平成14年度 第10回総合規制改革会議 議事概要

1. 日時

平成14年11月6日(水)11:00〜12:30

2. 場所

永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室

3. 出席者
(委員)

宮内義彦議長、鈴木良男議長代理、奥谷禮子、河野栄子、清家篤、高原慶一朗、古河潤之助、村山利栄、森稔、八代尚宏、米澤明憲の各委員

(政府)

石原規制改革担当大臣、米田内閣府副大臣、大村大臣政務官

(事務局)

坂政策統括官、岡本審議官、福井審議官、竹内審議官、宮川事務室長、中山事務室次長


議事次第

  1. 各分野の検討状況の報告

  2. その他


議事概要

・ 議事に先立ち、議長より生田委員が11月6日付けで辞任され、同日付けで新たに委員に安居祥策氏が任命された旨報告がなされた。

・ 生田氏より、辞任の挨拶があった。

(1)各分野の検討状況の報告

 主査毎に担当WGについて各主査から報告を行った(ただし、競争政策、法務・金融WGは事務局から報告)。その後、質疑応答を行った。

○鈴木主査担当分<医療WG、エネルギー・運輸WG、官製市場見直しWG、ITWG>

<医療WG>

・ 保険者機能の強化については、既に今年3月に閣議決定され、実施に移されるべきところだったものが、今日現在、実施されていない。内容についても要件が加えられており、是正すべき点が多い。

・ 本年の重要な課題として公的保険診療と保険外診療の併用を取り上げる。

・ 株式会社の参入が難問中の難問であり、昨年度も問題提起しているが、今年も取り組んでいきたい。

・ 医薬品販売に関する規制緩和は、薬をコンビニでも販売しても構わないのではないか、という長年の課題であり、利用者の利便考えて、緩和を求めていきたい。

<エネルギー・運輸WG>

・ 電力については、電気事業審議会でほぼ、昨年の答申の内容そのままの形で審議されており、年末には成案に至ると評価している。

・ 電力会社には、新規事業者の電力を託送する義務が課せられているが、託送料金の決定を当事者間で任せて良いのかという認識で取り組む。

・ ガスの自由化については、上限規制を緩和する方向を検討する。

・ C重油への高関税が、石炭産業を収束するための負担を利用者業界にさせている点を検討したい。

・ タクシーの緊急調整措置については、需給調整規制を廃止した意味がなくなる危惧がある。

・ 自動車保有関係手続きについて、統合の取れたシステムへ変えていく必要がある。

<官製市場見直しWG>

・ 「官が行っている事業を民間に開放する」という考え方。開放の手法は廃止、民営化、民間への委託、移管、民間への包括移管、大幅な業務委託等である。

・ 「公権力の行使」という事業がいろいろあるが、それが官しか行えないのは、今日的に見て、役割分担としてどうかという観点から見ていく。

・ 民間に委ねる場合には、「民間でできるものは官が行わない」という考え方を基本に行う。

<ITWG>

・ IT戦略本部において、積極的に検討し結論を得ることを期待するものであるということが基本的考え方。

・ 中間とりまとめで書いた事項について、本答申への盛り込むが、盛り込み方については別途検討が必要である。

・ 構造改革特区推進のためのプログラムにおいて全国において実施することとされた事項についても、本答申に取り入れることで検討していく。

○高原主査担当分

<事業活動円滑化WG>

・ 先端技術分野や成長が期待される分野について、より一層の積極的な規制改革を推進する必要がある。主に燃料電池関連分野及びアニメーションなどのコンテンツ分野を取り上げる。

・ 燃料電池関連分野については、日本の産業力強化、エネルギーの安全保障の確保の観点から、2005年の実用化・普及に向け、できるものは今年度からやっていきたい。

・ アニメーションなどコンテンツ分野については、より一層の成長に向けて公平な競争の確保や資金調達手段の多様化などの観点から取り組みたい。

・ 事業活動を行うに際し、細部に宿る規制について、手続きの簡素化、既存制度の解釈を明確化、基準認証等の見直しをはかっていく。

○八田主査担当分<環境WG、住宅・土地、公共工事WG>

<環境WG>

・ 今年は、ヒートアイランド現象と地球温暖化対策に絞っている。

・ ヒートアイランド現象の解消については、都市計画とヒートアイランド対策との関係について省庁間の調整を図ってもらうということで協議中である。

・ 温暖化対策については、CO2の削減に、石油や石炭から天然ガス発電への転換も効果的であることから、ガス発電を阻害している規制の緩和を進めていく。

・ まず、海底ガスパイプラインについての基準整備を進めていく。

・ 次にパイプラインの道路下の埋没深度の性能基準についても、検討を行っていく。

・ 天然ガス発電所に関しては、環境アセスメントの手続きを簡略化できないのか、ということについて検討している。

<住宅・土地、公共工事WG>

・ 特に、高度利用している地域における、未整備の道路に係る土地収用について、土地収用の円滑化を検討している。

・ 都心のオフィスビルの容積率が上げられないのが、通勤鉄道の問題であるならば、通勤鉄道に時間差料金制を導入することで、混雑緩和を図り、都心のオフィスビルの容積率緩和ができるのではないかという観点から、検討を進める。

・ 都心での居住用ビルの容積率を大幅に緩和し、都心に混合用途地区をつくることを協議中。

・ 都市再開発法の同意要件を、頭数と面積要件の双方が必要とされているものを面積要件のみにすることで協議中。

・ さまざまな規定が仕様規定で行われているのを、性能規定に変えていく方向で駐車場出入り口規定の弾力化などを進めている。

・ 競売の最低落札価格の廃止や、占有者の敷金返還などについて協議中。

<上記7分野についての質疑応答>(●質問・意見、→質問・意見に対する回答)

●医療について、保険者機能の強化は、去年決着がついたのではないか。

→厚生労働省も3月に通達を用意したが、出達出来ないまま今日まできている。明らかな閣議決定違反となっている。さらに、保険組合規約の中に、直接審査をするということを、規約事項として厚生大臣が認可するとされている点を問題と考えている。

●燃料電池の分野は、前倒しで進めていただきたい。アニメーションに係る知的財産権の信託に関しても、是非、頑張っていただきたい。ITの分野について、通信政策における競争のあり方についても、IT戦略本部で行うことかも知れないが、この場でも議論ができればと思う。

●医療における、医師や看護師の派遣については、厚生労働省が反対しているのか、医師会が反対しているのか。医薬品販売に関する規制緩和についても厚生労働省が反対しているのか。

→医薬品販売については、厚生労働省は反対している。医療の派遣については、厚生労働省は頭から反対しているわけではなく、やっていくというのが去年の約束。しかし、あまりに対応が遅い。ニーズの高い、麻酔師について、プール制にしてやっていったらどうかと言うと、チーム医療という反論が出てくるが、現場がまわらないという声を聞くので、見直して見ようと考えている。まさしく、そういうところこそ、派遣労働でプールしておき、必要・不必要に応じて使うというのが、賢いやり方。

○八代主査担当分<福祉等WG、農林水産・流通WG、規制改革特区WG>

<福祉等WG>

・ 昨年に続いてフォローアップが中心。

・ 介護施設については、特区で公設民営による株式会社参入は牙城が開いたので、全国に拡げていきたい。

・ 施設介護では、在宅と施設介護の区分があいまいであり、ホテルコストという問題は、自費での負担を更に進めていく。

・ 現場からの要請の強い介護職の業務範囲の明確化を進める。

・ 保育については、幼稚園と保育所の融合の推進を全国対応で進める。

・ 保育所について、株式会社参入が認められたことから、それに対応して企業会計も認めるという形にする必要がある。

・ 社会福祉法人についても、企業会計に近づける方向で検討を進める。

<農林漁業・流通WG>

・ 日本の農業の大規模化が進まないこと、生産性が向上しない理由は、農協と農地の問題であり、今年は、踏み込んで検討したい。

・ 農協の機能を見直す形で、農業分野における競争性を高める必要がある。

・ 農地転用について、大きな力をもつ農地委員会の実態が不明であり、この点についてもメスを入れる必要がある。

・ 農水省の行政自体が、過度に農協に依存しており、これを見直す必要がある。他組合と地区と重複する場合の設立認可について、協議しなければならないという非競争的な制度に見直しを図っていきたい。

・ 特区では株式会社の参入が認められたが、土地の賃貸が原則であり、購入を含めた形での株式会社の参入を全国について求めていきたい。

<規制改革特区WG>

・ 7月の中間とりまとめに初めて出した報告を受けて11月に閣議決定されるという前例のないスピードであることを評価する必要がある。

・ 各省の政省令、通達などの規制についても、適切な形で規制緩和されることを担保するために、引き続き構造改革特区推進室と共同で注視していきたい。

・ 構造改革特別区域基本方針にある、関係機関の同意については、形式的なものにすぎないということを明確にしていきたい。

・ 各省が現行制度で対応可能と言ったものについては、通達などの形で明確に文書の形で示すことが重要である。

・ 全国対応とされたものの内容を深堀する必要がある。

・ 対応不可能とされたものに、医療や教育の株式会社参入がある。特に教育については、社会人を対象としたものについて、特区または全国でやることとしていきたい。

○米澤主査担当分

<教育・研究WG>

・ 株式会社の参入については、株式会社として教育に参入したいというニーズをまとめ、文科省と協議する予定。

・ 学校法人の設立要件緩和については、校地の自己所有要件を賃借等について議論をしている。

・ 私学の参入抑制の面から、私学審議会のあり方、構成員について検討中。

・ コミュニティ・スクールについては、文科省は現行法で、モデル・スクールを作り検討としているが、コミュニティ・スクールの法制度整備に向けて検討していく。

・ 教育の国際化という視点から、外国教育機関が日本に進出する場合、学生にとって条件が悪くなる点を是正する方向で検討。

・ 大学新設について、校地が校舎の3倍要件を、学生数に面積を掛ける方法に変えるとしているが、文部科学賞と議論をする予定。

○清家主査担当分

<雇用・労働WG>

・ 昨年度に厚生労働省との合意事項が、実行されるかどうかをモニタリング、ヒアリングしていく。

・ 職業紹介、労働者派遣事業、有期雇用、裁量労働等の分野の合意事項について、厚生労働省の審議会において、どのように議論され、進捗しているかのヒアリングを実施し、意見を述べている。

・ 新規事業創出WGで合意されたもの及び特区プログラムの別表2に記載されたものについて、雇用労働分野全体に拡張しうるかどうかを検討する。

・ 構造改革の加速化に伴い、離職者の増加が見込まれることから、労働市場の機能を強化、特に職業紹介分野の許可を法人単位とし、事業所は届け出制にする。有料職業紹介の促進、紹介予定派遣の事前面接の全面解禁を要望する。

○神田主査担当分

<競争政策、法務・金融WG>

・ マーケットメカニズムをより働かせるために、競争ルールのエンフォースメントの強化と複線化し、独禁法違反行為への抑止力の確保のための、行政上、刑事上、民事上の措置体系を一体的に見直す。

・ 独禁法と各事業法における規制、監視、紛争処理をどのようにわけていくかという問題意識を持っている。

・ 政府調達における分割発注、競争入札の参加資格の問題や、官公需法における契約目標の設定プロセスの透明化など。

・ 法務分野、金融分野は資産流動化法制の見直しを含めて、中間とりまとめのフォローアップを中心に進めていく。

<上記6分野についての質疑応答>(●質問・意見、→質問・意見に対する回答)

●教育WGでも、大学教員の勤務条件弾力化については、独立行政法人化にともない、大学教員の裁量労働制の導入についても検討願いたい。

→文科省とはまだ折衝していないので、早急に行っていきたい。

●今の点についての補足だが、そのような形で加えていただけると、雇用労働WGと整合が取れる。大学教員のような職種については、中長期的には、ホワイトカラーエグザンプションのような労基法の適用除外にするというのが適当ではないかと考え、厚労省に対しては、労基法の取扱いの検討を依頼している。

●さらに補足すると、16年までは国立大学であるころから、独立行政法人化前についても、勤務時間を短くし、あとの時間は自由、そのかわり給料は半分などという制度について、文科省に対しても検討を依頼しており、人事院と協議しているようである。閣議決定している。

●教育のところの、コミュニティ・スクールについては、学校運営のあり方については、自治体や父兄のニーズもここにある。これは、絶対に法改正をやるということでお願いしたい。競争政策の分野に関して、通信の分野もぜひ議論していただきたいが、金融分野についても、中長期的に資本市場を育てていくという意味から、日本版SECが不可欠だと思っている。

→日本版SECについては、金融庁からもヒアリングしている。金融商品やサービスが融合化していることから、独立させるのがよいのかなど様々な議論がある。大上段にふりかぶった議論ではなく、機能、権限の観点から議論をしていきたい。

→コミュニティ・スクールについては、今回、法制度の整備を謳っている。これらで、制度のプロポーザルをぶつける形で検討をしている。

●特区において現行制度で対応可能なところについては、周知徹底されていないのか。

→構造改革特区推進室の方で、各省庁がやれると回答してきたことをホームページに公開しているところであり、自治体が本当に可能か否か検証しており、自治体のほうで問題がでてくれば、苦情が出てくると思う。

●競争政策のところだが、電気通信、電力については、答申の中で公正取引委員会とは別途な監視体制のところでメンションしており、料金の決定その他の問題を議論するときにも避けて通れないので、最終的な仕上がりが齟齬を来さないようにして連携を欲しい。

●福祉分野の介護施設間の対等な競争の促進の部分について、どんどん民間の知恵や力が入ってくることは結構だが、企業としての経営が破綻した場合、高齢者であることから、セーフティーネットはどうなっているのか。まさか自己責任の原則を適用するというになるのか。

→だからこそ株式会社の参入が規制されてきたということだと思う。現実には、社会福祉法人であっても倒産する場合はあり、株式会社参入の如何に関わらずやるべきこと。逆に、倒産した社会福祉法人の施設を株式会社が買収できる余地ができることも一つのセーフティーネットである。その意味では、できるだけ多様な経営主体が参入できる条件を作ると同時に倒産した場合にどうするのか、介護施設が倒産しても中に入っている人は救済されるという仕組みを早急につくるということも議論させていただきたい。

●都市にある通勤鉄道における時間差料金制の導入とはどういうものか。

→ワシントンDCでは、プリペイドカードでラッシュ時には高い料金になるようにし、オフピークには安くなるようにしている。早起きを促すとか、会社の始業時間を変えることを促していく。

 最後に、答申に関して、質疑が行われた。

●答申については、すべてを各省庁と調整するというのではなく、各省庁と調整できない部分も何らかの形で書きこむということで理解しているが。

→答申自体は、問題意識と具体的施策の2項立てとする。問題意識には、当会議の見識も含めて、考え方を提示していただき、具体的施策については各省庁と合意に至ったものを書いていただくようにお願いしているところである。

(2)その他

 事務局より、「次回第11回会議は11月21日(木)14:00〜15:30に開催し、各主査から素案についての説明と審議を行うこととしたい。次々回は12月5日(木)15:30〜17:00に開催し、案文の審議を行っていただきたい。」旨報告がなされた。

以上

(文責 総合規制改革会議事務室


内閣府 総合規制改革会議