平成15年度 第1回総合規制改革会議 議事概要

1. 日時

平成15年5月6日(火)12:45〜14:15

2. 場所

永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室

3. 出席者
(委員)

宮内義彦議長、鈴木良男代理、奥谷禮子、神田秀樹、河野栄子、佐々木かをり、清家篤、高原慶一朗、八田達夫、村山利栄、森稔、八代尚宏、安居祥策、米澤明憲の各委員

(政府)

石原規制改革担当大臣、大村大臣政務官

(事務局)

坂政策統括官、河野審議官、竹内審議官、福井審議官、宮川事務室長、中山事務室次長


議事次第

  1. 各ワーキンググループの検討課題について

  2. 規制改革推進3か年計画(改定)のフォローアップ結果について

  3. その他


議事概要

(1)各ワーキンググループの検討課題について

 冒頭、石原大臣の挨拶の後、各主査より、各ワーキンググループ(以下WGと記載)の検討課題について説明がなされた。前半はアクションプラン実行WGの宮内主査、医療・福祉WG、エネルギー・運輸WGの鈴木主査、教育・研究WGの奥谷主査、基本ルール・基盤整備WGの神田主査が説明を行い、これに引き続き以下の内容の質疑応答があった。

 (●質問・意見、→質問・意見に対する回答)

●アクションプラン実行WGにおける重点検討事項の一つである職業紹介事業の開放促進については、有料職業紹介事業の求職者からの手数料徴収に係る規制緩和を進めることの前提として、料金規制が存在すること、許可制が維持されること、全国的に一定の質の無料の職業紹介サービスが担保されることが必要であり、この点をきちんと書いておくべきである。また、その下に記載されているハローワークの組織・業務の見直しについては、現在の無料の職業紹介サービスの質が低下しないことが、その基本的な前提条件であると考えているが、そのような理解でよろしいか。

→そういう認識でよい。現状よりサービスの質が向上することがそもそもの議論の大前提となっている。

●そういうことであれば、その点をしかるべくテークノートしておいて頂きたい。

●同じ部分に関連し、雇用保険のみにしか言及されていないが、社会保険との関係がうまく行っていない点も問題である。この点についてもきちんと書き込んで頂きたい。

→ペーパーにおいて大きな文字で記載された部分は総合規制改革会議としての主張である一方、委員御指摘の小さな文字は相手方省庁の反論をごく簡潔に記載したものである。

●公設の形態を維持しつつ、質の高い職業紹介サービスを提供するのはかなり難しいのではないか。現状において、職業紹介のマッチング率は2割以下である。また、業務の殆どは失業保険の給付に係るものであると理解しているが、この業務のために公設の形態を維持しなければならない必然性は存在しない。サービスのクオリティを向上させるためには違う方向性について考えるべきであり、職業紹介に係る現状に鑑みれば、行革という視点も含めて抜本的な対応が必要になるものと考えるが如何。

→本WGにおける職業紹介の議論は、そこまでは及んでいない。ご指摘のような趣旨については、今後、個別のWGにおいて次の段階の問題として御議論頂きたい。

●当面、12項目のうちのいくつかをピックアップして対応していくとのことであるが、その後の取り扱いについてはどのようにお考えか。また、経済財政諮問会議にて取り上げられなかった事項についてはどうなるのか。

→委員各位のご意見を踏まえて対処していきたい。ただし全部取り上げるよりも、むしろ優先順序の高い事項を中心に、経済財政諮問会議にて取り上げて頂いたり、政治的な決着をお願いしたりするという形になろう。なお、それ以外の事項についても当会議の場で分野毎に議論していくのか、別の手法によるべきなのか委員各位のご意見を承りながら考えていきたい。いずれにせよ、諦めるということは考えていない。

●アクションプラン以外の件で、教育についてはガバナンスのほか、私学教員の雇用保険未適用の問題についても検討していただく必要があろう。また、私学審議会について、私立学校を設立する際には、そのエリアの利害関係者である既存の学校関係者がメンバーに入っていることが自体が、需給調整機能として働くこと自体が問題であり、単に現行の4分の3基準を引き下げればよいわけではない。この点についても検討する必要があるのではないか

●法務・金融・競争政策WGについては、新規の課題の発掘という観点から、必ずしもこのペーパーに記載されていない問題についても、WGの場において別途御検討になるという理解でよろしいか。

→御指摘のとおり。WGのスタートが若干遅れており、本日のぺーパーには、とりあえずフォローアップに係る重要事項を中心に記載させて頂いたものである。

 後半は、雇用・労働WGの清家主査、事業活動円滑化WGの高原主査、住宅・土地・公共工事・環境WGの八田主査、構造改革特区・官製市場改革WG、農林水産業・流通WGの八代主査、国際経済連携WGの安居主査が説明を行い、これに引き続き以下の内容の質疑応答があった。

●雇用・労働WGにある「雇用における年齢差別禁止」は、民間の会社に禁止すべきかはまだ議論があるところだが、国や地方の公務員から率先して対応すべきである。子育てが終わった女性が本格的に働きたいということで再就職しようにも、民間では採用が難しいので、公務員として雇えるようにすべきであり、それによって貴重な人材が生かされることとなる。是非推進してほしい。

→同感。一般的差別を禁止したときは、企業の柔軟な賃金決定に影響を及ぼすこととなり、難しい点もあるが、特定の者に採用を限定する方法はある。例えば、禁止法制の前に、国と契約を結んでいる企業や税金をもらって事業を行っている企業への義務付けなどを検討してもいいのではないか。

●年齢や性による差別の禁止を行う時、現状のように企業が成果主義賃金を採用している状況では、十分な成果をあげられない人の転職支援や解雇ルールなどもあわせて議論することが必要ではないか。

●学校等への公的助成については、憲法89条が問題とした上で、「イコールフッティングの実現」が必要との議論がなされているが、その具体的なイメージがどういうものかよく分からない。私学助成問題に限定した話というよりも、むしろ、大学のガバナンス等に広く関連するものと思われるがどうか。

→大学のガバナンスまで含めるとかなり大きな問題となる。国立大学と私立大学の役割分担が異なっていることにも及ぶ。イコールフッティング論は、本会議全体の合意ではなく、私個人の考え方だが、小泉総理の「民間で出来るものは民間で」との考え方を踏まえている。また、研究は別としても、大学教育の面では、私学がこれだけ多数ある現状を考えれば、何故別途の基準が必要なのかが問題となる。その背景には、国立大学の独立行政法人化の先を行く問題となるが、民間で出来るものを国立で行う必要があるのかとも考えており、独立行政法人化後は、国立大学の学校法人化(民間化)を目指している。学生から見れば、基本的に公的助成の面では平等に取り扱われるべきであり、その第一歩として、少なくとも、一条校に企業が参入する場合には、公的な助成は学校法人も株式会社も基本的に同じにすべきと考えている。少なくとも、憲法第89条の議論を行うことによって、企業が学校や特別養護老人ホームへの参入を行うにあたっての公的助成は同じとすべきとの議論を展開したい。

●日影規制については、同時に景観規制を考えるべき。大きなマンションができて全く日影となってしまったとき、町の景観を守るためには、何らかの規制を導入すべき。

→現在の日影規制についての議論は、被害者と施工主側が合意できれば、規制緩和を考えるべきという方向となっている。景観についても、そのような視点から検討することは可能ではないか。

●個人の起業をしやすくするための案件はどのWGで扱うのか。起業にあたって個人保証を求められることがネックとなっており、これまでも、何度も問題となっている。

●国際経済連携WGは、外から見た問題点が検討課題であり、ここで検討するのかどうか。

●起業を妨げる規制については、感じとしては神田委員のWGで触れるテーマではないか。

→競争政策WGとしても問題意識はあるが、6月までに具体的に何をやれるかが難しい。フォローアップ中心といっているが、実際には頭出ししたに過ぎない問題が多く、むしろこれから本格的に検討するという要素が強い。また、個人保証に関する問題は、規制なのか慣行なのかという問題もある。慣行だとすると商慣行をどうやって変えていくのかは難しい問題である。極論としては、新たな規制を導入し、個人保証を禁止するとう手法もあるが実現が難しいし、金利が高騰するだけとか効果に疑問もある。ただ、一方で個人保証が問題であるということは共通の認識としてあることから、規制改革でやれるかどうかという問題はあるが、ご意見を踏まえて検討したい。

●リースについても個人保証をとられることが問題。これはトータルな問題であり、起業だけの問題ではない。

●信用補完という意味で個人保証を求める慣行があるのではないか。是非検討したい。

●個人保証については、昨年の第2段の骨太方針の活性化戦略の中で検討すべきとされているが、今回、その棚卸をしてみたところ、各省のエアポケットに落ちている代表的なものの1つとなっていて検討が進んでいない。現在、金融庁、経済産業省、法務省の3省庁で事務的グループを作ってどのようなメニューが考えられるかを検討しているところである。手っ取り早いのが強制規制を導入することだが、民法・商法の大原則に書くわけにもいかないので、起業促進法制を作ってでないとできないのではないかという話となっている。これについては、神田先生も含めた議論・打ち合わせをお願いしたい。総理も現在、島田顧問をチーフとして、サービス分野で530万人雇用創出計画を進めている。規制改革においても取り組む必要があるので、今後まとまったら個別に相談したい。

(2)規制改革推進3か年計画(改定)のフォローアップ結果について

 事務局より、配布資料に沿って説明があった。

以上

(文責 総合規制改革会議事務室


内閣府 総合規制改革会議