第1回アクションプラン実行WG 議事概要

1. 日時

平成15年3月5日(水) 10:15〜11:30

2. 場所

永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室

3. テーマ
厚生労働省との意見交換

「医薬品の一般小売店での販売について」

4. 出席者
(厚生労働省)

鶴田大臣官房審議官
医薬局 田坂総務課長、安倍審査管理課長

(委員、専門委員)

宮内主査、鈴木副主査、奥谷委員、河野委員、高原委員、古河委員、森委員、八代委員、安居委員、稲葉専門委員、福井専門委員

(事務局)

内閣府 坂政策統括官、河野審議官、竹内審議官
総合規制改革会議事務室 宮川室長、中山次長 他


議事内容

○宮内主査 おはようございます。それでは、ただいまから第1回のアクションプラン実行ワーキング・グループを開催させていただきます。本ワーキング・グループにつきましては、先ほど行われました、第15回「総合規制改革会議」におきまして、正式にその設置が了解されました。早速、ただいまから6月の答申に向けまして、本ワーキング・グループとして、アクションプランに掲げられました12の重点検討事項、この早期実現を目指していくことになります。私が担当主査としまして、皆様方と一緒に取り組んでまいりたいと存じております。よろしくお願い申し上げたいと思います。
 本ワーキング・グループの構成メンバーにつきましては、資料1にございますように、総合規制改革会議の15名の委員全員、それに専門委員といたしまして、稲葉清毅、群馬大学名誉教授。河北博文、河北総合病院理事長。福井秀夫、政策研究大学院大学教授のお三方に御参加いただくということで、全員出席いたしますと18名ということでございます。なかなか難しい問題も多いと思いますけれども、12の重点検討事項の早期実現のために是非とも御尽力のほどをよろしくお願い申し上げたいと思います。
 なお、副主査には、鈴木議長代理にお願いを申し上げております。
 また、今後のスケジュールについては、当面、今月から来月にかけまして、できますれば、週1回くらいのペース、これは相手もございますけれども、そういうことで重点検討事項につきまして、関係いたします各省との公開討論を実施いたしまして、これによりまして、重点検討事項の論点を深彫りしていくということをやってまいりたいと思います。
 また、これと並行いたしまして、これらの項目の早期実現のために、当会議の持つさまざまな機能、あるいは権限を用いていくことも検討していきたいと考えております。 それでは、ただいまから第1回の議事に入らせていただきます。
 本日は12の事項のうち「医薬品の一般小売店における販売」につきまして、検討させていただきたいと思います。厚生労働省との意見交換を行いたいということでございます。
 本テーマにつきましては、当会議として目指すべき方向は資料2にございますように、医薬品のうち、人体に対する作用が比較的緩やかなものについては、一般小売店における販売を解禁すべきであるというものでございます。
 本テーマは、当会議の前身の規制改革委員会も含めまして、長期にわたりまして、意見交換が行われてきておりますが、最初に重複するかもしれませんが、私から主な論点を2つだけ簡単に申し上げさせていただきたいと思います。
 1つは、これも資料2にございますように、いわゆる薬剤師による服薬指導の実態についてでございます。医薬品を一般小売店で販売できない理由について、御担当の厚生労働省は、医薬品は誤って多量に使用されたり、副作用の危険性があるため、販売には薬剤師を常駐させ、薬剤師の指導が必ずなくてはいけないと、かねてからこのように主張されております。これを消費者から見ましても、本当にそうした薬剤師からの服薬指導を受けているという実態が存在するのかどうかという問題がございます。むしろほとんどの消費者が好みの薬品を相談なく購入しているというのが実態ではないか、これが1つの論点でございます。
 2目の論点は、厚生労働省は、平成11年にも行いました医薬品を医薬部外品へ移行させて、販売禁止を解除するというやり方でございますが、この手法には限界があるという問題です。詳細はこの後の議論に譲りますが、やはり医薬品自身をそのままの形で販売、解禁しないと、規制緩和の効果というものも大変小さなものにならざるを得ないという点がポイントではなかろうかと思います。
 それでは、こうした点も踏まえまして、まず厚生労働省の御説明をお伺いするということからさせていただきたいと思いますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。

○鶴田大臣官房審議官 厚生労働省の医薬局の審議官の鶴田でございます。
 今、主査の方から会議に先立って、若干私どもの方から説明を願いたいということでございますので、今日は資料を配っておりますが、これに基づきまして、15分程度で説明を申し上げたいと思います。
 まず、ここに書いてある考え方でございますが、医薬品は健康を維持して、あるいは病気を治すといった効能・効果を有する一方で、化学物質であるということから健康を害するいろんな副作用を一面持っておるわけでございます。これは一般用医薬品でも同様でございまして、市販されている風邪薬とか熱さましとか、鼻炎の薬とか、こういったものによりましても、場合によっては血圧低下とか、意識がもうろうとする意識障害とか、それからショック症状を示すとか、また、予後が悪い場合には、失明とか、致命的になることもあるスティーブンス・ジョンソン症候群、こういった重篤な副作用が生ずる可能性もあるわけでございます。
 最近、新聞報道でも御存じだと思いますが、市販の風邪薬におきまして、スティーブンス・ジョンソン症候群により死亡した方の報道がされました。一般用医薬品であっても、副作用の問題は見過ごしにできないものと考えているわけでございます。
 また、医薬品につきましては、先ほどお話がありましたように、その量を使い過ぎると健康に害を生ずることがあり、また、ほかの医薬品と一緒に飲み合わせるということによる相互作用も生ずることもあるわけでございます。
 例えば相互作用といたしましては、複数の医薬品を服用する場合には、重複する成分によって過量に摂取してしまうケース、相互作用を起こす成分がおのおのに含まれているケースなどがあるわけでございます。
 また、既往歴のある場合については、注意が必要であるとか、アレルギー症状を起こしたことがある場合については、注意が必要であるというものも成分的に含まれているわけでございます。
 例を申し上げますれば、血糖降下剤を服用中の糖尿病患者、それから緑内障のある患者、こういった人たちは例えば風邪薬を飲むときには、相互作用に十分注意をする必要があるというものでございます。
 そのほか、アスピリンにより発疹とかぜんそくを起こした経験のある人については、ほかの風邪薬を服用することによりまして、アレルギー性の副作用が発現するというケースもあるわけでございます。
 更に、今後、高齢化社会が更に進展していくわけでございますが、お年寄りが増えていく。お年寄りはどちらかというと代謝機能が落ちておる。もう一つは、いろいろな疾患を持っているということで、医薬品を多種類飲むケースがあるわけでございます。そういった意味では、一般医薬品の普及に当たっても、相互作用等について十分注意が必要であると考えているわけでございます。
 このように、医薬品は一般の商品とは全く異なる。つまり、直接国民の生命、健康に関わるものでございます。このような考え方の下で、医薬品の購入時におきまして、消費者からの求めに応じ、適切な情報提供、または相談を行う。それから、患者からの求めがない場合であっても、必要な場合には消費者に対して積極的な情報提供を行う。こういったことが必要でございますので、専門職である薬剤師がいる薬局等においてのみ医薬品の販売を可能としているところであるわけでございます。
 したがいまして、医薬品につきましては、薬剤師等の専門家が配置されていない一般小売店での販売は認めるべきではないと考えているわけでございます。
 しかし、一方で人体に対する作用が比較的緩和であること等の理由によりまして、一般小売店でも販売可能なものについては、医薬部外品のカテゴリーに移行することにより対応してきたわけでございます。
 なお、医薬品の使用につきましては、副作用が起こることも含めて、自己責任で対応すべきとの御意見もあるところですが、先ほどお話ししましたように、お年寄り等も含めたすべての者が服用する医薬品の作用、相互作用、自らの体調など、十分理解しているとは限りません。そういった意味では、自己責任にすべて任せるということは難しいのではないかと考えているわけでございます。
 2ページ目の方に参考資料として医薬部外品のカテゴリーへの移行に際しての判定基準ということで参考資料を示したわけですが、これまで政府全体として規制改革の取り組みが進められてきておりまして、平成9年3月に医薬品のうち人体に対する作用が比較的緩和で、販売業者による情報提供の努力義務を課すまでもないというものにつきましては、一般小売店におきましても販売できるよう、医薬品のカテゴリーを見直すという内容を含む規制緩和推進計画が閣議決定されたわけでございます。
 これを受けまして、中央薬事審議会に医薬品販売規制特別部会を設置いたしまして、専門家の方々に医学的、薬学的観点から御議論いただいた上で、所要の措置を行ったわけでございます。
 平成11年3月末から約300 品目を医薬品のカテゴリーから医薬部外品のカテゴリーに移行させることといたしました。その後、新基準に合致させるよう承認を新規に取得したり、承認事項を一部変更した医薬品は平成12年3月までに約220 品目に上っております。この場合、どのような医薬品が医薬部外品に移行可能かどうかにつきましては、この資料に書いてあるとおりでございまして、例えば薬理作用から見て適正使用が確保できない恐れがあり、消費者からの情報提供の求めが予想されるもの、例えば催眠鎮静薬とか興奮剤みたいなものが相当するわけです。また、副作用の注意喚起がなされた成分を含有するもの、例えば副腎皮質ホルモンを含有するものとか、他の医薬品との相互作用を発現しやすいと認められるもの、例えば制酸剤などがあるわけですが、これらに該当するものは作用が緩和で専門家による情報提供を要しないものとは言えないということで移行は不適当であるとしており、これらに該当しないものが医薬部外品に移行可能としたものでございます。
 次のところにも書いてありますが、ビタミン含有保健剤、健胃消化剤などの15の製品群につきまして、医薬部外品に移行可能であると判断し、現在、一般小売店でこれらは販売されているところでございます。
 医薬部外品につきましても、医薬品同様、薬事法で規制されているものでございます。そういった意味では、ここのものにつきましては、承認を得るということもしておりまして、そういった意味では薬に準ずるものと理解されてよろしいのではないかと考えているわけでございます。
 このように、これまで厚生労働省といたしましては、政府全体における規制緩和に向けた取り組みを踏まえまして、国民の立場に立ちつつも、保健衛生上支障のない範囲で規制緩和の見直しに取り組むということで進めてきたわけでございます。
 今後の予定でございますが、これが最後から3ページ目のところでございますが、昨年12月の規制改革の推進に関する第二次答申におきまして、今後とも一定の基準に合致して、かつ、保健衛生上、危険が少ないなどの専門家の評価を受けた医薬品につきましては、一般小売店におきまして販売できるよう、平成14年度中に専門家による検討を開始して、平成15年度を目途に結論を得るようにすべきであるとされています。
 当省といたしましては、この会議の答申を踏まえまして、医薬局長により招集され、専門家により構成される新医薬部外品検討会を開催する予定としております。
 この検討会におきまして、この議題に書いてありますように、平成11年3月31日に行った15製品群の医薬部外品への移行後の状況について検証することとしております。
 また、前回、一般用医薬品から医薬部外品に移行する際に用いた判定基準については、見直しの必要についても改めて検討を行って、その上で保健衛生上明らかに問題がないと、専門家等の評価が得られた製品群があった場合には、医薬部外品への移行についての検討を行うなど、適切な対応をしたいと考えております。
 ここに書いてありますように、第1回新医薬部外品検討会は、今月の18日に開催する予定でございます。医学、薬学の専門家、それから消費者代表の方など、9名の方に議論をお願いすることとしております。
 このように厚生労働省としましては、改革会議との議論を踏まえつつ、具体的な対応を予定しているわけでございます。
 しかし、一方、医薬品に関する専門家の方々の御意見を十分に踏まえずに安易に規制の見直しを行うことは、国民の生命、健康に支障を及ぼす恐れがあり、あってはならないことと考えておるわけでございます。
 このようなことにつきまして、当省の対応を御理解していただければと考えております。最後に、これまでも貴会議とは議論を積み重ねてまいってきたわけですが、医薬品が国民の生命、健康に直結していること。また、国民の皆様方には、いろいろな方がおられる。お年寄りの方など、いろいろな方がいらっしゃるということに留意しつつ、御議論をいただければと考えております。
 簡単ではございますが、考え方につきまして、説明を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○宮内主査 ありがとうございました。それでは委員の皆様方からまず御意見、御質問等ございましたら、どうぞ御自由にお願いしたいと思います。

○鈴木副主査 私、当ワーキング・グループの副主査ですが、医療関係の主査もやっております。この問題については2年間にわたっていろいろ議論をしてまいり、本日まで進んでいないということですので、私から総括して質問させていただきます。
 最初に申し上げておきますが、私は簡潔に言いますから、返事も是非簡潔にお願いいたしたいと思います。
 まず、さっきおっしゃったような、これはもう聞きあきたというような言葉ですが、長年の医薬局のその姿勢というものが、ついに、今日、経済財政諮問会議が日本の中で規制緩和されていない六不思議の中の1つに「医薬品の一般販売店での販売解禁」というテーマとして取り上げたという事実に対しては、医薬局としてそれを重く受け止めていただきたいということをお願いしておきます。
 我々の立場は、さっき主査が申し上げましたから繰り返しませんが、薬に副作用があるのはわかり切っている。しかし、自分の愛用薬というのはあるでしょうし、そういうものに対して国民の利便、消費者の利便ということを考えたら、突然の病気のときなどに、それが手に入るということが利便なのではないかというのが我々の基本的なスタンスです。
 医薬局のスタンスを2年間つぶさに見てきましたが、結論だけ最初に言いますが、薬剤師の世界の保護のことしか頭の中にないと言わざるを得ない、というのが私の2年間の印象です。薬局や一般販売業の人たちが一般小売店が入ってもらっては困るというのは、それはそうでしょう。商売敵が出てくるので当たり前ですが、厚生省でも、なかんずく医薬局においては、やはり日本薬局方というものの中に入っている成分はどうしても死守したい、それは我が聖域である、というお考えが余りにも強過ぎるという感じがしております。これは議論になりますから、それ以上言いません。
 そこで聞きたいのは、医薬局の中で、課長、及び課長に次ぐポスト以上にある方、その中で薬剤師の資格を持っておられるのは一体何人おられるのか、それは何という方かということ。そして、その人達は薬剤師会に入っているのか、入っていないのか。今、詳細なデータを持っていないなら、後で出してください。ただ、過半数を占めているのか占めていないのかということについてまず返事をいただきたい。

○鶴田審議官 今の薬剤師のですか。

○鈴木副主査 課長及び筆頭補佐以上の中で、ざっと数えて過半数以上を占めているのかどうかだけの御返事をください。

○鶴田審議官 薬剤師は薬の審査だけではなく、安全対策、監視、環境、いろいろなところで活躍しています。どのくらいの数になっているかどうか、資料として提出させていただきます。
 もう一つ、薬剤師会に入っているかどうか、これにつきましては、日本薬剤師会には入っておりません。

○鈴木副主査 繰り返しますが、医薬局の方は、日本薬局方の中から引っこ抜かれるのは、これは仕事の範囲を減らすことになりますから、それはいやだという反応をするのだと私は感じておりますので、今の質問をしました。
 次に、先の医薬部外品移行によって、例えばドリンク剤の場合に、一体出荷量とか値段はどの程度に変化したかということについては、どう把握されておられますか。

○鶴田審議官 その前に薬局方というのとちょっと違いまして、そこだけ御理解願いたいと思います。薬局方というのは、薬の規格試験を定めている本でございまして、それが全部の医薬品というわけではないです。
 それから、ドリンク剤、その辺はデータ的に次回にでも出したいと思っております。

○鈴木副主査 それでは教えてあげましょう。値段は2分の1から3分の1になって、出荷量というのは、約1,000 億円が1,400 億円に上がっているのです。品目で見たら400 から900 に上がっているのです。これは、いかに高い薬というものが売られていたかということの証左なのです。たくさん売れたが、値段は下がったということなのです。要するに、その分だけ過剰利潤を医薬業界が取っていた。それが適正化されていったという、国民経済上の利便というか、国民の利便、消費者の利便というのが促進されているという事実を後で調査してください。今返事ができないようなので教えてあげましたけれども。

○鶴田審議官 それは必ずしもそうなっているかどうか。資料を見ないとわからないことです。ということはどういうことかというと、医薬品の方は逆に移行した分減っているわけです。だから、全体的にどうなっているかというのは、資料を見た上でお互いに評価をしなければならないと思います。

○鈴木副主査 それから副作用論ですれども、薬は何でも副作用があると言われ、今日も何度も耳慣れた言葉を聞かしていただいたけれども、余り難しいことを言っても仕方がありません。例えば、うがい薬だけを取りましょう。過剰使用によって有害な作用、それから副作用、つまり併用による副作用ですね。それから、体調等による副作用、そんなものうがい薬にありますか。

○鶴田審議官 今おっしゃられましたうがい薬ではありませんが、のどの清涼剤の一部分は医薬部外品の方に移行させております。中にヨードの入っているものもあり、アレルギーの発生があるということから、医薬部外品の方には移行させておりません(後で訂正)。のどの清涼剤については、平成9年の医薬部外品の移行のときに移行させて、小売店でも売られるようになっております。

○鈴木副主査 次の問題ですが、いろいろな薬の販売の形態がありますね。例えば薬局、それから一般販売業、それから薬種商、配置販売業、特例販売業と、こういう幾つかのものがあって、その中で薬剤師の配置を必要としている薬局、一般販売業は、5万9,000 ほどあるわけです。そのほか薬剤師の配置を必要としない薬種商、それから配置販売業、特例販売業が、合わせて3万8,000 、ほぼ匹敵するくらいのものが薬剤師がいなくても売れる。勿論、売る薬に対しての規制はあるけれども、我々が主張していることは、薬局で売っている薬を全部が全部一般のスーパーや、コンビニで売れるようにしろと言っているわけではないのです。その中の副作用という点で微妙なもの、例えばうがい薬のような、常識で考えたら、今ヨードと言われたが、副作用だとか、そういうものが少なく、いちいち薬局の話を聞くまでもないもの、あるいは聞くこともないもの。そういう薬についても何故薬局しか売ってはいけないのかということを聞いているのです。勿論、目薬やうがい薬に限りません。そのほかにも沢山あると思うのです。
 そういうものが簡単に手に入るということが重要だと言っているのです。まず第1番目に、配置販売業、つまり、富山の薬屋さんですが、恐らくさっきのあなた方の定義から言ったら、重篤な副作用があるものも入っているはずだが、それはなぜ認められて、コンビニは認められないのか。これはどういうことでしょう。

○田坂医薬局総務課長 先生御指摘の配置販売業ですが、実は薬種商も含めまして、これらの販売形態というのは、日本に薬剤師制度が導入される以前から、200 〜300 年前から日本にあった伝統的な販売形態で、多分、薬剤師制度を導入するときに、そういった過去の経緯というか、実態から見て、全部否定することはできないという実態があったのだと思います。そういうことで、こういったものは現在まで残っているということなのです。
 そうは言っても、販売するのは薬ですから、先生御指摘のように、あまり強い作用のないものにある程度販売する医薬品を限定するともに、販売する方についても、一定の薬についての知識がある方になっていただくということで、薬剤師さんほど、例えば4年制の大学を出なければいけない、薬学部を出なければいけないということではないのですが、一定の薬学の勉強をして、一定の経験年数を積んだ方ということで、資格も定めて、ちゃんと薬を扱っても間違いないような形にしておりますし、特に研修とかいったものも併せて行っています。例外的に歴史的な経過を認めたものについても、薬局での販売に近い形にレベルアップするような形でずっと今日まで来ているというのが現状でございます。

○鈴木副主査 歴史があるからというと、これは既得権ですね。既得権があれば、副作用甚大だとあなた方がおっしゃる薬は売ってもよいということになると、一体を何を心配しているのですか。既得権なのですが、それとも国民の健康なのですか、という点に対してどういう答えをされるのか。

○鶴田審議官 それに関しては私どもは、国民・消費者の観点に立って、どういった形がいいかということから、配置販売につきましても、やはり必要な情報提供ができるような形になっていると考えております。それから、それを販売する人についても精査した上でシステムを可としているわけでございます。本当に言うまでもなく、国民の生命、健康の観点から、でございます。

○鈴木副主査 それならば普通のコンビニに対しても、国民の生命・保健に注意しろというふうにお得意の通達を出されればよいではないですか。

○鶴田審議官 そこが担保できるかどうかということで我々としては疑問があるわけでございます。

○鈴木副主査 では、どういうところが基準になるのですか。

○田坂総務課長 既得権ということではなくて、伝統的にあったので、それをどういうふうに適正な形の販売形態にするかということで過去いろいろ手を打ってきています。例えば配置販売業の方というのは、現在、大学で薬学課程を修了した者、あるいは地域によっては高校でも薬学を教えるということがあるので、そういったものを修了して、しかも薬の販売の経験が3年以上あるというような、一定の薬についての専門知識を培った者に認めているということで、そういった意味のレベルアップと言いますか、そっちの方で一応我々は担保してきたということでございます。

○鈴木副主査 それだったら、普通のコンビニについても極めて軽度の担保の問題だと私は理解しております。そういう担保のようなものとして、ある程度の勉強はしておいてくれということを言うという選択もあり得るのではないですか。

○鶴田審議官 先ほど目薬について、1つの例を出されたわけですが、目薬はほかの薬剤と違って、無菌製剤です。だから、無菌のところが維持されていなければ目薬自身が汚染されてしまうのです。したがって、使い方を聞かれたときに、どんな使い方でもいいですよという代物じゃないのです。

○鈴木副主査 目薬の使い方を聞く人がいますか。

○鶴田審議官 そんなことはないです。一般的に薬を使う人は病気の人、またはその症状のある人なのです。それが治療とか症状を改善するために薬を買って服用する。したがって、患者にとっては、やはり肉体的だけではなくて、精神的にも不安であるというケースがあるんです。
 単なる軽い症状の人たちは、自分から相談せずに買っているケースが多いと思います。しかし、症状がやや重い場合には、薬を選択するに当たっては、自分の症状を専門家に話して、アドバイスを求めるということがあるのは当然であるし、そのことを考えるとアドバイスができる薬の専門家が要らないようなシステムがほしいとは、国民・消費者が希望しているとは思えません。

○鈴木副主査 それはあなたがたが勝手にそうおっしゃっておるだけで、例えば夜中に急に寒気がした。風邪というのは早く薬を飲んで寝るのが一番ですが、8時になったら薬局は閉まっていてない。そういうときに自分の愛用薬があり、買いたいけれどもない。だから、夜中に寒い寒いと言っている間に風邪になってしまって、医者に行かなくてはいけない。それで医療費が上がる。これが今の構図です。
 こういうことを防ぐということを言っているのです。それは日中まで待てばいいではないかと言われても、日中になったら風邪を引いているわけですから、そういうところまでどうして防げるのですかということです。皆愛用薬を持っているということを言いたいわけです。これは何回も議論をして、あなたたちとそういうことばかり言い合ってきたから、それ以上はしません。
 特例販売業について、離れ島、それから僻地というけれども、離れ島だけかと思ったら、日本の全部の県に特例販売業はあって、それは全部で1万もあるわけです。東京都にも五百幾つある。この特例販売業というのは一体どういう基準で、過疎地という以上は、例えば人口どれくらいのという基準があるはずですけれども、どういう基準で認めていて、そこには薬剤師が要らないということになっているのですか。

○鶴田審議官 特例販売について課長の方から説明させていただきますけれども、その前に夜間の話が今あったわけですが、これだけ日本の教育水準が上がってくれば、自らの健康管理に自ら事前に手を打っていくというのは一般的だと思っております。自分の場合も、やはり胃腸薬とか風邪薬について、家で常備薬を用意しております。そういうシステムも十分使っていかなくてはなりません。今の話から行きますと、鈴木さんのお話は非常にレアのケースではないか。レアのケースを用いて一般化を考えることが本当にいいのかどうかです。

○鈴木副主査 決してレアではないから申し上げているのです。

○鶴田審議官 それは見解の相違です。

○田坂総務課長 特例販売でございますが、これは典型的な形が過疎地とか離島ということですが、要は薬局とか薬店とかドラッグストアとか、そういうのが近辺になくて、もし、それらだけに限ったら、薬を入手できないような、そういう目安で各都道府県知事等の権限で認められているということでございます。

○鈴木副主査 厚生省はそれは見ていないのですか。あるいは個別でなく、ある一定の基準は示しているのですか。

○田坂総務課長 ですから、申し上げたようなものを基準として示しているわけで、これは各都道府県知事等の段階でも一定の基準があって、それに合致したらというのではなくて、基本的な考え方が書いてあって、個別に見ていくような、そんな形でやられているのではないかと理解しております。
 特例販売についても、先ほどと同じように、例外的なので、売れるものは非常に限られたものです。

○鈴木副主査 それでいいのです。私どもがコンビニでという時には一定の物に限ってでもよいと考えているのですから、この特例販売に極めて似ている話だと思うのです。

○田坂総務課長 その場合、一定のというのは、当然、専門家の情報提供がなくても、大きな問題を生じないという意味と考えています。

○鈴木副主査 例えば大都市、東京、大阪、名古屋、京都、横浜、そういうところで特例販売業というのが、どういうところが認められているのかについての資料を出してください。人口密度とともにです。
 最後ですが、検討会について、私も厚生労働省の「これからの医業経営の在り方に関する検討会」に行ってきました。1人か2人、株式会社に賛成者がいるが、まるで株式会社を潰すための検討会というのを今、厚生労働省はやっておられる。これはどうせそう言ったら、私のところは違いますと言うに違いないから、答えは要りませんが、公正中立という事に対していかなる担保があるのか。

○鶴田審議官 先ほど申しましたように、この検討会のメンバーを見てもわかりますように、医学・薬学の専門家、それだけではなく、消費者の方も入れております。そういった意味では中立的な人からの御意見もいただきながら、国民の民意がどこにあるかということも考えながら、この問題については対処する必要があると考えております。

○鈴木副主査 それでは、補足させていただきますが、私どもはこの部外品としての検討会に期待をしていません。それはそれとしてやられるのは結構です。だが、医薬品そのものとして既に幾つかの、例えば配置販売業だとか、特例販売業、薬種商のところで認めているのだから、それと類似の考え方を取ってコンビニなどでの販売を認めるということです。コンビニは、いま、社会的信用を大きく獲得しているところなのです。税金だってコンビニで払えるのです。国民の利便を考えろということを申し上げて私の質問は締めくくりたいと思います。

○八代委員 私もこの問題について、医療だけではなく、流通のワーキング・グループの主査としても取り上げさせていただいたことがあります。まさにこれは流通合理化の問題でもあります。今、鈴木副主査と厚生労働省の意見交換からおわかりになったと思いますけれども、医薬局は、だれの立場で行政をしているのかということであります。先ほども夜中に薬がなくて困っているという鈴木さんの話に対して、それは消費者が悪い。普段から常備薬を用意していればそんなことはないのだとか、そんな夜中に薬を求める消費者はレアのケースだというご説明でした。そういう消費者無視の論理を行政の責任者が堂々と公開の討論会で言って、当たり前だと思っている精神こそが実は問題です。まさに消費者の利便性ということをどこまで認識されているか。厚生労働省の検討会でも消費者代表は一人で、ほかは全部薬学界の方ですが、そういうふうに一人入れていればそれで公正中立だという考え方自体もかなり問題だと思います。 もう一つは、最初に宮内主査からも指摘されましたが、この医薬品の流通の問題に関して、国民の健康を守るために当然規制は要るわけです。問題は今の規制がどこまで実効性がある規制なのかということです。先ほどのお話にもありましたけれども、薬剤師の役割というのは、医薬品を求めている人に対してアドバイスをすることである。もしそうであったら、そのアドバイスを強制しなければ何の意味もない。私も薬局はよく使いますけれども、みんな白衣を着ていますから別にだれが薬剤師かよくわからず、その人にお金を払って薬を買うだけであります。先ほど積極的に薬の作用を説明するように求めているとおっしゃいましたが、こっちから求めない限りは全然説明はしません。お客もたくさんいるわけだから、一々説明していたら売上げは落ちます。ですから、そういう実効性のない規制というものをどこまで信じておられるのかということです。
 既に現在でも厚生省の検査によれば、薬局に薬剤師がいない場合がある。これは当たり前であって、一人の薬剤師しかいない多くの薬局で、休憩や休みも取るのは当たり前です。そういう実効性のない規制に基づく指導を強化されているわけですけれども、そのお陰でせっかく近くにスーパーがあって、その中で薬品を売っているのに、夜行くと、その薬局の部分は閉まっていて、ますます不便が高まっているわけです。こういう実効性のない規制をするということについて、どこまで消費者の利便を考えておられるのかということを是非お聞きしたいと思います。
 それから、既に先ほど鈴木副主査の方からいろいろ今の規制自体がいろんな例外があるという話がありました。特例販売業とか、富山の薬売り的な人たちは役所が認可するからいいのだという考え方であって、あくまでも薬局の既得権とか、役所の認可権というのを留保したいということではないか。コンビニなどで売られたら、現在の「原則規制で例外自由」なやり方が維持できないと考えておられるとしか理解できないわけです。他のポイントとして、今でも医薬品のカタログ販売というのがあるそうですが、薬局の人だけが、対面販売で説明もなしに通信販売で薬を売れるというのは明らかに既得権ではないかということです。これは既に禁止されたのだったら教えていただきたいですが。同じ薬を特定の店だけに売る権利を与え、しかも、その売っている人は別に利用者に対して何も薬剤指導を強制しているわけではないというのは明らかに既得権擁護です。
 ですから、本来、調剤薬等、説明を強制すべき薬剤と、する必要がない薬をきちっと分けた上で、後者の部分については普通の既得権者ではなくて一般の販売店で売ってもいいのではないかというのが我々の意見です。危険な薬は当然ながら薬剤師がいる薬局でしか売ってはいけない。しかも、そのときは必ず服薬指導を強制するという十分な担保を付けていただきたい。そうでなければ、今まで説明があった規制というのは実効性のない規制なわけです。それでは医薬局の責任が全然果たされていないのではないかと理解します。どうやったら、今おっしゃった点を実効性ある規制に変えられるかということについて是非御意見を伺いたいと思います。

○鶴田審議官 まず、常備薬の件なんですけれども、やり方として、常備薬の活用も選択肢の一つではないかと。もう一つ。

○八代委員 消費者の選択として常備薬を持つのは当たり前ですが、そうすべきということを厚生労働省がお説教するのではなくて、万一、ない時に、子供が熱を出したらどうするのかということを聞いているわけです。

○鶴田審議官 最後まで聞いていただいてから、御質問があればいただきたいと思います。そのほか地域の薬剤師会におきましては、夜間に交替で店を開ける輪番制とか、連絡先を表示したステッカーをシャッター等に貼付するなどの取り組みも行われております。

○八代委員 取り組みをやっているだけであって、例えばフランスのように、ある薬局でも閉まっているときは、この近くのこの終夜営業の薬局に行ってくださいとう掲示が必ず張られていますか。それとも、単にそういう通達を出しただけですか。そこを言っていただかなければ、それが全然実効性のある規制かどうかわからないわけです。

○鶴田審議官 データ的にどのくらいかというのは今持っておりません。

○八代委員 それでは全然実効性がないではないですか、データすら持っていないわけですから。

○鶴田審議官 そういう旨の通知を薬剤師会から出されていることも御紹介いたします。

○八代委員 結果がどうであるか言っていただかなければ、役に立つかどうかわからないわけで、通知一本出せば、それで厚生労働省の責任がなくなるわけではないですね。

○鶴田審議官 今日の質問の全部については、最初から用意しているわけではございませんから、そういうデータがあるかどうか、探してみようと思います。

○八代委員 そんな特殊な質問をしているのではなくて、そちらが、コンビニなどで薬を売らなくても、既存の薬局で十分である。なぜならば、薬局が閉まっていれば、ほかの薬局に行けばいいということが徹底しているのだという御説明をされているわけですね。そうであれば、ちゃんとその根拠を示して頂きたい。単に、やっていますというだけではだめで、きちっとその根拠も含めて説明していただかなければ、説明したことになっていないではないですか。

○田坂総務課長 薬剤師会のやっている輪番制ですが、先生御指摘のように、確かにすべての地域で徹底しているというわけにはいきません。その数字的なところもありますが、ただ、やっているところは、先生言ったように、どこに行ったらいいかというような形で表示をしているところがございます。

○八代委員 やっているところの比率を教えてください。

○田坂総務課長 それはまた調べます。

○八代委員 まさにそういう聞かれたら調べますという態度で明らかであります。ここは規制の実効性を議論する場なので、それを単にやってますとだけ言えば済むと思っているのは余りにも甘い認識ではないですか。

○田坂総務課長 すべて100 %の地域で行政の方針を実行するのは正直言って非常に難しゅうございます。例えば先ほど御指摘いただいた薬局へ行っても、説明などしてくれないじゃないかというのはおっしゃるとおりで、そういう薬局がままあります。

○八代委員 ままなんて中途半端な言い方をしないでください。それは例外的なのですか、それとも一般的なのですか。100 %に近いのか、それとも10%かを聞いているわけです。

○田坂総務課長 私どもそれは勿論問題だと思っていまして、1つは、雇われている薬剤師さんがそういうことをできるだけのトレーニングを受けていないという問題もあります。私どもは極力そういうふうに対応できるような形で人もちゃんと配置し、研修もやりということで努力しています。確かに数値的なことは私どもどうやって調べたらいいかというのがあるのですが、そういうのが例外的なのかどうかということは、探してみます。例えばこれは抜き打ちの検査でそういったところに薬剤師さんがいるかどうかというような形ではかなりはっきり調べられるので、それを調べたのはございますが、例えば平成13年の場合に、薬局の場合は大体3%弱のところで抜き打ちしたときに薬剤師さんがいないということがございました。
 それから、一般販売業と言いますか、ドラッグ・ストアの場合は大体2割程度ということになっております。
 先生の御質問にぴたっと答える数字ではないのですけれども、状況証拠的な形でこんなデータもございます。

○八代委員 抜き打ち検査をわざわざしなくても、例えば消費者モニターに頼むとかはできないのですか。それから検査をしなくても小さな薬局は2人も薬剤師を抱えられないのは明らかです。一人の薬剤師だったら労働基準法がありますから、1日に8時間しか働けないし、休憩時間も取らなければいけない。明らかに無理なことを規制で要求されているわけです。一人薬剤師の薬局について8時間以上オープンしているということ自体がですね。だから、もともとそういう規制は無理であるという認識を持っておられるかどうかということです。

○田坂総務課長 ですから、私どもはどういう体制で薬局を経営されるかということは、その薬局の方の御判断だと思うので、その開いている時間、きちっと法令の基準に合致した形でやられるなら、それなりのものをそろえていただくということだろうと思います。

○福井専門委員 幾つか質問ですが、外国で対面販売ではなく一般小売店で薬を売っている国を調べておられますか。

○田坂総務課長 数字的なものはありませんが、大体一般薬の取り扱いというのは3形態あり、非常におおざっぱな言い方をしますと、例えばアメリカのように一般薬全体を小売店で売ることを認めているところ。逆にフランスのように・・・。

○福井専門委員 アメリカの例でいいですが、アメリカでその場合に具体的な消費者の被害や弊害というのは発生しているのですか。

○田坂総務課長 私ども正確にはとらえておりませんが、説明を続けさせていただきたいのですが。

○福井専門委員 この質問に答えていただければいいです。

○田坂総務課長 初めの質問にお答えしたいのですが。

○福井専門委員 初めの質問はそのためですから、それだけで結構です。

○田坂総務課長 フランスの場合、逆に一般薬を全て・・・。

○福井専門委員 アメリカの例をお答えください。質問はそれです。アメリカで弊害があるかどうかを端的に答えてください。

○田坂総務課長 勿論、副作用の報告はあると思います。

○福井専門委員 違います。薬剤師が説明しないで売ったために発生している弊害はあるのですか。

○田坂総務課長 薬剤師さんがおらないで売られて、副作用が生じているということですから、そういうことじゃないでしょうか。

○福井専門委員 それが薬剤師の不在によるものだという実態はあるのですか。

○鶴田審議官 アメリカの場合、全部がコンビニで売っているかというと、そうではないです。ドラッグ・ストアで売っている場合もあるわけです。私が聞いている感じでは、ドラッグ・ストアなど薬剤師がいるところで売られているのが多いのではないかという話を聞いています。

○福井専門委員 薬剤師は規制で必ず設けることになっているのですか。

○鶴田審議官 日本ではそうなっています。

○福井専門委員 違います。薬を売るお店では薬剤師を置かないといけないという法令にアメリカはなっているのですか。

○鶴田審議官 売っているところについては。

○福井専門委員 そうじゃないです。規制があるのかどうかを聞いているのです。

○鶴田審議官 アメリカでは規制はないです。規制がないから、薬局でもドラッグ・ストアでも売れるわけです。薬剤師がいるところでも、薬剤師を置いていないコンビニでも売れるわけです。だけれども、薬剤師のいるドラッグ・ストアなどで売られているケースが多いのではないかと言われています。
 どの程度コンビニとドラッグ・ストアとに売り方の差があるのかどうかについては、アメリカ政府に聞かないと詳しい情報はわからないと思います。

○福井専門委員 海外でそういう例があるのであれば、ちゃんと実態調査をされて、アメリカで具体的にどういう被害があるのかとか、インターネットならすごく近い国ですから、もう少し実態を調べられて、そちらでの弊害、こちらでの弊害など、比較法的な検討を全然されていないように思うのですけれども、もうちょっとちゃんと比較いただいた方がいいんじゃないでしょうか。

○鶴田審議官 当然、一般薬も医薬品ですから、効くということは一方に副作用があります。

○福井専門委員 実態はともかく、まず規制がないのは今お認めになられたとおりなのですから、規制がなくて、その規制がないがために発生している弊害が、もしさように重要なことであればアメリカでも発生していないとおかしいと思いますが、その実態をお調べになった方がよろしいのではないですかということです。
 次の質問ですが、販売実態のお話、先ほどからの議論でも出ていた、薬剤師の不在が2割ないし3割あるというお話ですが、その場合に、説明できないわけですね。不在の間に売った薬はどのくらいあって、その薬を買った人がどのくらい副作用や過服用で弊害を受けているかという調査をされていますか。

○田坂総務課長 しておりません。

○福井専門委員 販売実態として、これも先ほど来の八代委員始めの議論にありましたけれども、現実に薬を買いに行って説明を受けた人はほとんどいないというのは、むしろ国民の常識だと思うのです。説明を受けないで買った薬で何か被害を被った人がいるのかどうか、その被害の中身は何だったのかという実態調査はされていますか。

○田坂総務課長 私どもそれはございませんが、ただ、逆に言いますと、一般薬についていろいろな副作用報告、被害の報告がありますので、それが果たして説明を受けた場合か、受けない場合かということだろうと思いますけれども。

○福井専門委員 その中で重大な副作用報告があったものが説明を受けていないために発生したのであれば関係があるかもしれない。それを調べていないのに薬剤師を置くことが副作用を防ぐための重要な手段、政策手法だということをどうして断言できるのですか。

○田坂総務課長 確かに調査がないので言えませんが、個別の事例で見ますと、特に過剰使用とか・・・。

○福井専門委員 個別ではないのです。これは要するに国全体に一律に法令で強制するという話ですから、要するに統計手法で検証に耐えるようなデータがないときに、それを根拠だとは言えないのです。そういう根拠をお持ちでないのに、どうして政策を一律に決めることができるのですか。

○田坂総務課長 統計的なものがあればそれに基づいてお答えするのですが、とりあえずないので、個別のケースを幾つか御紹介申し上げたいと。

○福井専門委員 データがないのにその強制を維持しているという姿勢がよくわからないのです。ないのだったら、その実態を調べられればいいじゃないですか。簡単なことですよ。ちょっとしたアンケートやインタビューでできることです。それをおやりになったらどうでしょうか。

○鶴田審議官 薬剤師の立場からすれば、薬についての飲み合わせとか、自分の症状から見たらどうでしょうかということについて、消費者に対する積極的なアプローチにも答えているわけです。
 もう一つは、薬によっては、例えば眠気によって・・・。

○福井専門委員 そういう議論をしているのではないです。統計的手法で検証してはどうでしょうかというのが質問です。

○田坂総務課長 果たしてこの世界が統計的なものだけで処理していいかということです。例えば・・・。

○福井専門委員 個別の例についても調べておられないのでしょう。薬剤師が不在のときに売られた薬の副作用かそうでないかを、今お話を聞いた限りではそれも調べていないのに、何でそれが薬剤師が不在のせいだと言えるのですか。

○田坂総務課長 基本的に薬による被害というのはしょっちゅうあるわけではなくて、例えば10人使ったら、中に必ず1人いるとか、そういうものではないので、ただ、そうは言っても、1,000 人、あるいは1万人に一人あってもそれは見過ごしにはできないと思うのです。例えば私どもには医療機関・薬局から一般薬も含めて大体4,000件くらい上がってきていますが、そのかなりのものが併用によるもの、あるいは過剰使用によるもの、あるいは既往症との結び付きによって起こるもの、そういうものが多いということでございます。

○福井専門委員 それはわかりますが、それは薬剤師の説明がなかったためなのかどうかがここでの論点ですから、それを支持するようなデータとして処理されなければ、根拠のある説明にはなっていないのです。もし、それをなさりたいなら、その主張自体疑問ですが、今からでも遅くはないから、調査をやられたらどうですかということです。

○田坂総務課長 薬剤師の情報提供があったかどうかは別として、それが有効に、過剰使用を防いだり、あるいは逆に既往症を考慮しなかったり、あるいは併用を考えないでお薬を入手されたということは事実なわけです。

○福井専門委員 もう一つ更に言えば、もしおっしゃるような根拠が仮に正しいのだとしたら、説明していない薬剤師を置いているような薬局を厳しく指導するとか、あるいは説明を受けないで薬を買うことを禁止して、許可制でも敷かれるとか、首尾一貫した政策を取られるのが筋ではないですか。

○田坂総務課長 その辺はおっしゃるとおり悩ましい世界であり、ゼロか100 どちらかと言うわけにいきませんが、私どもはやはりそういった一般薬の副作用のケースは大体の場合そういうケースなので、そういう能力のある薬剤師が必ず情報提供できるような体制を組めということで、指導を徹底しています。
 勿論、先ほど言われました行政の方針を100 %現場にすり込むというのは日々の努力を続けるしかないということです。

○福井専門委員 むしろ100 %守られていないというのが実態なわけです。

○田坂総務課長 守られていないから、そんな規制は意味がないということではないと思います。

○福井専門委員 意味があるのならちゃんとやったらどうかということです。
 もう一つ、最初買うときには勿論、おっしゃるような指導が仮に徹底していれば、説明を受けて納得できるわけです。同じ薬を2回目以降買い続けるときに、また同じ説明を受ける必要はあるのですか。

○田坂総務課長 もし、理解されていなければ当然そういう・・・。

○福井専門委員 理解している人が2回目以降買うときに、もう一回薬剤師のいるところでないと買えないというように縛る意味は何ですか。
 例えばさっき審議官がおっしゃったように、風邪薬を買いだめしておけばいいと。買いだめするということは、要するに1回説明を受けたら同じ薬をいっぱいストックしておいても構わないということですから、説明を受けて理解している薬について、2回目以降、また薬剤師がいるところでないと買わせないということを強制することの実質的合理性を教えてください。

○鶴田審議官 例えば1回目と2回目とでは全く症状が同じかというわけではないと思うのです。その場合には、購入された薬局に照会した時、そこに専門職である薬剤師がいれば適切な対応ができるのではないか。

○福井専門委員 2回目に症状が違うときには、症状を聞いて、それに合うかどうかを判断してからでないと売らないようにしているのですか。

○鶴田審議官 そこは患者の自己責任というか、患者の権利じゃないですか。

○福井専門委員 患者の権利として、おれは説明を受けて理解しているから、同じ症状だから、もう説明は要らないという人に対して、説明ができる販売員のいるところでないと売らないという規制をしていることを意味します。

○鶴田審議官 そうじゃないです。副作用についても、起こったことだけを調べるだけでいいでしょうか。大事なのは、副作用をできるだけ起こらないよう予防的になくしていこう、軽減させていこうということであり、そこに専門職を置く意味があると思います。

○福井専門委員 そんなことを聞いているんじゃないです。

○鶴田審議官 そんなことないです。それが抜けているんじゃないでしょうか。

○福井専門委員 次の質問で、自己責任という議論が冒頭にありましたが、自己責任というのであれば、販売許可なら自己責任の剥奪だということになる。だけれども、最後は繰り返しそちらもおっしゃるように患者自身が選択して、買う買わないの自由があって、説明がなくても、現に買っているという実態があるわけです。だから、自己責任ということの意味がわからないのですが、もう一度教えていただけますか。

○鶴田審議官 さっき言いましたように、薬を自己責任で選んで買う場合であっても、例えばここがかゆいとか、そういったケースの場合には、多分、自分で薬を選んで買っているケースがあると思います。ただし、症状がやや重くなってくれば、専門家にその症状を話して、アドバイスを求めたいということは当然あるのではないかと。

○福井専門委員 おっしゃるとおりです。だったら、軽い症状のときには薬剤師がいないところで買わせてあげて何が悪いのかということです。
 最後の質問ですが、配置販売業について、知識経験を有する者ということで高校で勉強して3年以上販売経験とか、5年以上販売経験とありますが、こういう基準を設ければ配置販売業について副作用などの弊害がないという御判断でこういうことを認めておられるのですか。

○田坂総務課長 一応こういう形で担保しているということです。

○福井専門委員 だったら同じ基準を仮にコンビニの店員について5年以上の販売経験のある人に認めて何の支障があるのですか。

○田坂総務課長 先ほど言いましたように、私どもは本来、薬剤師のいる薬局ということで、薬の販売に対する安全性を担保しようということで導入したわけですけれども、その当時からこういった実態があるので、それをすぐさま否定することができなかったので、それをいかに本来の形に近づけるかということでいろいろ規制をしているわけです。

○福井専門委員 先ほどの話では、既得権の問題ではなくて、国民の生命・身体・健康のためということが大前提でしょう。であれば、既得権があるかどうかによって国民の健康の状態が変わるということにはならないはずですから、こういう基準を設けられたということは、富山の薬売りについても、5年以上販売している人は知識、経験があるはずだという一種の政策的割り切りをされたわけでしょう。だったら、それと同じ要件をコンビニに課すことで国民の生命・身体・健康は守られるという前提にならなければ、首尾一貫しないし、つじつまが合わないではないですか。

○田坂総務課長 こういう薬剤師という制度が導入される以前にあった制度も、本来・・・。

○福井専門委員 以前か以後かは国民の健康とは関係ないんです。患者なり健康に興味がある普通の市民にとって、5年以上販売経験があればそれは構わないということを厚生省が割り切っておられるなら、それはコンビニで売ろうが富山の薬売りで売ろうが、その患者、あるいは薬を買いたい消費者にとって、薬売りから買ったときには大丈夫で、コンビニから買ったときには副作用があるという医学的根拠があるなら教えていただきたい。そうじゃないのであれば、同じ基準でないとおかしいのではないかという質問です。

○田坂総務課長 私どもの制度というのは常に完璧ではないです。より良く改善しようとしているわけで、配置販売業も言わばそういった歴史的なものなので、例外的に認めているわけです。

○福井専門委員 これは悪い制度なんですか、いずれ廃止すべき制度なんですか。

○田坂総務課長 極力本来の形に近づけたいというのが我々の考えでございます。

○福井専門委員 制度が残っているということは、医学的根拠があるということですから、医学的につじつまの合う政策としてやっていただきたい。

○田坂総務課長 つじつまの合うような形でもっていきたいということです。

○福井専門委員 今の説明では、つじつまが合っていないということを自白されているじゃないですか。

○田坂総務課長 現在の形は、その途中経過にあるということでしょうけれども、本来の形に私どもは持っていきたいと考えているわけです。

○森委員 伺っていると、いつまでも国民は無知蒙昧であり、自己責任でやらせておくと間違うに違いないというような、そういう時代もあったかもしれませんが、これだけ教育も徹底し、情報化社会で、いろいろな情報が、いろいろな機関を通じて入ってくる時代になっても、同じことをやっていなければいけないのか。もう、そろそろ自己責任でやらせてもいいのではないか。薬も買ってみたけれども効かなければ薬剤師がいるところへ行くと、それともだめならお医者さんに行くわけなんで、薬剤師がいればお医者さんは必要ではないみたいな意見を言われているけれども、そういうものではなく、必要なときに相談できるレベルに専門家がそれぞれいれば良いので、やたらにそれを義務づけて、それがなければ売ってはいけないというようなおせっかいをするのは、もうやめる時代じゃないかというのが私らの基本的な認識なんです。いかがですか。

○安倍審査管理課長 私は、今度の新部外品の検討会を担当しております審査管理課の者ですが、今の御質問もございますけれども、要するに、広く国民の声として、医薬品をいわゆるコンビニなどで売って、その結果健康被害が発生した場合に、自己責任として受け入れられる日本の社会というものであれば、これはまた議論の余地があると思います。しかしながら、一般用であっても、先ほど御紹介があったようなスティーブンス・ジョンソン症候群のように、ほとんど失明すら起こり得ることが一般用の風邪薬でもあるわけであり、そういったものを現実に、トータルで1万人に1人だから私には関係ないということになっても、もしそのお一人がその健康被害を発生した場合に、だれが責任を負うのかというところがきちんと国民的コンセンサスが得られて、そのことを納得できる社会であれば良いのかもしれません。しかし、そこのところにはいろいろな考え方があり、今、私どもがいろんな御意見を伺っている限りにおいては、健康被害が発生したときには、スーパーが責任を負うということになるんでしょうか。

○八代委員 薬局の方は責任を負うのですか。

○安倍審査管理課長 薬局はトータルにおいて、今の制度で行きますと、今の薬局・薬剤師というのは、例えば医療用の薬であれば、処方箋の内容について・・・。

○八代委員 元々、薬局でしか売れない処方箋薬の話はしていないです。一般の薬の話をしているのです。

○安倍審査管理課長 勿論そうです。それと一般用との併用の話もあるわけです。したがって、医療用の処方箋が来たときも、一般薬についても、どういうものを服用しているかということを確認して、トータルの医薬品としての相互作用で安全であるかどうか。その確認義務があるわけです。

○福井専門委員 副作用の被害があった人について、薬局が損害賠償か何かの責任を取った例があるんですか。

○田坂総務課長 ございます。

○福井専門委員 説明責任を果たしていて、ということですか。

○安倍審査管理課長 いや、説明責任を果たさずにですね。

○森委員 どういうケースで責任を取られたのか、御報告を願いたい。

○安倍審査管理課長 健康被害が発生した場合に、薬剤師がちゃんと民事責任を負うということは現実に今あるわけでございます。

○福井専門委員 具体的にその事例を出してください。判決でも和解でもいいですから。

○森委員 お医者さんだって誤診をする。薬剤師は間違って処方しないなどということは、あり得ないですね。万が一にもありません、万が一に起こったらどうするのかと、それはお互い常識の問題ではないのですか。だから、万が一を考えたら何にも売れないということになってしまいますね。その人の健康状態などは薬剤師にはわからないですから。それをまるでお医者さんの代わりみたいなことができるような言い方というのもおかしいのではないですか。

○鶴田審議官 規制緩和の成果として、平成9年に医薬部外品に医薬品から移行させたわけです。したがいまして、非常に作用が緩和なもの、自己責任が全うできるものについては移行させたわけですから、そこの評価を頭に置き、この問題を考えていくべきと。

○森委員 いつも小出しになさるんですよね。何を思っていらっしゃるのか知らないけれども、いつでも小出し小出しで、世界では当たり前のことが日本ではちょびっとだけやると。そういう行政をなさっているのはもう時代遅れじゃないですかと。

○鈴木副主査 薬効を落として、日本薬局方の中に入っているものは除いて、つまり薬の効果を落として移行させているのではないですか。消費者に対して効き目のないものを押し付けるという、極めておかしなことをやっているのではないですか、医薬部外品に移したときに。つまり、薬の成分に入っているものを除いて、それを医薬部外品である薬だと称してやっているのではないか。

○鶴田審議官 それは当然ではないでしょうか。15薬効群と言ったわけだから、薬には1つの薬効だけではないのです。

○鈴木副主査 もう一つ、さっきあなたはうがい薬はヨードが入っているからと言うけれども、どこに入っているのですか。のどの清涼剤というのは、トローチ・ドロップというのがあるけれども、それ以外にうがい薬はどこにもないですよ。まさかトローチ・ドロップをうがい薬と言いたいのではないでしょうね。

○鶴田審議官 済みません。調べさせたところ、うがい薬は現在、部外品ではなく、喉の清涼剤が部外品です。

○鈴木副主査 だから、間違っているということでしょう。わかりました。うがい薬でどうして合併症が起こるのか不思議でしかたがないから、うがいをし過ぎるとなぜ弊害があるのか、さっぱりわからないから聞いたまでです。

○稲葉専門委員 私、今日初めてこの会議に出させていただいて、この問題を初めて聞かせていただいたのですが、どうも御議論、あるいはこのペーパーを拝見していると、医薬品は過量使用、副作用の恐れがあるため、これは目的ですね。そういった目的を達するために、薬剤師を常駐させなきゃならない。これは手段ですね。その関係がどうも頭にすっと入らない。
 なぜ入らないかというと、本当に厚生労働省として、過量使用、副作用の恐れがあるということを省として強調されるとすれば、一方で医者の方がまさに大量の投与をして、過量服用をさせているわけですよ。消費者というか、患者の側は、『医者からもらった薬がわかる本』などを読んで、この薬を飲んで大丈夫かどうかということを一生懸命チェックしています。医者からはこれを飲めと勧められたけれども、飲まないで捨てようとか、どこかにためておこうということをしているという実態を十分に把握した上で、いろいろ御議論いただきたいと思います。
 多分、今の話は、医者の世界の話で、薬局の世界ではないとおっしゃると思いますが、そういう患者というか、病気のあるいは病気にかかりそうな人の実態を余り御存じなくて、そういう人たちは何も知らない。一方で薬剤師、医師は何でも知っていると、そんな前提でお話をされていると思うのですけれども、これはかなり違うわけでして、特に医薬品の副作用とかになりますと、個人差が非常に大きい。例えばアレルギー体質の人などは、医者からもらった薬を飲んではまずくて、先生この薬を飲んで大丈夫なんですかとチェックしています。ああ、大丈夫だと言われても、飲んでみて具合が悪くなったらやっぱりやめて、次は出してもらわないと、こんな感じになっていることが多いんです。
 ですから、薬学一般の知識水準なら確かに薬剤師の方がずっと高いかもしれないけれども、自分に対してどういう薬が適当であって、どういうのが過敏かということについては、一般の消費者の方が情報を多く持っていることが普通になっているということは、実態として御認識いただきたい。
 それから、大変申し訳ないが、一般の常識としては、薬局に常駐している薬剤師というのは、名義貸しみたいなもので、行かなければならないからときどき行っているかもしれないけれども、パートか何かでですね。余り知識水準も十分でないし、相談にも耐えないように、世間一般はそういう認識を持っているのではないですか。
 薬を売っているお店の分類も、薬局、一般販売業、あるいは薬種商販売業と分かれていても、一般の人はそれをわからないですね。どの店がどれに該当するか。あるいはさっき議論に出たように、誰が薬剤師であるかもわからない。
 ですから、そのような実態を踏まえた上で、規制の目的と手段の関係をよく考えていただきたい。今ずっと聞いていますと、薬局に配置されている薬剤師の機能というのは、要するに情報提供機能なんですね。相談に応じてか、あるいは症状に応じてかはわからないけれども、情報提供機能。そうすると、情報提供機能はこれだけではないのです。例えば薬には、必ず効能書きというのが入っている。その効能書きは、大体において薬剤師の説明よりももうちょっと細かいです。きちんと書いてありますよ、アバウトな説明よりは。それは読まない人もいるとか、いろいろおっしゃるだろうと思うけれども、そういう効能書きみたいなものをきちんと書く、わかりやすく読みやすく書く、あるいは的確な理解を助けるようなほかのいろいろな資料を出すとか、そういうことを併用すれば必ずしも薬剤師を配置するという手段でなくても、過量使用、副作用の恐れは、かなり防げるんじゃないですか。そういう政策の目的と手段の関係をよく考えて、総合的に一番効果があって、かつ、消費者や患者の便利になるような方法を考えていただきたい。
 そして、もしそういうアドバイス機能が消費者にとって有効で、かつ歓迎されるなら、立派な薬剤師を配置している薬局と、そういうものを配置していないところではサービスの差がつくわけですから、そういう競争関係を利用してもらったらいい。
 是非ともうちのアドバイスを受けなさい、いらっしゃいというところと、そうではないところの差を付けるという事実上の競争で結果が出ればいいので、国家権力で情報の提供を強制する、一方でサービスがつかないものを禁止するという話では全然ないと思うのです。まず、手段と目的との関係で何が効果がある手段であるかということを、各種の実態をよく調べた上で、検討してご議論いただきたい。
 私、初めてこの議論に参加しましたけれども、どうもおっしゃっていることが、目的は非常に高尚なんですけれども、その手段が効果的かどうかということは全然理解できないのです。

○鶴田審議官 いろいろと御意見ありがとうございました。確かに医薬品の副作用事故、これをいかに未然に防いでいくか、これが私は一番大事だと思います。これは薬剤師と行政だけでできるわけでもないし、これはやはり消費者、国民がそういった情報を受ける、また一方で、理解できるようにしていくと、こういうことが大事だと思います。
 したがいまして、この5年、10年を見ていけば、情報量も増えてきているし、理解度も深まってきているのではないかというふうに考えます。
 しかし、医薬品については、必ず一方では副作用があるということを頭に置いて、そこに専門職の人が必要であるということも事実です。その辺をやはり医薬品の副作用に注意が必要な点に関して、理解が不十分な場合に、薬剤師がそこに関与して、未然に防止をしていくというようなことについては、引き続き必要ではないかと考えます。

○稲葉専門委員 ちょっと違うと思うのです。薬局に配置されている薬剤師は、薬局に勤めている以上は売上げの増収に寄与したいと思うのは当然でしょうし、それは副作用の防止を図りたいという目的とは一致しないのではないでしょうか。
 もし本当に副作用、過量服用を防止する目的であれば、どんな薬を飲んだらいいのかという相談員でもどこかに作ればいいのです。薬局に相談に行けば、この薬を飲みさないと言って、その時持っている薬の中で一番良いと思うものを推薦するのではないでしょうか。人によっては、それだって悪い場合もあるわけですから、目的と手段は合致しないのではないかという気がします。別の御意見もあるかもしれませんけれども、本当に相談機能というのが大事であれば、それはそういうことを考えるべきだし、副作用情報などは、それこそ今度住基ネットICカードの余白部分を利用して、その人の副作用情報を入れるように指導すればいいのであって、薬剤師の配置ということで、こういう目的を達しようというのは、余り有効性がないのではないかという感じがいたします。

○鶴田審議官 付け加えさせていただきますけれども、この薬剤師の役割は、情報提供のほかに、薬局にあります薬の品質保持にも十分管理をさせるということが非常に大きなことになっております。やはり劣化しやすいものもあるし、冷暗所に貯蔵しておかなければならないものもあろうし、それから、情報を国民、消費者側に伝達するだけではなくて、逆に情報があったものについて、行政機関の方にも通報する。カンパニーの方にも提供していくという役割も担っていることも追加させていただきます。

○宮内主査 時間がございませんので、河野さん、お願いいたします。

○河野委員 今の薬剤師のことですが、データを後でいただけるということでしたので、結論を言いますと、薬剤師の数と名寄せをしたグロスの動きの総人数等を是非お教えをいただきたい。
 実は数年前に求人で一番倍率が高くなって、しばらく数がどうしても充足しなかった職種のナンバーワンが薬剤師だった時期があるのです。今は非常に薬剤師は余っているわけじゃないから、1年間くらい全く充足しないということが続いて、さっき名義貸しという話が出ましたが、そういうことで終焉したのかどうか、今、いろいろなお話が薬剤師について出ていますけれども、数の推移や、実態的な役割とそれに合ったバランスなのかどうかということを後で報告いただくようお願いいたします。

○鶴田審議官 今のお話ですけれども、薬剤師の供給に不足が心配されたのは、今、医薬分業が進んでいて、医療機関からの処方箋の応需対応ということで、薬局の調剤薬剤師を増やしていることがあるわけです。ただし、現在、年間9,000 人くらいの薬剤師が卒業されておりますので、将来的な供給については問題ないだろうという資料がありますので、提供させていただきます。

○高原委員 今日のワーキング・グループのミーティングを今後どういうふうに生かしていくかという視点から一点だけ発言をいたしますけれども、厚生労働省側、そして我々委員側の発言の中で規制改革の目的というのが、今日いただきました販売規制についての厚生労働省の考え方、この内容について更に規制改革をすることによって国民により役立つ内容という一点では共通して論議を進めていますので、そういう点でもう一度事務局、今日の記録を見直しながら、進めてもらったらと思います。

○宮内主査 予定しました時間がまいりましたので、実はここで議論しまして、結論を出すということは、もう何年もやっているものが、この会合で結論が出るということはなかなか期待できないわけでございまして、再度か、再再度かもわかりませんが、こうして医薬品についての考え方の相違ということをできるだけここで浮き彫りにするということができれば、この会議の目的は達したんだろうと。それに基づいて国民の視点に立って、また、規制改革という社会的な要求に対してどのように実際問題として次の方策を考えていくかということを議論を進めてまいりたいと思います。
 そういう意味で本日は貴重な御意見を賜りましたことを心から御礼申し上げたいと思いますが、今日、たくさん御質問させていただきました点がございます。この質問の内容につきましては、事務局からまとめまして、具体的にお答えをちょうだいしたいと思います。
 私、最後でまとめるつもりはございませんけれども、今日のお話の中で、いろいろ規制の必要性、根拠ということに対して、その根拠となるデータが私どもとしては十分納得するだけのものがなかった。そういうことで、本当に科学的なデータに基づいた規制ということでないと、なかなか納得できないのだろうと。
 そういう意味で、薬剤師の問題と、薬剤師が安全を管理するという問題と、薬局が4万5,000 軒あるのに対して、薬種商が1万5,000 、配置販売業が1万2,000 、特例販売業が1万というように、数から言いますと、例外措置の部分が極めて大きい。規制といたしましては、全国公正な規制になっていないということは事実ではなかろうかと思います。
 私は確かに事故を防ぐということでいろいろ厚生労働省でお考えになっていることはよくわかるわけでございますけれども、それもやはりデータに基づいて規制をするということが最低必要な国民に対する義務ではなかろうか。事故を防ぐよりも、医薬品をよく利用してもらうということの方がもっと重要なのかもわからないということを感じて、聞いておりました。今後の議論を更に深めさせていただきたい。お考えにつきましても、また、深化していくということを是非私どもは期待させていただきたいと思います。
 それでは、以上をもちまして、厚生労働省との公開討論を終わらせていただきまして、今後は我々ワーキング・グループと具体的な詰めをさせていただければと思います。
 長時間大変ありがとうございました。


内閣府 総合規制改革会議