事例紹介5

「富士モデル事業」
−産業都市・富士市における働き盛り世代の自殺予防対策−

静岡県では、50歳代をピークとした中年男性の自殺が多い傾向にあります。そのため、平成18年度から産業都市である富士市(人口約24万人)で、「働き盛りのうつ・自殺予防対策モデル事業」を実施しています。

うつ病にかかると、不眠や食欲不振などの体調不良がまず自覚される例が多いことから、うつ病の早期発見のアプローチとして身体症状、特に不眠を重視している点が、富士モデル事業の特徴です。

具体的な取組の二本柱は、<1>「お父さん、眠れてる?」をキャッチフレーズに、働き盛り男性のうつ病への気づきを高めるための「睡眠キャンペーン」と、<2>不眠が続いて、かかりつけ医・産業医にかかった方を精神科専門治療につなぐ「紹介システム」です。

【睡眠キャンペーン】

平成18年度から取り組んでいる「睡眠キャンペーン」は、仕事が多忙で自分の健康は二の次となりがちな働き盛りのお父さんに対し、高校生の娘が呼びかけるスタイルで、「眠れてる?」、「2週間以上続く不眠はうつかも」、「お医者さんに行かなくちゃ」など、うつ病への気づきと治療を促しています。そのために、リーフレット、ポスター(図1)に加え、インターネット、時刻表(表紙広告)、路線バスのステッカー広告、さらにテレビCM(平成20年2月15日〜20年3月5日(図2))を活用しています。

〈図1 「睡眠キャンペーンポスター」〉
図1 「睡眠キャンペーンポスター」の写真
〈図2 テレビCM〉
図2 テレビCMの写真

【かかりつけ医・産業医から精神科医への「紹介システム」】

平成19年1月からは、かかりつけ医や産業医を受診した「不眠が継続する働き盛り男性」を、必要に応じて精神科医に紹介するシステムを開始しました。この「紹介システム」により、19年度末までに計135件の紹介がありました。同システムの運営のため、医師会、市立病院と地元精神科で構成された「紹介システム運営委員会」が定期的に開催されています。運営委員会をとおして、かかりつけ医と精神科医が何度も顔合わせすることにより、両者の円滑な関係が形作られてきています。

【うつ病の可能性が高い方(ハイリスク者)に対するその他のアプローチ】

うつ病の方は、不眠のために市販の睡眠薬を繰り返し購入することがあります。そのため、平成19年秋から薬剤師会と協力して、薬剤師がこれらの方々に医療機関への受診を勧める取組を行っています(図3)。さらに20年度には、健診機関の協力を得て、健康診断などの結果通知時に、「睡眠キャンペーン」リーフレットを同封し、気づきを促す、うつ病早期発見のための新たな取組も始めています。

以上のように、不眠を切り口としたうつ自殺予防の取組を、医師会、薬剤師会、富士市、労働基準監督署など様々な関係機関と協働しながら行っています。

〈図3 薬局での受診勧奨〉
図3 薬局での受診勧奨の写真

静岡県精神保健福祉センター

電話番号 054-286-9245

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