平成15年度 第5回総合規制改革会議 議事概要

1. 日時

平成15年10月7日(火)13:00〜14:30

2. 場所

永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室

3. 出席者
(委員)

宮内義彦議長、鈴木良男議長代理、奥谷禮子、神田秀樹、河野栄子、佐々木かをり、清家篤、高原慶一朗、八田達夫、古河潤之助、村山利栄、安居祥策、八代尚宏、米澤明憲の各委員

(政府)

金子規制改革担当大臣、佐藤内閣府副大臣、森元大臣政務官

(事務局)

小平政策統括官、河野審議官、福井審議官、浅野間審議官、宮川事務室長、中山事務室次長

(日本経済団体連合会)

出井伸之日本経団連副会長・行政改革推進委員会委員長、立花宏日本経団連専務理事


議事次第

  1. 「規制改革推進のためのアクションプラン」等について

  2. 「規制改革集中受付月間」について

  3. 「構造改革特別区域推進本部評価委員会」について

  4. 日本経済団体連合会からの規制改革要望ヒアリング

  5. その他


議事概要

議事に先立ち、金子規制改革担当大臣、佐藤内閣府副大臣、森元大臣政務官より挨拶があった。

(1)「規制改革推進のためのアクションプラン」等について

<宮内議長から資料1について説明>

○既存のアクションプラン12事項の扱い
 既存のアクションプラン12事項については、「基本方針2003」や7月の当会議答申でも明記しているとおり、その成果を本年末にまとめる総合規制改革会議の答申に盛り込むこととされているところであり、当会議として、今後年末に向け、積極的にフォローアップ、深堀りに努めることが必要。
 その進め方について、当会議のあらゆる権限を行使した従来からの手法に加え、資料1のとおり、各項目について、ワーキンググループの中で担当委員を決めることとし、その担当委員を中心に関係各省との折衝なども行っていくのが、深堀り・フォローアップとして効果的であると考えるが、どうか。担当委員の割り振り(資料1(別添1))についての案も含めお伺いしたい。

○アクションプラン・重点検討事項の追加
 残された期間で官需を民間開放する規制改革を一気呵成に進めるため、関係委員と調整した結果、資料1にある5事項を当面の課題として、追加することとしたい。検討にあたっては、従来と同様、当会議のあらゆる権限を行使して取り組んでいきたい。なお、「5事項」についてはあくまで当面の課題であり、今後も必要に応じて追加する可能性があることは言うまでもない。

○アクションプラン以外の各WGが担当する重要事項
 「アクションプラン・重点検討事項」以外にも重要な課題が数多くある。それら、各WGで取り組む重要事項については、担当主査の意見を聞いて、資料1(別添2)にある通りにまとめた。なお、各WGで取り組む事項は、ここに掲げたものに限るものではないことは、言うまでもない。

○その他
 7月の第3回会議で、複数の委員から提案があり、その後当会議としての取組み方を検討していた「郵政三事業の民営化など」に関する取り扱いについては、金子大臣が小泉総理とご相談されていたところであるので、その内容について大臣からご説明を頂戴したい。

(金子大臣)本年夏以降、総合規制改革会議の委員の間では、郵政三事業の民営化などについて同会議で取り扱うべきとの議論があったと聞いている。一方、ご存知のとおり小泉総理からは、本件を経済財政諮問会議において集中的に取扱うこととし、そのとりまとめを竹中大臣にお願いしたいとの指示が公式にあった。
 そこで、こちらの会議との関係について、先週の閣議終了後、小泉総理と相談させていただいたが、総理は総合規制改革会議でそのような議論があったことについては、石原前大臣からも聞いていたとのことである。しかし、2箇所で検討を行うよりは1箇所に集中して、来年の秋までに基本方針をまとめるというスケジュール感をもって取り組んでいきたいので、経済財政諮問会議で一元的に検討させたいとのことであった。委員の皆様には何とぞご理解願いたい。なお、総理からは規制改革の推進についてしっかりやって欲しいとの激励があり、また、これから議論される事項についてもしっかり進めて欲しいとのお言葉があったことを申し添えたい。

(宮内議長)当会議と経済財政諮問会議とは、引き続きできる限り連携を保っていくことを考えているので、同会議から本件についていろいろな検討依頼がされることも想定できるのではないかと思うが、大臣が話された事情のとおり、当面、アクションプランの追加項目からは外すこととしたものである。

<質疑応答等> (●質問・意見、→質問・意見に対する回答)

●既存のアクションプラン12項目の検討項目の内容が、既に個別分野WGで検討開始されている場合、個別分野WGでの検討がアクションプランWGでの検討になるということか、それとも、アクションプランWGにおいても今後別途検討することが必要なのか。

→アクションプラン12項目は、個別分野WGの対象となる多くの問題のうち特に重要な課題を、メンバー構成がより広く、全ての委員から構成されているアクションプランWGの場で取り扱うことにより、より力を入れて取り上げようという趣旨である。今までの個別分野WGでの成果を生かしつつ、両WGが連携して取り組んでいくということではないか。

●アクションプラン以外の重要事項のうち、国立大学法人民営化のスケジュール策定については、ゆっくりきちんと議論を行うべき。また、教育・福祉分野におけるバウチャーによる利用者補助制度についても連携を取りながら議論をさせていただきたい。民で行うべきことと官で行うべきことをどう区分するかの議論は、教育分野においては相当真剣に行う必要がある。

→バウチャー導入については、これまで何度も議論され、常に意識はしていることだが、導入することを前提にしている訳でもない。官製市場をいかに効率化・多様化するかということは当会議の課題の一つであり、方向性だけでも議論することは意味のあることである。そういう意味で、年末までにはまとまるはずがないテーマも当然含まれているものである。

●個別分野WGとアクションプランWGとの関係については、問題をどちらか片方ではなく、両方で取り扱うのではないか、例えば労災保険の民間開放については、既に官製市場WGでヒアリングを開始しており、官製市場WGで内容を詰めて、その一部、エッセンスを再度アクションプランWGで取り扱うということではないか。詳細な問題と考え方の問題という切り口で区分できるのではないか。
 また、年末の答申を取りまとめる際の関係各省との案文折衝は委員主導の下で行われることを確認しておきたい。

→実際にはアクションプランWGの場でも、個別分野WGの委員を中心に検討することにはなるだろうし、最大限の成果が生まれるように、両WGが一緒に取り組むということであろう。個別分野WGでの検討対象のうち、関係府省と意見が対立して動かないような、重要・困難な問題については、アクションプランWGに場を移して全委員で取り組むという位置付けであろう。

●6月の規制改革要望集中受付の処理については、各WGで頑張ったにもかかわらず、閣議決定に至らず閣議報告ということになった。今後の検討に際しても、事務局の力が弱いままであると、これだけのボリュームを処理できないおそれがある。再度閣議報告にとどまってしまうこととなれば問題である。
 また、アクションプランに追加された5項目の中にはIT関連がないが、ITについては今後どのように取り組むのか。

→年末の答申については、例年のとおり閣議決定を行うことは当然の前提である。また、ITについてはWGレベルで検討を行うこととしている。

→ITについては、アクションプラン以外の重要項目として、公益事業に関する分野横断的な競争促進ルールの整備が掲げられており、そこで取り扱うものもある。

→それ以外にも、ITについては、規制改革推進3か年計画の中にも未実行の措置がある。未実行の理由が更なる提言を必要とするものであるなら当然取り組んでいく。IT固有の問題については、この2年間IT戦略本部との役割分担から当会議ではあまり取り組んではいなかったので、進行状況が十分チェックできなかった事項もある。今後精査していくつもりであり、また、2年間で状況が変化した項目については、新たな取組を行うつもりである。

●基本ルール・基盤整備WGの関連事項は資料には出てこないが、WGでの取組は引き続き進めていきたい。また、郵政三事業については、経済財政諮問会議で一元的に検討を行う事情は分かるが、当会議に民間からの要望が出されている事項である。要望を反映し、規制改革を聖域なく進める観点からは、その検討の過程において当会議が規制改革の観点からの自ら意見を有することは構わないし、その意見は経済財政諮問会議に宮内議長あるいは金子大臣を通じ伝えていくことが適切ではないか。

→基本ルール・基盤整備WGについては、ご指摘のとおりである。郵政事業については、当会議の答申としてまとめることについては、大臣のご説明にもある事情を踏まえて考えなければならないが、経済財政諮問会議に当会議の考え方を伝えることについては、ご指摘のとおりとしてはどうか。
 この点も含め、アクションプランをはじめ今後の当会議としての重要事項の扱いについては、説明があった内容、あるいは質疑の中でご確認いただいたとおり、おおむねこの資料に添った形で決定するということでよろしいか。

(−異論なし−)

(宮内議長)ありがとうございました。年末の答申に向け、今後、特に主査の方には短期間のとりまとめでご苦労を頂くことになるが、どうぞよろしくお願いしたい。

(2)「規制改革集中受付月間」について

(宮内議長)「規制改革集中受付月間」については、関係する各WGにも積極的な協力を頂きつつ、当会議をあげて検討を進めていたが、9月19日にその調整結果について、政府の対応方針として閣議報告がなされ、各閣僚の了解を得て政府決定とされたところ。
 また、来月11月にも次回の実施を控えているので、それも念頭におきながら、今回の結果等について担当の高原主査及び事務局からご報告を頂きたい。

<高原主査及び事務局から資料2について説明>

(高原主査)資料2−1のとおり、6月の規制改革集中受付月間における417の全国規模の規制改革要望のうち、67項目について、全国規模での規制改革を実現し、9月19日に閣議報告を実施した。また、同日、各省庁の再回答以降、継続して協議を行ったもの及び要望者より寄せられた意見に関し、関係省庁に対し見解の確認を行ったものをホームページにて公開した。個別要望全般に関して網羅的かつ細やかな対応を行うための仕組みが形作られたのではないか。
 11月の規制改革集中受付月間についても、構造改革特区推進室との連携を図りながら、6月の仕組みを引き続き継続・定着化させることが重要。11月については「もみじキャラバン」等により更なる周知を行い、当会議全体で成果獲得に向けた積極的な対応を行っていくこととしたい。その際、9月24日の事業活動円滑化WGで頂いた意見を踏まえ、(1)各WG単位を軸とした対応体制による運営の実施、並びに事務処理速度の向上、また、(2)事務局による早目の関係各者との調整と、これによる成果の公表、政府決定に向けたスケジュールの円滑な実行に留意することとし、運営の改善を図っていきたい。

(事務局)(資料2−2、2−3について説明。その他、以下の点を説明。)
 67項目の政府決定の外枠については、各府省からの回答のうちの42項目が、検討の方向性を打ち出すことはまだできないけれども、検討は行っている、又は行う予定があるとするもの。また、現行制度の下でも対応可能という回答も45項目あった。したがって全417項目のうち、約150項目については、何らかの前向きの回答があったものである。

<質疑応答等>

(−特段の質疑なし−)

(宮内議長)それでは、今後の運営等については、先ほどの報告を踏まえ進めていただきたい。

(3)「構造改革特別区域推進本部評価委員会」について

(宮内議長)当会議の八代委員が評価委員会の委員長でもあるので、八代委員から、「構造改革特別区域推進本部評価委員会」の発足等につき報告をお願いしたい。

<八代委員から資料3−1について説明>

(八代委員)資料3−1は、特区の評価委員会が何をするのか書いてある。
 評価の基本理念のポイントは、評価委員会で特段の問題の生じていないと判断されたものについては、速やかに全国規模の規制改革につなげるということである。これは特区において目覚しい効果がなければ、全国展開できないとの一部の解釈を明確に否定している。評価に当たっては、規制の直接の当事者である供給者側の視点のみならず、消費者・需要家の視点も重視するものとする。弊害とは何かというときには、消費者・需要家の視点に立って判断される。もちろん弊害だけではなく、効果についても十分評価することは言うまでもない。
 評価の観点としては、毎年度実施状況について以下の2点から評価を行う。個々の特区において講じられた規制の特例措置の効果、影響等に関する評価をすることは当然のことである。それ以外に、特区としての要望があり実現したにも関わらず、それが利用されていないのがいくつかあるため、なぜ使われていないのかという点についても調査をする。例えば、特区として認定されるときの条件が厳しすぎるのか。あるいは、該当の規制は緩和されたが、周辺の規制が残っているために、特区として活用することができないのかどうか。特区をより有効に使われるために何が必要かということも評価委員会で議論する。
 評価の時期については、第1次提案を踏まえて実現したものについては、来年の4月から、第2次提案を踏まえたものは10月から実施する。原則として、特区が実現してから半年を目処としてまず第1次の評価をする。具体的な評価の仕方については、専門委員会を作って、専門委員会が色々な指標を決める。あるいは、ヒアリング等様々な手段を用いて、多様な形から評価を行う。専門部会は8つの分野を考えている。これに委員会の委員が最低2人ずつつくが、教育だけは4人で、本委員と専門員を3名程度集めてそれぞれの分野で評価していく。今後スケジュールは専門部会を中心に実施し、12月に第3回評価委員会を開催したい。

<質疑応答>

●評価はどのようにするのか。アイデアがあれば聞きたい。

→第1回の評価は来年4月からなので慎重にやる時間ある。教育の評価は難しいが、消費者の満足度といった方法等、色々な手法を使って専門部会で見ていきたい。

●委員は民間主体か。

→委員は全て民間人である。公務員の委員はいない。名簿は必要があればあとで配る。

●特段の弊害がないというのは、ある一定期間みないといけないとの議論にならないか。特区が全国展開を遅らせる道具にならないかと危惧する。

→できる限り将来起こりうる弊害を検討することで、引き延ばしすることを防ぐ。評価委員会の評価に異議ある場合は、将来弊害があるとする方に立証責任を転嫁する。また、弊害とバランスできるメリットがないか等、二重三重に評価基準を考慮していく。

●副委員長はどなたか。また開催ペースは。

→開催ペースは、本委員会は2ヶ月に1回程度、その間専門部会を集中的にやりたい。副委員長は特に決めていない。

●アクションプラン等に関して、それが決定するまで時間がかかりすぎる。テーマを決めてそれに取り掛かる時間がないということを議長にご認識して頂きたい。12月ということからすると、かなり頑張らないと今年は非常にきつい。一致団結して核を定めないときつい。

→おっしゃるとおり。

(4)日本経済団体連合会からの規制改革要望ヒアリング

(宮内議長)配布資料は非公表扱い。取り扱いに注意。

<日本経団連出井副会長及び立花専務理事から資料(非公表)について説明>

(出井副会長)構造改革は非常にゆっくりやるものと一気呵成にやるものとがある。企業の立場からは、急いで頂かなければならないものが非常にたくさんある。新しく就任された金子大臣、政府の皆様には期待している。今年度の要望は昨年度の要望を上回り、1,207件ということで、15分野305件の要望に整理した。この中で、全体の6割に当たる172件というものが新規の要望となっている。依然、経団連の会員企業の現場では、様々な規制の壁が問題だということが見て取れる。規制改革の中には、現在の制度を変えていくという連続な改革と、中長期的な発想で進める非連続的な改革の両方が必要と考える。この要望の中には、かなり非連続的な発想でないと改革できない、規制改革というよりは、新しいルールを作るということが必要なものもあると見受けられる。
 総合規制改革会議が6月に特区推進本部と連携して行った、「規制改革集中受付月間」の取組は各省庁との交渉過程をホームページ上で公表するという透明性の高い取組であり、このような取組を制度化していくことは非常に肝要である。また、総合規制改革会議が取り組んでいる、教育、医療、福祉、農業という官製市場の改革は、競争を通じて市場が活性化し、新しい需要と新規ビジネスの市場が期待されるので、更にご尽力頂きたい。総合規制改革会議は、来年3月に設置期限を迎えるが、規制改革というのは、小泉内閣の最重要課題の一つでもある。来年4月以降、規制改革の推進に空白期間を生じさせないことが、非常に肝要と考えている。この度金子大臣は、総合規制改革会議と構造改革特区の両方のご担当になられたので、後継機関は、両方あわせて規制改革全般を扱う方が効率的ではないかと考える。また、実際の現場では、特区で規制緩和が実現したとしても、全国規模で認めない限り事業化が難しいものが多いという事情も踏まえていただきたい。
 経団連は5月末に規制改革プログラムを提案した。これはある意味では非連続な改革である。抜本的に規制改革を見直すために、規制改革基本法というものを制定し、各種業法に基づく規制の分野横断的な見直しや新設規制に関わる評価・審査体制を作るなどの提案をした。総合規制改革会議の後継機関では、これらの実現に向けて取り組んでいただきたい。規制改革の推進のためには、小泉総理を中心として政治の強力なリーダーシップの発揮が不可欠である。特に、酒販売の逆特区に見られるように、既得権益の保護のため、規制改革に逆行する動きが見られるのは大変憂慮すべきことである。小泉総理の改革方針を政府与党全員が共有して、思い切った規制改革を実施していただきたい。一方、我々自体が規制をしていないか、ということに関しても真剣に考えていく必要があると考える。

(立花専務理事)(個別要望の一部を例示した資料に基づいて、その具体的内容について説明)
 2003年度の規制改革要望の事例を、添付させていただいた。時間の関係で全体の紹介は差し控えさせていただくが、会員のニーズが強く、かつ高い経済効果が期待されるもの。また、改革につながる突破口となるようなものをいくつか例示させていただいた。

<質疑応答>

●経団連は、民民規制が行われている既得権益を持っている業界に対して、規制を外させる努力を具体的にしているのか。

→そもそも自分の業界そのものが取り組まなければいけないことである。誰かに言われたから規制改革するという企業だとこれからは生き残れない。そういうことに関して経団連は口出しするようなことはしない。そういう意味では、総務省と民放の問題や総務省とNTTの問題とか色々問題があって、民民規制以前に、規制の存在そのものが日本の競争力に対してどうかという点に関して、一つ一つ調べて意見を出していきたい。

●再販制度の問題等に対して、経団連が問題の深堀りをしたり、話し合ったということはあまり表に聞こえてこない。

→再販制度の問題は、経団連も過去に問題提起した。マスコミは経団連に入会していないので、そういう方々からすれば、経団連は一体何を言っているんだということで、私どもも厳しい批判を浴びた。最終的には、公正取引委員会もあまりはっきりした結論を出さないまま暫く様子見ということで終わった。

●経団連には、経済の活性化の観点から当会議に対して力強いご支援を頂いている。要望を通じて我々の気がつかない点をご指摘頂いている。引き続きご支援賜りたい。

以上

(文責 総合規制改革会議事務室


内閣府 総合規制改革会議