第4回住宅・土地・公共工事・環境WG 議事概要

1. 日時

平成15年9月2日(火) 15:00〜17:00

2. 場所

永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室

3. テーマ
1 法務省・国土交通省ヒアリング

事業用定期借地権の存続期間の上限の引上げについて

2 総務省ヒアリング

土地開発公社の所有造成地における賃貸などの解禁について

3 経済産業省ヒアリング

工場立地法における緑地率の緩和について

4. 出席者
(法務省)

民事局 吉田徹参事官

(国土交通省)

土地・水資源局 土地市場企画室 菱田一室長、多田治樹補佐

(総務省)

自治行政局 地域振興課 赤川淳哉課長、大賀浩一補佐、谷本充也事務官

(経済産業省)

地域経済産業グループ 地域経済産業政策課 山本俊一課長

(委員、専門委員)

八田達夫主査、村山利栄委員、安念潤司専門委員、福井秀夫専門委員

(事務局)

内閣府 福井和夫審議官、中山泰次長 他


議事概要

【事業用定期借地権の存続期間の引上げ:法務省・国土交通省ヒアリング】

○八田主査 本日は暑いところをどうもありがとうございます。それでは、規制改革全国要望に関する各省ヒアリング、住宅・土地・公共事業・環境ワーキンググループを開催したいと思います。
 議事の最初は、法務省及び国土交通省ヒアリングで、事業用定期借地権の存続期間の上限の引上げについてです。これについての各省のご意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

○法務省吉田参事官 お手元に制度の概要を示してございます。ご承知のとおり、定期借地権につきましては、平成3年の法改正、新借地借家法制定時に、これまでの正当事由がない限り認めないという普通借地の形態の他に、新たに期間を区切って、確定的に年限の経過によって終了するという形態の定期借地権を設けたということになっております。
 この中の一つで、事業用借地権ということが右から2番目に書いてございますけれども、この制度におきましては、存続期間が10年以上20年以下という範囲で認められているということでございます。これは、居住用の建物の所有を目的としたものは認められなくて、それ以外の事業用建物の所有を目的とした借地に限ってこういった年限の借地権の設定を認めているという形になってございます。
 なぜこういう制度、こういう年限が設けられたかという趣旨でございますけれども、事業用で典型的にはロードサイドのようなところにレストランとか量販店みたいな形が思い浮かぶのですが、それに限らないと思いますが、短期間の使用を目的とした事業用の借地のニーズというのがある程度あるのではないか。それが主にどの程度の範囲の年限として考えられるかということとして、10年以上20年以下という範囲が考えられていたようでございます。
 それから、もう一つの観点としては、一方で普通借地という制度があって、30年以上、こちらは更新を認めるという形態の借地でございますけれども、それと同じような期間になってしまうと、なかなか対等な立場でその場合には普通借地という契約が結びにくくなるのではないかという配慮もあって、要は、ターゲットが重ならないような形の年限に限って事業用借地というものを認めたと立法時の経緯として説明されておるようでございます。
 この年限について引き上げの要望が出されているということでございますけれども、この点につきましては、今回要望を実際に出されておるわけでございますが、もう少し長い期間事業用の借地を設定したいというニーズがどの程度あるかという点につきまして国土交通省の方で今後調査を予定されているとお聞きしておりますので、それを踏まえて対応を考えていきたいと考えているところでございます。
 もう一点といたしましては、ご承知のように定期借家の見直しの問題がございます。定期借家、普通借家の問題がございますけれども、こちらの方は、ご承知と思いますけれども、自民党の方で定期借家権等特別委員会、そちらの方で法改正に関するPTを立ち上げて、検討を始めていただいているということがございます。
 その中で、借地借家法の見直しということで、計画に入っておりますもう一つのテーマとしては借家問題でございますけれども、仮に借地借家についての改正ということが機会としてありましたら、そちらの中でこの問題についても要望があるという問題意識のもとにご議論いただきたいとこちらの方としては考えておりまして、そのための準備も進めているところでございます。

○八田主査 どうもありがとうございました。それでは、国土交通省からの説明をお願いします。

○国土交通省菱田土地市場企画室長 国土交通省の土地市場企画室の菱田でございます。
 事業用定期借地につきましては、正直申し上げまして、制度ができて10年ぐらいたちますが、どういう実態にあるのかということをつまびらかに把握した調査が十分なされてきたとは言えません。
 ちょっと話が脱線しますが、定期借地権に係る定借協議会という業界団体が任意団体でございますけれども、これは、いわゆる一般の定期借地権法を使いまして、50年以上で戸建てとかマンションとかを定期借地権つきで売るというようなハウスビルダーですとかディベロッパーなり業者の集まりでございます。ですから、そういう意味で一般住宅用にどれぐらい供給されているかというのは相当正確に把握できておりまして、今、大体年間5,000戸ペース、累積4万戸ぐらいが平均できておりますけれども、事業用の方は、相対とか個々にやられておりまして、そもそもどういう方々か、一般にロードサイドとか言われますけれども、ユーザーでどういう方がいらっしゃるのか。逆にいうと、供給側は最近よく公共団体等の土地が使われておりますけれども、実際にどういう方々がいらっしゃるのかということの把握がなかなかできておらないというような状況でございました。
 いわゆる期間につきましても、20年以上を認めてほしいという声があるということは総論としては時々お聞きするのですけれども、具体にどの程度の割合で、どういうニーズがあって、どれぐらいがそういう制約のもとに埋もれているのかということもなかなかわからないという状況におりました。たまたまでございますが、今年度、そういう意味で事業用借地権というのはどういう実態にあるのかということを大がかりに、各業界、各業種、ユーザーサイドも含めて無作為抽出のような形でアンケートをお送りして、回答をいただくという形で、ちょうど調査しかかっておりました。
 そこへたまたま数ヵ月前に法務省さんの方から、さっき言われたような動きがあるので、法務省としてもそういう声があることは承知しているけれども、場合によっては改正の機会があるかもしれない、そういうことで国土交通省の方で実態を調べてくれないかというお話がございました。まだ行っておりませんが、自民党の方の動きがどうなるかわかりませんけれども、そういう動きがあった場合でも何とか間に合うような形で、さらに期間に絞った形のアンケートを追加で行っていこうという準備をしている、まさにそういう段階でございます。

○八田主査 どうもありがとうございます。
 それでは、質問させていただきたいと思います。この表で22条と24条について、両方とも原則としては更地にして返すということです。更地にして返す場合には、50年以上か、10年以上20年以下かの2つで、20年と50年の間がちょうど抜けているわけです。
 これが導入された経緯というのはよくわかったのですけれども、20年から50年の間をむしろ抜かした方がいいというような理由は何かあるのでしょうか。

○法務省吉田参事官 先ほどの説明が積極的な理由ということなのですけれども、そこはもちろんご意見はいろいろあるところと思いますが、立法時の経緯としては、要するに、普通借地と同じ土俵で普通借地か定期借地かを選べるようにしてしまうと、弱い借地人の立場からすると、自ずと定期借地のものに流れてしまって、普通借地というものが結べなくなるではないかと考えられて制度がつくられたということでございます。
 もちろん間が抜けているのはニーズに応えていないではないかというご指摘があることも承知しておりますし、それでは積極的な理由ではないのではないかというご指摘も承知しております。

○八田主査 もともとは普通借地をできるだけ使ってもらおうという気持ちがどこかにあったということですね。24条は、やむを得ない場合にはこういうことをやってもいいけれども、できるだけ普通借地がほかのところで使えるようにすべきである、又それが借地人を守る手段であるというような考えがあったということでしょうね。

○法務省吉田参事官 必ずしも定期借地が例外的な扱いということではないと思いますけれども、とにかく新たな制度を入れるということでもありますし、これも立法時の説明ですが、事業用の場合、特に借地人が一般的には事業者として交渉力も弱い立場で不利な契約を結ばされることもない、片や50年以上ということだと土地利用についてかなり安定的な期間が保障されているということで、新たな制度を導入するに当たっては弊害が生ずる心配が少ないだろう、こういう発想だと思います。

○八田主査 わかりました。2番目の質問は国土交通省に対してですが、調査の内容ですけれども、現実に10年以上20年以下で使われているところにどういう問題が生じているか、そういうことを調査なさるわけでしょうか。主な調査の目的はどういうところにあるのでしょうか。

○国土交通省菱田土地市場企画室長 現在、質問票をつめている最中でございますけれども、趣旨としましては、地主側と借り手側と両方ございますが、主にこのニーズは借りている側にあると思われます。誰が借りているかというのはなかなか個別に把握できませんので、無作為抽出で送って、借りていない人には、その気がありますか、その場合、20年ということに関してネックに思いますかどうかということですし、現に借りている方につきましては、まさに何年で借りておられますか。その辺は答えていただける範囲になりますけれども、仮に20年に延びた方がいいと思いますかという趣旨のことを入れようとしております。
 それから、敢えて言えば、普通借地権も含みました他の制度との選択の中で事業用借地をどう思っているか、その中で事業用借地がどうなって欲しいかというような趣旨のことが入ればと思っております。分量の関係で、どういうウエートでどうしようか、今、細かいところで議論しております。

○八田主査 わかりました。
 既に定期借地で借りている方に聞いた場合には、必ずしも20年と50年の間を自分たちは必要としていなかったかもしれないと思います。したがって彼らに対する調査はせずに、当たり前のこととしてこれを広げてもいいのではないかなという気がするのですね。10年以上20年以下で今まで弊害があるということがわかったら、それはそれで考えるべきことです。しかし20年から50年のニーズがあろうがなかろうが自由にして、不必要な制約はなるべく少なくした方がいいのではないかと思いますが、それについてはどうお考えでしょうか。

○国土交通省菱田土地市場企画室長 制度所管は法務省でございますから我々がどうすべきだとまでは言いませんけれども、実態として、一般的に借地なり事業用借地というのを考えておられる方の中で、そういうことに不満を持っておられる方がどの程度いるのかというざっとしたボリュームをつかむこと自体は、制度をあずかる若しくはそういうことを考える役所としてはある程度必要と思っております。そういう感覚がないと、弊害がないからなくてもいいではないかというだけではなかなか国会の方も通りませんので、そういう意味では、ちょうど10年ぐらいたっておりまして、制度の全体的な実態把握をしようとしておりますので、その辺も併せて把握したいと思っております。

○八田主査 わかりました。どうもありがとうございました。

○村山委員 重ねてお伺いしますが、そもそも事業用借地権を10年以上20年以下にかなり限定的になさった論拠というのは何だったのですか。

○法務省吉田参事官 それが積極的論拠かと八田先生からご指摘いただいたようなことをもう一回説明するのは非常に心苦しいのですけれども、まず30年以上という普通借地の原則形があって、それと同じような期間でダブる形の定期借地というのがあったら、借地人というのは一般的に弱い立場でありがちなので、どちらか自由に選択できるという形にならなくて、一般的に定期借地の方に流れてしまうのではないか。普通借地契約を結びたいという借り主がいた場合でもそう流れがちなのではないかということに対する配慮が一つあります。

○村山委員 わざと使いにくくしているということですね。

○法務省吉田参事官 それはご意見として伺っておきます。
 それからもう一つは、事業用ということで、30年の普通借地よりもっと短い期間で、借り主としていい条件で借りたい、短期間を目的として、例えば量販店とかレストランとか、そういうものを使う場合としては、10年から20年ぐらいの間にニーズが集中しているのではないかということで期間が設定された、そういう趣旨です。

○村山委員 10年前想定されたニーズのみに基づいてできているということですね。

○法務省吉田参事官 当時立法されたことですから、そういうことだと思います。

○福井専門委員 私の理解では、定期借地の立法時に法務省民事局でかなり膨大な印刷物の資料をつくられていました。私はかなり熟読していたのですけれども、そのときの法務省の立法のスタンスは、いみじくも今、村山委員が言われたように、できるだけ普通借地に流れるように、新しくできる定期借地権を何とか使いにくくする、という配慮に満ち満ちているのです。
 というのは、定期借地を余り簡単に成立させてしまうと、今まである普通借地権が使われなくなるではないか。だとすれば、普通借地権がある以上、そちらが本則であるから、できるだけ定期借地に安易に流れないようにバリアをたくさん設けようという趣旨は、明示的に法務省自身の言葉で書いているのです。立法当時そういう発想でできたわけですから、現在ある意味で定期借地が使いにくくなっているというのは当然のことでありまして、それを10年後の今も維持すべきかどうかというのは、現時点での立法政策の判断になるのではないかと思います。

○八田主査 調査はできるだけ早くということを先ほどおっしゃったと思いますが、大体どのくらいの目途でなさるご予定でしょうか。

○国土交通省菱田土地市場企画室長 正直に申し上げて、自民党のPTの動き、定期借家の方を先にやられるというふうに伺っておりますので、そちらが終わって定期借地に移る機会があるとすれば、それに間に合うようにということで、今のところは、それが早くて11月かなという雰囲気を聞いておりますので、何とか11月中には上げたいと思っておりますが、まだ業者とやっている最中です。

○八田主査 わかりました。
 私は非常に積極的なお考えだというふうに受けとめまして、本年中にとにかく何らかの結論を出していこうと考えていらっしゃるというふうに受けとめますけれども、よろしいでしょうか。

○法務省吉田参事官 これは党のPTで主に議論していただいているということがございますので、法務省として「この期限で」というのは今の段階では答えにくいことがございます。
 ただ、今のPT自体、先生方のお考え次第でしょうけれども、それほど先の時期を想定して作業しているわけではないということは事実ですので、先ほども申し上げたように、議論していただいて、その中に織り込んでいただければというスタンスで考えております。

○八田主査 そうしますと、今日は基本的にお話を伺うということだと思うのですが、文言の調整まで今日やってしまうわけですか。

○事務局森室長補佐 9月中旬に政府決定を予定していますが、その際には平成16年度中に措置していただくものを載せていくということになっておりますので、今の段階ですと政府決定に載せていくことは難しいかなと思っております。現在までの法務省の回答とか、そういうものはすべてホームページの方に掲載されておりますので、16年度までに検討を終了させていくということは一般には明らかになっていくのかなと思いますけれども、その先はこのワーキングのご判断になろうかと思います。

○八田主査 そうすると、検討を終了させるということだと政府決定には入らないから、これは今度の政府決定には入らないということですか。

○福井専門委員 入れたっていいでしょう。

○八田主査 検討が終了するということは入れてもいいわけですか、措置だけですか。

○事務局中山次長 これは事務局の方の整理ですけれども、措置するということをお約束いただいたものだけを載せるという形にしておりますので、検討・結論というのは今回の場合は載ってこないという整理にしております。

○内閣府福井審議官 要は、政府決定なり何なりで政府として本件について検討して、結論を出して措置するということについては、政府提案として法案を出す、そういうことが前提になるだろうと思います。
 そうしますと、先ほど来、お話がありますけれども、自民党のPTで検討が進められていて、今の段階では、いつの国会に、議員立法なのか、それとも政府提案になるのか、その辺も定かでありませんので、今後具体的に書けるような状況になるのか、その辺、党との関係があるのかなという具合に思っております。

○福井専門委員 自民党は別に議員立法でやると決めたわけではないのです。要するに、自民党で中味の検討に着手したということですから、法形式を今からこちらで予測して、先回りする必要は全くないというのが一つです。
 それから、現在の自民党のPTは、先ほど吉田参事官からお話があったとおり、主に定期借家の見直しで議論しておりまして、定期借地にはまだ関心が向いていない。そういう意味では、せっかくこういう提案があるのであれば、政府サイドで注意喚起することは対与党でも十分な意味があると言えると思います。
 さらに言えば、私が把握している限り、定期借地の見直しについては基本的に自民党内に全く異論はありません。どんどんやるべきだというのが底流ですから、政府でやろうが、あるいは議員立法でやろうが、方向として間違っていないことであれば、できるだけ政府でもそれを取り込んだ方が立法効率に資すると思います。
 中味という点でもご検討いただきたいと思うのは、1つは、先ほど八田主査から出たように、竹中工務店のはなぜか30年以下と遠慮しているのですけれども、事業用でも、実際にユーザーの方から私も直接話を聞くこともありますが、40年、50年とか60年だってあっていいではないかという声も結構あります。弊害がなくてニーズがあるのだったら、期限というのは、最低の下限ぐらいは10年とか5年とかあってもいいのかもしれませんが、長期の方は別に制約する必要は全くないのではないかという気がします。
 普通借地とのバッティングというのは、定期借地が借地人の追い出しに使われる制度ではないかということで、おそるおそる92年にやっと着手したときの配慮が今なお残っているわけで、現在、定期借地がそういうひどい使われ方をされていないということは社会的事実ですから、そういう意味では長期で、むしろ保護する方向を手厚くするような改正であれば全く問題ないというのが今の常識的な理解だと思います。
 10年以上とだけするというのが一つの選択肢ですし、さらに言えば、ロードサイドのプレハブの店舗などは、これも事業者に聞くと、5年で元が取れる、その段階で経営判断して他に移った方がいいこともある、こういう話も聞きます。とすれば、これも5年とか3年とかにしても、とても投資採算が合わない、回収できないというような人はそんな年数では借りないでしょうから、基本的には市場に委ねれば済む話であって、3年以上とか5年以上という要件だけを残すということも視野に入れて検討していただくのが生産的だと思います。
 それから、同じような問題意識で言えば、一般定期借地権の50年以上というのも、長過ぎるという声が随分あります。今、一般的借地権だと戸建てを使うことが結構多いわけですけれども、戸建て住宅というのは、公庫融資なんかでは30年とかがありますが、通常、仲介業者の中古住宅評価では、戸建て住宅は10年で建物価値、残存価格はゼロになります。
 現実に10年過ぎると建て替えもかなり増えてくると考えると、本当に50年でいいのか、50年以上でなければだめだという必要があるのかどうか。ニーズの点から、もうちょっと短いものでもニーズがあるということであれば、下限を下げるということもあり得るのではないかと思います。5年、10年というわけにはいかないかもしれませんけれども、50年というのは、普通の木造とか、プレハブメーカーの相場からすれば、まともな水準を保ったまま50年戸建て住宅を大事に使っている人は現在ではまずいないということからすると、社会実態からはやや長期にすぎるという意見が根強いことも踏まえて検討していただければと思います。
 それから、年数の話ではないのですが、せっかくこういう一覧表を用意していただいたのでもう一つ問題提起なのですが、建物譲渡特約付借地権という23条です。建物は地主に戻ってくるのですけれども、普通借家権がついていると普通借家権の「正当事由借家人」付きで戻ってくるという理解でいいですか。

○法務省吉田参事官 そういう利用関係を維持するための制度ということでございます。

○福井専門委員 これも現場のニーズにあるのは、建物はまだ使えるのであれば返してもらうパターンがあった方がいい。ただし、借家人がついているのは嫌、なかんずく現在では定期借家制度ができているのだから、借家人をつけるのであれば、全部定期借家にした上で建物は戻してほしい、こういうニーズがあるのです。それに応えられる制度は、今の22条なり24条の制度では難しいという理解でいいですか。要するに、22条と24条を使う場合は壊さなければいけないのではないかという問題意識ですけれども、更地にしなければいけないのではないですか。

○法務省吉田参事官 もちろん任意に譲渡することは構わないです。ただ、原則としては、貸し主の方で壊して買い取る義務も引き受ける義務もない、そういう制度です。

○福井専門委員 ですので、更地にして戻す前提の事業用借地権とか一般定期借地権を、更地にする前提で期間が切れたから地主に戻してくれと本来ならなるはずですが、建物を見ると、堅固な建物で、50年たったけれども、まだ十分使えるというときに、社会的に見れば使える建物は使った方が有効なわけです。ところが、戻してもらうためには、壊さなければ法的には戻してもらえないという当時の民事局の解釈だったと理解しているのですけれども、そこはそういう理解でよろしいですか。
 要するに、建物を壊さない前提で土地の返還を求めても、その返還は認められないという解釈だったと理解しているのですけれども。
 建物を残す以上、23条で入り口からいっておくべきだった。建物を使えるので、50年後なり20年後になって、やはり建物は戻してほしいけれども、壊さないで使い続ける、ただし建物所有権なり借地権はもとの地主に戻してもらうのは認められないという解釈だったと理解しているのですが。

○法務省吉田参事官 要するに、入り口のときにそういう合意はできないのかということですか。

○福井専門委員 今の解釈を前提としてであれば法改正が必要になるし、今の解釈でなくても、優良なストックとして期限が来た後もまだまだ使えるという場合には、建物をまず戻してもらえる、そういうオプションがあってしかるべきだというのが一つの問題意識です。
 第2は、普通借家人つきで戻ってくるのではたまらないという地主が数多くいるのは間違いない。その場合には、ちゃんと定期借家に転換できるような仕組みとして戻ってくるのでないとまずいという人に応えるオプションがないとまずい。この2つの問題意識です。

○法務省吉田参事官 すみません。よく理解できていなかったのですけれども、要は、返還時というか、終了時の現況によって地主側の一方的な意思表示で買い取れるような制度ということですか。それはないと思います。
 あともう一点、今の23条の制度も同じですけれども、制度設計としてないとは言わないのですが、23条の制度にしても、住んでいる人はそのままの権利ということです。定期借家で利用関係を使っている人もそのまま、定期借家であれば、仮に買い取った地主は、定期借家の権利で、期間を過ぎたら追い出せるということにはなります。そこで、買い取った、しかも通常の譲渡ではなくて、借地借家法上の譲渡というような類型のときに権利が変換してしまうという制度は、ご意見としてはわかりましたけれども、そうすると譲渡としてはなかなか仕組みにくいのではないかなという感じでございます。

○福井専門委員 定期借地の場合、特に22条、24条を使った場合には、例えば22条の一般定期借地であれば、50年なら50年の契約を結んでいた場合、40年とか45年たったら、あと数年で確実に消えてなくなるストック資産だということはだれの目にも明らかになります。ということは、どうせ壊れるものについてまじめに管理をしたり環境美化に心がけるなどということのインセンティブが非常に小さくなってしまって、土地利用上まずいのではないかという議論があるのです。これが一つ。
 もう一つは、たまたま50年経ってふたをあけてみたら、非常にいいストックだったという場合に、それをできるだけ長もちさせた方がいいし、またそういうストックにするためにも、状態さえよければ建物が50年で確実に消えてなくなるものではないという仕組みを残しておいた方が、土地利用、有効利用という観点からは望ましい。こういう議論もあるのです。この類型の中には、その選択肢は残念ながらありません。
 以上が私が先ほどから指摘している趣旨で、そうするとアクロバティックな議論としてこういうことを言う人もいるのです。50年なら50年たって更地にして明け渡す、建物収去を求めるときに、借家人は普通借家であろうが定期借家であろうが対抗できません。要するに、借地権の存続期間と運命をともにして出ていかないといけないというのが今の法律です。そのときにまず追い出すのです。「建物を壊すから出ていけ」といって追い出して、だけどそのうえで建物は使えるからそのまま壊さないで持っておこうというふうにすれば、さっきから私が言っているような類型が今の制度でもできてしまうのではないか。
 こういう議論があるのですが、そこでまた最初の質問に戻って、私が当時の法務省民事局の方と議論したときには、その場合はもともとの定期借地が普通借地に転換してしまうとか、そもそも定期借地契約が無効だったということになるのではないでしょうかという議論があった。それができないとすれば、同じようなことを脱法的にではなくて、正面切ってちゃんとできるような制度をしかるべき公正な手続のもとに認めた方が土地利用上も意味があるし、借地人や借家人の保護にもなる、こういう問題意識です。
 この点は、小滝室長の頃、私もメンバーに入って国土交通省で随分今のような論点を議論して報告書をつくっているので、よかったら後で法務省の方もごらんいただきたい。今のような論点は、一見土地利用上のややテクニカルな議論に見えますが、実はストックの存続とか長もち、環境向上という観点から見て非常に重要な論点なので、どうせならいいストックは長もちさせて使えるようなインセンティブを与える制度のルートを開いていただいた方が、せっかく見直すなら意味があるのではないか。こういうことですので、是非ご検討いただければと思います。

○法務省吉田参事官 おっしゃっていることは趣旨としてよくわかりました。今お聞きしていて、地主からの意思表示というか、オプションとしてそういうことができるということになるし、それはまさに50年なら50年後にどういう現況になるかということがあるものですから、評価すると価格をどう決めるかとか、いろいろと技術的にも考えなければいけない問題があると思いますし、本日いただいた話題ですので、これは中長期的な問題として。

○福井専門委員 結果として長期的ということもあるかもしれませんが、少なくとも調査なり検討対象に入れて議論していただいて、方向としてのオプションは何があり得るのかということはできるだけ早目に検討していただいた方がよいと思います。

○村山委員 特に事業用借地権の年限を上げるなり下限を下げるなり、そういう動きがあるとすると、今のようなものをある程度セットで考えておかないと実効性に難ありという感じになると思うのが一つ。
 あと、先ほど福井先生がおっしゃいましたように、事業用借地権に関しましては、10年以上という下のところもちょっと切った方がいいと思うし、極端に言えば、期間の制限は全くなしという形にしてしまってもいいのではないかぐらいの意見はかなりあると思います。

○八田主査 今、村山委員のおっしゃったのは、まさに50年が終わった後で借りるときには5年かもしれないし、3年かもしれない、そういうところもちゃんと面倒を見るような仕組みになっているべきではないかというお話だと思います。それから、先ほどのプレハブならば非常に短くてもということだと思います。
 もう一つ、先ほどの議論から出てきたことですが、定期借地権ができたときには定期借家権はまだなかった。ところが、例えば定期借地権の上に建てたマンションを賃貸マンションにした場合、そこの借家人は実質的に定期借家の住人なわけで、期限が切られているわけです。特に最後の10年だったら、ともかく10年間しかだめですよというわけです。そこに対してきちんとした法的保護を与えるためにも、むしろ定期借家を適用した方がいいので、一般定期借地権の上の借家に対しては、期限が何年以下というようなことを限定してもいいかもしれません。ともかく定期借家との組み合わせをきちっと図るべきではないかと思います。それは先ほど福井委員が言われたように、その後の更新がある場合にも当然発生するけれども、その前ですら整合性をとる必要があるのではないかと思います。
 それで、この問題ですが、我々としては政府決定にしたいわけです。期限がそこまで短いとは思わなかったけれども、断固やりたい。どうしてもそれはだめである、調査なしにはできないという積極的な理由を今後伺っていきたいと思いますけれども、お話を伺っていると、本年度中が無理なことはよくわかりますが、16年中ならば措置できる性質のことではないか。
 そして、その具体的な中味について、3年からやってもいいとか、そういうようなことはもうちょっと期間を置いてご検討いただきたい。しかし、更地にして返すというのは、事業用ならば、10年以上の場合にはいつでもできるというような形にしていただきたいと思います。今後いろいろと交渉は大変かもしれませんが、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

【土地開発公社の所有造成地に関する賃貸などの解禁:総務省ヒアリング】

○八田主査 どうもお忙しいところをおそれいります。次は総務省からのヒアリングで、土地開発公社の所有造成地に関する賃貸などの解禁についてです。それでは、これについてのご見解をお願いいたします。

○総務省赤川地域振興課長 総務省の地域振興課長でございます。
 お手元の4枚紙をごらんいただきたいと思いますけれども、まず説明の前置きとして一点申し上げたいのは、土地開発公社は法律の範囲内でのみ業務を行うこととされております特殊法人の一種でございまして、何でもできる個人あるいは民間企業ではございません。土地開発公社が賃貸事業も行えるようにすべしというご提案というのは、特殊法人の業務の拡大を求めるものであって、規制緩和本来の範疇のものではないのではないかというふうに考えております。
 それでは、ペーパーをごらんいただきたいと思いますけれども、土地開発公社の業務は大きく分けて2つございまして、先行取得事業と土地造成事業でございます。先行取得事業というのは、公共団体等の依頼によって土地を取得して、それを依頼元に売却する、公共団体等はその土地に公共施設等を建設するというものでございます。公社は借入金によってその土地を取得して、売却代金をもって返済いたします。2号土地と呼んでおりますけれども、土地造成事業は、公社の判断によって土地を取得して、造成して民間企業等に売却をする、工業団地造成事業などとして典型的に行われております。公社が借入金によって土地を取得して、売却代金をもって返済するというところは共通であります。現在の土地の構成比の状況は、1号土地が大半を占めておりまして、2号土地は一部でございます。
 次に、「保有土地の賃貸について」でございますが、現行制度は、1号土地につきましては、依頼元に買い取ってもらうまでの暫定的な賃貸、10年以内で堅固な建物を建てない場合は可能というふうに通知上、処理しております。2号土地につきましては、構造改革特別区域において事業用借地権、10年から20年までの期限つきのものということで設定して賃貸することが可能になるように特区法施行令で措置しております。
 次のページへいっていただきまして、「1号土地の賃貸について」でございますけれども、まず第1に土地公社の健全な経営が阻害されるという問題がございます。公社の保有土地というのは、借入金によって取得したものでございますので、土地の処分によって資金回収を図って、借入金を返済しなければなりません。事情の変更により当初の目的による利用の必要性がなくなったということもたまにあるわけでございますけれども、その場合には、投下資金を回収するために依頼元の自治体に売却して、依頼元において他の用途に供するか、あるいはそれが難しい場合には民間に売却すべきものと考えております。
 その土地が遊休地化してしまうということ自体がそもそも問題ですけれども、ある目的があって、そのために公社に土地の取得を依頼した公共団体には、その土地を買い取るということを含めて責任があるわけであります。公社の保有土地が遊休化しているというのは、依頼元団体において利用用途が見当たらなくなっているという場合が普通でございますので、本件のようにグループホームとして使わせたいという場合には利用目的があるわけでございますので、早く依頼元に買い取ってもらって、その用に供してもらえばいいということでございます。
 それから、3.のところでございますが、土地開発公社が取得した土地について依頼元が買い取ることなく供用を開始するというのは、公社の健全な運営を図る観点から不適切であるので、その改善に努めるということを通知で流しているその趣旨にもとるということになりますし、また平成13年度から長期保有土地の売却、供用済み土地の解消といったことを促進する公社の経営健全化対策を講じておる趣旨にもそぐわないということでございます。
 2は、地方公共団体の側から見て財政の透明性が阻害されるということでございますが、グループホームへ土地を賃貸するというのは依頼元団体の施策として行われるものでありますので、そのために必要な土地にかかるコストも当該依頼元団体において負担していただくべきものであります。土地公社に賃貸事業を行わせるというのは、依頼元団体が本来行うべき財政負担を土地公社に肩がわりさせるというものでございますので、公共団体の財政の透明性を阻害することになるというふうに考えられます。現在、公共団体の事業を第三セクターなどに行わせて、第三セクターの借金の増大が問題になっているわけでありますけれども、それと同様の状況を生み出してしまう、いわば依頼元団体の隠れ借金を認めることになってしまうので適切でないということでございます。
 ではどうするかという点につきましては、3.のところで、グループホームへの土地の賃貸が政策として必要だということであれば、依頼元団体が公社から土地を買い取った上でグループホームへ賃貸すればよろしいということでございます。
 これが1号土地の賃貸についての考え方でございまして、(3)は「2号土地における事業用借地権を全国展開すべし」という点についてでございますけれども、この点につきましては、まさにまだ制度が始まったばかりでありますので、公社経営に与える影響等を十分検証した上で、今後検討すべきであるというふうに考えております。
 3ページ以降は、資料でございますが、さらっとごらんいただきますと、通知の4−(4)と書いてあるところは、土地を買い取ることなく供用開始するのは不適切であるから改善に努めるということ、4−(8)は、1号土地につきまして外部への賃貸等は差し支えない。下の方でございますけれども、その場合にも長期に及ぶもの、10年を超えるものや堅固な建物を建設するようなものは適当でないということを言っているものでございます。
 4ページ目は、先ほど出てまいりました公社の経営健全化対策でございますけれども、公社の保有している土地の価格が設立出資団体の標準財政規模の50%以上、保有期間5年以上の土地の価格が標準財政規模の20%以上といったような、要は、土地の保有額が大きい、あるいは長期保有土地の価格が大きい。そういう土地開発公社について計画の内容は、具体的な措置、設立出資団体によって行うべき措置、目標値等を決めるということで、目標値としては、先ほどの50%を25%以下にするとか、20%を10%以下にするとか、あるいは供用済み土地等は解消するといったような目標を掲げております。
 支援措置としまして、設立出資団体による公社保有土地の再取得、買い取りを促進するということで起債あるいは交付税、再取得までの土地の簿価の上昇、利子が乗ってまいりますので、それに対する交付税、起債措置を講ずるというふうにしておるところでございます。団体は現在、72団体の70公社、一部3市町村で一つの公社をつくっているところがありますので、70公社ある、そんな状況でございます。以上でございます。

○八田主査 どうもありがとうございました。
 それでは、委員の皆さんからご質問、ご意見、ございませんか。どうぞ、村山委員。

○村山委員 大変勉強不足で申しわけございませんが、幾つか教えていただきたいんですが、そもそも土地開発公社というのは、こちらの4ページ目のところに、経営健全化団体、要するに余りよくない状況にあるというのが72団体あるというお話でございましたが、日本全国では何団体ぐらいあって、赤字公社というのが全体で何団体ぐらいあるのか、赤字額は累計でお幾らか。
 それから、保有土地の構成比、1号、2号と出ておりますけれども、これは簿価ですか。

○総務省赤川地域振興課長 そうです。

○村山委員 買取価格で簿価ですね。大体どれぐらい持っていらっしゃるのか、数字をもしお持ちでしたら教えていただければと思います。

○総務省赤川地域振興課長 最初のご質問の団体の数は、1,575あります。ちなみに、市町村の数は3,200ぐらいあります。
 それから、赤字については、そういうデータをとっておらないので、保有土地の額が大きいかどうかで対策を講じているということでございます。

○村山委員 では、それぞれの土地開発公社の民間企業でいうところのPLとかBSというものに関して精査はなさっておられないということですね。

○総務省赤川地域振興課長 そうです。

○村山委員 各都道府県でも精査はしていないのでしょうか。

○総務省赤川地域振興課長 BS、PLにつきましては、作成したものを設立団体に届け出るということになっております。設立団体というのは、都道府県または市町村ということになります。

○村山委員 こういった先行取得事業の土地造成事業等について、今ご説明されたルール、特に設立団体が買い取るべきである、こういった一連のルールィングというのはいつ頃なされたものですか。このルールができたのはいつぐらいですか。

○総務省赤川地域振興課長 公社ができた昭和47年です。

○村山委員 昭和47年ですか。一言言わせていただければ、昭和47年のときには設立団体が土地の売却を依頼されると応じることは可能だったと思いますけれども、今はやりたくてもやれないというのが現状のような気がいたしますが、いかがでしょうか。

○総務省赤川地域振興課長 公社に土地を買ってもらって、それを公共団体がもう一遍買い取って、道路なり会館なり、そういった用途に供する。そういった用途に供するということ自体は土地開発公社の仕事としてはできなくて、公共団体等がやらなければいけないということです。

○八田主査 この問題は、まず原則論から申しますと、公社がつぶれたとき、あるいは解散するときには設立団体の市なり区なりが全部面倒を見るということになっていると思いますから、結局、もし財政破綻すれば市なり区なりにふりかかってくることですよね。
 そうすると、基本的には市なり区なりが情報開示をきちんとした上で、自分たちにとって一番都合がいい処分の仕方だと考えるやり方をやらせるのが原則としてはいいと思います。余計な条件をつけない方が原則としてはいい。
 もともとある目的があるから市なり区なりが公社に頼んで買った土地がもう目的がなくなってしまった、黙って置いておくのはもったいないというときに、何とかして使おうと思う場合に、それを市に貸して使うのか、それとも市に売却してそういう用途に用いるのか、そこの差だと思います。
 公社の側から見たら、場合によっては、土地をある程度持っていても、既に元来の目的でなくなった土地ですから、ずっと持ち続けていた方が後で売却のときに有利になるかもしれないということがあるかもしれない。特に市なり区なりが今、買える状況にないというときには、市中で売ったら大変安い値段になってしまって、今、売る時期ではない、しばらく持っておこうと考えるかもしれない。その場合にはむしろ保有し続けて、市に貸して賃料を取るという決断をした方が、その時点で市場で売却することを決断するよりも経営上、長い目で見て健全なのではないかと、私は最初にこのお話を伺ったときは思ったわけです。だから、なるべく自由度を与えた方がいいのではないか。
 これは元来市なり区なりの隠れ借金の道具になる。公社に借金を負わせたままにしておくことの方が、市なり区なりが自分のところで借金して買い取るというのに比べて借金の額が少なく見える。とおっしゃっていました。しかしそれは、連結決算的な情報開示によって避けることができます。どのみち公社がつぶれたら責任は市なり区なりが負わなければいけないという状況ならば、元来、連結決算的なことがなされているべきだと思います。連結決算の仕組みはあるわけですか。それともそういうような指標というものはないのでしょうか。

○総務省赤川地域振興課長 現行制度においては連結決算という仕組みがありませんので、そこは隠れ借金になってしまうと考えております。したがって、少なくとも現行制度上では、このようなことを認めるのはそういう問題が生ずると考えております。

○安念専門委員 ちょっと伺いたいのですが、その場合、公社というのは、自分自身では何もファイナンスする力は持っていないのではないですか。ということは、親元が銀行か何かに保証を入れて、それで借り入れを起こして土地を買うというのではないかと思いますが、そうだとすると保証債務は親元のところに残っているわけだから、隠れもへったくれもなしに、それががちっと借金として立っているということにはなっておりませんか。

○総務省赤川地域振興課長 保証してやっているというところまではおっしゃるとおりです。ただ、公共団体の借金そのものにはなっていないという点で、公共団体の債権債務を全部明らかにしたときに、それは債務負担行為として出てくるわけですけれども、借金そのものにはなっていないということです。

○安念専門委員 しかし経済的には保証債務も借金も同じことですね。

○総務省赤川地域振興課長 そこは全くそのとおりだと思います。

○安念専門委員 わかりました。

○八田主査 そうすると、そういう会計制度を前提にした場合に、こういう制約をつけておいた方がいいという話だから、むしろ元来の筋としては、会計制度自体をきちんと透明性があるように、市が負っている究極的な負債がわかるようにする。その上で、本体が借金するか、支店が借金するかは当事者に任せる、それが筋が通っているように思います。

○総務省赤川地域振興課長 基本的な政策論としてはそういうことかもしれないという感じもいたしますけれども、地方公共団体が自分の判断で例えば財団法人みたいなものをつくって、そこにやらせるということであれば、それについて国がとやかく言う立場ではないだろう、それを判断するのは区なり都なりがやっていただければよろしいと思いますが、それにしても少なくとも現行制度上は適切でない状況がもたらされることが懸念されますので、国としてはそういう制度はつくるべきでないというのが私どもの考え方です。

○八田主査 1つは、これを要請してきたところ自体、本体が地方債を発行して買い取ることにどういう不都合があるのかということに関して、明白な理由が特に書いてあるわけでもありません。そこが先ほどの隠れ借金の話であるならば、そういう情報、少なくとも公社に関して本体の借金につけ加えた上ならば、ある種の自由を認めてもいいというようなことになるのではないかと思います。

○総務省赤川地域振興課長 論理的にはそういうことになるのではないかと思いますが、その場合には、逆にその借金を地方公共団体の方にくっつけてしまってもいいのではないかという議論になってきます。

○八田主査 会計原則的にはそうでしょうが、実際の費用、起債に要する費用、これまでの借金をちゃらにする費用、さまざまな借金にまつわる費用があると思いますが、そこは当事者が一番判断できそうである。ただし、外から知りたい情報というのは、全体合わせてどれだけの借金があるかであり、それに関する情報公開をやるということが、言ってきた方にとってはやぶ蛇かもしれないけれども、一番必要なことではないかと思います。

○総務省赤川地域振興課長 その点が制度を超えた本質であろうかと思います。ただ、地方公共団体の財政制度、地方公共団体に附属する団体の財政制度はどうあるべきかということからすると、今おっしゃったのは基本的な考え方であろうかと思います。具体の制度としては、なるべくそういう借金のようなものは地方公共団体本体に負わせてしまう方がより透明性の高いわかりやすい制度ではないかというのが基本的な考え方でございます。

○八田主査 わかりました。他にご意見はございませんか。

○村山委員 つぶれたりなり、うまくいっていなかったりなりすれば、責任をとらされるのは地方公共団体です。総務省がそこでアシストしてくださるわけでもないし、公費を投入してくれるわけでもないです。そうであれば、当該地方自治体が買い取るに買い取れないから、他に用途があると思っているのでこういう要望を出しているわけで、責任をとるべき地方自治体にその程度の裁量の余地は与えるべきではないのですか。昭和47年にできた法律をもとにして、国がこれは何とかに反するということ自体、現実的ではないのではないかという気がいたします。

○総務省赤川地域振興課長 その点につきましては、先ほど八田先生がおっしゃった点に尽きるのですけれども、東京都の区のような団体がこの土地を買い取る金がない状況というのは、実際問題としてはちょっと考えにくいのではないかと思っているわけです。もともと依頼をしたということは、後で買い取るという前提で依頼しているわけでありますので、借金するにしましてもそれぐらいの金はあるという状況でそもそも始まっているわけですし、現実問題、現在の状況を見ても、それだけ苦しいということはちょっと考えられないので、買うに買えない状況にあるかどうかという点については、正直なところ疑いを持っているという状況です。

○福井専門委員 今、一連のお話をお伺いしていると、八田先生が先ほどおっしゃったことの一つは、一種のよい土地投機です。今のような市況のもとで売却すると含み損が一挙に出てくる、それは取り返しがつかないと思えば、むしろ賃貸で回した方がかえって健全経営なり自治体の債務削減に寄与するのではないか。グループホームだからというのではなくて、売るよりも貸して回した方がまだしも賃料が入るし、キャピタルロスが顕在化しないから、さしあたり自治体にとっても公社にとってもメリットがあるというときに貸すことを認めることは、グループホームの政策目的とは全く関係なく、それはそれで合理的な場合があると思いますが、そういう場合の資産運用策としての賃貸はオーケーだというような方向はいかがですか。

○総務省赤川地域振興課長 すみません。さっき説明を抜かしまして失礼いたしましたが、当面の運用のために、この資料でいきますと1ページ目の2−(1)の1号土地と書いてあるところですけれども、依頼元に買い取ってもらうまでと書いてありますが、暫定的に賃貸にするということは認めているという状況ですので、そういう運用は可能だと考えております。ただ、グループホームを建ててしまうと、売りたいと思ったときに簡単に売れなくなってしまうという問題があると考えております。

○福井専門委員 10年以内とか堅固な建物というのはおそらく定期借地制度がなかった頃の制度で、現在は定期借地制度がありますから、事業用であれば現在でも10年から20年にできるし、先ほどヒアリングでもあったのですが、もっと期間をフレキシブルにしようという議論が出ています。確実に更地にして売却して、きちんとキャピタルゲインを確保できる可能性さえあれば公社にとって損はないわけですから、暫定的運用の場合には一定の定期借地制度の活用を義務づけた上であれば、更地で確実に転売の可能性が出てきます。そういうふうにこっちをいじれば、グループホームも、最後更地にして返す気があるから使わせてくれというのだったら、当人がそれでよければ別にだめだという必要もないわけですから、そういう使い方の工夫というのはどうでしょうか。

○総務省赤川地域振興課長 事業用借地権になりますと10年から最長20年までできるので、ちょっと長いかなと考えております。2号について事業用借地権を認めるようにしましたのは、2号の場合は工業団地として民間の企業に売り払うというのが基本ですけれども、この時代、なかなか民間企業は買ってくれないので、本来用途に供するためにも、売却だけではなくて、賃貸がないと本来用途が実現されないだろうということだったのですが、それと比較しますと、1号につきましては本来用途というのが別に公共用途としてあった場合なので、そこはちょっと違うかなということもありまして、事業用借地権は2号土地について認めるということにした経緯がございます。

○福井専門委員 もちろん1号の場合は2号と目的が違うのはそのとおりですけれども、結局、1号の場合というのは、要らなくなったということが前提でしょうから、あとはどうやって損しないで済むかという後始末の問題です。損しないで済むときにも、2号とは別の意味で定期借地制度が使い得るのではないかということです。だから、最長期で見ると20年というのは長過ぎるから、途中で売りの好機があるかもしれないと考えれば20年でない契約を結べばいいわけで、例えば10年とか15年というのもあるでしょうし、要するに20年で必ずしも固定する必要はないわけです。とすれば、暫定的な賃貸の要件をもう少し緩和して、売りの好機までしのぐための手段としてアレンジするものであれば、目的を問わず、2号とは別の意味で定期借地で、しかも資産運用として意味があるというケースが出てくると思います。

○総務省赤川地域振興課長 基本的な考え方は私どもと同じだと思います。あとは今、認めている10年を超えるような土地の利用というのは、先生のおっしゃった土地の価値を最大化するという目的からして、プラスになるかどうかという極めて実態的な判断の問題ではないかと思います。今の実態からしますと、堅固な建物を建てないということだとしますと、10年で運用可能ではないかと考えております。

○福井専門委員 堅固か堅固でないかは、定期借地制度の前ではどちらでもいい話です。要は、返してくれることになっている人が堅固な建物を建てるか、堅固でない建物を建てるかは、撤去費用との兼ね合いで自分が判断するので、定期借地制度を使うなら堅固という要件は不要になると思います。
 あとは年限の問題として、好機を逸さないでちゃんと売れるかどうかということだけですけれども、その点ついて考えると、20年とかでもそれほど悪くないと思うのは、土地がかつてのように上がることはないかもしれませんが、要するに、20年間一定の利回りで借地料が上がるわけですから、少なくともその間は損しない。どちらにせよ10年目が少し上がっていたかもしれないけれども、20年目でそれがほとんど紙くず同然になるということはないと考えれば、一定の循環内におさまっているとすれば、20年だって最後は必ず元本としての土地は戻ってくるわけです。だったら20年を認めても、少なくとも途中の賃料と合わせて、最終的には自治体の負担がそれほどふえないというのなら、それはそれでまさに自治体の経営判断としてやらせてあげてもいいのではないかという気がします。

○八田主査 私も福井委員のおっしゃるとおりだと思いますが、先ほどの隠れ借金の問題は、自治体については当然本体の借金は情報開示されていると思いますが、公社についても借金については情報開示されているのでしょうか。

○総務省赤川地域振興課長 するように指導はしております。特に都道府県、指定市について言えば、ほぼすべて議会に報告されるという形になっておりますけれども、一般の市町村になりますと、そこは十全に徹底されているとまでは言えない状況です。

○八田主査 借金して買っているものを賃貸で出すというような場合には、必ず借金の総額を情報開示しなければいけない、そういうような制約をつけるということが考えられるのではないでしょうか。隠れ借金をつくるためにこうやる道を絶つというようなことは一つの方法としてあるのではないでしょうか。

○総務省赤川地域振興課長 その辺の取り扱いになってきますと運用の問題になってきますけれども、地方公共団体の借金として直接にあらわれてこない、別に土地開発公社のものを見ると出てくるというところで、多少の隠しがきくといいますか、そういう問題が残るかと思います。

○八田主査 そうすると、貸す場合には本体のところにもきちんと表示しろと、そういうことをしてだれでも見やすくする。隠れ借金をつくらせてはまずいとおっしゃるのはよくわかりますので、基本的には情報開示をきちんとさせる仕組みでなければいけない。そのとおりだと思いますけれども、そこで工夫するというのではどうでしょうか。

○村山委員 特殊法人改革の流れの中で土地開発公社の取扱いというのはどうなっているのですか。

○総務省赤川地域振興課長 地方公共団体が設立する法人ですので、直に特殊法人改革の中で言及されているということはございません。

○八田主査 要請してきた東京都自体にもう少し詳しく要望している理由を少なくとも文書で聞いてみて、それで我々は考えてみるべきではないかと思います。

○村山委員 総務省の見解としては、東京都が買えないことはあり得ないという見解があるようですね。

○八田主査 そういうご見解です。本日のお話で総務省のお考えはよくわかりましたので、今度、東京都側の考えを伺ってみようと思います。

○安念専門委員 特に親元の自治体と公社との間の売買予約契約がどうなっているかが大変疑問です。たらいざらしにされたら公社の側としては借金だけで売れないわけですから、利息だけ積み上がっていくわけです。そんなばかなことをしているはずはなくて、つまり一定の期限に当然買い入れるという約束になっているか、あるいは公社の側で一種の予約完結権の行使みたいなことで、とにかく必ず売るという仕組みになっていないとおかしいわけです。今のご説明でも、そうであるべきだとのご説明でした。しかし、公社と都なり区なり自治体との関係において、契約はあるのでしょうか。

○総務省赤川地域振興課長 価格、時期といったものを書面の契約にするようにということを通知しているという状況にありまして、現在はほぼそのように取り扱われているのですが、こういう問題が生じてきているということは、まさにおっしゃるように、そこのところがあいまいになっていたのではないかという疑いがあります。

○安念専門委員 信頼関係でやっていたということですか。

○総務省赤川地域振興課長 そうでございます。

○安念専門委員 わかりました。ありがとうございます。

○八田主査 わかりました。どうもありがとうございました。

【工場立地法における緑地率の緩和:経済産業省ヒアリング】

○八田主査 それでは、次は経済産業省にヒアリングさせていただきたいと思います。工場立地法における緑地率等の緩和についての要望がでております。これについてのお考えをお伺いさせていただきたいと思います。

○経済産業省山本地域経済産業政策課長 経済産業省の地域経済産業政策課長の山本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 工場立地法の緑地規制でございますが、資料を4点ほど用意させていただいています。
 1点目については、既に検討に入っておりまして、産業構造審議会の工場立地法検討小委員会をこの9月11日に立ち上げることにしております。緑地規制につきまして、工場立地法上、産業構造審議会の諮問事項になっておりますので、ここでやらせていただく形で進めております。
 平成9年の法改正に伴いまして、工場立地法の緑地規制、全国の規制と地域の実情に応じた規制を分けております。まさに構造改革特区的なものを工場立地法の中へ織り込んだという経緯がございまして、今、各自治体から出てきている要望、実は構造改革特区要望でも十二、三の団体から出てきておりまして、それは項目が非常に細かく出てきております。今回、工場立地法検討小委員会を開くに当たりましては、その要望を分析いたしまして、どういうアイテムがあるのか、それに関して調査をかけながら、第1回目の準備をしているところでございます。
 2つめ、3つめの資料は、工場立地法の概要と平成9年法改正の経緯でございます。
 工場立地法につきましては、そもそもは昭和34年に工場適地を調査するため工場立地の調査等に関する法律という形でできたのが、昭和48年、昭和40年代の公害、都市問題の高まりを踏まえ、緑地を中心とした形で、まさに地方に工場を分散するときには、環境のいい工場をつくっていただこうという趣旨で緑地規制、環境施設面積規制を入れました。
 制度の仕組みのところに工場立地に関する準則というのがございまして、法4条というのが準則でございます。敷地面積に対する生産面積の割合、緑地面積の割合、環境施設面積の割合、これを何%以上に引き上げてください。これは昭和48年に入った規制でございますので、既存のものはそれまでの経過的措置があるわけでございますが、新たにつくる場合は、緑地なり緑地も含めた環境施設はこの程度つくってくれという形で国が一つの物差しを示したということでございます。
 次に、平成9年法改正についてでございますが、地方分権推進会議の方からいろいろ意見が出まして、緑地については、周りの環境との関係で、地域地域の実情を勘案していただいてもいいのではないだろうかという議論が平成8年ぐらいから出まして、それを受けまして平成8年から、当時は産業構造審議会ではなくて、工場立地審議会というのがございまして、そこで検討を重ねまして、平成9年法改正したわけでございます。
 全国の準則に加えまして、4条の2という枝番号をつけまして、4条の2で「地域の実情に応じて4条によらないこともできる」という形で、これは条例でやらなければいけないわけでございます。緑地面積で言うと全国で20というのが一つの物差しになっておるわけでございますが、工場系のところについては、アローワンスとして5%、要するに15までいい。住宅系のところにつきましては、むしろきちんと緑地をやってもらおうというので、プラス5までいいよという上下プラス・マイナス5まで条例で定められる形のものを平成9年の改正でやりまして、平成10年1月から施行されております。
 現在まで地域準則を使った形で緑地規制について緩和しているところは、5つの地方公共団体があります。北九州市が最初にやりました。それから横浜市、川崎市、神奈川県、そして昨年の12月に三重県がやっておりまして、現在、4条の2に基づく地域準則を条例でつくっているところは5地方公共団体がございます。
 そういった状況がある中で、構造改革特区要求では、ある意味で工場立地法自身に構造改革特区的なものをビルトインしているという形で、今回の緩和要求については、全国的に緑地の定義の見直しとか、あと今の地域準則の授権の範囲をどうにかならないかということもございますので、そこまで含めて検討しようと思っております。
 それで、要望の中味でございますが、横長のパワーポイントのもので、構造改革特区要求の中で個別の自治体から出てきたアイテムを少し整理させていただきました。自治体の数としては十二、三の団体でございますが、項目ごとに整理しますと、延べ75件の項目でございます。上から緑地面積の緩和が7件等々ここに書いてありまして、こういったアイテムについて、緑地と環境施設と生産施設というのをアイテムごとに整理したのが3ページ目のところでございます。
 3ページ目のところで、緑地に係る要望内訳という形で4つほど、緑地の定義の拡大、緑地面積の緩和、地域準則の緑地面積率の緩和、先ほど言ったプラス・マイナス5%というアローワンスを広げてくれということです。それから緑地の運用緩和、昔は通達と言っておりましたが、今は技術的助言、これで書いてある中で読めるか読めないかの問題があるものでございますから、そういったものが緑地に係る要望内訳でございます。
 それから、環境施設に係る要望内訳として、緑地のほかに運動場であるとか、そういったのを含めたものを環境施設と言っておりますが、環境施設面積率の緩和。それから環境施設の定義の拡大、定義の見直しも今まで何度かやっております。それから、地域準則の環境施設面積の緩和という形で、先ほど言った地域準則のアローワンスの拡大です。
 最後に、生産施設に係る要望内訳ということで、生産施設面積の緩和、地域準則での生産施設面積の設定というのがございますが、生産施設面積の緩和につきましては、SOx、NOxの環境負荷がどれくらいなのかという形で業種ごとに決めておりまして、この見直しも今回やろうと思っております。
 いずれにしましても、こういった要望が各地方公共団体から出てきておりますので、我々としては、全国準則にしろ地域準則にしろ、これ自身を変えるためには産業構造審議会の審議を経なければいけませんので、その準備ということで、産業構造審議会のもとに工場立地検討小委員会を9月11日に開きたいと思います。今のところ4回程度、パブリックコメントも含めて3ヵ月程度で審議を終えて、可及的速やかに専門家の委員の方々と議論した上で要望に対応してまいりたいと思っております。
 以上が工場立地法の緑地規制に関する考え方でございます。

○八田主査 どうもありがとうございました。それでは、いろいろなところからの要望に対するお答えとしては、とにかく検討して、本年度中に対処していくということですか。

○経済産業省山本地域経済産業政策課長 本年度中にやろうと思っています。今のところ、審議会の目途として本年中に審議を終えるぐらいの感じで進めようという段取りで進めております。

○八田主査 わかりました。どうもありがとうございました。他にご意見はありますか。これは今度の政府決定に入る形の文章になり得るということでしょうか。

○事務局中山次長 この事項は既に現在の3か年計画にも載っています。したがいまして、措置の時期と、できるだけ具体的にどこまで中味を書けるかという点についてご議論いただきたいと思っております。追加的に書けるような状態になれば政府決定に載せたいと思っております。

○八田主査 3か年計画の文章では、「平成15年中に措置する」ということになっているわけですか。

○事務局森室長補佐 委員の方々のお手元の資料、最後のページに現行3か年計画における記載ぶりが載っておりますので、それをご確認いただければと思います。

○八田主査 従来の3か年計画では「見直して措置を講ずる」となっているけれども、緩和するという文章にはなっていないということですね。

○経済産業省山本地域経済産業政策課長 中立的な形に書いております。

○八田主査 今のお話も非常に積極的なお話ですし、何よりも地方ごとに対応できる仕組みができているということで、これは中立的というより、緩和を可能にする措置ですね。規制を緩和して、もちろんもっと厳しくすればできるけれども、緩和することもできるということですから、そういう一歩踏み込んだ形にしていただけないでしょうか。

○経済産業省山本地域経済産業政策課長 論理的に言いますと、地方の授権範囲を広げるわけですから、地方が厳しくしようと思えばできるわけです。

○八田主査 それはそうです。しかし、緩和を可能にする措置をとるということです。地方の裁量で緩和を可能にする措置をとる、そういう形にしていただければ、基本的に非常に積極的なお考えをお持ちなので、ある意味では今よりも一歩進めた形でやるということがいろいろな要望に対して応える形になるのではないかと思います。

○経済産業省山本地域経済産業政策課長 いずれにしても、緩和の方向でというニュアンスが出るような表現ぶりということですね。

○八田主査 そうです。それを事務局とも相談していただけますか。

○経済産業省山本地域経済産業政策課長 事務局の方と相談させていただきます。

○八田主査 ご意見は他にございますでしょうか。

○安念専門員 中期的には一種の「性能基準」に変えていくのでしょうか。緑地である必要は別にないと思うのです。緑地が持っている機能を何かで代替できればいいわけです。例えば温度が上がらないようにする、SOx、NOx、二酸化炭素を吸収する、そういった他の措置で代替できれば、別に緑地という面積を確保する措置を必ずつくらなければいけないというものではありません。例えば柱の太さが5センチでなければいかんというのを、耐震性能があればいいというふうにするのと同じようなやり方が考えられはしないかなという気がいたします。ただ、これは技術的には非常に難しいので、今年中に審議会を終わってという話ではありませんので、中期的にはそういう方向に変えていただくのが合理的ではないかという気がいたします。
 それともう一つは、緩和のニュアンスを大幅に出していただくのが要望としてあります。というのは、先ほどアローワンスを使っておられる自治体が5団体あるとおっしゃっていたのですが、推測するに、工場を追い出し過ぎて失敗したと思っているところがあるのではないかという気が多少したものですから、是非、緩和のニュアンス、方向を大胆に出していただければと思います。

○経済産業省山本地域経済産業政策課長 第1点目の緑地に関しては、緑地がこの法律でどういう意味を持っているか、緑地の機能は、いろんなものがございますので、一義的な与え方は難しい部分があろうかと思います。いずれにしても、一定の授権のもとに地方で決められるようにしたのは、地方によってそこまでやる必要がない。要するに、周りの環境との相対的な意味合いを持つものでございますので、そういったことも含めて、ある意味で我々、地方に平成9年の改正でそういった仕組みをビルトインしたというのは大変よかったのではないかと思っています。ただ、そこのところがまだまだ自治体から要望があるので、それを踏まえた形で今回、小委員会の方で見直しをさせていただこうと思っております。

○八田主査 アローワンスの幅を広げることを含めてということですね。

○経済産業省山本地域経済産業政策課長 表現ぶりは事務局と相談させていただきます。

○八田主査 事務局とつめていただきたいと思います。大変積極的にお考えいただいて、どうもありがとうございます。本日は、どうもありがとうございました。

以上


内閣府 総合規制改革会議