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市場開放問題苦情処理推進会議第4回報告書(平成9年3月17日) [本部決定]

7-(4) 通関業者の保管する輸出入申告書等の保存の省略

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:大蔵省

○ 問題の背景

(1) 通関業務とは、他人の依頼により、関税法その他関税に関する法令に基づき税関官署に対してする輸出又は輸入の申告等の代理又は代行をすること及び関税法その他関税に関する法令等の規定に基づき税関官署又は大蔵大臣に対して提出する通関手続等に係る書類(通関書類)を作成することをいう。業として通関業務を行うことを通関業といい、通関業に従事しようとする地を管轄する税関長の許可を受けた者を通関業者という(通関業法第2条、3条)。

(2) 通関業者は、通関業法第22条第1項及び同法施行令第8条の規定に基づき、通関業務に関して帳簿を設けるとともにその取扱いに係る書類を3年間保存しなければならない。保存を要する書類は、通関業務に関し税関官署又は大蔵大臣に提出した申告書、申請書、不服申立書その他これらに準ずる書類の写し等となっている。

通関業者が通関手続きに関する書類を一定期間保存する目的は、同法第22条第1項に基づき、設ける必要のある帳簿の原資料とするほか、通関手続きの代理を行った者として、その責任の帰属関係を明確にするとともに、手続き完結後発見される誤りの原因の探究、料金の収受状況の調査等の便に資そうとするものである。

(3) 税関長は、通関業者が、通関業法及び同法に基づく命令等の規定に違反した場合は通関業務の全部若しくは一部の停止、又は許可の取消等の処分をすることができる(通関業法第34条)。また、通関業法の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、通関業法第38条の規定により税関職員に通関業者の帳簿書類を検査させることができる。

(4) 通関業者が税関へ申告した輸出入申告書については、税関においておおむね7年程度保存している。また、通関情報処理システムにより申告された輸出入申告書については、通関情報処理センターにおいて、磁気テープにより原本を7年間保存している。

(5) なお、税関は偽りその他不正の行為により関税を免れ、又は関税を納付すべき貨物について関税を納付しないで輸入した場合における当該貨物に係る更正、決定又は賦課決定は、法定納期限等から7年を経過する日まですることができる(関税法第14条第3項)。

○ 問題提起内容

通関業者が税関へ申告した申告書等は、通関業法施行令に基づき3年間保存することが義務付けられている。通関業者にとって申告書等を3年間保存することは、各営業所ごとに保存していることから保管場所のスペースが大きくなり整理に大変な経費と労力を要する。申告書等の保存が簡便化されれば、コスト等の負担が軽減される。現在、輸出入申告書は、税関(7年)、通関業者(3年)、NACCSシステムによる場合はNACCSセン ター(磁気テープにより7年)の3者が共に保存しており、申告後に関税の確認等申告書控が必要となる場合は、税関又は通関情報処理センター(この場合は磁気テープ)が保存しているもので十分対応できると考えられるので、通関業者の保存義務を軽減又は免除すべきである。

○ 検討結果

政府による規制は、技術革新に応じて随時見直す必要がある。特に、現在、情報・通信技術の進歩には著しいものがあり、規制制定当時とは事情が大きく異なるものもあることに留意する必要がある。所管省によれば、利用者(輸出入者)を保護し適正な通関手続を確保するため、通関業者への適切な指導・監督を実施する必要があることから、輸出入申告書等の保存義務を課しているとのことであるが、現在の情報通信技術の水準を勘案しつつ、通関業者に過大な負担を課していないかどうか、随時見直すことが必要である。

こうした観点から、所管省においては、書類の保管場所や保管に伴うコストの削減を図りたいという問題提起者の意見を十分踏まえ、通関業者の書類保存に係る負担軽減措置(例えば、真実性、見読性、保存性、証拠力といった観点に留意しつつ、電子媒体による保存を認める)を検討し、平成9年度中に措置のための全ての手続きを終わらせるべきである。


OTO対策本部決定(平成9年3月25日) [報告書]

7-(4) 通関業者の保管する輸出入申告書等の保存の省略

真実性、見読性、保存性、証拠力といった観点に留意しつつ、電子媒体による保存を認めること等通関業者の書類保存に係る負担軽減措置を検討し、平成9年度中に措置のための全ての手続きを終了させる方向で措置する。