平成15年度 第13回総合規制改革会議 議事概要

1. 日時

平成16年3月31日(金)18:30〜19:00

2. 場所

首相官邸内4階大会議室

3. 出席者
(委員)

宮内義彦議長、鈴木良男議長代理、奥谷禮子、河野栄子、佐々木かをり、清家篤、高原慶一朗、八田達夫、古河潤之助、八代尚宏、安居祥策、米澤明憲の各委員

(政府)

小泉内閣総理大臣、金子規制改革担当大臣、佐藤副大臣、森元大臣政務官

(事務局)

小平政策統括官、河野審議官、福井審議官、浅野間審議官、宮川事務室長


議事次第

  1. 「規制改革・民間開放推進3か年計画」等について

  2. その他


議事概要

議事に先立ち、宮内議長、金子大臣より挨拶。

(宮内議長)1つ目の議題の「規制改革・民間開放推進3か年計画」と「規制改革・民間開放推進会議」の設置に関する政令、会議の活動成果に関する資料編纂についての御報告をいただきたい。

(事務局)資料1だが、762項目にわたる「規制改革・民間開放推進3か年計画」というものを3月19日に閣議決定をさせていただいた。
資料3だが、ポイントは、新しい会議の名称を「規制改革・民間開放推進会議」と改称し、所掌範囲も従来の規制改革に加えて、民間開放というところについて深掘りをして、それを名前にも付した。それから、定員が13名である点、3年の時限設置という点。
PRと資料編纂については、PR資料についてはホームページに掲載をする。
またワーキンググループごとに資料を編纂している。加えて各委員、専門委員が規制改革について書いた論文を集大成している。

(宮内議長)各委員からこれまでの3年間の活動を振り返っての御感想、あるいは今後の課題などについて意見をいただきたい。

●社会的規制という問題に今回取り組んだということで印象の深い3年だった。
特に私が力を入れたのは医療関係だが、医療について、2001年のときにちょうど明治維新に入ったのかなというような感じがしていたが、2002年以降になったら足踏みしてしまった感じで、進行については遅々たるものがあったと言わざるをえない。
しかし、総理から約束を取っていただいた例の薬として成分を変えないということ、3か年計画の段階では医薬部外品という形だったが、今回厚生労働省ももう一歩突っ込んで、一定の医薬品については薬剤師必置規制を解除するという本当の総理との約束どおりの方向に進んでいくというので、これから厚生労働省をもう一回明治維新に回帰させるというのではなく、直ちに現代に入ってくるようになってもらいたいと思っている。
民間開放について、六十幾つやって、中どころを大体扱ったが、まだ大どころがたくさん残っている。次の会議が、この民間開放という問題に広く取り組んでもらうことは、私としても非常にうれしい話だと思っている。

●改革のスピードは最初よりもかなり進んでいると思うし、これからももっと早く進むと思う。
一つ、これからの課題として是非大臣にお願いしたいのは、事務局の人事権を大臣がお持ちにならないと、事務局の方々がどうしても本籍を見て仕事をしてしまう。こうなると改革のスピードというのは落ちてしまうと思う。

●私は、各省から出向してきている特区の担当者に、本省とけんかしてこい、けんかしてきてやり通したら、本省に戻るときにはきちんとしたポストで帰ってもらうと言っている。
大事なポイントであり、よく承らせていただく。

●次の組織へのお願い事項というのは、我々ができたこともあるし、半ばのものもあるが、今まで決まったことで、例えば公立保育所の民間への運営委託というふうなことが決まった。これが実際に、本当にどれだけの数が、どれだけのスピードで増えていくかというふうなことをちゃんとフォローアップしていただきたい。
決めたこと、我々も前の委員会のときもそうだが、やはりなかなか切れてしまって前のところのレベルまで達しないことで、次のことが始まってしまうというのは非常に残念なこともあった。
是非ここで今まで決まったこと、あるいは決まらなかったことも含めて、具体的にそれが実現できたかどうかを是非チェック、フォローアップをしていただきたい。

●大変生意気なことを最後に言わせていただくと、専門家やベテランの方々が了解してしまうような事情に対しても素朴に疑問を投げかけられるような委員が入っていることが、本当に新しいものを、改革に大切なのではないかと思う。
幼保一元に関しては、私も強く働かせていただいたつもり。0歳から6歳までの子ども、及び小学生、大体12歳までの子どもの教育や保育の環境づくりは今スタートし始めたところだけれども、まだまだ、この前も申し上げたようにがたがたしているような状況で、改革の意味が実現されてない。フォローアップを、きちっとしていいものになっていくということを是非、次の委員会で見届けていただきたい。
それから、先ほどテーマの話が出たが、私は与えられたテーマで走ったような感があるのだが、振り返ってみれば、ここもやりたかった、あそこもやりたかったというのがやはり出てくるもの。若手や小さな企業の起業家、女性たちが各々の立場で、テーマ出しのところから参加できたり、あるいは将来、テーマ出しの委員会みたいなものがあれば、常時ヒアリングをしていただき、大企業から聞こえてくる要請だけでない声も聞こえてくるのではないかと思う。
最後に1点、私のような現場にいるものが委員になりますと、自分の会社の運営もままならない中、委員会に来るので、事務局に1人コンタクトパーソンがいてくれるとうれしい。以前も是非私に担当者を付けてほしいとお願いしたが、かなわずに、今日まで来た。事務局も大変お忙しいだろうが、ワン・ツー・ワン・コーチングのように、この人に聞けばいつも教えてくれるというような人を付けていただけると、もう少し効率よく動けると思う。

●私は3年間、雇用とか労働とか人材とか、名称は変わったが、雇用労働関係のワーキンググループを主に担当してきて、その中で職業紹介であるとか労働者派遣であるとか、あるいは有期雇用契約といった点についての必要な規制改革が相当進められたと思う。これらを通じて、労働市場機能が少しでも強化されてくれればと思っている。
もう一つ、これは2年目だけだったが、事後チェックワーキンググループがつくられて、それも担当したが、この点ではなかなか実績が上げられなかった。
何度もこの会議の中で申しあげたが、事前規制緩和を人々に納得してもらって進めるためにもセーフティーネットの整備と事後的な監視、監督の強化は車の両輪のように欠かせないものだと考えており、是非、次の会議においては、事前の規制緩和と対を成す事後チェックについて、しっかり目配りをしていただきたいと思う。

●私は規制改革集中受付月間というものを今後もいかしてもらいたいと思う。
私自身、1年目に勉強、そして2年目に活動、そして3年目は成果を出そうという目標で取り組んでまいった。
2年目に事業活動円滑化ワーキンググループの主査の任命を受け、3年目にはビジネスの分野で企業や個人、そして地方公共団体などの各方面から広く要望を募集して、寄せられたものに対して各省庁と折衝をするという規制改革集中受付月間というものを提案させていただき、特区本部と連携をして、あじさい・もみじ月間という名称で実施をさせていただき、金子大臣を通じて170の項目について、閣議で報告していただいた。
今後も広く国民の声を届ける仕組みとして、この制度を継承していただき、迅速に国民の声が反映できるような仕組みを推進していただきたい。

●私は、この3年間都市再生に関する規制緩和に関わらせていただいた。
日本はこれから都市が活動の舞台となると思うが、それを可能にする規制緩和に携われたことを大変幸運だったと思う。
特に記憶に残るのは、2つある。第1に、工場等制限法が完全に廃止されたこと。これによって、都心から出ていた大学などがまた戻ってこられるようになった。
第2は、5分の4の賛成要件さえ満たせられればマンションが建て替えられるようになったことである。随分攻防があって、30年待たなければだめだというような役所側の意見があったが、最後は本当に男気のある政治家の方々に、御賛同いただいて、ついに動かすことができた。今、マンションが建替時期に入っているから、この改革は特に重要である。
心残りなのは2つある。第1は都心での容積率規制をもっと緩和すること。国土交通省ではこれに関して検討を続けているが、まだ結論に至っていない。当局は、容積率を緩和すると道路交通が混雑するというようなことを心配しているが、縦割り行政を脱して、それに対するソフト面の対策を併せて立ててほしい。
第2は通勤の混雑を緩和するために、通勤時に非常に高い料金を取る代わりに、オフピークはただ同然に安くすること。これは外国でも似たようなものをやっているところがあるので、それを提案している。これも今、国土交通省で研究中ということで、多少、中途半端なところが心残りだが、後継組織で是非推進していただきたいと思っている。

●今の点は道路についてか。

●鉄道。鉄道で、ピーク時を多少高く取ると、オフピークはほとんどただ同然にできる。そうすると、主婦や学生がどんどん都心にやって来られる。

●議長以下、官僚と粘り強く交渉し、少しずつ前進していると思う。
特に、特区ができたというのは非常に大きな成果である。
これからは、もうちょっと議長に強権発動する権力を与えた方がよいのではないかと思っている。
最後に、総理もお見えになったので、郵政の民営化とか道路公団の民営化、非常に努力されておられてすばらしいと思うが、あと一つ、やはり林野庁、林野の民営化というのも大きな一つのこれからの問題ではないかと思っている。

●私は3年間、特区と官製市場と、それから農業を担当させていただいた。いずれも非常にかたい分野だが、少しずつ穴が空いてきたのではないかと思っている。
この官製市場の改革というのは、次の後継組織でも一番大きな目玉で、なぜそれをしなければいけないかというと、今の景気というのは、回復はしているが持続性に問題があるわけで、是非この官製市場を民間に開放することで内需の拡大を促すというのが、持続的な成長を確保するための非常に大きな手段ではないか。
この官製市場というのは、教育とか福祉とか医療というのが中心だが、民間の潜在的需要が非常に大きい。しかし、財政の制約のために供給を増やせないという非常に特異な分野であるので、そこを民間に開放すればかならず需要が拡大する。規制1本変えることによって内需を財政の負担なしに広げられる分野であるわけで、これを次の会議ではやはり大きな重点項目として打ち出していかれたらどうかと思っている。
それからもう一つ、総理も非常に今検討しておられる道州制特区について、これはまさに国から地方へという改革である。なぜ都道府県ではなく国がやらなければいけないかという規制がいっぱいある。これらの洗い出しというのは、担当の部局はあろうかと思うが、規制改革会議でも協力していくということが大きなポイントになるのではないかと思っている。

●昨年の4月から国際連携の絡みでいろんな規制緩和ということで、ヒト、モノ、カネ、情報というような見方でいろんな問題を勉強し、交渉してきた。
特に、そういう意味では人の問題でビザだとか、若干前進したと思う。
港の関係でFALという条約があるが、一応、前に動き出したかなと思う。
EPAの交渉がこれからどんどん動き出すので、それとの絡みで、どれだけ日本が、投資にしても、人にしても呼び込むかという観点で、やはりもう少し規制改革緩和ということを進めていったらなと思う。

●私は、いわゆる教育あるいは研究、この両方を担当させていただいたが、自画自賛ではないが、これが始まったときから比べると、随分文部科学省がある意味で変わっていった。それで実際に公立学校としての地域運営学校、コミュニティ・スクールというのが実現することになったし、それから、首相のイニシアチブだが、大学の独立法人化ということが実際に進んで、そして、今、日本の教育の古い体制がある意味でがたがたっと崩れているというか、変わり始めている。これをどういうふうに、この後再編成していって、この国の将来を担う人材をつくっていくかというのが大きな課題になるのではないか。
古いところのある部分を崩していって、崩すことには我々自身としては多少貢献できたのではないかと思って、自分自身喜んでいる。
それから、やはり常識人として、医療の問題というのは、この国は遅れているというのか、古いというのか、いろんな意味で大きな問題が諸外国、先進国に比べてあると思うので、そこはこの国の大きな施策の中で、勿論この会議、この後継会議もそうだが、何とかしていただきたいと一国民として思っている。

(宮内議長)ありがとうございました。
それでは、今日御出席予定の森さんから書面をいただいている。
総合規制改革会議により小泉内閣の構造改革が緒に就いたことは、世界における日本の面目を一新することができたと考える。総合規制改革の中で、森さんは主に都市再生の分野を担当し、都市再生と航空法の改正、区分所有法等、画期的成果があったと喜んでいると。
あとは、この改革に沿っていかに速やかに実行できるか、運用段階での改正が残されたものと承知していると、このようなことが書かれている。
医療、福祉、教育、農業の分野としてはまだまだ課題が多く残っており、これらの規制改革の一層の進展を期待する。
最後に、小泉総理、金子大臣を始め、皆様方の御尽力に心から感謝の意を表したいと、このような書面を頂戴している。
最後に、私の印象としては、当会議は諮問会議と連携したこと、特区という制度を取り入れたこと、そして最後は総理のリーダーシップが発揮されたということによって、皆様方の御努力と相まって成果を上げることができたという感想を持っている。
それでは、最後に小泉総理からご挨拶をいただきたい。

(小泉総理)3年間ありがとうございます。
お仕事もしながら、こうした規制改革の重要性、日ごろからの御見識を発揮していただきまして、いろいろな提言、誠にありがとうございました。はっきり目に見えてきたものもありますが、まだこれからというものもございます。
今後とも、皆様方の御努力を無にしないためにも、小泉内閣として一生懸命この規制改革取り組んで、日本の経済活性化に向けて本格的な改革ができるように努力をしていきたいと思いますので、今後とも格段の御指導、御協力をお願いしたいと思います。
誠にありがとうございました。

(宮内議長)ありがとうございました。
総合規制改革会議は、本日無事にその活動を終えることができた。これもひとえに、各委員の皆様の御熱意と御努力等があったからこそと認識している。私、議長を務めさせていただいたが、この席を借りて厚く御礼と御慰労を申し上げたいと思う。
また、小泉総理を始め、金子大臣、佐藤副大臣、森元大臣政務官には私どもの活動を支えていただいた。
また、会議の事務局スタッフの方々には大変御苦労の多いお仕事だった。しかし、本当に我々をよく助けていただいたと思う。委員を代表して、お礼を申し上げたいと思う。

以上

(文責 総合規制改革会議事務室


内閣府 総合規制改革会議