平成14年度 第1回総合規制改革会議 議事概要

1. 日時

平成14年4月15日(月)16:15〜17:45

2. 場所

首相官邸大客間

3. 出席者
(委員)

宮内義彦議長、生田正治、奥谷禮子、河野栄子、神田秀樹、佐々木かをり、鈴木良男、清家篤、高原慶一朗、八田達夫、森稔、八代尚宏、米澤明憲の各委員

(政府)

小泉内閣総理大臣、福田内閣官房長官、石原規制改革担当大臣、熊代内閣府副大臣

(事務局)

[内閣府]坂政策統括官、岡本審議官、中城審議官、竹内審議官、磯部審議官、宮川事務室長、長屋事務室次長


議事次第

  1. フリートーキング

  2. 新年度の運営方針等について

  3. 規制改革推進3か年計画(改定)の決定について

  4. 規制改革推進3か年計画(平成13年3月30日閣議決定)のフォローアップについて

  5. その他


議事概要

(1)フリートーキング(小泉総理との意見交換)

○ 当会議の検討内容が新たなビジネスや雇用、経済再生等の将来展望に結びつくよう、広報することが大切。規制改革特区は、既得権や様々なしがらみを壊す一番の方法であり、当会議の目玉にしながら目に見える形で経済再生につなげるべき。

○ 構造改革は小泉内閣の目玉であるが、既得権益の破壊には大きな力が必要。小泉改革がパワーダウンしないように規制改革を進めない限り、日本の将来はなく、小泉総理には改革のパワーを持ち続けてほしい。

○ 改革のキーワードはスピード、透明性及び評価システムである。規制改革特区では、時間を区切って検討し、また実現できない項目については、説明責任を果たす必要がある。

○ 規制改革は高度成長を遂げた国ほど必要性が高いが、既得権が蓄積していることから抵抗が大きく困難度も高い。経済活性化には民間の活力が高まることが重要であり、今年度は政府として行うべきことを成果が出る形で実現できるようにしたい。

○ 成果を出すためには、新たな視点を取り入れ、PRを重視する必要がある。ベンチャーの声、生活者の声を反映させ、またその人たちに届く内容の改革を実現したい。

○ 昨年度担当した医療分野は不可解な部分が多く、理屈で反対できないことを腕力で反対する部分があった。今年度の大きなテーマとして民間企業経営方式の導入があるが、全てを民間方式にしろというわけではなく、それを望む人が対応できる制度にすべきということ。本件については、昨年度総理からも検討の指示があったが、本年度も総理の指導力に期待したい。規制改革特区の実施により、改革のメリット及びデメリットをはっきり示すことができる。特区は地方の特色ある街づくりにも貢献するものであり、これを阻害するような規制は撤廃すべき。

○ 規制改革のポイントは、事前規制を緩和し、事後の監視監督を強化すること。
雇用の分野では規制緩和により労働条件が悪化しやすいことが規制の根拠となっている。規制により失われるメリットを生かしたうえで、人々が安心して事前規制緩和に合意できるよう、事後監視の体制強化を明示すべき。

○ 昨今の国際的な起業家精神に関する調査では、日本の起業家精神は非常に評価が低い。規制改革の面から、やる気のある人を支援し、創業できる環境作りのために、創業戦略会議の創設と規制改革特区などで国民にアピールすべき。

○ 経済再生に役立つものを最優先で実施すべきであり、都心再生を実施すべき。
例えば、都心部の容積率は通勤混雑緩和の観点から規制されており、これを居住用住宅にも一律に当てはめるのは誤っている。都心の居住用容積率制限の大幅な緩和、特に特区では緩和することが必要ではないか。さらに、ビジネスにとっては集中により生産性が上がることも明らかであり、不必要な規制は排除すべき。
必要な自動車道路も整備すべきだが、最大の障害は都に資金がないことと、土地収用に時間がかかること。

○ 都市再生成功のポイントは、(1)補助金を盾にした介入をやめ、民間に任せること。行政の裁量から自己責任への変革が必要。(2)過剰な人権の尊重から、市街地を避けて特区を設定する動きがあるが、市街地を避けては都市再生・経済再生の効果が薄い。

○ 社会的規制の改革が総論賛成各論反対となるひとつの理由は、規制撤廃について各省庁が責任を取れないこと。規制改革特区については、従来の「モデル事業」と一線を画し、国が資金をいっさい供することなく、各自治体のイニシアチブで実施することが重要だが、それは、総理のリーダーシップ無くしては不可能であるため、ぜひ本格的な意気込みで改革にあたってほしい。

○ これまでの検討から教育、研究開発の分野はかなり進展があった。今年度は世界のトップになるため、社会から大学等に物、金、人がうまく流れるような方策を検討したい。初等中等教育についても、ゆとり教育をうまく補完できる改革が必要。

○ 各委員の協力を得て、今年度はより大きな成果を示したい。

○ 規制改革の重要な点は各論であり、市場経済を進める分野を拡げる意気込みであたる。安定成長の時代には既得権が多く、改革を避ける気持ちは官にも民にもある。私は特殊法人改革でも道路公団、郵政事業の民営化等これまで誰も考えなかったことに取り組んできており、私の改革に対する意欲は鈍ってはいない。これまでどおり改革を進める所存であり、委員の皆様にも具体的で実効性のある改革について検討をお願いしたい。

(小泉総理大臣及び福田官房長官退席)

(2)新年度の運営方針等について

(石原大臣挨拶)

前回会議でご意見をいただいた他の審議会と当会議との兼ね合いについては、閣議当日の閣僚懇において私から各閣僚に協力を求めた。具体的には法制審議会、労働政策審議会及び総合資源エネルギー調査会の例を提示し、3か年計画はそれぞれの省と合意した一次答申の考え方を基本としており、審議会での検討に当たっては当会議の考え方を十分踏まえ対処いただくこと、並びに検討内容の前広の情報提供を各大臣に要請した。規制改革特区は今年度の大きなテーマであり、例えば私の住む杉並区では、特区を活用して自由な教育ができるような改革の発想が生まれている。各自治体の提案が排除されないような対応が必要である。先日、都心の再開発地域を視察し、民間の力のみでこれだけのことができることに驚いた。民間の発想を実現可能にする後押しが必要であり、そのような観点から特区についても幅広く議論していただきたい。

新年度の運営方針に関して、前回会議での議論に基づいた修正案(資料1)に基づき事務局から説明があり、その後議論が行われた。概要については以下のとおり。

○ 規制改革特区の手法については、事務局原案の「当該地域の地方公共団体の意見が十分に反映されるように留意」という表現は、暗黙のうちに国のモデル事業のイメージだ。国がイニシアチブを取れば補助金等も必要となり、同時に責任が生じる。特区は地方自治体が主体となり実施すべきであり、国の関与はせいぜい自治体の行き過ぎをチェックする程度に留めるべき。

→ 提案についてはWGで内容について十分検討してほしい。

○ 今回提示されている6−7月までの横断的テーマの議論の進め方、中間とりまとめの方法についてご意見をいただきたい。

○ 中間とりまとめの方法はア案で良い。議論することに意義がある。

○ 中間とりまとめでは、合意に至らない場合、その理由を明示することが重要である。

○ 明確な反対理由がある項目についても、総理大臣、石原大臣及び熊代副大臣の力を得て、更に一段階改革を進める意気込みが必要と考える。

○ 「体制を整備」とあるのはどのような意味合いか。

→ 15分野のWGの立ち上げ準備をすることを指している。

→ 昨年度の会議は各省庁と合意の上で進めており、改革工程表、改革先行プログラム等政府全体の施策に迅速に対応できた。今回中間とりまとめにア案を採用する場合に、政府の施策に同様に迅速に対応するための体制整備についても念頭に置いている。

○ いずれにしても最終的な閣議決定では合意が必要なのだから、中間とりまとめの段階では合意が得られない部分についても幅広く議論を行うということで良い。

○ 「合意が得られない場合に理由を明示する」とは両論併記ということか。

→ 両論併記ではなく、当会議の意見及び合意に至らなかった理由を明示するということ。

○ WGの議事録のうち必要な部分を開示することにより、省庁側の考え方を明示することができ、世間の議論を掘り起こすことができるのではないか。

○ WGの議論を開示すると、録音されている前提で話をすることになり、議論が逆に硬直化する懸念は無いか。

→ そのあたりは、制度として決めるよりむしろ各WGの主査に運営をお任せし、効果的と思われる方法を採っていただくことでどうか。

○ 専門委員の選定方法について、WGにより専門家の充足度が異なるが、選定について委員の意見が反映されるのか。また委員数の規定はあるか。

○ 予算の制約はあるが、専門委員の数について明確な取り決めはなく、今後検討し、最終的には総理大臣に任命いただくことになる。

○ 今回提示された5つの横断テーマには重複する部分が多く、短い検討期間の中ではテーマ間の情報交換を密にしないと、検討の重複、検討漏れ等が生じる可能性がある。

○ 3か年計画のフォローアップが必要である。石原大臣の触れた区分所有法の件では、当会議の中間とりまとめと異なる方向性が法制審で示されており、フォローアップには事務局だけでなく、折衝に当たった委員の関与が必要ではないか。特に現在審議中のものについては早急に対応すべき。

○ 「活性化に資するビジネス・生活インフラの整備のための規制改革」の横断的テーマ内には3つの検討項目が提示されているが、これだけでは不十分ではないか。

→ テーマ毎の検討項目については、提示したものが全てではなく、議論の中で弾力的に対応できるものと考えている。

○ この横断的テーマには通信・情報・放送の分野は入らないのか。

→ IT戦略本部で担当することとなっており、そことの境界も踏まえ必要な議論をすることになる。

○ 分野横断的テーマのイメージがとらえにくい。6−7月までの短期の検討だが、横断的テーマについては基本的考え方を整理するのか、それとも個別具体的な規制の内容に踏み込むのか。

→ 15分野は全産業を網羅しており、今回は経済活性化に有用と考えられるポイントを分野横断的テーマとしたもの。分野ごとの比較を含め、様々な見方が可能である。抽象論のみではなく、是非具体論のところまで議論を進めてほしい。

以上の議論を踏まえ、提示された5つの分野横断的テーマについて検討し、中間とりまとめのまとめ方についてはア案を採用することで合意された。

以下、検討メンバーについて、委員の希望を反映した議長案を配布し、議論。

○ 事後チェックルール整備WGにも参加を希望したい。またWGの日程について前もって提示してほしい。直前の決定では出席が困難になる。

→ WGの日程については、主査に調整をお願いしたい。また委員には事後チェックルール整備WGに参加いただくこととしたい。

○ 本年度後半に実施予定の分野別WGについても準備を進める必要がある。また必要に応じ分野横断的テーマと並行して早期に検討を開始する必要がある。

○ 昨年度は忙しい時期にはWGを週2回開催したこともある。今年度は、私は4つのWGに登録されているが、昨年度と同じような状況になった場合、全てのWGに出席するのは物理的に無理である。

→ WGに参加され意見をいただくことが必要である。石原大臣にも相談し、事務局のサポート体制についても整備したい。

○ 昨年度の分野別WGも結果的に出席できないことが多かった。今回と同様に希望を聞き、委員が重点を置くWGを絞るような再整理が必要ではないか。

○ 5つの横断的テーマは重複部分があるので、各主査で相談し、3つ程度に絞り込んだ方が効率的では。また、出席できない場合にe-mailの活用により意見を提出するなどの方法も考えられる。

→ 提示された5つの分野横断的テーマで、中間とりまとめに向け活動を開始したい。重複する部分もあるが、e-mail等を用いて情報交換を密にすることで対応するようお願いしたい。

(3)規制改革推進3か年計画(改定)の決定について

(4)規制改革推進3か年計画(平成13年3月30日閣議決定)のフォローアップについて

事務局から資料2-12-2及び3に従い説明後、質疑。

○ 「一部措置済」の解釈はどのようにすべきか。

→ 措置すべき内容が昨年度と本年度以降に分かれる場合に、昨年度実施予定分についてきちんと措置されたものについては「一部措置済」としている。
「一部措置済」で対応が終了してしまう訳ではなく、本年度以降継続して対応するものである。

○ 大臣からIT戦略本部、司法改革本部との横並びでの整理の話があったが、規制改革という観点では当会議と各本部とでは立場が多少異なる部分もある。当会議の立場から提言する余地を残しておく必要があるのではないか。

(5)その他

事務局から、次回会議の日程については追って調整する旨説明があり、5月11日に暮らしと改革というテーマでタウンミーティングを北九州市で開催し、石原大臣、熊代副大臣、宮内議長に出席いただくとの報告があった。

以上

(文責 総合規制改革会議事務室


内閣府 総合規制改革会議