年男性のうつ病の早期発見・治療ができます。ひいては、現在最も自殺率の高いこの群の自殺を減らすことも可能になるでしょう。(日本睡眠学会 清水理事長)


Q9「寝だめ」は出来ますか?

A

ある日に普段より7時間(約一晩分の睡眠時間)だけ長く眠っても、その翌日に徹夜をすればやはり眠気が溜まります。すなわち寝だめはできません。一方、睡眠不足が溜まっているときには回復するのに長めの睡眠を要します。平日に寝不足になっているサラリーマンの多くは週末に1〜3時間ほど長く寝ることが知られています。これは寝だめ(貯金)をしているのではなく、あくまで借金返済をしているわけです。(日本睡眠学会 三島理事)


Q10 日本国内で睡眠不足が引き起こす経済損失はどのくらいですか?

A

オーストラリアでは2004年に睡眠障害に関連した費用が1年間に合計で約9000億円だったという報告があります。この費用には、睡眠障害の治療検査費、病院での運営費・人件費、健康づくり対策費などの医療に関連する直接的費用、睡眠障害により起こりうる産業・交通事故における損失額、労働生産制の低下などの間接的費用を国全体で積算した額です。オーストラリアは人口約2100万人ですから、1億2700万人の日本に当てはめれば約6倍で5兆4000億円になります。同様な方法での推計が1993年にアメリカで行われ、アメリカ全体で年間10兆円の経済損失という報告がなされています。アメリカの経済規模が日本の約2倍とすると、日本では5兆円位になります。

日本では、大規模な調査はありませんが企業勤務者約5000人の調査からの推計があります。日本全体で睡眠不足からくる生産性の低下が3兆円、欠勤、遅刻、早退、睡眠不足に関連する交通事故や産業事故の損失を合計して3兆5000億円となります。この調査では直接的医療費が入っていないため、外国の報告と比べ少し少なめな数字になっていると言えるかもしれません。

このように計算の方法は違いますが、日本における睡眠障害の経済損失は医療費を含まない額でおよそ3兆5000億円、医療費を含むと5兆円位という大きな経済損失が起こっていることが予想されます。有効な対策で睡眠の問題を減らすことは、健康面だけでなく経済的にも重要なことがわかります。(日本睡眠学会 内山理事)


Q11 寝酒はダメですか?

A

寝付きを良くするために飲む少量の寝酒は、一つの楽しみかもしれません。しかし、寝酒を毎晩行うとアルコールに対して次第に耐性ができ、寝付きを良くするために大量の寝酒が必要になってしまいます。そうなれば、たとえ速やかに寝付くことができても、夜間睡眠の後半では深い眠り(ノンレム睡眠の段階3・4)が減少するだけでなく、〔必ずしも利尿作用によるものとは限らず、〕アルコール血中濃度が下がるときに覚醒が起こりやすくなります。身体から酒が抜ける早朝に目覚めてしまいます。すなわち、寝酒が、夜間睡眠の量と質の低下を招くことになります。

就寝前のアルコール摂取は、閉塞性睡眠時無呼吸を生じやすくします。また、アルコールの連用は、アルコール依存症候群の発症につながることもあります。

よい睡眠をとるためには、寝酒に頼らず、きちんと医師に相談し、睡眠衛生に関する指導や適切な睡眠薬による治療を受けることをお奨めします。(日本睡眠学会 千葉理事)


Q12 睡眠環境の改善など、いろいろ試してみても、どうしても眠れないときには、どこに相談すれば良いですか? 

A

睡眠環境以外にも、眠りを強く妨害する要因はいろいろと考えられます。睡眠について詳しい医師に相談されるのが一番良いでしょう。心当たりがない場合には、日本睡眠学会のホームページの「睡眠医療認定について」のメニューの中の「睡眠医療・認定委員会の認定による認定医」のリストが参考になると思います。

地域によって、認定医が身近にいないことがありますので、そのような場合には、最寄りの神経科・精神科、神経内科、心療内科を標榜している医療機関に一度ご相談下さい。そこでも睡眠の問題が解決しない場合には、睡眠に詳しい医師あるいは医療機関に紹介してもらうように依頼されると良いでしょう。(日本睡眠学会 杉田理事)


Q13 お医者さんでは、どのような治療が行われるのですか?

A

『眠れない』という症状の原因が、身体の疾患や薬物の影響によるものではなく、また、睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群ではないことを診断した上で、良い睡眠をとることの妨げになっている悪い生活習慣を改めるように指導します。これを睡眠衛生指導といいます。精神科の疾患によるものは、精神科の治療が優先されます。それでも『眠れない』症状が続いて、体調不良など昼間の生活に支障が生じているときには、『眠れない』症状のタイプに応じて、睡眠薬(ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系)を処方して、睡眠の補助としてもらいます。睡眠時無呼吸症候群にはCPAP(持続陽圧呼吸法)などを、むずむず脚症候群にはドパミン作動薬などの対症療法が行われます。

特に、強い不安を伴って『夜うまく眠れなくて困っている』という訴えが、心理的に慢性化してしまっているような不眠症の患者さんには、睡眠に関わる適切な認知と行動の修正を施して、不眠に対する不安や苦痛を軽減させる認知行動療法といった精神療法が有効な場合もあります。(日本睡眠学会 山寺亘、伊藤洋)


Q14 三交代勤務や夜勤が続くときに気を付けたほうが良いことは何ですか?どうすれば良いですか?(眠る時間がすでにずれている場合には)

A

夜勤では眠るべき時間帯に起きて、起きるべき時間帯に眠るので、睡眠の質が悪くなり、作業中に眠くなるのは避けがたい面があります。夜勤明けの翌朝に十分な睡眠をとるためにはその数時間前からカフェインやタバコを控える、帰宅後リラクゼーションをしてから寝床に入るなどの工夫が必要です。また夜勤中の眠気防止のためには、夜勤に入る前や夜勤中の短時間(20分以下)の仮眠が有効です。ただし、日本では夜勤の多くは週に1回程度です。したがって、夜勤をしている人でも日中に起きて夜中に寝るという基本的な生活スタイルを維持することが大事です。日勤時や休日にはできるだけ日中に自然光を浴び(体内時計をリセットします)、体を動かすなど昼夜のメリハリを保ちましょう。(日本睡眠学会 三島理事)


Q15 眠れないときには、市販の睡眠薬を飲めば良いですか?

A

2003年4月に医師の処方箋がなくても、薬局で購入できる一般医薬品であるOTC(Over-The-Counter)睡眠補助薬塩酸ジフェンヒドラミンが発売され、市販の睡眠薬ということで気軽に購入されています。しかし、これらの有効成分はヒスタミンH1受容体抵抗薬であり、従来抗アレルギー薬や感冒薬などに使用され、副作用と考えられていた眠気を利用したものです。一過性の不眠には有効ですが、慢性の不眠症などで連日服用すると効果が薄れ、服用量が増えたり(耐性)、中止しようとするとイライラしたり不安になり長期間の服用(依存性)につながることがあります。医師が処方する睡眠薬はベンゾジアゼピン系作動薬であり、耐性や依存性が出現しにくいなど副作用が少なく、より安全な薬です。実際はうつ病に伴う不眠であるのに、自分で判断して薬局でOTC睡眠補助薬を使用し続けることによって、うつ病が増悪することがあります。眠れない時にはまず医師の診察を受け、診断を受けた上で適切な睡眠薬を服用すべきです。(日本睡眠学会 内村理事)


Q16 睡眠薬の副作用はありますか?

A

過去の睡眠薬(バルビタール製剤、サリドマイドなど)は、呼吸・循環系に対する悪影響や高い催奇形性などの好ましくない副作用があり、これらが睡眠薬が危険な存在であるとの先入観の原因になっていました。しかし、ベンゾジアゼピンないしその作動薬に属する薬剤では、重篤な副作用は認められず、呼吸・循環機能が低下した人を除くと、大量服薬しても生命にかかわることは極めて少なくなっています。

しかしながら、ベンゾジアゼピンないしその作動薬に属する薬剤でも、比較的作用時間の長い薬剤では、翌日に眠気が持ち越す可能性があります。通常の用量なら、昔の薬剤のような強い依存性(飲みだすとやめられなくなる)は無いのですが、急に服用をやめると、服用前以上の不眠が数日間続くことがあります。また、薬剤間で程度の差こそあれ、服用後ふらつきや筋力低下が生じることがあり、特に高齢者では夜間の転倒・骨折の原因になりうることがわかっています。さらに、高用量の睡眠薬(2錠以上)を服用したりアルコールと併用したりすると、前向性健忘(服用後一定期間の記憶がなくなること)を生じることがあります。しかし、睡眠薬を服用により記憶力が低下して認知症になることはありません。(日本睡眠学会 井上理事)


日本睡眠学会

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