平成14年度 第14回総合規制改革会議 議事概要

1. 日時

平成15年2月3日(月)12:00〜13:30

2. 場所

永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室

3. 出席者
(委員)

宮内義彦議長、鈴木良男議長代理、奥谷禮子、河野栄子、佐々木かをり、清家篤、高原慶一朗、八田達夫、村山利栄、森稔、八代尚宏、安居祥策の各委員

(政府)

石原規制改革担当大臣、米田内閣府副大臣、大村内閣府政務官、鴻池構造改革特区担当大臣

(事務局)

[内閣府]坂統括官、河野審議官、福井審議官、竹内審議官、宮川事務室長、中山次長
[構造改革特区推進室] 中城室長


議事次第

  1. 構造改革特区推進室からのヒアリング及び意見交換

  2. 経済財政諮問会議との連携の強化について

  3. 当面のスケジュールについて

  4. その他


議事概要

(石原大臣)昨年は答申の取りまとめに際し委員の皆様のご尽力に心から感謝申し上げる。答申については、閣議決定されており、政府としても答申に示された具体的施策を最大限尊重して所用の施策に速やかに取り組むとともに、年度末までに3か年計画の再改定に反映されていく予定である。また、本日は、お忙しい中、鴻池大臣には当会議にご出席頂き感謝。構造改革特区の第二次提案においては、これまで以上の提案があったと聞いている。そもそも、特区制度については、当会議にて提案したものであり、第一次提案の時と同様に関係各省との議論を通じて最大限の協力をすると同時に、さらに一層の規制改革を推進していきたいと考える。昨年の11月に経済財政諮問会議にて規制改革に関するアクションプランの作成の依頼を受けている。本日は活発な議論をお願いしたい。また、経済財政諮問会議にて宮内議長と私とで発言したが、規制改革を進めるための「勧告権の付与」についての考え方の取りまとめを竹中大臣より依頼されている。この点については、当会議が来年度末までの期限付きの機関であることを鑑み、政令設置機関である当会議を法令上の機関に格上げするなど、ポスト総合規制改革会議を考える中で検討した方が合理的と考える。今年は、当会議の設置期限を来年の3月末に控え、規制改革を一層加速し実り多い成果につなげていくための総決算となる重要な一年であり、担当大臣として力の限りを尽くす所存であり、また、議長を中心に先生方のご尽力に期待したい。

(1)構造改革特区推進室からのヒアリング及び意見交換

<特区推進室よりの説明>

(鴻池大臣)特区は、当会議で検討頂き誕生した制度であり、1月24日に閣議決定した構造改革特区の基本方針についても当会議にてご検討頂いたことを踏まえたものであると認識している。特に基本方針については、国会の審議でも問題になったように、役所が法令に定められている以上の規制を課すことを禁じたり、また、省庁や各関係団体から圧力があった場合の苦情処理、相談窓口を設けるなどを実施した。省庁裁量や圧力を無くしていくことが重要。民の熱意、地方の熱意を阻害するような役所の圧力に対しては正面から国会等の場で、徹底してどちらが正しいか議論していく所存。委員の先生方にもご支援願いたい。
教育、医療、福祉などが大変に問題。どうしても、一歩前進したいものに相当数の提案を頂いている。各省庁と十分な調整を図りたい。
全国から前回426の提案があったが、今回は651の提案があり、大幅に増加した。これらは、構造改革、規制改革に対する地方、民間の熱意の現れである。その、熱意を阻害するような動きに対しては、真正面から議論する所存。例えば、医師会は真正面から反対しており、これらは議論していかなければならないが、それ以外の省庁で、横から後ろから足を引っ張ろうとするという行動があるということを報告しておく。なお、評価委員会については出来るだけ早くに立ち上げ、民間の識者に特区構想の評価を頂き、良いものは全国に展開するという初期の目的に向かっていきたい。ご指導いただきたい。言わば、当総合規制改革会議が本家であり、特区は分家であり、今後とも本家の活躍に期待し、連携していきたい。本家にしっかりしてもらわなければ分家は困る。

(中城室長より資料に沿って説明)

<意見交換> (●質問・意見、→質問・意見に対する回答)

●鴻池大臣のお話の通り、規制改革に絶対反対の立場のものへの対応だけでなく、条件付賛成との回答では、その条件が問題だ。例えば、学校への株式会社参入では、参入はしても良いが補助金は対象にしない等の問題にはどう考えるか。どこまでが、基本的な問題で、どこからが許容範囲かという問題については、特区でも規制改革会議でも議論していかなければならない問題だと思う。また、法改正を伴うものは、国会の問題があるが、政令以下の規制については、四半期毎に適宜、緩和されていくという理解で宜しいか。

→おっしゃる通りであり、政令以下は、出来るだけ早くということである。また、法令に絡んだものは、法改正に併せて出来るだけ早く準備していくということになる。

●特例措置の評価に関する方針は如何か。平成15年度中に設置であるが、今後の提案募集状況を踏まえ、早い段階から完璧な評価が出来なくとも、簡便に早く評価され中身が公表されたほうが良いのではないか。

→評価委員会については、上手くいっているか否かを評価する機関として、特区の実施状況を評価し、そのまま続けるのか全国への拡大か止めたほうが良いかを検討する。したがって、4月の特区誕生を踏まえて年内に立ち上げ予定であり、認可された特例措置の評価については再来年度を予定している。

●評価委員会の権限は、強いものであるのか。

→具体的には未定であるが、構造改革特区推進本部の下に設ける予定であり、本部に評価が報告される。法的には決まっていないが、本部にて尊重されるものと理解している。

●評価は大事な問題であるが、評価してからということを理由付けて、全国への拡大が遅れるのではないか。我々としては、特区申請されたものであっても、評価を待たずに可能なものは全国へ拡大できるものは拡大するということに全力をあげたい。そこは、連携を取りながらであるが、評価待ちとはしないということである。取り上げる議題は、数年前から議論しているのでありそれが故の反対もある。あえて、評価するに値しないものもある。

●その後のインプリメンテーションについて、もう少し説明いただきたい。例えば、具体的には、北海道の幼保一元化については、財政が厳しいと書かれている。このようなものは、どのように実現されていくのか。

→今回4月から申請して頂くものは、既に特例措置として取るものが決まっているものについて申請して頂く。政府としての特例措置を決めたもの、例えば、港湾における24時間対応は決定しているが、それについてそれが有効に機能しているか否かといったものについて、評価するということ。特例措置を申請した地区に認定したものにワークしているか評価委員会がチェックする。その結果、特例地区で続けていく、全国に拡大するべきなどの評価をしていく。

●例えば、財政措置であっても対象となるか。

→基本的に財政措置を伴うものは考えていない。これから、関係省庁と協議していくことになるが、純粋に財政措置を伴うだけのものであればはじかれていくと考える。

(2)経済財政諮問会議との連携の強化について

<宮川室長より説明>

<宮内議長より補足説明>

<意見交換>

●全体として賛成。「緊急答申」としたところで、昨年の中間とりまとめと比べて作業がとくに増えるわけではない。結局、緊急答申をどのような形にすべきか、という問題である。各省の合意を得るのか否かについては、出来る限り合意を得るようにしつつ、合意が得られない部分についても当会議の考え方として積極的に答申に盛り込むのが基本である。具体的な検討事項については、予算制度の変更を伴うもの、熟度の低いものは除外し、緊急性の高いもの、雇用拡大効果が高いものを中心に10項目程度に絞ることが適当と考える。具体的には提出資料のとおりであるが、株式会社の参入、混合診療の解禁、外国人医師・外国人弁護士による日本人に対するサービスの解禁、高層住宅に関する抜本的な容積率の緩和を挙げている。このうち、容積率の緩和等は建設投資の促進という観点から一定のアナウンスメント効果も期待されるところ。

●基本的に賛成。ただし、実現に向けた手法については、実際に大臣が勧告を行っても相手方省庁が拒否する可能性もある。従って勧告権が有効性を発揮するのは、相手方省庁の法案に対して拒否権の発動を前提とした場合である。当会議としてはこうした実質的な拒否権を再認識したうえで、勧告の実効性をより高める必要がある。また、ワーキンググループの議事については原則公開すべきである。原則公開とすることにより、ワーキンググループにおける議論の際にも、相手方省庁は十分な根拠による裏付けを有する適切な議論を展開する筈である。また、議事録を作成するための予算が確保されていないのも問題。毎回、テープおこしをきちんと行うことができるよう、必要な予算は確保すべきである。また、具体的な検討事項として都心部における容積率の緩和を上げているが、都心の商業地についてはマンションの容積率を自由化してもいいくらいのところまで伸ばすべき。国土交通省においては容積率の性能規定化を図ることについては中期的に検討する旨、明らかにしており、これを踏まえて、お手元のような内容で2次答申がとりまとめられたところである。ついては、その検討をもっと早めてもらうという内容にしてはどうか、という提案である。

●素案については良く出来ている。アクションプランについては、実現可能性があるもの、重要と考えられるものを是非とも盛り込むべきである。実際の課題の取扱いについては議長に一任したい。

●検討課題については提出資料のとおりであるが、現下の雇用情勢に鑑み、早急に進めるべきは職業紹介に係る規制緩和であると考えている。なお、「ハローワークの民営化」について、奥谷委員に質問がある。我々としては、職業紹介に係る規制は原則撤廃する必要があると考えているが、そのための前提として、有料職業紹介事業に係る事後監視・監督の徹底を図ること、全国で無料の職業紹介を誰でも受けられるようにしておくことが重要なセーフティネットたりうる。民営職業紹介に係る規制を緩和するためには、国の責任において無料の職業紹介を担保することが必須の条件になるものと考えているが如何。

●場をもって職業を斡旋するという、ハローワークとしての機能を全く果たしていないわけだから存在価値はない。ハローワークを民営化することにより、職業の斡旋を含めて情報量も増えることから、勤労意欲を有し、職を求めている人に対してはプラスに作用する筈。

●地方においてビジネスとして職業紹介が成立しえないような場所では公共職業紹介のカヴァレッジはむしろ大きいのではないか。ハローワークという形態で行うか否かは別として、ILO88号条約との関連を考慮すれば、国が無料の職業紹介事業を全く実施しないということには無理がある。有料職業紹介について、労働者の利益になる場合にはこれを認めうるとする解釈は可能だが、当該条約との関係において国が無料の職業紹介事業を全くやらないというのは困難である。現在のハローワークのパフォーマンスをめぐる問題は全く別の問題であり、そのレヴェルが低いのであればさらなる改善を図って貰う必要は当然ある。ただし、その際においても、無料の職業紹介というものを担保できなければ、有料の職業紹介に係る規制緩和を進めることは難しいのではないか。職業紹介に係る抜本的な規制緩和を進めるためには、国による無料の職業紹介をより一層充実させるという形をとらないと、提案内容にコンシステンシーを欠く結果となってしまう。

●無料の職業紹介が必要であれば、地方自治体がやればよいのであり、あえて国がやらねばならぬ必要はない。

●劣悪なサービスを排除するためには、一定レヴェルのサービスが無料で提供されているということがセーフティネットになる筈である。

●その「一定レヴェルのサービス」が提供できているか否かがきちんとチェックできていない。いずれにせよ、現行のハローワークをなくすという手法のほうが一般国民にとってむしろプラスになるものと考える。

●その点については見解が異なるのでテークノートさせて頂く。

●目標自体には賛成。ただし、具体的手法のより一層の明確化を図る必要がある。先刻テーマの数については10程度というお話があったが、もう少し多くして20程度でもよろしかろうと思う。可能であれば、経済財政諮問会議の場において、総理がゴーサインを出すというスキームにして頂きたい。当該サインは遅くとも4月には出して頂くことが必要である。勧告権について、大臣が勧告しても、相手方にノーと言われたら終りである。例えば、医療分野については、項目数が少ないから必ず成果を出せと指示されても、このような状況においては、率直に申し上げて、打つ手がないのが明らかである。かような事態における対応策を明確にすることが本件を成功させるためのカギであると考えているので宜しくお願い申し上げる。

●御指摘の趣旨については理解する。

●勧告権の強化が必要だが、これをどのように実現させるのかという問題がある。特区では緩和がどんどん進められるようにするなど強化の方向で工夫することが必要である。

●「2年以内」に実現する、という部分について、これは「1年以内」も含みうるという理解でよろしいか。

●どんなに遅くとも「2年以内」という趣旨で書いたつもり。直ちに対応できるものについても杓子定規に2年と解して頂いては困る。

●早くできるのであれば、早く対応してもらうという形にすべき。また、極めて大きなテーマは、やはり株式会社参入に関するものであると考える。このため、株式会社参入をめぐる問題については、他の事項とは取扱いを別にして、特別に手を打っていく必要があるのではないか、との感じをもっている。最後に、人の自由化の問題が避けられない問題である。看護婦等の事例を挙げているが、EPAとの関連においても考えていく必要があるのではないか。

●今まで、曖昧な表現で妥協し取り決めてきた事項についても、この機会に、前倒し等も含めて「棚卸し」を行い、ここに盛り込むことも重点検討課題たりうるのか。

●新規事項とは別の性格を有するものではあるが、御指摘のようなものもありうるのではないか。

●過去の2年間の討議の中で脱落してしまったものもさることながら、言葉の末尾を「検討」としたものが「書きっ放し」になりはしないか、という懸念がある。改革の成果と実効性をきちんと問い直していくことが必要。制度は導入されているが、実際それが十分履行されてきているのかどうか、きちんと評価していくことも必要である。また、鈴木委員によるペーパーにおいて「特区が先行」との部分については、全く同感であることを申し上げておく。

●次回の経済財政諮問会議に向けた課題の取扱いについては、本日の議論を可能な限り踏まえつつ、基本的に御一任をいただいた上で対応したいと考えるがよろしいか。
(異議なしとの声あり)
相談させて頂きながら進めてまいりたい。その結果については事務局から速やかに御連絡申し上げるということで御了解賜りたい。

(3)当面のスケジュールについて

 当面のスケジュールについて、事務室より資料に基づき説明。

<意見交換>

●私は、新年度のテーマとして 1)海外からの観光客の大幅な増加、 2)海外からの研究者、学者、経営者などわが国に働きに来ていただける方々の招致、 3)海外からわが国への直接投資の増大という課題を挙げた。これらの課題は複雑な規制のため取組みが遅れており見直しが必要。観光は国土交通省の所管であるが、外務省や法務省、厚生労働省なども関係している部分もあり、これを一つのテーマとして取り上げる。また 1)は 2)、 3)とも関係しており、これら三つを重ねて積極的に取り組む必要がある。その他 4)として、公権と私権のバランスの見直しを挙げたが、これは、わが国においては私権の尊重が行き過ぎている場面があり、公権と私権のバランスの見直し、公権力が本来なすべきことを行うという観点から、公益と私益の定義を見直すことから取り組むべきと考える。

●人、モノ、カネ、情報の中で人の移動だけ自由化されておらず、この点が大きな問題。基本的な問題でもあり、本会議において考え方も含めて議論の方向を定め、自由化を進めるべき。

●昨年同様、横割のテーマで規制改革を考えるのは重要。その際に既に話のあったような「対内直接投資の促進」「自由貿易の支援」というテーマで、いかに雇用を拡大していくかという観点が重要。米国が不況の時代に日本からの企業誘致に熱心であったように、日本も今そうした取組みを図らねばならないが、その障害になる規制を取り除く必要がある。こうした障害には民民規制も多く、その場合には競争政策を強化するなどして、いかにして外国企業を含む新規参入者を拡大していくのかを考えなくてはならない。その中に人の移動の問題も包含されてくる。現在は不法就労の排除に熱心なあまり、例えば直接投資を考えている海外のビジネスマンまでもが排除されている。また看護、介護分野に労働力不足が発生しているにも関わらず労働力移入が認められないが、そうした場合にも政府間協定などによって必要な労働力を確保するためにはどういう規制改革が必要かということも考えてもいいのではないか。

●アクションプランのWGが出来ると思うが、これについては全ての委員を貼り付ける必要は無いということが一点。もう一つは4月から個別分野のWGも立ち上げて十分な審議期間を確保すべき。

●事後チェックの強化は事前規制の緩和と表裏一体の重要な問題であり、今年度も引き続き取り組んでいただきたい。またこれまで議論してきた検討項目や合意項目でも常にチェックしていないと遅延したりやらなかったりするケースもあるので、地道にフォローアップしていくことも重要。

●医療でも、医療のIT化に関する合意内容について十分フォローできておらず、そのためにも4月から個別のWGを立ち上げることの重要性があることを強調しておきたい。

●株式会社参入の議論に関連して、その前提として、どこまでが官がやるべきで、どこからが民がやるのかについて、官民役割分担のルールをどこかできっちり議論しておかないといけない。

●横断的アプローチは問題の掘り起こしという観点もあり、ここ2年取り組んで頂いた。森委員や安居委員のように今年の問題意識ということで横断的に取り組んでいただくことは意味があるが、昨年と同じ問題意識で今年も横断的WGで取り組むことは意味が無い。また高原委員が昨年取り組んでいただいたように実務的な事柄も多く、その点からは個別WGも早く立ち上げてもらうことはありがたい。

●今年はアクションプランWGで重点事項に取り組むことと、個別WGでこれまでの進捗状況を監視するということになると理解している。

●新年度の課題については本日の議論を踏まえ事務方でたたき台を用意した上で次回の会議で議論することとする。

以上

(文責 総合規制改革会議事務室


内閣府 総合規制改革会議