第1章 自殺の現状

3 年齢階級別の自殺者数の推移

年齢階級別の自殺者数の推移について男女別にみると、人口動態統計によれば(第1-6図)、男性については、昭和30年前後に15~34歳の階級が、60年前後に35~54歳の階級が、平成10年以降に45~64歳の階級がそれぞれ大きな山を形成している。女性については、昭和30年前後に15~34歳の階級が山を形成した後は、男性のような大きな変動はみられない。

[第1-6図] 年齢階級別(10歳階級)の自殺者数の長期的推移

[第1-6図] 年齢階級別(10歳階級)の自殺者数の推移a

[第1-6図] 年齢階級別(10歳階級)の自殺者数の推移b

昭和30年前後は男女とも15~24歳及び25~34歳の階級で自殺者数が増加しており、先述したとおり戦後の社会の価値観の変化や戦時体験の影響とする説もある。60年前後は男性のみが増加しており、中でも35~64歳の働き盛りの中高年世代の自殺者が多く、円高不況が原因という説もある。

平成10年の急増では、特に男性の25~74歳の各階級で大きく自殺者が増加しているが、その後は25~34歳の階級は横ばい、35~44歳の階級は増加傾向にあるのに対し、45~54歳の階級は15年を境に大きく減少し、55~64歳の階級も15年から減少傾向にある。また、65~74歳の階級は横ばいである。なお、75歳以上の階級は10年の際にもあまり急増せず、一貫してなだらかに増加している。自殺統計をみると(第1-7図)、近年30歳代は増加傾向にある一方、50歳代は減少傾向にあり、年齢階級の設定が人口動態統計とは違うものの、おおむね同様の傾向を示している。

[第1-7図] 年齢階級別(10歳階級)の自殺者数の推移

[第1-7図] 年齢階級別(10歳階級)の自殺者数の推移

年齢階級別の自殺死亡率の推移をみると(第1-8図)、全体的には20歳代で自殺死亡率が高まる傾向にあるのに対し、40歳代以上では低下傾向にある。また、20歳代未満では平成14年にいったん大きく低下したものの、その後上昇傾向にある。さらに、男女別にみると、男性は、20歳代が10年以前から一貫して上昇しており、30歳代は15年に更に高まった後、そのまま高止まりしていたが、22年以降は低下している。40歳代以上の各年代は15年をピークに低下している。19歳以下の年代は14年以降上昇傾向にある。女性は50歳代以上は低下しているが、その他の年代では上昇傾向にあり、特に20歳代から40歳代で著しい。

以上より、自殺死亡率は平成10年に急上昇しその後も高止まりしているものの、その要因は「中高年男性の自殺死亡率の上昇」だけで説明できるものではなく、変化があることが分かる。すなわち、10年の急上昇の主な要因となった中高年男性の自殺死亡率は依然として高いものの、傾向としては低下傾向にあり、男性・女性とも若い世代の自殺死亡率が上昇傾向にあることがみて取れる。

[第1-8図] 年齢階級別の自殺死亡率の推移

[第1-8図] 年齢階級別の自殺死亡率の推移a

[第1-8図] 年齢階級別の自殺死亡率の推移b

[第1-8図] 年齢階級別の自殺死亡率の推移c

我が国における若い世代の自殺は深刻な状況にある。年代別の死因順位をみると(第1-9表)、20~39歳の各年代の死因の第1位は自殺となっており、男女別にみると、男性では20~44歳という、若手社会人として社会を牽引する世代において死因順位の第1位が自殺となっており、女性では20~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっている。

[第1-9表] 平成23年における死因順位別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率・構成割合

総数
年齢階級 第1位 第2位 第3位
死因 死亡数 死亡率 割合(%) 死因 死亡数 死亡率 割合(%) 死因 死亡数 死亡率 割合(%)
10~14 不慮の事故 284 4.8 39.0 悪性新生物 112 1.9 15.4 自殺 74 1.3 10.2
15~19 不慮の事故 659 11.0 37.9 自殺 509 8.5 29.3 悪性新生物 159 2.6 9.1
20~24 自殺 1,411 22.9 47.6 不慮の事故 754 12.2 25.4 悪性新生物 220 3.6 7.4
25~29 自殺 1,685 24.1 45.8 不慮の事故 787 11.2 21.4 悪性新生物 326 4.7 8.9
30~34 自殺 1,831 23.2 37.2 不慮の事故 893 11.3 18.2 悪性新生物 732 9.3 14.9
35~39 自殺 2,370 24.8 29.8 悪性新生物 1,643 17.2 20.6 不慮の事故 1,166 12.2 14.6
40~44 悪性新生物 2,836 31.0 25.3 自殺 2,407 26.3 21.5 不慮の事故 1,432 15.6 12.8
45~49 悪性新生物 4,630 59.1 30.9 自殺 2,348 30.0 15.7 心疾患 1,756 22.4 11.7
50~54 悪性新生物 8,350 110.7 37.2 心疾患 2,738 36.3 12.2 自殺 2,447 32.4 10.9
55~59 悪性新生物 16,423 199.1 43.8 心疾患 4,298 52.1 11.5 脳血管疾患 2,787 33.8 7.4
60~64 悪性新生物 34.164 323.1 47.4 心疾患 8,595 81.3 11.9 脳血管疾患 5,331 50.4 7.4
年齢階級 第1位 第2位 第3位
死因 死亡数 死亡率 割合(%) 死因 死亡数 死亡率 割合(%) 死因 死亡数 死亡率 割合(%)
10~14 不慮の事故 161 5.4 36.4 悪性新生物 62 2.1 14.0 自殺 52 1.7 11.8
15~19 不慮の事故 421 13.6 37.2 自殺 342 11.1 30.2 悪性新生物 99 3.2 8.8
20~24 自殺 962 30.4 48.4 不慮の事故 531 16.8 26.7 悪性新生物 137 4.3 6.9
25~29 自殺 1,127 31.6 47.1 不慮の事故 518 14.5 21.7 悪性新生物 171 4.8 7.2
30~34 自殺 1,277 31.8 40.7 不慮の事故 577 14.4 18.4 悪性新生物 331 8.2 10.5
35~39 自殺 1,685 34.7 33.8 不慮の事故 756 15.6 15.2 悪性新生物 653 13.5 13.1
40~44 自殺 1,742 37.5 24.5 悪性新生物 1,217 26.2 17.1 心疾患 982 21.2 13.8
45~49 悪性新生物 2,128 53.9 22.5 自殺 1,742 44.1 18.4 心疾患 1,370 34.7 14.5
50~54 悪性新生物 4,437 117.4 30.0 心疾患 2,248 59.5 15.2 自殺 1,806 47.8 12.2
55~59 悪性新生物 9,772 238.6 38.8 心疾患 3,402 83.1 13.5 自殺 1,990 48.6 7.9
60~64 悪性新生物 22,297 429.7 44.8 心疾患 6,663 128.4 13.4 脳血管疾患 3,698 71.3 7.4
年齢階級 第1位 第2位 第3位
死因 死亡数 死亡率 割合(%) 死因 死亡数 死亡率 割合(%) 死因 死亡数 死亡率 割合(%)
10~14 不慮の事故 123 4.3 43.0 悪性新生物 50 1.7 17.5 自殺 22 0.8 7.7
15~19 不慮の事故 238 8.1 39.1 自殺 167 5.7 27.4 悪性新生物 60 2.1 9.9
20~24 自殺 449 14.9 46.0 不慮の事故 223 7.4 22.8 悪性新生物 83 2.8 8.5
25~29 自殺 558 16.2 43.2 不慮の事故 269 7.8 20.8 悪性新生物 155 4.5 12.0
30~34 自殺 554 14.3 31.2 悪性新生物 401 10.3 22.6 不慮の事故 316 8.1 17.8
35~39 悪性新生物 990 21.1 33.2 自殺 685 14.6 22.9 不慮の事故 410 8.7 13.7
40~44 悪性新生物 1,619 35.9 39.6 自殺 665 14.7 16.3 不慮の事故 503 11.1 12.3
45~49 悪性新生物 2,502 64.4 45.5 自殺 606 15.6 11.0 不慮の事故 569 14.6 10.3
50~54 悪性新生物 3,913 103.8 51.2 不慮の事故 719 19.1 9.4 自殺 641 17.0 8.4
55~59 悪性新生物 6,651 160.2 54.3 不慮の事故 1,018 24.5 8.3 心疾患 896 21.6 7.3
60~64 悪性新生物 11,867 220.4 53.2 心疾患 1,932 35.9 8.7 脳血管疾患 1,633 30.3 7.3

注意:構成割合は、それぞれの年齢階級別死亡数を100とした場合の割合である。

資料:厚生労働省「人口動態統計」 

こうした状況は国際的にみても深刻であり(第1-10図)、15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは、先進国では日本のみであり、その死亡率も他の国に比べて高いものとなっている。

[第1-10図] 先進7カ国の年齢階級別死亡者数及び死亡率(15~34歳、死因の上位3位)

日本
2009
フランス
2008
ドイツ
2010
カナダ
2004
死因 死亡数 死亡率 死因 死亡数 死亡率 死因 死亡数 死亡率 死因 死亡数 死亡率
第1位 自殺 5,673 20.0 事故 2,372 15.1 事故 2,025 10.7 事故 1,715 19.6
第2位 事故 2,225 7.9 自殺 1,584 10.1 自殺 1,518 8.0 自殺 1,071 12.2
第3位 悪性新生物 1,506 5.3 悪性新生物 1,002 6.4 悪性新生物 1,129 6.0 悪性新生物 517 5.9
米国
2007
英国
2010
イタリア
2008
韓国(参考)
2009
  死因   死亡数 死亡率 死因 死亡数 死亡率 死因 死亡数 死亡率 死因 死亡数 死亡率
第1位 事故 31,108 37.4 事故 2,071 12.8 事故 2,320 16.5 自殺 3,391 23.5
第2位 殺人 10,309 12.4 自殺 1,096 6.8 悪性新生物 1,068 7.6 事故 1,837 12.7
第3位 自殺 9,418 11.3 悪性新生物 1,032 6.4 自殺 656 4.7 悪性新生物 976 6.7

資料:世界保健機関資料より内閣府作成 

[第1-10図] 先進7カ国の年齢階級別死亡者数及び死亡率(15~34歳、死因の上位3位)