個別苦情個票

ＯＴＯ番号	645	各省庁番号	警察-1
受付日付	平成13年10月24日	受付省庁	内閣府
担当省庁	警察庁	関係法令	銃砲刀剣類所持等取締法
苦情申立者	国内業者	輸入先	米国
事例名	散弾銃の所持許可に関する判断基準の明確化について
処理内容	1．苦情の概要今回、散弾銃(410番)を輸入しようとしたが、警察庁の国内での所持許可は出さないとの判断により経済産業省から輸入割当申請を認められなかった。警察庁の見解では他のライフルの実包（44レミントンマグナム、444マーリン）が撃てる可能性があり、銃刀法第４条第１項の１（許可）に該当するため所持許可は出さないとのこと。しかし、特に444マーリンというライフル実包は、この散弾銃の規格外の実包で、たとえ散弾銃に装填し発射できたとしても、薬莢、銃身、銃本体が変形や破損し、人命にかかわる危険が伴う。したがって、所持許可を出さないと判断する法律、法令の根拠、明確な判断基準、及び理由について明示すべき。 (再意見）銃刀法第4条1項1号は、用途限定主義を明確にしたもので、猟銃に対しての欠格要件を左右するものではない。銃砲とその用途との間の社会通念上妥当な関係とは、射撃専用銃を狩猟や有害鳥獣駆除の用途目的で所持許可をしたり、麻酔銃を狩猟や標的射撃の用途で所持許可をすることを認めないということである。本件の410番散弾銃は、狩猟や有害鳥獣駆除の用途目的で製造されたもので、社会通念上妥当な関係がある。猟銃の許可を判断する上での物的欠格事由については、用途目的に必要とされる以上の威力を持つ銃砲及び、悪用される危険性の高い構造、機能を持つ銃砲を許可の対象から除外することであり、これは許可をしない事とする基準である為、法的に明確にする必要があり、銃刀法においても基準外銃砲として明確化されている。火薬類取締法において、ライフル実包と散弾実包は違いについて規定されていない。社会通念上、国際的、国内的にも共通して運用されてきたSAAMI規格を基準に考えることが妥当である。SAAMI規格による散弾銃の薬室を有する猟銃から発射される弾は、その薬室形状による制約のため、いわゆるライフル銃の性能は発揮できない事は明白であり、例えどのような薬莢、弾頭を使用しようと、物理的効果にあっては、いわゆるライフル銃の威力とは程遠い。本件の410番の威力については、至近距離では、シカなどを捕獲することは可能であっても、射程距離は100m程度が限度で遠射性能がないことから、性能面においてもライフル銃と全く異なる。 2．担当庁から以下のとおり回答。 (1)法律、法令の根拠・・・銃砲刀剣類所持等取締法第４条第１項第１号 (2)判断基準・・・用途に供するため必要な銃砲か否かを基準として判断 (3)判断の理由・・・銃刀法は銃砲、刀剣類の所持を原則として禁止し、社会生活上必要と認められる一定の場合に限り、所持の禁止から除外。法第４条による許可はその除外事由の一つとして、それぞれの「用途に供するため」所持しようとする者に対して所持を許可するもの。「用途に供するため」というためには、所持しようとする銃砲とその用途との間に社会通念上妥当な関係がなければならず、具体的には、その銃砲が構造、機能等において用途に合致するものに限定される。本件の散弾銃は、ライフル実包を発射する機能を有しているが、これは社会生活上必要とは認められない機能を有し、危険性の高い構造のものであり、帰するところ、その構造、機能は用途に合致しないものであり、その所持を許可することはできない。ところで、法第５条の２第４項は、ライフル銃の所持については、法第５条の許可の基準に加えより厳密な許可基準を定めているが、その趣旨は、ライフル銃が、命中精度及び殺傷効果が散弾銃や空気銃と比較して著しくすぐれており、これが凶器として犯罪に使用された場合における破壊力及び威圧力が大きいことによるもの。 3. 担当庁より以下のとおり再回答。銃刀法第４条による許可については、前回の回答のとおり。銃砲の有する構造、機能が用途に合致するものであるかどうかは社会通念に従って客観的に決まってくるものであるから、用途に合致しない構造、機能の全てにつき個々に法令で規定しなければならないものではない。銃刀法施行令第５条の2第2項は、用途に比し必要以上に威力の強い銃砲、又は悪用される危険性の高い構造の銃砲であって、危害予防の観点から絶対的にその所持を許可することができず、また、輸入、販売等の対象からも排除されることが望ましいものの典型例を列挙したにすぎない。本件銃砲については、申立人から提供された当該銃砲の薬室等の図面等から、ライフル実包を発射する機能を有するものと客観的に判断している。申立人は本件銃砲について、「その薬室形状による制約のため、いわゆるライフル銃の性能は発揮できないことは明白」、「遠射性能がないことから、性能面においてもライフル銃とは全く異なる」と申し立てているが、その真偽にかかわらず、本件銃砲の有しているライフル実包を発射する機能は散弾銃を所持することができる用途に合致しない。なお、銃砲がSAAMI規格に適合していることと、その銃砲の所持を許可することとは別の問題である。
処理分類	D	検討の方向	①－イ
備考	平成13年11月21日付文書にて回答。平成14年1月8日付文書にて追加回答。

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