COLUMN 8

パンフレット「のめば、のまれる」の作成

アルコール依存症が、うつ病、統合失調症と並ぶ自殺と密接に関連する精神疾患であることは、国内外における数多くの先行研究で指摘されています。

我が国では、これまでのうつ・自殺予防の取組などによって、うつ病と自殺の関連性は広く認知されるようになりました。しかし、うつ病中心の対策では、自殺予防の重要な対象が支援の手から漏れてしまう危険性がありました。

そんな中、平成20年10月に行われた自殺対策加速化プランの策定及び自殺総合対策大綱の一部改正において「うつ病以外の精神疾患等によるハイリスク者対策の推進」の中でアルコール依存症に言及されたことは重要です。

自殺予防総合対策センターによる心理学的剖検の手法を用いた調査からは、アルコールとうつ、自殺にはつながりがあること、中高年男性が家族や経済・生活問題などの悩みをかかえながら眠るためにアルコールを使用していたこと、アルコールの問題についての支援は受けていなかったという問題が浮かび上がりました。また、全国の断酒会員を対象にしたアンケート調査からも、アルコールの問題と自殺の結びつきがはっきりと示されました。

このことから自殺予防総合対策センターでは、アルコールと自殺の結びつきについて、広く社会に知ってもらうことが必要と考え、啓発のためのパンフレット「のめば、のまれる」を作成しました。

〈パンフレット〉
パンフレットの写真

パンフレットには、アルコールにのまれた中高年男性のつぶやき、アルコールの負の影響(不眠やうつ症状の悪化、自殺を呼び寄せるなど)、自己チェックリスト(C.A.G.E 4項目中2項目以上あてはまると問題飲酒)、本人向けと家族・周囲の人向けの対処法(問題に気づくこと及び専門医療機関への相談の重要性)、主な相談窓口(精神保健福祉センター、保健所、自助グループ)が掲載されています。


〈C.A.G.Eチェックリスト〉
あなたは今までに、自分の酒量を減らさなければいけないと感じたことはありますか?(Cut down)
あなたは今までに、周囲の人に自分の飲酒について批判されて困ったことがありますか?(Annoyed by criticism)
あなたは今までに、自分の飲酒についてよくないと感じたり、罪悪感をもったことがありますか?(Guilty feeling)
あなたは今までに、朝酒や迎え酒を飲んだことがありますか?(Eye-opener)
*4項目の英語の頭文字をとってC.A.G.Eとよばれる

自殺予防対策において、アルコール問題で苦しんでいる人たちとその家族への支援を欠かすことはできません。このパンフレットが自治体などを通して、企業や飲食店などにも広く配布されることを期待しています。今後も自殺予防総合対策センターでは、アルコールの問題に対する支援のあり方について積極的に取り組んでいきます。

○Webサイト http://ikiru.ncnp.go.jp/ikiru-hp/pdf/nomeba100123.pdf

自殺予防総合対策センター