第2回総合規制改革会議 議事概要

1. 日時

平成13年5月31日(水)12:00〜14:00

2. 場所

合同庁舎4号館共用第4特別会議室

3. 出席者
(委員)

宮内義彦議長、飯田亮議長代理、生田正治、奥谷禮子、神田秀樹、河野栄子、佐々木かをり、鈴木良男、高原慶一朗、八田達夫、村山利栄、森稔、八代尚宏、米澤明憲の各委員

(政府)

石原規制改革担当大臣、竹中経済財政政策担当大臣、松下内閣府副大臣

(事務局)

[内閣府]坂政策統括官、岡本審議官、吉原総合規制改革会議事務室長


議事次第

  1. 規制改革担当大臣挨拶

  2. 経済財政政策担当大臣挨拶

  3. 規制改革に関する基本理念及び「重点検討分野」の考え方について

  4. 今後の検討課題について


議事概要

(1)石原規制改革担当大臣挨拶

本日の会合では、総合規制改革会議で重点的に取り組むべき分野及びその担当委員を決めたい。

7月には、総合規制改革会議として重点的に取り組む項目が分かるようにしたい。

経済財政諮問会議、IT戦略会議でも、規制改革が、日本の社会・経済構造を変革していく上で、非常に重要だと考えられている。

経済財政諮問会議やIT戦略会議とも連携して、新しい21世紀の国家像を作っていただきたい。

(2)竹中経済財政政策担当大臣挨拶

経済財政策とITを担当しているが、両分野とも、最大の課題は、規制改革である。構造改革は、いかに経済を再生していくかであるが、経済財政諮問会議が6月にまとめる骨太の方針等においても、規制改革にかなり依存すると認識している。

経済財政諮問会議の下に、「サービス部門における雇用拡大を戦略とする経済の活性化に関する専門調査会」を持っているが、そこでの議論でも、潜在的な労働需要はあるが、それを実現できるかどうかは規制改革にかかっているという議論である。

経済諮問会議と総合規制改革会議の連係を保ちながら、本当の意味での構造改革を実現したい。

(3)規制改革に関する基本理念及び「重点検討分野」の考え方について

規制改革に関する基本理念及び「重点検討分野」の考え方について資料に基づき説明が行われた後、意見交換が行われた。(●は質問・意見、→は意見に対する回答等)

● 「都市再生」においては、「土地の流動化」ではでなく、建物も含めた「不動産の流動化」が必要。

● 「民間でできることは民間に委ねる」とあるがこれまでのやり方は外郭団体に仕事が回るばかりで、改悪になっていた。真の意味で民間に委ねることが必要。

● 資料1のP2「民間」は、公益法人、特殊法人を含まないということをより強調すべき。

● 資料1の2.の最後にある「公正競争」というのは、かつて保護主義の文脈で使われた言葉でもあり、「自由競争」と書くべき。自由な競争を実現するために、監視体制等が必要であり、それが公正な競争と言うことができる。

● 「規制」の弊害としては、資料1の「サービスの質の向上の妨げ」だけでなく、供給制約もある。この最大の要因は、民間活力が使われていないということ。

● 民間企業は、資源の最適配分をやっている。国家レベルでの経営資源(人、モノ、金、情報)の最適配分は行われていない。最適配分を阻害するものを取り除き、ルールと監視そしてセーフティーネットを整備していくことが必要。

● 自由競争社会においては、司法の役割が重要。司法制度の改革は取り上げられるのか。

→ 行政改革委員会規制緩和小委員会で、司法を業務独占、法曹人口の観点から取り上げたことも契機となって、現在の司法制度改革審議会の動きにつながったもの。

→ 規制改革3か年計画にも、司法制度関係のものが取り上げられている。陪審制度など司法制度そのものを正面から取り上げることは、難しいかもしれないが、各分野の検討の中で規制改革という観点からは、取り上げうる。

● 新産業育成やイノベーションのためには、特に理工系の大学の活動が重要であるが、体制上の制約も感じているので、こうした点を議論したい。

● 資料1の第1段落について、(2)の消費者・生活者利益をより重視すべきである。(1)の供給側の事業環境の整備は手段であって、最終目的は消費者・生活者利益である。

● (1)規制改革により短期的には失業を生むが長期的には雇用を増大させる分野、(2)本当に無駄が行われていて、他分野への労働シフトが必要な分野、(3)規制改革がすぐに雇用を促進する分野がある。不況対策の意味も含めて、すぐに雇用が増える分野を優先させることも必要ではないか。資料にもある生活者向けサービス分野は、規制改革により雇用がすぐに増える分野である。

● 経済分野における規制緩和が終わっているとは思っていない。3か年計画のフォローも重要。難しいものこそが残っているし、世の中は日々変化しており、経済分野においても、どんどん新しい規制改革が必要になってきていることから、そのようなものを拾い上げないと世界の流れに遅れることになる。社会的規制が残っているというのも、それだけ抵抗が大きく難しかったということであり、この分野の改革を進めるには、世の中の支持を得られるような理屈を我々が持つことが必要。

● 規制改革により、企業、個人とも、自己責任をまっとうさせるようにすべきで、既得権益をなくしていくことが必要。官よりも、業界の規制の方が、問題である場合もある。

● ルール違反者の排除、知的所有権の問題、判決の執行の遅れの問題などは制度の問題でもあるが、総合規制改革会議で取り上げるのか。

→ 法律の運用が適正でないような場合についても、当会議で議論できる問題。

● 資料1は、一般の国民にわかりやすいよう、コンパクトにまとめるべき。

● 規制改革においては、ルール、監視、ペナルティ、セーフティネットが重要。いったんすべての規制をなくした後で、どのようなルールと監視ができるかを合わせて考えながら規制改革を進めていくべき。

● 国際競争力の観点からは、事業環境の整備という視点も重要。

● 雇用創出の観点からの優先順位付けには賛成だが、(改革を)止めておいてよい分野があるわけではないので、優先順位という言葉が一人歩きしないようにすべき。また、新規産業の創出が雇用を創るという観点も重要。

● 社会的分野に従事している人の間には、例えば、彼らは社会的分野に営利企業を入れてはいけないとの考え方が強い。こうした物の考え方を変えてもらうということに、成功しないと、改革は進まない。

● 都市再生問題について、喫緊の課題であると同時に、永遠の課題でもある。明確なビジョンを持って、それにふさわしい制度を作り、ふさわしくないものは廃止することが重要。

● 人(雇用)、モノ(市場)、金(予算の使い方)の改革の結果の整合性、結果がをどのように生じるかをイメージしながら、重点分野の検討を進めるべき。青写真が描ける分野から優先的に取り組んで行くべき。特に、サービス市場でどのように雇用を増やしていくか考えるべき。

● 資料1は個人をサービスを享受する側ととらえているが、個人が新しいビジネスチャンスに挑戦できるようにするという視点も重要。

● 「民間に委ねられることは民間に委ねるべき」とされているが、公益法人についても十分に検討していくべき。時代の変遷によって、公益法人が公益に役に立たなくなってきたものもあるのではないか。

→ 国からの業務委託型の公益法人については、行政改革推進事務局が、梅雨明けにも見直しの方向を出す予定であるが、それ以外の公益法人については、その後の検討課題なので、また御意見いただきたい。

● 他の審議会との関わり合いに関して言うと、公務員制度改革が良い例。公務員制度審議会の議論を白紙に戻して、行政改革推進事務局で一から作り直している。総合規制改革会議で明確な枠組み、できれば、法令をどう改正するかまで決め、所管省庁の審議会にはチェックだけをしてもらい、国会に法案を提出するようにしたい。審議会に諮っていると、審議会が利害調整の場になり改革が進まない。利害調整は、法案提出後、国会で行われるべきである。

→ 経済財政諮問会議も、新しい予算の枠組みを決め、新しい政策プロセスを作ろうという野心的なもの。既得権益を持つ者からの反発も出てきているが、小泉首相の下で、何かブレイクスルーができるという期待が大きい。この会議でもブレークスルーのチャンスがあると思うので、ブレークスルーをねらう会議同士で連携を進めていきたい。IT戦略本部でも、競争政策が重要という議論があり、ブレークスルーのため、総合規制改革会議と連携をとっていけると思う。

● IT分野の競争政策についても、誰かがしっかり見るということが必要であり、IT戦略本部との連携を考えていきたい。

● 都市再生の議論で、税制というのは避けて通れない課題であり、総合規制改革会議で取り上げないということであれば、税制については、どこで議論されているのか。税制についても聖域なき改革は行われるのか。

→ 成熟した市民社会では、税制こそが究極的な政策手段。経済政策を議論するに当たっては、避けて通ることはできない。経済活性化の手段としての税制は、経済財政諮問会議でも議論していく。

→ 規制改革を論ずるに当たり、全体のシステム、あるべき姿を念頭において考えれば、当然税制も入ってくる。言及してはいけないということはない。ただし、当会議が、税制について、正面からこうあるべきと答申する役割にはないと思われる。

● 環境についての政策においては、規制をするか、排出税をかけるかというのは重要な選択。税のことを除くと、廃棄物処理や土壌汚染だけしか議論できない。道路や原発に触れなければ、環境を検討する意味がない。財務省とも相談して税制について議論できるようにすべきではないか。

→ 総合規制改革会議が、ある分野においてあるべき姿に向かっていくためには、規制ではなく、税でやるべきだという提言は行いうる。

→ 規制も税も同じく重要な制度の一部。制度を議論して、その中で、税にも言及し、規制に関しての答申しうるのではないか。

● 税や補助金の問題についても、ある程度、深追いしてよいのではないか。

● NTTの問題は、IT戦略本部でもやられているだろうが、規制改革推進3か年計画でも盛り込まれており、総合規制改革会議でのフォローアップも必要となる。その点の仕分けはどうするのか。また、IT戦略本部では、競争政策も取り上げるというが、社会的分野においても競争政策は重要で、規制緩和は競争政策そのものである。この点についてもIT戦略本部と総合規制改革会議で連携していくのか。

→ 仕分けはしていない。それぞれの立場で議論を進めていくが、資源が限られているので、双方の成果を活用するなどして連携を図りたい。

以上の議論を踏まえて、今後具体的な作業を行っていくこととし、特に医療、福祉・保育、教育、人材(労働)、教育、環境(廃棄物処理等)及び都市再生の6分野について重点的に検討を行っていくこととされた。

また、規制改革推進3か年計画のフォローアップの各分野の担当委員を決めるとともに、6つの重点分野については、別途、各委員の希望も踏まえて担当委員を一両日中に決めることとされた。

今後は、重点検討分野について専門委員を任命し、担当委員及び専門委員からなるワーキンググループ等を開催するなどして検討を進めることとされた。

(4)今後の検討課題について

今後の検討テーマ等について意見交換が行われた。(●は質問・意見、→は意見に対する回答等)

● 専門委員が重要である。その分野のスペシャリストであり、規制改革に賛同する人を選ぶことが重要。総合規制改革会議で、どの法律をどのように改正するかという結論を出すためには、法律の専門家を入れることが重要。

● 7月の取りまとめでは、方向性まで打ち出すのか、議論すべき課題を列挙するにとどまるのか。

→ 作業の進み具合によるが、基本的考え方は少なくとも7月までに打ち出したい。具体的な方向性についても作業が進めば、それもお願いしたい。

● 専門委員の人選は、どのように行われるのか。担当委員と相談していただけるとありがたい。

● 都市再生問題については、日本は、不動産の評価・鑑定が独特になっているので、検討項目に入れたい。

● 重点検討分野については主査を決めた方がいい。

→ 議長が各分野の主査を決めることとされた。

(5)その他

本日の議論の結果、7月までに総合規制改革会議として重点分野の一般的な考え方に加えていくつかの具体的な方策を打ち出していくこととされた。

以上

(文責 総合規制改革会議事務室


内閣府 総合規制改革会議