平成14年度 第5回総合規制改革会議 議事概要

1. 日時

平成14年7月11日(木)9:00〜10:40

2. 場所

永田町合同庁舎総合規制改革会議室

3. 出席者
(委員)

宮内義彦議長、生田正治、奥谷禮子、神田秀樹、佐々木かをり、鈴木良男、清家篤、高原慶一朗、森稔、八代尚宏、米澤明憲の各委員

(政府)

石原規制改革担当大臣、熊代内閣府副大臣

(事務局)

[内閣府]坂政策統括官、岡本審議官、中城審議官、竹内審議官、磯部審議官、宮川事務室長、長屋事務室次長


議事次第

  1. 中間とりまとめ素案審議

  2. その他


議事概要

(1)中間取りまとめ素案審議

「新しい事業の創出」の中間取りまとめ素案について、WG主査から資料に基づき説明があり、その後議論が行われた。概要は以下のとおり。

○ インターナショナルスクールについては、争点が明確となるよう、中学校レベルでは義務教育であるが故に、インターナショナルスクールの卒業者がそのまま一般の高校に入学できないという規制の論理を明示することが望ましい。

○ インターナショナルスクールの学生には、例えば学割が適用されない等の問題についても記述しては如何か。

次に、「民間参入・移管拡大による官製市場の活性化」の中間取りまとめ素案について、WG主査から資料に基づき説明があり、その後議論が行われた。概要は以下のとおり。

○ 今回は農業問題に関して記載されているが、未だ不十分であり、次の段階では農業経営の株式会社化に伴う農業協同組合の問題について取り組む必要がある。別表に多くの民営化、民間委託等の具体的検討対象例があるが、特区の具体化においては、これを活用することができると考える。

○ 別表には、金融に関する検討対象例がない。例えば、郵貯、簡保、財政投融資の大きな問題を取り上げることは如何か。

○ 郵政三事業を記載するならば、公的金融機関も同様に記述すべき。

○ 郵政三事業、公的金融機関ともに政府与党を挙げて議論の最中でもあり、記述を差し控えた。

次に、「活性化に資するビジネス・生活インフラ整備」の中間取りまとめ素案について、WG主査から資料に基づき説明があり、その後議論が行われた。概要は以下のとおり。

○ 次の機会には裁判官の問題を取り上げるべき。

○ 国土交通省のヒアリングの際に話したが、航空法による建築物等の高さ制限の合理化について、陸上と海上で同じ基準を適用することについて記述すべき。

○ 公正取引委員会の機能強化について、例えば、情報通信事業も公正取引委員会も同様に総務省管轄。独立性、中立性の担保について、この問題についての記述を検討願いたい。証券監視委員会についても金融庁管轄であるが、行政改革の観点から整理が必要。

次に、「事後チェックルールの整備」の中間取りまとめ素案について、WG主査から資料に基づき説明があり、その後議論が行われた。概要は以下のとおり。

○ 会計基準について、医療法人、公益法人に言及しており時宜を得ている。民間企業については、時価会計が導入されたばかりであり、減損会計も未だ導入されていない。また、エンロンやワールドコムの問題もあり、現在の会計基準が事後チェックとして機能するか疑問。SESCと会計基準とが両方セットで民間企業をチェックすることが重要であり、公益法人は当然であるが、民間企業についても記述しては如何か。

○ 現在の案は、公益法人について、少なくとも株式会社並みの会計基準にすべきという趣旨で記載した。確かに株式会社の会計基準にも検討の余地はあり、ビジネス・生活インフラ整備WGとも相談して取り扱いを決めたい。

次に、「規制改革特区の実現に向けて」の中間取りまとめ素案について、WG主査から資料に基づき説明があった。

その後、全体を通じた以下の議論があった。

○ 国民にどのようにアピールするのかが重要。メディア、国民が全てに目を通すことは期待できないため、要点を冒頭に記載する等の工夫が必要。さらに、例えば「改革100案」のような名称をつけた要点集等を作成すれば、国民は一目で何を行うのかが分かり、かつインパクトもある。

○ 導入部として冒頭に全体構成、今後の検討等を簡潔に記載しようと考えている。

○ 羽田空港の建設の際には環境アセスに2〜3年程度を要するようであるが、これを短縮し建設を推進することは、経済活性化、雇用創出、都市活性化に結びつくため、例えば、羽田空港建設特別区等を国の主導で行うことは如何。

○ 国主導の事業であれば税制上の優遇措置、補助金等がなければ地元は納得しない。
今回の基本的考え方は、自治体が自発的に行う事業について、邪魔になる国の規制を特例措置で緩和・撤廃することで経済を活性化させることに狙いがある。

○ 経済財政諮問会議でも特別区について国の立場から議論しているが、経済財政諮問会議での大型で国家レベルの特区プロジェクトの議論と総合規制改革会議での規制関係の特区プロジェクトの議論が、お互い連携を持ち、相乗効果が出るようにすべき。

○ 5分の4の合意のみでマンションの建替えを可能とすることを含めて検討するという区分所有法改正に関しての報告であるが、6月4日の建物区分所有法部会において、議論はされたとのことであるが、議事録が未だできていないとのことであった。本件について、今後引き続き状況を注視していく。

○ 現在の遺跡発掘関係の法律に基づき、遺跡の発掘を行うと、相当の経費、時間が必要。自治体が、発掘予定の遺跡の重要性を早期に判断し得る仕組みを規制改革特区で作れば、自治体は発掘すべき遺跡の取捨選択が容易となる。特区で成功すれば全国の自治体に拡大することが可能であり、実際的に意味のある改革となる。

○ 規制改革が経済活性化・財政再建にどのように資するかが一般に理解されていない。例えば、官製市場の活性化について、官の事業を民に移せば税収が増え、歳出が減ることから、これほど効果的な財政再建方法はない。しかし、特区構想等で、当会議と省庁の意見が分かれているのが現状である。ジャーナリズム等に議論の現状を伝えることが重要。また、省庁はサプライサイド寄りであるため、当会議はコンシューマーサイドも考慮しつつ議論を進めていくことが重要。

○ 民営化等に関して抵抗されていることもあり、当会議の姿勢として、経済の活性化のみならず環境、人の心等についても配慮していることを序論等に記述しては如何。

○ 規制改革に関する諸施策についての事後の評価を的確に行うべき。

(2)その他

次回7月23日に中間取りまとめを決定。最後のまとめ方は、各WG主査、議長、議長代理に一任することについて了承。

以上

(文責 総合規制改革会議事務室


内閣府 総合規制改革会議