第1章 自殺の現状

1 自殺者数の推移

(1) 警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移

警察庁の自殺統計原票を集計した結果(以下「自殺統計」という。)によれば(第1-1図)、我が国の自殺者数は、平成10年以降、14年連続して3万人を超える状態が続いていたが、24年は2万7,858人であり、9年以来、15年振りに3万人を下回った。

自殺者数は、昭和58年及び61年に2万5千人を超えたものの、平成3年には2万1,084人まで減少し、その後2万人台前半で推移していた。しかし、10年に9年の2万4,391人から8,472人(34.7%)増加して3万2,863人となり、その後、15年には統計を取り始めた昭和53年以降で最多の3万4,427人となった。16年は減少し、21年まで横ばいで推移した後、22年以降は減少を続けており、24年は前述のとおり2万7,858人で前年に比べ2,793人(9.1%)減少した。

[第1-1図] 自殺者数の推移(自殺統計)

[第1-1図] 自殺者数の推移(自殺統計)

(2) 厚生労働省の人口動態統計に基づく自殺者数の推移

厚生労働省の人口動態統計により自殺者数の長期的な推移をみると(第1-2図)、第二次世界大戦後は、昭和30年前後(29年~35年)に自殺者が増加しており、33年の2万3,641人をピークとする最初の山を形成した後、40年代前半の高度成長期には1万4千人台前半まで減少した。その後は増加傾向となり、50年以降は、2万人前後で推移していた。

次いで、昭和57年の2万668人から58年の2万4,985人に増加した後、61年の2万5,667人をピークとする二つ目の山を形成した。平 成3年には1万9,875人まで減少したものの、10年に前年の2万3,494人から8,261人(35.1%)増加して3万1,755人となって以降は、3万人前後の状態が続いている。23年は2万8,896人となった。

これら3つの山の要因についてみると、昭和30年前後の最初の山については、戦後の社会の混乱が残っていた時期であったことが挙げられる。この時期に自殺者数が最も多かったのは15~24歳、次いで25~34歳の若者であるが、戦前の価値観からの急激な転換など、社会経済的に大きな変化により悩みを抱えている人が多かったからではないかとする説や、青年期に受けた戦時体験が最も強く当時の青年層に現れたためとする説もある。60年前後の二つ目の山については、中高年男性の自殺が多く、プラザ合意による円高誘導政策によるドルショック、円高不況が要因であるとの説がある。平成10年の急増については、バブル崩壊による影響とする説が有力であるが、その後も変わらず高水準で自殺者数が推移していることについては定説はなく、今後の分析の課題となっている。

[第1-2図] 自殺者数の長期的推移(人口動態統計)

自殺者数の長期的推移(人口動態統計)