35.高圧ガス保安法

(1) 法律・制度の目的
高圧ガスによる災害を防止するため、高圧ガスの製造、貯蔵、販売、移動その他の取扱及び消費並びに容器の製造及び取扱を規制するとともに、民間事業者及び高圧ガス保安協会による高圧ガスの保安に関する自主的な活動を促進し、もって公共の安全を確保する。

(2) 法律・制度の概要
高圧ガスを充てんするための容器の製造又は輸入をした者は、高圧ガス保安協会等が行う容器検査を受け、これに合格したものとして刻印又は標章の掲示をされているものでなければ、当該容器を譲渡し、又は引き渡してはならない(法第44条)。
高圧ガスの製造のための設備のうち、高圧ガスの爆発その他の災害の発生を防止するためには設計の検査、材料の品質の検査又は製造中の検査を行うことが特に必要なものとして経済産業省令で定める設備(以下、「特定設備」という。)の製造又は輸入をした者は、高圧ガス保安協会等が行う特定設備検査を受けなければならない。また、本邦に輸出される特定設備の製造をする者は、高圧ガス保安協会等が行う特定設備検査を受けることができる。この場合、その特定設備検査を受けようとする者は、その特定設備の輸入の前にその申請をしなければならない(法第56条の3)。
高圧ガスを輸入した者は、高圧ガスはガスの種類により危険度が異なるため、ガスの種類を確認するとともに、当該ガスの容器の安全性を確認するため、陸揚地を管轄する都道府県知事が行う検査を受け、技術基準に適合していると認められた後でなければ、これを移動してはならない(第22条)。なお、輸入検査の実施機関については平成12年7月1日から民間会社等も参入できることとした。

エアゾール製品等(適用除外の高圧ガス)については、輸入時に高圧ガス保安法の適用除外品かどうかの確認を、本邦又は外国の検査機関(公的機関により認定された検査官を含む)、当該エアゾール製品等の製造者又は当該エアゾール製品等の輸入者が自ら行った検査データにより行っている。

(3) 政省令
高圧ガス保安法施行令
一般高圧ガス保安規則
液化石油ガス保安規則
容器保安規則
冷凍保安規則
特定設備検査規則 等

(4) 規制等の概要
1)対象品目
高圧ガス、容器及び特定設備

2)規制等の概要
いずれの検査においても、外国検査データを可能な限り受入れ、検査の簡素化を図っている。また、検査の基準はいずれも法令等に明確に定められている。高圧ガスの輸入に当たっては、輸入高圧ガス明細書(圧力、成分、製造所を明記したもの)と現物との比較により、ガスの種類等の確認及び、その容器の技術基準適合性についての検査を行う(第22条)。容器の輸入に当たっては、容器の技術基準適合性の検査を行う。なお、「登録容器等製造業者」は、公的機関が行う検査に替え、自主検査を行うことが認められている(第44条)。

特定設備の輸入に当たっては、高圧ガス設備の技術基準適合性の検査を行う。なお、「登録特定設備製造業者」は、公的機関が行う検査に替え、自主検査を行うことが認められている(第56条の3)。

エアゾール等の輸入に当たっては、輸入時に高圧ガス保安法の適用除外の要件に合致するかどうかの確認を試験成績書(当該製品の製造者が実施したものも可)により行う。なお、「登録製造業者」(登録容器等製造業者、登録特定設備製造業者)とは、製造設備や検査設備、品質管理体制などについての適合性調査を受け、経済産業省に登録された製造業者をいう(第49条の5等)。

【認証制度のフローチャート】

i. 高圧ガス容器

認証制度のフローチャート

ii. 付属品

認証制度のフローチャート

(注)i.ii.については、検査の際に外国検査データを一部受け入れており、検査の迅速化を図っている。具体的には、米国、英国、フランス、ドイツ、オーストラリアの5カ国および、外国に設置されている米国IIAの検査結果を受け入れている。


iii. 特定設備

認証制度のフローチャート
(注)検査の際に外国の検査データを受け入れており、検査の迅速化を図っている。


【登録事業者の認証制度】

ア.高圧ガス容器

登録事業者の認証制度

(注)附属品についても同様の認証制度となる。また、外国製造業者についても同様の認証制度を適用することができる。

イ.特定設備

登録事業者の認証制度

(注)外国製造業者についても同様の認証制度を適用することができる。

(5) 最近の法令等改正の要点
1)登録事業者制度が導入され、国が認める要件を備えていれば、製造業者自身で自主検査を行うことが可能になっている。この制度は外国メーカーにも開放されている。(平成9年4月施行)
2)規制改革推進3か年計画(改定)(平成14年3月29日閣議決定)において「高圧ガス保安法に基づく圧力容器の技術基準に係る例示基準に米国機械学会(ASME)の規格を採用する」とされたことを受け、特定設備検査に係る技術基準へのASME規格の追加が行われた。(平成15年3月施行)
「特定設備検査規則等の機能性基準の運用について」等の一部改正(平成15年3月施行)

(6) 参考情報
問い合わせ先:
経済産業省原子力安全・保安院保安課
Tel 03-3501-1706 http://www.meti.go.jp
高圧ガス保安協会
Tel 03-3436-6100(代表) http://www.khk.or.jp