平成15年10月21日(火) 13:30〜15:30
永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室
大気生活環境室 上河原献二室長
国土環境・調整課 岡田俊夫課長
大都市圏計画課 西野仁専門調査官
公園緑地課緑地環境推進室 新田敬師企画専門官
都市計画課 梛野良明企画専門官
総務課土地収用管理室 小川晴基室長、伊藤嘉規課長補佐
国土環境・調整課 岡田俊夫課長
国土環境・調整課公共用地室 平山博登室長、長塚邦生調整官
都市計画課 清水喜代志施設計画調整官
保安企画課航行視覚援助業務室 中坪克行室長、佐々木友夫専門官、新屋光幸調査係長
管理課空港管理室 内田傑室長、川埜亮課長補佐、錦織修専門官
市街地整備課権利変換システム調整室 名和振平室長
市街地整備課 水谷明大再開発事業対策官
市街地建築課 井上勝徳高度利用調整官
八田達夫主査、森稔委員、村山利栄委員、中井検裕専門委員、福井秀夫専門委員
内閣府 福井和夫審議官、中山泰次長 他
○八田主査 それでは、きょうはお忙しいところをお越しくださいまして、どうもありがとうございました。第6回住宅・土地・公共工事・環境ワーキングを開催いたしたいと思います。
○八田主査 現在、3ヵ年計画のフォローアップを行っております。本日は、最初にヒートアイランド対策についての3ヵ年計画の進捗状況について、まず環境省さん、次に国土交通省さんにお話しいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○環境省環境管理局大気生活環境室 上河原室長 まず、前回ご質問のありました調査研究で用いておりますデータの関係について資料でご説明したいと思います。
私どもでは、収集いたしましたデータをもとに都市環境気候図というものをつくりまして、それで都市の熱を中心とした環境の状況がどういうふうになっているのか、一般の方にご理解いただく助けとしたいというふうに考えておりまして、それを報告書でお示ししているところでございます。
報告書では、東京の23区を取り上げておりますけれども、都市環境気候図を作成するに当たって使いましたデータの詳細につきまして報告書にそれぞれ記載しております。いろんな機関からご提供いただきましたデータを使っておりますので、それぞれの情報源情報という形で出しております。
それから、やはり前回ご質問いただきましたシミュレーションの関係でございますけれども、資料の裏面をごらんいただきたいと思いますが、私どもの方では、簡易計算システムを開発いたしまして、希望する自治体に配布すべく、現在、自治体にこういう簡易計算システムを使う希望があるかどうか希望をとっているところでございます。
この簡易計算システムは、ある類型の土地利用がずっと一様に広がっていると仮定して、そこにおいて屋上緑化でございますとか、建物の高さとか、建物の面積などを変えていくと、その結果といたしまして、どのように気温でございますとか熱負荷量が変化するのかということが理解できる、そういうシステムでございます。地方自治体の中では同じようなシステムを開発しようとしていた自治体さんがございまして、そういうところから問い合わせをいただいているところでございます。
次に、ヒートアイランド対策関係府省連絡会議の進捗状況についてご説明いたします。こちらは国土交通省さんと私どもで共同事務局を務めさせていただいておりますが、今月16日に関係府省連絡会議が開かれまして、組織の改変がございました。裏面をめくっていただければと思いますけれども、別記1、別記2というものが出ております。従来、別記1の課室長級の会議だったのでございますけれども、ヒートアイランド対策大綱策定に向けまして局長相当クラスの会議を設けまして、従来の課室長級の会議は幹事会というふうに変更しております。
それから、もう1枚、「ヒートアイランド対策に係る大綱骨子(事務局案)」というのをお配りさせていただいております。こちらは現在、関係府省連絡会議の中で議論しているものでございまして、まだ調整が終わっておりませんので、事務局案という形で今日お配りさせていただきました。したがいまして、まだ公表に至っておりませんので、恐縮でございますけれども、取り扱いにご注意いただければというふうに考えております。
以上でございます。
○八田主査 どうもありがとうございました。
○国土交通省総合政策局国土環境・調整課 岡田課長 続きまして、国土交通省の方からご説明させていただきます。6月にも一部ご説明させていただきましたけれども、都市のヒートアイランド対策についての取り組み状況をご説明いたします。
1点目といたしましては、大都市における都市環境インフラ整備の関連で、首都圏の都市環境インフラのグランドデザインの策定でございます。
1段目にありますように、6月にご説明いたしましたけれども、関係省庁、9都県市を構成員とする協議会におきまして、本年度中にグランドデザインをつくりたいということで、今、検討を進めているところでございます。
具体的には、2段目にございますけれども、特に水と緑のネットワークの形成に向けた関係主体間の共通認識、連携のあり方、こういったものをまとめたいということでやっておるところでございます。
具体の検討項目は、(1)にございますように、水と緑のネットワークはどういうものかということ、それを行うために必要な自然環境要件ということで、主としてどんなところを保全・再生していったらいいかということでございます。
具体的なスケジュールにつきましては、2枚目に書かせていただいておりますけれども、今まで研究会等を開催してきているところでございますが、先ほどの協議会において合意いただくために今、検討を進めておりまして、11月と書いておりますけれども、具体のめどは必ずしもはっきりいたしておりませんが、遅くとも年内を目途にグランドデザインをまとめたいというふうに考えておるところでございます。
それで、具体的には、別紙のところにございますけれども、そこに主として保全すべき自然環境エリアを示してございます。昨年度6つの地域を先行検討して、本年度さらに5つの地域を追加して、まさに水と緑のネットワークの中核的なゾーンというところを検討しているところでございます。こういうところを踏まえまして、どういうふうにつなぐかとか、あるいはネットワークをどう考えるか、どういうふうに各主体の連携をとって進めていくのか、といったことを内容とするグランドデザインの検討を今、させていただいているということでございます。
さらに、来年度以降の取り組みにつきましては、(2)にございますけれども、首都圏の今のグランドデザインに基づいて具体のネットワークの形成の推進、さらに近畿圏におきまして同様なグランドデザインの策定というものを行うべく予算要求をしているというところでございます。
最後の4枚目の横長の紙を見ていただければと思います。特に都市の緑の創出ということから、6月のときには社会資本整備審議会公園緑地小委員会の中間報告をご報告させていただきましたけれども、現在、それを踏まえまして具体の制度化、法案の内容等の詰めをしているところでございまして、今、取り組んでいる制度・事項等について書かせていただいております。
そこにございますように、都市公園あるいは都市空間の緑化、緑地の保全を総合的に進めるということで法改正を予定して、検討を進めているところでございます。特に従来、そこにございますように、公的な主体が整備する公園と、主として民有地の緑化を中心とする都市緑地保全法、こういったものの連携をとって総合的な緑地保全を進めていこうということでございまして、民有地については、大規模建築物におけます緑化率規制の導入でございますとか、市民緑地の対象の拡充といったことを検討してございます。公的主体が整備する都市公園につきましては、より効率的な整備を進めるために、そこにイメージで描いてございますけれども、建物の上部も立体的に公園区域として整備していくといったようなこと等も検討しているところでございます。
あわせまして、法制度と並行して、「水と緑のネットワークの形成」と真ん中に書いてございますけれども、公園という観点ではなく、もっと広く河川におきます自然護岸の整備ですとか、あるいは道路内の緑化、いろんな緑のスペースを確保する主体が考えられますので、そういった各種事業を連携して、多様な主体で水と緑のネットワーク形成を図りたいということの取り組みを始めているというところでございます。
以上、現在取り組んでおります緑の確保の点につきましてご説明させていただきました。
○八田主査 どうもありがとうございました。
それでは、ご発表が終わりましたので、委員の方からご質問ないしはご意見をお願いいたします。
どうぞ、森委員。
○森委員 ヒートアイランド現象が起きる原因はもちろんいろいろあるわけですが、結局、都市化が進んでいくときに起こってくるわけなので、その原因として、緑とか自然の土地などが建物あるいは道路に置きかわっていくということによって、蓄熱が進みやすくなるというような問題、それから、緑や川がなくなっていくことによって、吸収する要因といいますか、ヒートアイランド現象を起こさない要因が減っていく。要するに環境が変化することによる問題がある。それから、発熱体がいろいろふえる、エネルギーを発散するものがふえるというようなことでしょうか。自動車とか、空調機とか、いろいろあると思いますが、結局、対策としてはどういうウエートを置いてそれを解決していこうとするのか。マイナス要因を減らすのか、プラス要因をふやすのか、どういうふうな方針に向かっていらっしゃるのかを伺いたいのですけど。
○八田主査 環境省さん、お願いします。
○上河原室長 きょうお配りいたしました骨子案をごらんになっていただければと思いますが、その中で3ページのところをごらんになっていただければと思います。
柱といたしまして、人工排熱の低減、2番目に地表面被覆の改善、3番目に都市形態の改善、加えまして次の4ページにライフスタイルの改善、この4本の柱を上げさせていただいております。ただ、ヒートアイランド現象、ご指摘のとおり原因も多岐にわたっておりますので、こういうことを総合的に進めていくことが肝要かというふうに考えているところでございます。
○森委員 そうかもしれませんが、私がいつも言っておりますのは、とにかく都市をコンパクトにすれば地表面の回復は進むだろう、あるいはヒートロスも少なくなるのではないか、したがって蓄熱量も減らせるのではないか。つまり、都市の形態、建築物や構造物のあり方を変えることが最も手っ取り早い対策ではないのかというふうに主張しておるのですけれども、その点に関する見通しはいかがですかね。
つまり、超高層化、コンパクト化が一体悪いのかいいのか。風道をふさぐからいかぬという説もあるのですけれども、その点についてのご感想も伺いたい。
○上河原室長 私どもの方で推計していますところでは、東京では、人工排熱の方がやや多くて、ご指摘の地表面の改善に伴うところが大体半分ぐらいというふうに推計しているところでございます。都市形態の改善も非常に重要な点でございまして、今、国土交通省さんの方でそちらの施策をご検討いただいているところでございます。
○岡田課長 補足させていただきます。私どもとしまして、現状は、自然状態と比べて都市化が進んだことによる影響と、人工排熱といいますか、いろんなものから出る排熱、ヒートアイランドの原因としてはほぼ半分半分といったようなことを認識しておりまして、そういう意味ではそれぞれの熱をできるだけ減らすということと、地表面をできる範囲で昔の自然状態を踏まえたヒートアイランドにやさしいような構造にするということ、両方の面からの対応が要るのではないかと思っております。
都市構造の改善といいますか、地表面被覆の改善ですとか、あるいは都市形態の問題につきましても、骨子のところでお示ししましたように、どれが後先というのはなかなか難しいんですけれども、短期的に効果があるもので可能なものはさっきの緑の整備等も含めてできるだけ整備を進めてまいりますし、少し中長期的な観点からの都市形態のあり方といったようなことも並行して検討してまいりたいと考えているところでございます。
○森委員 もうちょっとよろしいですか。プラス、つまり吸収要因の方としては、川の幅を広げたり、湖をつくったり、緩傾斜堤防をつくったり、素人考えかもしれませんが、そういうようなことが相当大きな要因を占めているのではないか。水面の拡大ということは緑化より何倍も効果があるとか、その辺の研究はいかがですか。
○上河原室長 今のところ、おっしゃったようなそれぞれの施策の定量化ということについては、それぞれ勉強を進めさせていただいております。先ほどの骨子でも、水というのは非常に重要だということで、できるだけ水辺空間を広げるといったようなことも今回の大綱の中に盛り込み、骨子のところで頭出しさせていただきたい、そんな状況でございます。
○八田主査 要するに、前回に環境省さんから伺ったお話を総合すると、「ヒートアイランドの研究というのは、ほとんど何も進んでいない、全くよくわからない」という状況だと思います。ヒートアイランド対策の推進というときに、全部やりますというのは明らかにむだが多いので、最小の費用で最大の効果を上げられるのは何か、どういう組み合わせかというのが研究の目的であると思いますけれども、その段階にはとても至っていない、それを今から始めましょうということだったと思います。したがって、森委員がご質問になったようなことは、研究ですぐ結論が出てくる状況にないというような話だったと思います。
前回、何はさておき東京の各地点における温度情報がホームページで出れば研究者の研究が随分進むのではないでしょうか、と申し上げたところ、「著作権の問題がある、だからそう簡単には出せない」というお話があった。今回きれいな図でお出しくださったのは、前回の6月以降にこういうことができるようになったのか、それともあの段階でもう既にできていたのか、これについて伺いたい。
それから、今、実際問題として都市系の学生やなんかがヒートアイランドについて勉強したいというときに、時系列的に、場所的ごとの温度がどういうふうになっているかということの基礎データ、温度の分布があれば、それを建物の構造とか自動車の様子とかと比べていろんな解析ができるようになると思いますが、まず温度の分布に関するデータが一般的に公開されたデータとしてなければまずいと思います。
6月の段階でどうだったのかということと、現状どのくらいの細かさで一般にこういうデータが公開されているのか、その点についてお話を伺いたい。
○上河原室長 きょうお出ししました資料は、本年7月に公表いたしました報告書関係のものでございまして、6月の後に出されたものでございますけれども、もちろん作業はその前から進めていたものでございます。
基本のデータについてご質問いただきましたけれども、幾つか種類がございますが、1つは、気象庁さんの方でまとめられておりますアメダスのデータがございまして、首都圏に十何ヵ所かポイントがあって、そこのデータをCD−ROMの形で提供されていらっしゃいます。
○八田主査 十何ヵ所?
○上河原室長 正確なポイント数は……
○八田主査 800ヵ所とここに書いてあるのは何ですか。
○上河原室長 これは全国で、南関東のエリアだとアバウト、十何ヵ所ですが、すみません、細かい数を今、持っておりませんので恐縮でございます。
気温については、大気環境測定局で気温のデータをとっておりまして、それを国立環境研究所が整備しております。
○八田主査 今のアメダスは1時間置きぐらいですか。
○上河原室長 そうです、1時間値が出ております。
それから、大気汚染測定局のデータも1時間値で出ております。こちらは市街地を中心に配置されておりますので、首都圏のような大都市ですとかなり密度が高く配置されております。
○八田主査 CD−ROMで売っているということは、無料で公開はしていないということですね。
○上河原室長 そうですね。
○八田主査 公的に無料で公開される予定はないんですか。
○上河原室長 アメダスのデータの方は気象庁さんがご担当でございまして、私どもの方で直接…
○八田主査 環境省さんの方で購入して、公開するというようなことはできないですか。
○上河原室長 その点につきましては、気象庁さんとご相談する必要があろうかと思います。
○森委員 日本では、中都市でもヒートアイランド現象がだんだん悪化しつつあるというようなことが言われて、例えば仙台あたりでもかなりひどくなってきている。ところが、海外ではほとんどそういうことは問題になっていないと聞いているのですが、それで、私は仮説としまして、戸建て住宅がスプロールしていって、ある一定範囲を超えると起こってくる問題ではないのか。それを、地方都市にしろ、コンパクトに建て直して一定の範囲におさめれば、建物の総容積が倍になったからといって蓄熱量はそんなにふえるわけではなく、太陽が当たる量は同じですから、環境を守れるという意味で簡単に解決できるのではないか。そういう仮説を持っているのですが、諸外国の例という点と、一定以上の広がりを持ったときに問題になってくるという仮説に関してのご見解あるいはご調査はいかがですか。
○上河原室長 まず海外の状況でございますけれども、ヒートアイランドという現象そのものは、ある程度の規模以上の都市では必ず発生いたします。ただ、ほかの先進国の大都市と東京とを比べまして特徴的なのは、東京の気温上昇の伸びが大きいというところが特徴でございまして、東京の都市化が急激に進んだことが背景にあるのだろうというふうに思います。もちろんアメリカでも、環境保護庁が地球温暖化の問題と絡めてヒートアイランド対策を提唱しております。
あと、アジア諸国に目を向けますと、今、アジア諸国でも、ヒートアイランドに伴う平均気温の上昇が観測されて、論文が出始めているところでございます。中国では熱の島と表現しておりますが、私どもが承知している限りでも六十数本、ヒートアイランド関係の論文が出ております。また、香港あるいはソウルといった都市でも、関心が持たれて、論文などが出ているところでございまして、アジア諸国ではこれから関心が高くなっていくのかなというふうに思っております。
あと、ある程度の規模になったときにヒートアイランド現象になっていくのではないかというお話につきましては、まさにそのとおりでございまして、ある程度以上の規模の都市になると、ヒートアイランド強度というふうに申しておりますが、それが強くなってくるという研究論文が出ております。
○八田主査 どうもありがとうございました。
時間が押しておりますが、中井専門委員、どうぞ。
○中井専門委員 それぞれ一点ずつ。
対策の方でちょっとお尋ねしたいんですが、環境省の方は、ヒートアイランド、いろいろとデータを整備していただくのは、測定点をふやすとか、そういうのはぜひやっていただきたいと思いますが、緊急のあれとして、明らかに都市の気象に大きな影響を与えそうな大規模な例えば東京湾の埋め立てとか、そういうものについて、環境アセスメントの際にヒートアイランドという観点からどういう影響があるか、そういうことを義務づけるといったようなことについてどうお考えになっているか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
○上河原室長 ある程度の規模の開発を行ったときに、それが熱的な側面にも影響を与えるというふうに思いますけれども、現在の制度ではその点は評価の項目にまだ入っていないところでございます。自治体でございますと、東京都で、開発の際の配慮を制度化していらっしゃるところもございます。環境影響評価といいますか、あるいは環境配慮といいますか、そういうことを大規模な開発のときにどういうふうに取り入れていただくかということにつきましては、関係する方面も多くございますので、相談させていただければというふうに思います。
○中井専門委員 特に国の環境影響評価法にかかわる事業はかなり大きな事業なので、せめてそれぐらいは、あるいは都市の縁辺部で建設されるような場合にはそういうアセスメントの項目をぜひ検討していただけないかというふうに思います。
それから、国土交通省の方は、都市環境インフラのグランドデザインというものですが、グランドデザインというのをつくられた後、例えば国土計画とか首都圏整備計画、あるいは各自治体の持っている計画に反映していただかないと……。全部国の方でこれを整備するというわけではないと思いますが、そのあたりはどういう方法で自治体なり他の計画、もう少し実効性の高い計画のところにつなげていこうとされているのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○国土計画局大都市圏計画課 西野企画専門官 まず、今、グランドデザインの方の策定を進めているところでございますけれども、水と緑のネットワークといったものがどんな形になるのかということと、それをどのように整備というか、実際にしていくかという方向性くらいまではグランドデザインの方で出していきたいと思いますが、もちろんそれだけではまだ絵にすぎませんので、その後さらにそれをどのように実効へつなげるかという方向性の中でどうかくかということだと思います。国土計画といいますか、大都市圏、例えばこれですと首都圏整備計画にどう位置づけていくかということは検討していくことになろうかと思いますし、自治体につきましても当然何らかの形で反映させていかなければいけないと思いますし、この協議会の中に首都圏の各自治体もメンバーとなっておりまして、そのあたりの方にも入ってつくっていただくものでございますので、つくった後どう実効を高めていくかという議論についても取りまとめてまいりたいと思っております。
○村山委員 一つちょっとお伺いしたいんですけれども、こちらの方向性とか、あと、こういった対策協議会をアップグレードしたものになさる、そういう取り組みは評価されるべきと思いますが、非常に不安なのは、エンフォースメントを伴うやり方がきっちりできるのかという事です。もちろん包括的にこれとこれとこれということが完全に解明されるにはデータの整備も含めて時間がかかると思いますが。例えば省エネ、人工排熱の低減に資するようなビルを立てた場合には償却面で優遇するであるとか、容積率の優遇をするであるとか、蓄熱機とか排熱機等で都市のヒートアイランド現象抑制に効果のある空調システムを使っている場合には償却を短くするとか、私はプロではないので具体策はわかりませんけれども、そういったエンフォースメントを伴うような対策が出てくるのは一体いつぐらいのことになるのかということに関して非常に興味がありますが、何かコメントいただくことは可能でございましょうか。
○上河原室長 現在、メニューで対策を上げさせていただいております。それも物によりましては、言葉はあれなんですけれども、省エネの観点から、既に今おっしゃったような税制上の優遇とか、そういったものが部分的に取り込まれているものもございます。ただ、ヒートアイランドとの関連で申しますと、先ほど主査も言われましたけれども、実際のメカニズムの解明とか、そういうこととの並行になりますので、具体的な制度要求というのは、その検討を踏まえながら、いろんなインセンティブも含めて、社会的に理解の得られる形で検討をしていくということになるのではないかというふうに考えております。
○森委員 私から提案があるのですけれども、グランドデザインですが、保存すべき自然環境というのは保存ばかり書いてありますが、自然環境だってつくることができるので、堀をつくったり、池をつくったり、新しく川筋を延ばしたりなどする。何も地下に貯水槽、湧水槽をつくってため込むような金のかかることをしないで、地上を楽園のようにするというのを諸外国ではどんどんやっているのに日本ではついぞ見ないものですから、そういったようなことも含めて推奨すべきグランドデザインといった積極的な方向、保存ばかりではなくて、人間の生活環境のためにもいい環境をつくる、そういう方向のグランドデザインをおつくり願いたいなというふうに思います。
○八田主査 お忙しいところをどうもありがとうございました。
○八田主査 それでは、続きまして土地収用法の積極的活用についての実施状況をご報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○国土交通省総合政策局 国土環境・調整課 岡田課長 では、土地収用法の積極的活用等についての取り組み状況をご報告させていただきます。先般の答申を受けまして私どもとして今、取り組んでいるところをご報告させていただきます。最初に、2枚紙がございますので、それに沿ってご説明させていただきます。
3年8割ルールの周知徹底等でございます。この点につきましては、まず適期申請ルールを周知徹底するということと、実際にそのルールが守られているかどうかということにつきまして、国民に向けてしっかり公表することによって実際のルール遵守を図っていくといったご指摘をいただいたわけでございます。そういうことで、我々といたしましては、まず国土交通省の直轄事業、道路、河川等整備局において取り組んでおりますものにつきまして、公表も含めましてルールを定めたところでございます。
そのほか、現場職員にそのルールを徹底するということで、「用地実務必携」という手帳がございますけれども、そこにもこのルールを載せるとか、あるいは研修等を行ったところでございます。さらに、国民に向けましては、国土交通省のホームページにもこのルールを掲載したところでございます。
そういうものを踏まえまして、実際にそれぞれの事業についての進捗状況の公表につきましては、3月の通達で各整備局等、10あるわけでございますけれども、そこに通知をいたしたところでございまして、本年の7月から8月にかけまして、これらについて第1回の取りまとめができたということで、発表いたしておるところでございます。
具体的には、その次に、関東地方整備局においてどのような公表をしたかということで、少しつけさせていただいているところでございます。実際のホームページをプリントアウトしたものと、それについて我々なりにどういうふうに見ているのかということを書かせていただいてございます。
最初の6枚紙はホームページに掲載させていだたいたそのものでございまして、44事業についてそれぞれ用地取得の状況と完成の見通し、収用手続との関係ということで整理させていただいております。
それにつきまして、「国土交通省直轄事業の公表例」ということで、少し我々なりに分析させていただいたものを2枚紙でつけさせていただいております。カラーの次の紙でございます。
半年ごとに公表内容については再度更新していくということになっておりますので、それに向けていろいろ検討していく一つになるということでございますが、44事業につきましてでございます。事業全体では263あるわけですが、そのうち44について3年8割に到達した事業がございます。そのうち実際に事業認定を受けているのは3事業、準備に着手しているものが8事業、そうでないものが33という結果になってございます。そういう意味で、実際にどういう理由で事業認定に着手していないのかということにつきまして、1枚目から2枚目に少し書いておるところでございます。この辺もいろいろな方々のご批判をいただきながら、今後さらにいいものにしていきたいと思っているところでございますが、今こんな整理をしているということでございます。
最初の(1)の1、2、3は、既に認定済み、あるいは申請準備中ということで着手しているものでございますが、していないものとして、(2)の(1)ダム事業、ダム事業は、生活再建対策を実施するための十分な期間が必要であるため、事業認定手続に移行していないということでございます。2事業ございますが、いずれも22年度、23年度の完成ということを予定しておりまして、そういう意味で現時点では事業認定手続に移行するのに少し時間がかかるかなというふうに判断しているものでございます。
それから、(2)の5でございます。これは具体的には河川の導水トンネルの事業で、400人以上の地権者がいるということで、これも完成時期が相当先になっているということもありまして、事業の進捗を見ながら今後検討していきたいというものであります。
それから、用地取得率が低い事業ということで、3つほど用地取得率が5割を見ていない事業がございます。これは、それぞれ大規模なマンションがかかるとか、そういった個別の事情があるわけでございますが、いずれも完成の時期との関係で、もう少し具体的な任意買収を進め、その状況を見ながら事業認定への移行手続を考えたいというふうに考えているものでございます。
(4)の7から8は、地元との協力関係が見込まれるということで、現時点では今のところ事業認定申請に着手しないということにしておるものでございます。
大きく分けまして、その中で3つに類型化できるわけでございますが、1つは、今のところ任意協議が順調、事業の完成時期を見まして、現時点でまだ事業認定申請に取り組まなくてもかなり円満に解決できるのではないかという見通しもあるということで、今後引き続きその状況を見守りたいというのが16事業でございます。
2つ目でございますけれども、順調にはいっておるわけでございますが、本来の収用の形とは違いますけれども、相続人が複雑とか、いろんな事情で収用の手をかりないといけない可能性もあるわけですが、今のところそこまで踏み切らなくてもまだ余裕があるので、できるだけほかの手を尽くしてみたいという事業でございます。
それから、9番目、これは既に地元で合意のめどが立って、実際には今年度中に用地取得が図られる客観的な状況があるということで、申請しない。
9番目は非常にわかりやすい例なんですけれども、7、8については、事業の完成時期、これも予算とか事業の必要性とか、そういうところから決まってくるものでございますが、そういうものを見ながら事業認定手続への移行を引き続きチェックしていきたいということでございます。具体的には、整備局の中で局長をヘッドにした委員会等を設けて、こういったものについての判断を局としていたしているというところが多くなっておるところでございまして、定期的にこの辺についてはチェックし、公表していくということにしておるものでございます。
また2枚紙に戻っていただければと存じますけれども、今、直轄事業の取り組みについてご説明させていただきました。公共事業につきましては、さらに都道府県等が行っている公共事業あるいは公団が取り組んでいる事業もございます。これらについてもそれぞれこのルールの徹底を図りたいということでございまして、大きな箱の2番目に「国土交通省以外の起業者が行う事業」、まず国土交通省直轄ではこういうふうにやるよといってフォームを示させていただきながらやっていきたいということで、その次のステップとして、中央用地対策連絡協議会とございます。これは、国の各省庁あるいは道路公団等の公団、これについてもこのルールについて申し合わせをして、それぞれ取り組んでいただきたいということで、7月に申し合わせをしたところでございます。
公共団体につきましては、それぞれ事業の取り組みについていろんな事情があるところもあります。そういう意味で、それぞれこのルールの重要性についてご理解いただいた上で取り組んでいただくということにしているわけでございますけれども、そこに書いてある地区用地対策連絡協議会ということで、各ブロックごとに都道府県とか主な市の用地担当部局の集まりでございます。用地の買収について足並みをそろえていくとか、共通のルールづくりとか、そういうものをやっておるところでございますけれども、そこで実際にこのルールについて現状がどうなっているかということと、今後の取り組みについて大ざっぱな調査なり意見交換をしたところでございまして、今後、3年8割ルールについてそれぞれの自治体で取り組んでいただくよう話し合いを始めているところでございます。
それから、その他の公共用地取得の促進のための取り組みにつきましては、民間の活力の活用ということでございますけれども、これにつきましては、都道府県等、どんなところについて手が足りないか、どういうところを出したかというような意向も踏まえまして、出す場合にどういう予算なり契約をやったらいいか実際の活用のやり方について取りまとめた上、そういうものを周知しながら活用を進めていきたいというふうに考えております。
それから、代替地情報提供システム、仲裁制度の積極的活用につきましては、それぞれ周知しているところでございまして、今後とも取り組みを進めていきたいというふうに考えてございます。
引き続いて都市計画事業の取り組みについて都市局の方からご説明させていただきます。
○国土交通省都市・地域整備局都市計画課 清水調整官 都市計画課施設計画調整官の清水と申します。引き続きまして、事業サイドの方でどういうふうな取り組みをしているかでございますが、2枚紙を1枚めくっていただいた2ページのところ、都市計画道路の整備の中でどういうふうに取り組んでいるかについて説明いたします。
今説明がございましたように、用地担当部局の方ではできるだけ早く収用等に移行する、そういうふうな申し合わせをしているわけでございますが、それが事業サイドの方へ伝わらなければ意味がないということがございますので、まず一番最初に、事業サイドでどのような周知を図ったかについて説明いたします。
一番上に書いてございますけれども、各自治体で行っております事業につきましても、本来ですと自主性に任せるという必要性があると思いますけれども、時間管理概念が非常に重要だということもございましたので、ことしの4月、新しい年度になりまして、各都道府県と政令市の都市計画課長さんとか、街路課長さんとか、そういった方を集めまして会議を開きまして、その場で用対連等で検討している申し合わせ等についての紹介をいたしております。規制改革会議でこのような答申等がされているということからまず始まりまして、用対連等で3年8割のルールがされているとか、そういったことから収用等に移行するという必要性がありますので、できるだけ早くやろうということを各課長さんにご説明したところでございます。
これは課長さんへの説明ですが、文書等でもこういうことをやる必要があるのではないかということを検討してございまして、そこにも書いてございますけれども、都市計画事業担当部局に対しまして、効果を早期に発現しなければならないという立場から依頼をしようということで、その中で3年8割ルール等をぜひお願いしていくということを今、準備しているところでございます。
2つ目に、完了期間宣言路線ということでございまして、そういうようなお話をするだけではなくて、例えばホームページなどでこの街路というのはいつまでに終わりますよという宣言をしていただきましたら、都市計画課あるいは街路課なんかでも、きつく守らなければならないということで、スムーズに収用等の手続を実施していただけるのではないかということでございますので、完了期間を宣言するというのも非常に力を入れております。
平成14年から東京、大阪などで実施しておりますけれども、現在はいろんな都市に広がってきております。地方部の都市等でも、例えば徳島市でありますとか、大体そのようなクラスの都市でございますけれども、いろいろな都市に広がってきて、完了期間を宣言する、すなわち、いつまでにこの道路はつくりますというのを宣言しております。
ただ、都市計画事業の場合は、例えばある種の街路事業とか都市計画事業なんかをPRしている場合が多くございまして、こういうような事業をやっていますといった場合には、いつまでにつくるか、つまり事業期間はいつまでになっているかということも、以前は余りホームページ等では書いていなかったことが多かったんですけれども、最近はホームページで事業期間等を出している例が増えてきておりますので、できるだけそういったことをみんなで取り組んでいただけますようにこれからも都道府県とか市には周知を図ってもらいたいと考えております。
もう一つ、東京都建設局の土地収用制度適用基準がございます。これは以前、事業認可後6年経過かつ90%以上ということでございまして、数字的には比較するのは難しいですが、3年8割ルールよりも少し緩いという問題点がございました。これについては、平成15年4月、ですからことしの4月でございますけれども、改正していただいて、事業認可後5年経過または用地取得率80%以上としていただいております。つまり、8割の方については合わせまして、ただ都市計画事業ということがございますので、幅杭打設からというより、事業認可というある時点が決まっておりますので、その時点で切って、そこから5年以内というふうにしていただいております。
3年とどちらが早いかというのはなかなか言いにくいところでございますけれども、事業認可をされましてから幅杭打設というのはそう簡単には終わらない。多分1年、2年、あるいは普通それ以上かかっていることが多いと思われますので、5年というのは3年に比べますと数字的には長いような感じがいたしますけれども、実質の期間といたしましてはむしろ短いのではないか。それから、幅杭打設と違いまして、事業認可というのは、ある時点がぴったり決まりまして、そこから5年たったらやらなければならないので明確に決まるということがございます。東京都の判断といたしましては、従来から事業認可後こういうふうにやっておりましたので、それを5年というふうにいたして、用地取得の8割の方を合わせるということで、これで3年8割と同じ、あるいはそれ以上の効果があるのではないかと考えておりまして、そういう改正を平成15年4月から行っていただいたところでございます。
以上でございます。
○八田主査 どうもありがとうございました。
ホームページに公開したり、さまざまな周知徹底する手立てを講じてくださったこと、よくわかりました。
色つきの後の1枚目に国土交通省直轄事業の公表例がありまして、道路に関しては3年8割到達件数が11.5%であると書いてあります。この数字を時系列的に毎年公開していくということはできないものでしょうか。いろいろ情報公開するということ、あるいは3年8割ルールを周知徹底するということは、最終的にはこの到達件数を高めるということが目的なので到達成果を明快に世に示すことは必要だと思います。成果を上げているならその方法をずうっと続けていくことが効果があるし、上げていないならさらに別な方法を講ずる必要があると思うので、これの時系列的な公表というのは非常に重要だと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
○岡田課長 ご説明いたしますと、この到達件数というのは、全事業で3年8割に達した事業ということでございまして、3年8割を守らないといけない事業ということでございます。ですから、ルールどおりやっているかどうかは、25とか、こちらの数字になろうかと思います。前の方の個別表を公表している話でございまして、これ自身は今日の委員会説明用につくらせていだたいたものでございますけれども、どんな形で出すことができるかどうか、実際の事業をやっているところの意見もあると思いますので、検討させていただければと思います。主査の問題意識は承知いたしましたので、具体的にどんなことができるか考えさせていただきたいと思います。
○福井専門委員 都市計画の東京都の取り組みなんですが、前の通達は、6年経過し、かつ9割用地を取得するまで収用裁決申請をするなという通達ではなかったですか。
○清水調整官 そうですね。
○福井専門委員 今度は5年経過または8割以下のうちにしろというふうに変わったんですか。
○清水調整官 そこの部分は、「5年を経過したとき、または用地取得率が80%を超えたときに速やかに収用手続開始申し立ての手続を行うものとする」という形になっております。
○福井専門委員 それだったら意味が変わっていないんじゃないですか。要するに、反対に解釈したら、超えるまでするなということでしょう。
○清水調整官 そうではないです。その後、ただしがついておりまして……
○福井専門委員 その通達と対比して読み上げていただけますか。
○清水調整官 前の通達を今、手元に持っておりませんので……
○福井専門委員 前の通達でもともとなぜそれが問題だったかというと、国土省のルールと全く逆に、要するに6年たって、なおかつ9割以上買えるまで裁決申請をするなという意味で書かれていて、だれもがそう受けとめていたから、それが問題だったというのが出発点です。それを直すのであれば、5年がいいかどうかはともかくとして、5年経過するか、または8割以下のうちにやれというのでないと、すなわち意味を全く逆転させないと何の意味もないわけです。今おっしゃった言い方だと、要するに5年たたないとできない、ないしは8割以上たたないとできないという意味になりませんか。
○清水調整官 そこのところは、ただしがございまして、「早期完成のために必要と認められるときは、経過年数及び用地取得率にかかわらず、収用手続開始申し立ての手続を行うことができる」というのをつけております。
○福井専門委員 それが例外だったらミスリードではないですか。だから、国土省の通達と意味が合うように改正させないと意味がないわけで、それでは不十分だから再改正をやっていただく必要があると思います。
○清水調整官 この文章、私が受けとめた感じではそうは思いませんでしたけれども、確かにそういう点はひょっとしたらあるかもしれません。
○福井専門委員 受けとめ方の印象でなくて、論理学です。今おっしゃったのは、論理的に言えば、原則としては5年経過または8割以上取得するまでは裁決申請してはいけない、ただし特に必要がある場合はやってもいいというのは、原則はそれまで待てということになりますから、論理的にそれは国土省の通達とは全く逆のことを言っています。そこをはっきりさせなかったら、年数が仮に短くなっても逆行していると言わざるを得ない。全く意味を転換していただかないと全然意味がないと思います。
○清水調整官 そうですね、わかりました。ただ、6年だったのを5年にしたのと9割を8割にいたしておりますので、少し緩めたと思いますが、確かに今のような問題点があるような気がいたしますから、もっと強化していけるように東京都とはお話をしてまいります。
○福井専門委員 もっとというよりも、今回の改正、どういうふうに指導されたかわからないけれども、基本的な認識を誤っておられたのではないですか。もともと都が国と全く逆のことを同じ国法について言っていたから、それが問題だというのがスタートだったわけです。要するに、両方満たすまでやってはいけないというふうになっていたのを、どっちか片方を満たすまでにやりなさいというのが国の通達であり、都にもそれを要求すべきだというのが出発点だったので、そういう根っこのところで根本的に間違っているところにさわらないまま改正するというのはおかしいので、直ちに直していただきたいと思います。
○清水調整官 確かにおっしゃるところはあります。主眼が合っていないところ、6年を5年にするということと、9割を8割に直すというところに主眼がございまして、そこのところを一生懸命やりましたので……
○福井専門委員 もう一回確認しますけれども、閣議決定では「都市計画事業を含め用地取得率が8割または幅杭打設から3年を経たときのいずれか早い時期までに収用手続に移行すべきというルールが守られることが極めて重要」とされている。国土大臣としてこの認識に合意しておられる以上、土地収用に関して都市計画事業といえども、また都の事業といえども、閣議決定を無視するような通達を、再改正して出していただくのは全く間違っていると思います。これは明日にでも改正していただく必要があると思います。全く間違った対応だと思います。
○清水調整官 正直言いますと、それは気がついていないです。つまり、「経たときに」が「経たときまでに」、そこの差でございますね。そういうふうな解釈は確かにそのとおりだと思いますので、それは検討させてください。ただ、3年8割につきまして都市計画事業についても周知徹底を図っていくということは同じでございますので、別途国の通達の方でその辺の周知はいたしていきたいと考えております。
○福井専門委員 幅杭を認可後5年とか、ここはある意味では似たような考え方ということでわかるんですけれども、基本姿勢が違うのです。逆転しているのです。
○清水調整官 そこは思想が違うというより、若干気がついていないところがございます。5年8割までにやるという思想はあるわけでございまして、そこをわざとまでにやらないという思想のために「経たときに」としているわけではないということでございます。ただ、そういうような誤解が……
○福井専門委員 国の方はそうかもしれないけれども、東京都の方と我々は、直接議論したから知っていますが、この話を初めて聞いたとき東京都用地部局の方は、「うちは、6年たって、なおかつ9割以上用地が取得できるまで絶対に収用手続は講じません」と胸を張って言っているわけです。それが間違っているというのが出発点です。国までそれにだまされないようにしていただきたいのです。
○清水調整官 そこの改善は努力いたします。わかりました。
○森委員 執行の停止というそこはともかくとして、あきる野の件では、もっと遡って収用手続自体に問題があると考えられるというのが出ていますが、それはどういうことかというと、つまりそもそも論に戻って、まだ決着がついていないではないかというような意味らしいです。私は前から、収用委員会でそもそも論をやるというのは間違いではないのか、だからそこのところを改正すべきではないのかと言っていたのですが、案の定そんな話になってきていて、収用法を改正した改正したとおっしゃるけれども、それは手続の一部を改正したわけであって、本質的なところは改正していないというために起こっている問題だと思いますが、いかがですか。
○国土交通省総合政策局総務土地収用管理室 小川室長 収用法を所管している総合政策局の小川と申します。
今の点にお答えいたしますと、改正法で、収用委員会の手続においては、まず前段である事業認定手続におきまして公益性の認定をいたします。従いまして収用委員会の後続の処分におきましては、事業認定したというのを前提としまして、主として補償金額を確定する、だれに対して、どういう項目で、幾らの金額を補償するのかというのを確定いたします。したがいまして、もともと法律改正の前から、趣旨としては、明らかに事業認定庁と収用委員会という行政庁の役割分担がなされておりますので、後続の収用委員会において前段の公益性の議論は蒸し返しができないということでございました。ただ、実際問題としてそういうことが往々にして繰り返されるということがありましたので、そこを法文上明確化いたしまして、そういう主張ができないということを法律上明定いたしました。
○森委員 そうですか。そうすると、この間、判事さんは、一体どういう点について議論あるいは決着がなされていないとおっしゃっているのでしょうか。つまり、執行を差し止めて、本論のところで議論すべきだというふうにおっしゃっているのですが、それはどこを議論すべきだとおっしゃっているのですか。
○小川室長 執行の停止については私どもは当事者ではございませんで、代執行の手続が執行停止されたということで、東京都知事代執行庁と起業者、国土交通省道路局、日本道路公団が当事者でございます。
○福井専門委員 この間の執行停止決定は、収用委員会自身が事業認定なり事業認可の審査権限がないということは前提にしているのですよ。収用委員会ではその事業計画は審査できない。しかし、裁判の場になったときに、収用委員会が被告になった裁決の取り消し訴訟の審議の中でも、その前提手続となっている事業認定なり事業認可の適法性は被告側に立証責任がある。つまり、審査権限がないとしても、違法性の承継というんですが、事業認定なりの違法性は収用裁決の取消訴訟で争えるという解釈を前提として、訴訟法的には裁決の段階で適法、違法を審議しないといけないから、被告の方でそれを立証しない限りこのままいくと負けてしまう、こういう決定文を書いたという法的な整理だと思います。
○森委員 その解釈で正しいと思われますか。
○福井専門委員 この解釈は分かれていまして、最高裁判決がなくて、私は個人的には違法性の承継なんかありっこないという論文を書いていますが、下級審の判例ではあるというのとないというのに分かれていまして拮抗している、最近は承継するという方がやや多いですね。だから、立法論で言うと、今、別途やっている行政訴訟改革などでも、前の方でも争えて、後ろの方でも争えるなどというのは非常に不合理だから、前の方の計画段階で、例えば一定の半年とか1年の出訴期間で切ってしまって、その間に裁判を起こさない限り、裁決段階では事業計画は争えないとした方がいいのではないかという議論が有力に出ています。それは国土省とも別途の機会で私自身も議論していますけれども、本来、計画は前提段階でけりをつける方がいいということは多くの人の共有認識だと思いますね。ただ、解釈は最高裁が出ていない以上分かれているので、やるとしたら、変な下級審判決が出ないようにするためには、立法してしまうのが一番近道というのが現段階です。
○八田主査 次が控えていますので、これについてのお話は後でお願いします。
ほかにご質問はありませんか。
一つだけ言わせていただけば、土地収用法のことについては、3ヵ年計画に至るまで大議論があった。その際、我々としては、ぜひとも強制的な手段をとっていただきたいと申し上げたんですけれども、国土交通省さんとしては、周知徹底のことをまずやりたい、それで効果があるはずだ、効果がなければそういう強制的なことを考えよう、まずこれをやりたいとおっしゃったので、我々は「それならそうなさってください」ということでやったので、実際の効果をぜひとも我々としては見守りたいと思います。効果があったらそれにこしたことはないですから。
それでは、お忙しいところをいらしてくださいまして、ありがとうございました。
○八田主査 3ヵ年計画のフォローアップをしておりますが、航空障害灯に係る規制の合理化についてその後の進捗状況をご報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○国土交通省航空局管制保安部 中坪室長 それでは、航空障害灯に関する規制の合理化につきましての進捗状況についてご報告申し上げます。お手元にございます「航空障害灯等の規制緩和について」という資料を使ってご説明させていただきたいと思います。
この制度の経緯につきましては、高さ60メーター以上の物件の設置者に障害灯の設置が義務づけられるというものでございますけれども、昨年ご説明させていだたきましたように、近年のビルの高層化、群立化等の都市開発の進展の結果、大都市の一部等で航空障害灯が多数設置される、そういうような状況になってきているわけでございました。国土交通省サイドでも、昭和55年、平成12年には昼間障害標識の削減、これは障害灯と申しますより赤白の塗色でございますけれども、これを減らすため白のストロボライトの導入であるとか、平成13年、2年前には航空障害灯のつけ方の設置方式を緩和いたしまして、削減に努めてきたところでございます。しかしながら、昨今の都心の高度利用のさらなる進展、昨年いろいろな形でご指摘いただきました都市景観の向上に資するため、さらなる規制緩和、規制の合理化について検討のご指示をいただいたところでございます。
我が方の検討状況でございますけれども、昨年の6月から航空障害灯の規制のあり方に関する検討会、こちらの方で、運航サイドの方、学識経験者に入っていただきまして、またビル・景観関係者の方、一般からの意見募集等も踏まえまして、運航の安全確保を前提とした上で、規制の合理化について検討を行ってまいりました。最終回は本年の5月でございますけれども、意見募集結果に基づく議論を行いまして、報告書を取りまとめております。
具体的な方向性でございますけれども、後ろ2枚にございます絵でご説明させていただければと考えております。1枚目は「航空障害灯の削減策」ということで、イメージAとなっているものでございます。
昨今、都心部等では、150メーターを超えるような高層ビルが非常に固まって建っているという状況でございます。これを従来のつけ方でまいりますと一つ一つのビルに全部つけていくというところだったわけでございますけれども、隣接して建っているような場合、遠方からパイロットが見ますと一塊の物件として見えるのではないかということで、近くに設置されている場合につきましてはその間のものを抜いていくというような方向案でございます。
右側にございます「今回方向性」ということでごらんいただけますように、ビルの障害灯が150メーター以下の間隔になっている場合に、その間のものを抜いていき、なおかつ向かい合っている面の壁面部を省略していく。結果としまして、遠方から見ますと、一つの巨大なビルに近いものとして見えてくるというものでございます。こういうやり方でやったとしても、パイロットサイドの方は、遠方から見たときに、大きなものがあるという認識をおおむねするであろうということで、パイロットサイドのおおむねの理解を得たものでございます。
2つ目でございますけれども、もう少し離れているような場合にどうなのか。そういうケースで減らしていくための方策でございますけれども、昨年のご指摘にもございましたように、できるだけ低い光度の灯火で使えるものは使うべきであるということもございますし、中光度航空障害灯、一番明るい障害灯でございますが、これが非常に目立ち過ぎるというご指摘をいただいているところでございます。近年、150メーター以上のビルがふえた結果、そういう中光度の航空障害灯がかえって目立つようになってきているわけでございますけれども、これを減らすための方策といたしまして、高いビルが何棟かあるような場合に、ビル街の周りにございます比較的低いビルの頂上に今までつけていただいてきております中光度の点滅いたします赤色航空障害灯を、点滅しない比較的低い光度の障害灯に変えるというものでございます。
この2つは、ビル同士が近くにあったり、ブロックごとに並んでいたりするような場合のものでございますけれども、それ以外に個別ビルということにつきましても、下の方に書いてございます「個別ビルに適用する従来基準の見直し」ということで、13年7月以前、高さ150メーター以下のビルでございましても、頂部には中光度の点滅する明るい航空障害灯が、その下には低い光度の航空障害灯がついていたわけでございますけれども、それを頂部にだけ設置することにしたのでございますが、その設置間隔を2倍に広げる。この結果といたしまして、現行基準に比べましても、例えば80メーター間隔なり60メーター間隔のビルであれば、障害灯の灯数が半分に減ってしまうというものでございます。
それから、その下、高さ150メーター以上のビルということでございますけれども、中光度の航空障害灯、これはほかの障害灯に比べまして数十倍の明るさを持っておりまして、なおかつ点滅するということで、非常に目立ってしまう。また、ある意味でまぶしいというようなご意見があるやに伺っております。今回の方向策といたしまして、一つのビルに対しまして中光度の航空障害灯、これだけ明るく、なおかつ点滅することによりましてパイロットの目を引くような機能を持っているものは最低限の個数でいい、そのほかのものにつきましては点滅しない、かつ明るさの低い障害灯に変えていく。
これらの方策を総合いたしまして、まず全体としての灯数削減並びに明るさとしてもそれ以上に抑えていくということを考えているところでございます。仮にこれらのやり方を適用してまいりますと、都心部、特に新宿西口の副都心エリア等で障害灯を従来基準に基づくものに比べて全体として3分の1、なおかつ中光度の点滅するものは7分の1程度にまで減らしていくことができるというふうに考えております。それに伴いまして、明るさとしてもそれぐらいになってしまうということでございます。明るさとして、1,600カンデラの中光度航空障害灯というのが一番明るい、なおかつ全体の明るさとしてもほとんどを占めておりますので、それを減らした場合の安全性等を含めて運航者と議論する、こういうことで現在検討を進めているところでございます。
続きまして、5枚目、イメージBでございますが、こちらは昼間障害標識の削減策でございます。
こちらにつきましては、煙突等で赤と白の交互に塗色したものが都心部や郊外にもあるわけでございますけれども、まず一つには、近年、集合煙突等がふえてきたりしていることもございまして、煙突の中でも背が高い分、非常に太くなってきているというものがございます。今まで物件の幅が高さの10分の1以下というものを細いとみなして昼間障害標識を設置していただいておりますけれども、こういう煙突等で、いわば一定以上の幅を持っていて、赤白でなくても航空機からの視認性が確保されるような目立つ色の組み合わせになっている、また目立つ塗り方になっているというものであれば、赤と白でなくても構わないというような基準化を図ろうと考えております。
2つ目でございますけれども、昭和55年と平成12年に導入しております白のストロボライト、これは鉄塔であるとか、橋であるとか、こういうものにつけました際には、まず通常の航空障害灯として機能しますとともに、昼間においても、白のストロボライトがついております関係で、昼間障害標識、赤白に塗らなくてもいいという基準を昭和55年、平成12年につくってきているものでございます。白色閃光灯を一つつけておりますと、今までごく近傍にございますようなそういう物件についても昼間障害標識の設置を不要としておりました。その範囲を夜間の航空障害灯による扱いと同様に拡大していくということを計画しております。
3点目でございますけれども、ライトアップ等による代替策ということで、ライトアップまたはイルミネーション等、近年、景観照明と申しますか、ビル等の視認性が非常に高まっている物件がございます。こういうものにつきましては、ライトアップ時に障害灯の消灯を可能とするということで、明るく照らされているものにつきましては、その間、赤いライトを消しておいて構わないというものでございます。これらにつきましては、現在、具体的に必要な明るさであるとか、どういう形で測定すべきであるとか、上にございます昼間障害標識につきましてはどんなパターン、どんな色の組み合わせであれば視認性があるとみなせるのか、こういうところにつきまして専門的な検討を進めているところでございます。
これらの検討を踏まえまして、年内に規制緩和を実施するため、今、専門的な検討と申し上げましたのは、社団法人照明学会さんの方に委託いたしまして、ライトアップの明るさや塗り方等に関します具体的な数値基準や測定方法についての検討を進め、あわせまして所要の基準類につきましての準備を進めているところでございます。
以上、ご報告させていただきました。
○八田主査 詳細にご報告くださいまして、どうもありがとうございました。
これが実際に法制化され、実行されるとしたら、早くていつごろでしょうか。
○中坪室長 ここに書いてございますように年内、一応これを目標として今、作業を進めております。照明学会等での検討の中でも、例えばライトアップも、暗い条件下、もっと低目の明るさでライトアップできないかというようなことで設置者側からのご意見もあり、これについて運航サイドとの議論をやっておりました結果、私の期待よりは少し時間がかかってきているところでございます。
○八田主査 わかりました。どうもありがとうございました。
○森委員 今、緩和というのがございましたけれども、高層化の勢いの方が早くて、全体棟数としてはふえるばかりという現況からしますと、90メーターレベルの規制がまだ残っているというのは全く無意味ではないのか。例えば東京では、200メーター以上のビルが何本あるのか勘定しにくくなってきている状況です。そういう意味では、周辺状況によってはまた変えるということもあるべきではないか、あるいは、基準が変われば過去につけたものは消させるようにしなければいけないのではないかとか、その辺についてはどうお考えでしょうか。
○中坪室長 今ご指摘いただきました件でございますけれども、現在の基準でも、高いものが新たにできてまいりますと、その周りにある比較的低いものについては、申請していただきまして、消せるような手続がございます。しかしながら、一旦おつけになったものについて消されない、そのままにしておかれるというケースも多くて、足したら足したままという状態になっていたというケースが残念ながら結構出てきております。
そういう意味で、これから当然のことながら基準を改正し、規制緩和していく。これだけではなく、新しい基準になって、それはどうやって適用できるのかということについての周知活動、そうやって減らすことのメリットを理解いただく。当然のことながら、減らすためには当然工事費用が少しかかわるわけですけれども、電気代であるとか取りかえ費用であるとか、こういうものが低減されるというようなメリットも設置者側に対してはございます。そのメリットがご理解いただけ、なおかつ実際に工事をやっていだたきやすいような、そういう周知活動を今回の規制緩和、合理化にあわせて実施したいと考えております。当然行政だけでできる話ではございませんで、ビルの関係者の方と共同作業でやっていきたいということで、今お話を進めているところでございます。
○森委員 都市景観を良くしていこうというような観点から、費用だけの問題ではないと思います。一つ二つついているのはいいのですが、やたらについていて、火の海みたいだというのが問題で、都市のイルミネーションも不安感とかいら立ちを与えるとか、生理的によくないとか、いろいろ言われています。それから、計算してみますと、およそ1年分の電気代とか補修費程度の費用で取り外すことはできるので、ましてや球を消しておくだけのことでしたら何ということはないわけなので、その辺の指導はむしろ国交省全体の立場からなさるべきではないかと思うのですが、それについてまずどうお考えでしょうか。
○中坪室長 景観という観点もございますけれども、実際に設置しておられる方、確かに高層ビルの場合には、交換の際にも非常にお金がかかる、手間がかかるというようなお話、実際にビルの建設者の方からも伺っております。しかしながら、中小ビルさんの場合には必ずしもそういうことがないのかもしれませんので、我々としましても、設置者側にとってのメリット、それから周囲に与えるデメリット、いろいろなところをご理解いただけるような形で、ある意味では景観を守っていく、改善していくということであれば、さまざまな自治体の方で景観関係の行政もやっておられるということでございますので、これは障害灯だけでなく昼間障害標識の削減も同様でございますけれども、そういうところとの連携をぜひとも進めていきたいと考えております。
○森委員 問題なのは、飛行機ではなくて、ヘリコプターのようですね。ヘリコプターは夜間、一定地域は250メーター以下を飛ぶことはいかん、そういうふうになさった方が手っ取り早いではないかと思います。非常の場合は、それこそ探照灯などもついているわけですから、慌てずにやればいいでしょう。
また、一言余計なことを言わせてもらうと、実際の事故は電線にひっかかっておっこって、ビルにぶつかっておっこったというのはまずないわけです。そんなことを一生懸命指導なさる必要があるのか、要するに飛ぶ方の自己責任ではないかと言ってもいいのではないかと思いますが、その辺も総合的にやっていただきたいと思います。
○中坪室長 確かに事故の事例といたしまして、送電線等に関する事故が非常に目立つわけでございますけれども、都心部におきましても実際に運航している実態がございますし、我々としましても、最低限の安全性は確保しつつ、ただ状況の変化には順次対応しつつ、いつまでも同じような規制をやり続ける、そういうようなお願いをし続けるわけではないというふうに考えております。
今回のものにつきましても、平成13年にやりましたときの動き、これからの動きも考えて、減らしていかなければならないということで、運航サイドの方との議論をやったわけでございます。当然運航サイドの方も、この結果の浸透を見つつ、さらなる議論、いろいろな形での改善には協力いただけるものというふうに考えております。
○森委員 一律に、そういうことで過剰に飛行区域の安全と称してほかのものに負担をかけるということは、根本的にやめるべきではないのか。そういうことをやっていない街もたくさんあるように思いますが、日本はおせっかいが過ぎるのではないかと私は基本的に思いますので、ぜひその辺を勘案いただきたいと思っています。希望を申し上げておきたい。
○福井専門委員 さっき消すだけなら指導できるのではないかと森委員からもお話があったと思いますが、それはどうしてできないのですか。
○中坪室長 指導と申しますか、我々の規制自体が安全のために特定の物件にはつけていただくということで整理されているものでございます。景観行政という観点で、例えばこういう色はエリアにとって望ましくないというような指導は、安全サイドにお願している観点とはちょっと違うということでございます。
○福井専門委員 それは全く筋が違うのじゃないですか。本来危なくなければある意味ではこういう無用なものをつける必要はないというのが出発点です。それが出発点で、飛行の安全という配慮で特別につけてもらっているものだから、例えばより高いのができて要らなくなったら消せというのは当然のことではないですか。それは地域の景観行政とは何の関係もないことです。本来無用、必要がなければなくて済むものをつけていただいたのだから、その必要がなくなったら、必要がなくなったのに応じて消してくださいと言うのが筋でしょう。それを地域が指導するのが筋だというのは全く倒錯した考え方だと思います。
○中坪室長 今のお話でございますけれども、今、ビルがどんどんふえていっているというところでございますが、できる前は航空機が自由に飛んでいた空間もあるわけでございます。ただ、だからといっていつまでも航空機が勝手に飛べるというわけでもないと思うので、我々としましても今回、規制緩和をするに当たりましては、当然のことながら、「こういう形で消せますし、消した方がいいですよ」というような形での情報提供、できることを知らないような方が多かったという……
○福井専門委員 いいです。そういう関係ないことではなくて、私が言っているのは、自治体の景観行政なり指導なりがないと本来要らなくなったものを消せないなどというようなことはおっしゃらないでいただきたいということです。
○中坪室長 もし私がご説明しました言い方がそういうような誤解を与えたのであれば、おわび申し上げます。私は、自治体の方とも協力しつつと申し上げたわけでございまして……
○福井専門委員 協力の必要なんかないじゃないですか。いろんな標識やライトをつけてほしいと自治体がもともと言っていたわけではなくて、航空機の安全のためだけについているのでしょう。その必要がなくなったら消すのが当然ではないですか、どことも相談する必要はない。
○中坪室長 景観面での話といたしまして……
○福井専門委員 景観行政上つけたままにしてほしいという人がいるなら連れてきてほしいのだけれども、そうではないのだったら、航空機の安全に支障がなくなって、より高いところにライトがついたというなら、低いものは消しなさいというその一言でいいじゃないですか。何ゆえにほかの要因を持ってきて、それを四の五の言う必要があるんですか。
○中坪室長 障害灯だけの話ではなく、昼間障害標識等も、自治体の行政の中で、例えば特定の塗り方にしていきたいというようなお話があったりしまして、そことの連携をとりつつ今回検討を進めたということで……
○福井専門委員 連携をとる必要はないです。要するに、今、非常にぶざまなものを義務づけているのをやめさせることだけで足りるのではないですかということです。
○中坪室長 当然のことながら、必要なくなったものにつきましては取っていただけるように我々としても当然務めていきたいと考えております。
○福井専門委員 それでいいのです。自治体の景観行政とか自治体の意向とかとかかわりなく、それは航空局の責任で指導すべきものだということを確認しておいていただきたいということです。
もう一つだけ。ヘリコプターにせよ飛行機にせよパイロットの視認ですね。そうすると、国内法を変えるだけで、外国人が東京の空を飛び回るというような場合にも当然適用するという前提ですか。
○中坪室長 そうでございます。
○福井専門委員 そういう前提でもいいのですが、さっきライトアップの専門家とか照明の専門家といろいろ議論して、長いことかかっているとおっしゃいましたけれども、それが全然わからないんです。というのは、ヘリコプターや飛行機を運転する人がどういう形や大きさや色や照明なら見やすいのかということに尽きるわけで、それに必要な限りでのシミュレーションなら、その辺のパイロットを連れてきてフライトシミュレーションのライトを見せれば、一発でわかるじゃないですか。3日でわかるじゃないですか。
○中坪室長 検討自体には運航者の方にも入っていただいての議論をやってきております。そういう議論も全部まとめまして、規制緩和を実施したいと考えております。
○福井専門委員 だから、むしろそっちだけでいいんじゃないか。最低限危なくないように視認できればいいわけだから、視認できる範囲でできるだけ目立たないものにする、あるいは建築上の自由度を増すということに尽きるので、より美しいものにしていただくことを考えていただく必要なんか全くないと思います。要は、目立たないようにすることの裁量を事業主に与えればいいというだけのことじゃないですか。
○中坪室長 我々の方は、美しくするための基準、そういう大それたようなことは、当然のことながら考えておりません。ただ、我々の方は、どういうライトアップであれば十分な視認性が得られているというところについて、そこの議論をやっているだけでございます。
○福井専門委員 照明の専門家による芸術的な論議なんか全く無益有害だと思います。
○中坪室長 そういう意味で、照明の専門家と申しますのは、要するに視認性、どこまでだったら見えるか。確率論として、パイロットも1,000人、1万人の方が参加できるわけではございませんので、視覚の視認特性という人間の目の専門家というべきかと思います。そのあたり私の言い方が悪かったので、おわび申し上げます。
○福井専門委員 わかりました。
○八田主査 どうもありがとうございました。いろいろとこの規制緩和のためのご努力、大変大きな成果を上げてくださったと思います。今後とも一層、必要最小限という方向でご努力をお願いしたいと思います。きょうは本当にお忙しいところをどうもありがとうございました。
○八田主査 3ヵ年計画のフォローアップの一環として、制限表面に係る規制の合理化について、3ヵ年計画の進捗状況についてご報告をお願いしたいと思います。
○国土交通省航空局飛行場部管理課空港管理室 内田室長 私、航空局空港管理室長をやっております内田と申します。よろしくお願いいたします。お手元の資料に基づきまして、制限表面に関する検討につきましてご説明申し上げたいと思っております。
制限表面につきましては、空港に離着陸する航空機の安全運航という観点で、建築物に対する規制を空港の距離に応じて行っております。すべての空港に設定するものといたしまして、進入表面、転移表面、水平表面がございます。第一種空港、これは羽田、成田、関空、伊丹といったような国際的な空港、さらに第二種空港、国内の主要空港でございますけれども、こういったものにつきましては、円錐表面、延長進入表面、外側水平表面というものを設定してございます。
いずれも国際民間航空機関の附属書に基づくものでございます。具体的には、お手元の資料の3ページに資料1というのがございまして、そこに図示しておりますが、3つの制限表面につきましてどういうものかというものでございます。真ん中に長方形の着陸帯というところがございますけれども、こちらから滑走路の両側に向けまして進入表面と延長進入表面という台形の表面を設定しております。さらに、ちょっと見にくくなっておりますが、転移表面という斜めの表面を着陸帯の長辺の方に設定してございます。それから、空港の標点を中心として、半径4,000メートル、高さ45メートルの円の水平表面がございまして、さらにその外側に、半径1万6,500メートルの円錐、円錐を逆さまにした形になりますが、そういった表面を設定して、一番外側は外側水平表面という形でございまして、外側水平表面の高さが295メートル、半径につきましては標点から2万4,000メートル、こういう形になっているわけでございます。
1ページ目に戻りますが、制限表面の規制緩和につきましては、都心部の主要空港につきまして、都心の高度利用というニーズを踏まえまして、運航の安全性あるいは環境面の配慮ということを考慮いたしまして、合理性について再検証を行いまして今年度中を目途に一定の結論を得る、こういうふうになっているわけでございます。
2ページ目にこれまでの検討状況がございますので、ご説明申し上げますと、私ども、昨年の12月に調査検討委員会を設けております。学識経験者、都市開発事業者、航空事業者等からなる委員会でございますが、こちらの委員会を今のところ3回開いてございます。都市開発事業者等の関係機関のヒアリング、飛行経路の実態等についての調査、あるいは海外空港実態調査結果といったようなことをして、その中で幾つかの議論が出てきているわけでございます。その委員会での検討内容におきましてある程度今後の方向性が見えつつある、こういう状況でございます。
具体的にはどういう検討状況あるいは海外実態調査との比較検討状況になっているかという話につきましては、「検討内容と今後の方向性」の一番最初にございますように、我が国の制限表面とICAOの標準あるいは海外諸国の規模を比較いたしますと、進入表面、転移表面、水平表面といったすべての空港に設定するもの、あるいは延長進入表面につきましては、海外と比べてほぼ同程度というような感じで検討の方は進んでおります。ただ、円錐表面と外側水平表面についてはその規模が大きいのではないかというようなことが検討委員会の中で言われております。
具体的に見てまいりますと、2ページほどめくっていただきまして、横長の表がありますが、資料2と書いてございます。下の円錐表面につきまして、我が国は、半径につきましてはICAOの基準6,000メートルあるいは米国の4,200メートルに比べて大きいねという話ですとか、外側水平表面につきましても、ICAOの標準に比べて大きい、アメリカなどでは外側水平表面というものを設定してございませんので、大きいですねという話がございます。
ただ、円錐表面と外側水平表面は、個別の空港ごとに、離着陸がないような区域については削除を指定するということで、いびつな形になっておりまして、現実にはきちんとした円の形をとっていないという状況にあります。そういう設定をしているわけでありますが、それにしても他の国に比べて大きいのではないか、こんなような意見が出ておりました。
一方、海外の円錐表面や外側水平表面に日本が合わせてしまいますと、これまた難しい問題が起きますねというのも、この検討会の議論の中で出てきております。これを具体的にご説明いたしますと、次の資料3でございます。資料3は、ニューヨークのJ.F.ケネディ空港の滑走路と制限表面の形状であります。
ニューヨークの空港につきましては、進入表面のみならず延長進入表面につきまして滑走路の両側に設定されております。一方、円錐表面などは日本に比べて狭いわけでございますが、このような制限表面の設定が考えられているのは、ニューヨークの空港は進入あるいは離陸に際しまして直線の進入、離陸がほとんどである。曲がって着陸しているような場合でも、相当部分は真っ直ぐ飛びまして、それから曲がっていく、こういうような飛行ルートが可能である。こういうことから進入表面、延長進入表面を滑走路の両側に設定している、こういうような現状であります。
一方、日本はどうかといいますと、次の資料4に羽田の制限表面の形状がございます。先ほど申し上げましたように、外側の半円よりちょっと大きな円ですが、これが外側水平表面で、一番外の端であります。その内側に3分の2ぐらいの円がありますけれども、それは円錐表面の一番外の端でありますが、これにつきまして確かに半径は大きくなっております。
見ていただくとわかりますように、羽田につきましては延長進入表面というのは片側にしか設定されていません。並行な2つの滑走路につきましては南東方向だけでございます。B滑走路と呼ばれます滑走路につきましても、北北東方面にだけ延長進入表面を設定しております。現実の飛行ルートとしては、騒音問題等がございまして、真っ直ぐに直線で進入することができない、あるいは直線で離陸することができない、こういったような飛行の方式がございますので、離陸してからすぐに曲線飛行をしなければいけない。着陸するに際しても、曲線でかなり大きな角度で回り込んで着陸をしなければいけない、こういうことがあるわけであります。したがって、比較的大きな外側水平表面あるいは円錐表面というのは、こういった曲線飛行での離着陸に必要な表面になっているという現実もありますねと、これも委員会の中ではかなり納得がいっているというものであります。
これをモデル的に示しましたのが資料5でございまして、先ほどいわく諸外国に比較的多いんですけれども、直線経路での進入、離陸があるのが諸外国であります。水平表面が楕円形になっているというちょっとまた違うところがあるんですけれども、そういったようなのが諸外国の一般的な形です。日本につきましては、延長進入表面が片側にしか設定されていない。反対側については、円錐表面と外側水平表面をある程度広くとることによって曲線での進入、離陸に対応できる、こういった形で航空機の安全を確保している、委員会の中ではそういう方向になっているという状況であります。
では、どういう方向性で今後取りまとめていくのかということでありますが、今申し上げたような話につきましては、2ページに戻りまして、丸の1番目から3番目は今、図を示して申し上げたようなあたりが書いてあるんですが、制限表面についてどういう考え方で見直していくのかということの方向性を年度末までに取りまとめ願いたいというふうに考えているわけであります。今、申し上げたことを踏まえて考えて、さらに我が国空港の他の国と違う離着陸の実態を勘案していけばおのずと方向性は明らかになると思いますが、大体そういった形で取りまとめを行っていく。その後は、個別の空港ごとに設定されております飛行経路あるいは空域といったようなものを見ていきまして制限表面の設定範囲を再検証する、こういったような段取りで今後進めていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
○八田主査 どうもありがとうございました。
○森委員 幾つか教えていただきたいのですけれども、資料4ですが、飛行機が飛ばない範囲も押さえておく必要があるというのはなぜなのか、さらに外側まで押さえておくこともなぜなのかということをまず教えていただきたい。
外周、名前がよくわかりませんけれども、ご質問の趣旨はおわかりいただけますか。
○内田室長 外側水平表面ですか。
○森委員 外側水平表面ですね。やたらに広く押さえていらっしゃるのはなぜなのか。
○内田室長 羽田で例を示しましたけれども、羽田につきましては、確かに現在飛んでいないところについても若干やっているところがあります。
一つ注意していただきたいのは、羽田につきましては、現在、4本目の滑走路を整備するということになっておりまして、これに関連いたしまして新たな飛行ルートという可能性、都心部の上空を飛ぶというようなことも含めて、そういうことをやった方がいいのではないかという意見もあります。4本目の滑走路、再拡張というふうに呼んでおりますけれども、その検討の中で具体的にどうなっていくかという話がありますので、今の段階でどの辺がどうということは言えないんですが、それを仮に置いておいた上で、なぜ飛行経路でないところも必要性があるかといいますと、ある程度バッファーというのを見込んで飛ばなければいけないという部分がありますので、ルートそのものだけを設定しておきますと安全上不安な部分がある、こういう観点からやっているわけであります。
ただ、今の再拡張の話を別にいたしますと、現在の羽田空港の制限表面形状についてさらに精査いたしますと、円錐表面の部分についてもしかすると必要ではないというふうにとらえられる部分があるわけでございます。外側水平表面の部分につきましても、先ほど来申し上げていますように、これ、切れていますけれども、現実にはそこを飛んでいるわけです。飛ぶに際しましては、離着陸のある程度の期間でありまして、その間の安全という観点から設定しているという部分でございますので、外側水平表面の部分まで必要になっているということでございます。
○森委員 それに関連して質問いたしますが、勾配というのがございますね。英国あるいはICAOは2.5%なのに対してカナダと日本は2%、これの必然性についてご説明願えますか。
○内田室長 私ども、日本の進入表面、円錐表面を含めてですけれども、離着陸に必要な部分、特に離陸に際しての上昇に関してはかなりの余裕を持った設定が必要ではないかというふうに考えております。ICAO標準で離陸上昇表面を2%で設定しているというのは資料2の表を見ていただけばわかるんですが、離陸上昇表面はICAO標準が2%でございます。日本は離陸上昇表面はないので、進入表面あるいは下から2番目にあります円錐表面、この2つの表面で離陸上昇表面の代替をしているという部分がございますので、2%というのは過大ではないという感じで委員会の中では話が進んでおります。
○森委員 すみません、もう一度、肝心なところなので。ここの勾配は、ほかは5%であるのに2%にまでなっている。ますます厳しくなっていますが、その辺についての理由はなぜですか。
○内田室長 我が国の場合は、円錐表面と進入表面というのを用いて離陸上昇を行っている。離陸上昇表面というのは設定していませんが、進入表面と円錐表面でかわりに行っています。ですから、離陸上昇表面を新たに設定するというのもあるのかもしれませんが、またいろんな規制が厳しくなってもあれなものですから、進入表面と円錐表面でその代替をする、委員会の中ではそういうふうな議論になっています。
○森委員 ただ、その件に関しましても、離陸上昇表面がほかの国では大体2%……
○内田室長 2%に合わせています。
○森委員 合わせている、そういう意味ですか。なるほど。しかし、新しい空港ができますよね。
○内田室長 羽田のことですか。
○森委員 あの場合、そろそろ計算して教えておいていただかないと我々として計画できないわけです。
○内田室長 おっしゃるとおりでありまして、そちらの方もできるだけ早くとは思っているんですが、いかんせんまだ飛行ルートが決定しておりません。この検討会ではなくて、都道府県なども入った別の協議会で今、飛行ルートの設定とかもやっているわけでございます。現実にはその後、環境アセスとか、そういったようなものも出てきますので、見直しをするに際しては、15年度中に基本的な考え方の方向は示して、16年度に入って個別の空港にやっていくんですが、羽田はどうかといったときには、一番最初にできるとは申し上げられない。というのは、4本目の滑走路の話があるから、どうしてもそれとの関係がありますので、羽田についての見直しというのは17年度以降になってしまうというふうに考えております。
○森委員 研究なさるのは遠慮することはないので、研究しておいて、その結果どれがいいか組み合わせていただければいい。何も17年以降になってから研究するなんておっしゃらずに、今からやっていただきたい。
○内田室長 今年度中に方向性の研究はもちろんやるわけです。具体的にどの表面についてどういう考え方で規制を見直していくのかという方向については今年度中にやろうと思っていますし、現実に来年度になって個別の空港にやっていく。羽田については、現実に変わりますというふうに言えるものがあるとすれば、それは17年度以降になってしまいます、こういう趣旨でございます。
○森委員 皆様方は飛行機の側から発想していて、アローワンスをたくさんとっておいて、自由に選択できるようにしたいという気持ちをお持ちのようですが、私どもの方は、空をできるだけ幅広く開放してほしいという側から、一体どこなら確実に開放してもらえそうなのか、この辺なら可能性はどのくらいあるのかとか、そういうことを知りながらマスタープランをつくっていきたいわけですよ。ほかの街ではどんどん500メーター級のものが建っているのに、東京都心部では一つも計画できないわけです。けれども、新しい滑走路ができたらできるのか、そうあってほしいのですけれども、そういうふうに積極的にある目的を持ってやっていただきたい。飛行機の安全はもちろん確保してもらわなければ困るのですけれども、これとこれとがあればこれは犠牲にしてもいいというようなことが当然あると思うので、その辺りを早く研究していただきたい。
それから、2%と2.5%のどっちかでなければいけないことはないので、角度も、こっち方面なら2.3%でいいとか、素人考えで恐縮ですけれども、なるべくたくさん開放するための努力をしてほしい。大分、飛行機の性能も良くなっていますから、方向によっては3%でもいいというところも当然あるのではないかと思います。あるいはこういう飛行機しか飛ばさないことにして3%にするとか、そういうふうに都心の空を開放する目的を持ってご研究願えないものかなと思っています。
○内田室長 そもそもの初めは都心の高度利用という観点でやっていますので、方向性として、研究会で完全に決まったわけではないので、この場でこうだというふうには申し上げられないんですけれども、円錐表面と外側水平表面につきましては、個別の空港の告示範囲を縮小する。その考え方というのは、航空機の離着陸に本当に必要な部分を考えた上で設定するというような方向に多分落ちつくのではないかと今のところは考えております。ただ、羽田については、何度も申し上げますけれども、最終的な第4滑走路ができた後の飛行ルートについてまだでございますので、結論としてはほかのところよりも少し時間がかかってしまう、そういう形になる可能性があるということでございます。
○森委員 完全に大丈夫な範囲を示していただいて、危険といいますか、未確定地域という範囲を示していただければ、いろいろな計画ができるのです。その辺も含めて研究は早目に進めていただきたい。
それから、技術進歩もいろいろありますので、この種の飛行機はこっちから入れとか、この種の飛行機は高いところから、だからこっちを回らせてもいいのではないかというふうに総合的に研究していただいたらどうか。あまり上手くない者が運転して降りられるようにとか、そちら側の都合で決められてしまうと都市としては大変迷惑しますので、そういう意味でもっといろいろな情報を開示すべきです。新しい滑走路、もう方向はお決めになったわけでしょうから、その結果どことどこがどうなるのかということについて早く公表してほしいと思います。
○八田主査 今の森委員の要点としては、二点だと思います。まずいろいろ検討する前にここは確実に制限解除できるというところがあったら、さっさとそれを示していただきたい。第2は、検討されるに際しては、非常に大きなコストがあるのだから、安全性の方を犠牲にしなくても、飛行ルートや空港の設計に何らかの制約をかけることによって都市空間の有効をできるだけ図れるようにしていただきたい、そういうご要望ですね。
あとご質問、福井専門委員。
○福井専門委員 今の議論にまさに関連するのですが、結局、森委員のおっしゃるとおりです。さらに踏み込んで申し上げれば、これで制限表面等を厳しくするということは必ず土地利用の機会費用を伴うわけですから、その分との費用便益分析をやっていただかないと困ると思います。航空機の安全とか、あるいは航空機の離発着という観点だけではなくて、それが都市の土地利用の大きな制約要因になっているわけですから、要するに費用対効果なのです。費用の分についてある意味では無邪気に航空機の都合だけで決めるということがあってはならないわけで、先に決めてもらえばいいというだけでなくて、私が申し上げたいのは、決めるに当たってはコストと便益をちゃんとバランシングさせて、土地利用を犠牲にしてでもそこに飛行機通す必要がある場合に限って通すようにしていただきたい。これがまず検討の大前提だと思います。
それからもう一つは、資料3と4なんですが、直観的に申し上げれば、J.F.ケネディの方が狭いわけですよね、何でこんなに広く必要なのかという非常に素朴な疑問があるのですけれど。
○内田室長 これは先ほど来説明申し上げているので繰り返しになるわけでございますけれども、広いといっても、J.F.ケネディ空港の方は、滑走路の両端に延長進入表面が設定されている、直線での進入、離陸というのがほとんどであるということで、円状に制限表面を設定する必要性が乏しい。
○福井専門委員 でも、J.F.ケネディの方だって曲がって離陸している矢印が随分出ているじゃないですか。
○内田室長 ケネディ空港の曲がっているのは、モデルがあれなのかもしれませんけれども、距離的に相当程度飛んでから曲がるというような離陸の仕方をしていまして、それに比べますと…
○森委員 それに関連して質問があるのですが、何でJ.F.ケネディで、ラ・ガーディアの例が紹介されていないのですか。
○内田室長 ラ・ガーディアも同じように両端に延長進入表面があるという形をとっております。形は同じです。
○森委員 同じとは私は思えない。かなり飛び方が違っているように思いますが、ぜひ見せていただきたい。
○内田室長 ラ・ガーディアも、調査いたしまして研究会の中ではお示ししたりしておりますけれども、大体同じように延長進入表面を設定しておりまして、直線での進入、離陸……
○森委員 では、羽田の設定がまずかったのですね。
○内田室長 設定というか、飛行の仕方なんですよね。環境面に配慮して都心を回避しながら飛ぶというようなことをやって……
○福井専門委員 都心を回避するならなおさら都心は関係ないわけだから、都心が高度利用できなければいけないわけで、飛行ルートに応じた規制でないとおかしいわけでしょう。
○内田室長 羽田をちょっと見ていただくと、今、2つの議論をしてしまっているので混乱しているのかもしれませんけれども、一つは都心上空を飛ばすべきではないかという意見もある。羽田の再拡張に関連してありますので、そういう部分がまだ抜けませんねというのが一つの議論としてあります。現在は、ご存知のように、都心はほとんど飛んでおりません。ただし、離陸上昇して、例えば大田区から品川区あたりの上空は旋回して飛んでいるわけで、ここは飛んでいます。そういうものに合わせた制限表面の設定は必要ですよ……
○福井専門委員 飛ぶ範囲をそこに限定して、都心を飛ぶというのは、大阪空港訴訟だってあるように今のご時勢ではやりにくいわけですから、そういう前提で飛行ルートを設定して、かぶらないところは基本的にこういう規制は外すというのが基本線じゃないですか。
○内田室長 基本としては、仮に現在の飛行ルートで都心上空を飛ぶというのは今回の羽田再拡張にあわせてやりませんということになれば、現在の円錐表面と外側水平表面は何らかの形で狭くすることはできると思います。
○福井専門委員 それを早く決めるべきじゃないですか。要するに、飛ばしませんということを決めれば、ある意味では環境面でも高度利用の面でもみんながハッピーなのだから、それを予見して計画していただくというのが筋じゃないでしょうか。
○内田室長 そこはいろんな……
○森委員 もう一つ、都心上空を飛ばしてもいいということになれば、ケネディ空港並みに緩和してもいいのではありませんか。
○内田室長 離陸の仕方が違いますから、ケネディ空港並みにはならないと思います。
○森委員 そうですか。いずれにしても相当緩和できる。
○内田室長 相当かどうかわかりませんけれども、ある程度はできるかもしれません。
○森委員 私、住んでいますから分かりますが、都心部でも飛んでいますよね。どのくらいの高さで飛んでいるかが問題なのかもしれませんけれども、飛んでいますよね。夜なんかよく飛んでいますけれども、ご存知ないのかもしれない。
○内田室長 都心といっても……
○森委員 東京タワーの辺りは都心でしょう。よく飛んでいますよ。要するに、飛ばすことにすれば、高いところへいってしまうということもぜひ議論しておいてほしいですね。ロンドンなんか都心を見ながら降りていくじゃありませんか。
○八田主査 次の方たちがお待ちですのであれですが、こちらのご要望というのはご了解いただけたと思います。とにかく最大限都心が高度利用できるような方向でおまとめいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
本日はお忙しいところをお越しくださいまして、どうもありがとうございました。また、大変おくれまして、申しわけございません。
○八田主査 3ヵ年計画の進捗状況についてお話しいただきたいんですが、次は市街地再開発事業の推進方策についてご報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○国土交通省都市・地域整備局市街地整備課権利変換システム調整室 名和室長 それでは、ご報告させていただきます。
市街地再開発組合につきましては、ご案内のように施行地区内の地権者の人数、地積、それぞれ3分の2以上の同意が必要とされているところでございますけれども、昨年、市街地再開発組合の設立に当たり、権利者数による同意要件を廃止し、地積による同意要件のみにすべきであるというようなご指摘をいただいたことを契機といたしまして、市街地再開発事業の推進方策について検討し、平成15年度中に結論を得ることとしたところでございます。
これまで国土交通省の部内で検討を行ってきたところでございますけれども、今までのところ具体的な推進方策の案というものについては得られていないというのが現状でございまして、そこで部外の有識者の方による検討の場を設けまして、そのご意見を踏まえてさらに検討を進めることとしたいというふうに考えてございます。
検討会の構成でございますけれども、学者の方は行政法がご専門の方、都市計画がご専門の方に入っていただくことを考えております。また、公共団体の関係で、組合設立の認可権者あるいは監督権限を行使するという立場の都道府県の方から2名程度入っていただくことを考えております。また、民間事業者の方から具体的なニーズを伺うために2名程度予定しているところでございます。
検討内容でございますけれども、最初に市街地再開発組合の性格とか経緯の確認ということで、再開発組合というのは、権利変換の処分といった公権力を行使する公共組合であるというような側面がございますし、また土地の所有者等からなる自治的組織である、そういった再開発組合の性格・経緯についての確認をした上で、施行主体としての組合のあり方につきまして、組合制度について何らかの見直しの必要があるのかないのかといったことについて検討していただきたいというふうに考えております。
また、組合施行による市街地再開発事業の実態・問題点に関しましては、例えば組合設立前に権利を譲渡して転出する方がいらっしゃるということから、通常の同意率が低下するケースもあるといったようなことの実情につきまして民間事業者の方から聞かせていただくことを想定いたしております。
そういったことを踏まえまして、組合の設立要件につきまして、人数要件、面積要件の意義、是非といったこと。人数要件の完全な撤廃というのはなかなか困難ではないかというふうに考えておるところでございますけれども、人数要件の撤廃が困難であるとするなら、組合再開発会社が施行する市街地再開発事業の促進方策として一体どういう方策が考えられるか、そういったことをこの場でさらに検討していただきたいというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
○八田主査 どうもありがとうございました。 部内の検討も行ってこられたということですね、その辺の内容はどういうものですか。
○名和室長 これまでのところいろいろ検討してきたところでございますけれども、人数要件を完全に撤廃するということにつきましては、それをしますと、発起人が5人以上ということでございますので、5人の方がいらっしゃいますと、理屈の上では面積の1.5倍まではそういう方を巻き込んで事業ができることになるということがございますし、昨年もいろいろご説明申し上げたところでございますけれども、組合といったものの性格上、ほかの組合の制度ということも勉強させていただきましたが、人数要件を完全に撤廃するというものはほかにも例がないことから、完全に撤廃するのは困難ではないか。
しからば、どういった方策が考えられるかということでございますけれども、組合設立の時期を前倒しすることにつきましてどういったことが考えられるかということも検討したわけでございますが、平成11年の改正で前倒し組合といったような制度も既にできております。本来、組合の設立につきましては、事業計画と定款というものについて同意をいただくということでございますけれども、前倒し組合では、事業計画がなくても事業基本方針ということで、例えば設計の概要がなくてもよろしいとか、そういったことがあるわけでございますが、そういったものへの同意で設立ができるというふうな見直しも既にしているところでございまして、さらにこれを前倒しするのはなかなか厳しいのではないか。そういったようなことで、今のところ、具体にご要望にこたえるような案というものがなかなか得られていないということでございます。
○八田主査 それでは、委員の方から。森委員。
○森委員 人数要件の件なのですが、ご承知のとおり、妨害するためには1坪地主とか権利者をどんどんつくってしまうとか、そういうことがなくても、今は均等相続ですから、日が経つにつれてどんどん権利者がふえて、それがどこに住んでいるかわからない、連絡がつかない。ポンペイなんかそうなのだそうですけれども、まとまりがつかなくなってしまうということで、人数要件がある限りいずれ再開発はもうできなくなってしまう。
もう一つの難点は、一生懸命そういう方を買い集めてきましても、買い集めてしまうと1票になってしまう、人数要件を満たさなくなってしまう。そういう行為をディベロッパーがやるということができないし、それは違法であるかのように扱われている。多数に割る方は違法扱いされなくて、集めてくると買い占めとかなんとかという形で、もとの権利を面積要件の中にカウントしてくれといっても、なかなか認めがたいとおっしゃる。現実問題として、これを何とかしない限り、とめるのは簡単、進めるのは難しくなる一方ですよ。
海外ではどうしているかと言えば、大概面積要件ですよね、あるいは少なくとも評価要件ですよね。日本だけ頭数で頑張らなくてはならんということはないのではないかと思っているのですけれども、いかがでしょうか。
○名和室長 私ども、フランスの例は調べたのがございますが、そこでは人数要件と面積要件であったというのがございます。また、面積要件を考えるとすればいかなることかということも考えてみたわけでございますけれども、再開発組合の場合、土地を出資するというわけではございません。例えば株式会社とか有限会社であれば出資に応じて1株1票ということであるわけでございますけれども、再開発会社の場合、土地は出資ではないということでございます。また、ほかの出資がある組合を見てみましても、1人1票というようなことで、地積に応じて議決権をカウントすることの理屈づけといいますか、論理づけは難しいのではないかということで考えているところでございます。
○森委員 この議論も変ですよね。出資ということではないかもしれないけれども、実質的には出資ですよね。清算するときも権利の大きさに応じて清算するのでしょうし、区分所有するといっても、共同で運営するというのが普通ですし、金を出したのと土地を出したのとほとんど差はない、実態は出資に近いと思いますけど。
○名和室長 ただ、法的には出資と見ることは困難だろうということと、区分所有建物につきましても、議決については区分所有者の数と議決権と両方見ているということもございますし、そういった中で再開発組合について面積だけで見るというのは困難ではないか。
○福井専門委員 要するに、先例がどうかというのではなくて、人数でなくて面積で見るという提案について問題があるとおっしゃるのだったら、2つしかないのです。一つは、憲法違反だということを論証していただく。もう一つは、そういうことをやると何かとんでもない実害がある。その2つのいずれかをきっちり論証していただかないで、先例がないとか、あるいは人数を入れないと理論的に難しいというのは、全く理由にならないと思います。その2つの観点で具体的に何が問題なのか教えてください。
○名和室長 実質的な問題といたしましては、先ほども申し上げましたように、5人の発起人があれば組合を設立できるということでございますので、5人以上の多数の人、理屈の上では何人でもあり得るということになるわけでございますけれども、そういったことを考えますと、組合がその後も円滑に事業を行っていくということのためには、多くの地権者の方のご納得を得られていることが必要ではないかと思います。
○福井専門委員 頭数である必要はないというのが我々の出発点だから、そういう問題のすりかえはやめていただきたいのです。要するに、面積というのは、今、森委員が言ったように一種の出資割合です。財産権の割合に応じて議決権を持つというのは、財産権を最も適切に発露させる上で一番合理的なやり方なのです。収用法だって基本的には損失補償の考え方はそういうことで考えているのです。財産権の割合に応じて、その財産権が最も有効に活用されるようにしようという意思決定を多数決でやったときに、少数者が絶対的拒否権を持つのは不合理だというのが出発点です。そういう観念論の反論はやめていただきたい。
○名和室長 現行でも3分の1の方が反対されておっても、強制的にそういう方を巻き込んで事業ができるということでもございますし、また出資という意味で申し上げますと、もし出資だということになると、施行地区内の地権者の方というのは強制的に組合員になりますので、いわば強制的に出資させるということになって、場合によっては出資した土地を失うことになるかもしれないといったことになると……
○福井専門委員 いや、違います。区分所有と同じようにその人の持っている財産権をその価値に応じてちゃんと返してあげる。何があってもそれは憲法上の大前提です。そういうことを言っているのではなくて、その人の財産権を守ることを前提とした上で、管理処分の形態として、どの多数決でそこの財産権の管理処分をするのか。もともと再開発というのは土地の有効利用とか、あるいは資源配分の効率性という目的でやっているわけだから、その基準から見て一番適切な多数決原理は何かということです。
おっしゃるような話が部内検討だというのだったら、私どもの指摘の趣旨を何にも理解しないで部内検討されていたということだから、ゼロからやり直していただきたいと思います。
○名和室長 ただ、出資ということでございますと、出資したものについて失うこともあり得るわけでございます。保留床で事業が採算的にペイできないということになると、まさに新しい等価の床という保証すらない可能性……
○福井専門委員 買い取り整備にすればいいじゃないですか。区分所有法だって同じです。
○名和室長 買い取る施行者自体が……
○福井専門委員 じゃ逆に聞きますが、人数で5分の4が合意しているときに、何で残りの5分の1以下の人は無保護になっても構わないんですか、どういう理屈の違いがありますか。
人数で多数決のときに少数意思はどうなってもよくて、面積で多数決のときにだけフォローしないといけないという理屈があるなら、教えてください。
○名和室長 人数の多数決のときだけ保護しなければいけないということを申し上げていません。
○福井専門委員 今おっしゃっているのはそういう意味じゃないですか。出資で失うものがあるかもしれない。今だって人数と面積、両方満たしたときに失うということがあるのでしょう。その違いは何なのか、全然わけがわからないじゃないですか。
○名和室長 今は出資ではございませんので、事業代行で、公共団体が事業を代行して、等価の床でやることは保証されている……
○福井専門委員 もう一回文書で出してください。今おっしゃったようなことについて、本当にちゃんと反論できる自信がおありであったら。それが部内の検討だということでごまかして進まれるのだったら、絶対反対です。
もう一度申し上げますが、憲法論でだれか著名でちゃんと論文を書いた人がこういうことを言っていて、人数を抜いたら憲法違反になるというような学説があるとか、あるいはこの件で鑑定意見書を憲法論で書いた行政学者、憲法学者がいるとか、それらがあるなら教えていただきたい。ないしは部内の検討でちゃんと憲法理論を踏まえて、そういうことは立法政策として憲法違反だからできないという精緻な論文を書かれたのなら、それを示していただきたい。これがまず第1。
第2に、何の実害があるのか。財産権の適切な処分管理という観点から見て、財産権のまさに基礎というのは、面積であり、持ち分割合であり、これらは財産権のウエート付けにかかわる要素です。それを基準にして有効利用の多数決をさせるということで、だれが一体どういう意味で土地の有効利用という観点から見て困ることになるのか。これも具体的な指標として上げていただきたい。
この2つがまず前提になって、初めてそういういいかげんな部内の検討で前へ進んでいただきたいと思います。
○名和室長 私ども、最初ご指摘していただいた問題についても……
○福井専門委員 ここで議論しても仕方ないので、文書で精緻なものを後ほどお出しください、それが納得できるかどうかで次のステップに入りましょう。
○八田主査 今、福井専門委員が言われたようなことについて当然ご検討なさったわけでしょうから、それを文書でお出しいただければ、そこを出発点にしてまた議論しましょう、そういうことだと思います。
○福井専門委員 失礼ながら、前回に同じ方から議論を伺ったときから一歩も前に進んでいないという驚くべき状況が今日わかった。どれだけ真摯に検討したのかということについて疑問を持たざるを得ないような同じことの繰り返ししかなかったというのが総括的な印象です。
○森委員 小権利者の資産は守らなければならなくて、大権利者は守らなくてもいいみたいな、そういう聞こえ方がするのです。心配は大権利者の方こそしてもらいたいと思いますけれども、小権利者の話ばかりになって、その辺もどういう意味でそんなことをおっしゃっているのか聞かせてほしいですね。
○福井専門委員 追加で申し上げれば、今の一坪地主みたいな人がどんどん買い進めていったときに今の1坪地主みたいな人も含めて5分の4に現実になっていることを正当化するという合理性があるなら、それも紙で出してください。
もう一つ、これも森委員が言いましたが、買い進めば買い進むほど人数要件を満たすのが苦しくなるというまことに矛盾に満ちた実態があるのです。そこについて何にも疑問を持っていないようなご答弁をなさいましたけれども、それについてどういう問題意識を持っておられるのか、これも紙で出してください。
以上4点、納得できるものを紙で出していただくことが議論の出発点だと思います。
○八田主査 それにつけ加えて、当然外国の制度をくまなく調査なさったと思いますので、少なくとも主要国のこういうことに関する制度をこちらに文書でお知らせいただければありがたいと思います。
○福井専門委員 さらに申し上げれば、検討会の構成、行政法・都市計画となっていますが、行政法のその方はこの点についてどういうまともな業績を持っているのか。事前に了解を求めていただきたいと思います。固有名詞とともに書き物もあわせて示してください。
○名和室長 検討会につきましては、今のところ内諾をいただいたというような状態でございまして、具体の名前はこの場では……
○福井専門委員 その方が検討を任じるに値するのかどうかということは私どもにはわかりませんから、事前にどういう業績をお持ちなのか示していただきたいと思います。
○八田主査 私どもの要望は以上の点なんですが、最後にご発言がありましたら。
○名和室長 私ども、ご指摘の点を真剣に考えたつもりでございますけれども、なかなか知恵が出ておらないということでもございますので、そういった意味でこういう検討会の場を設けて、いかなる方法が考えられるのか、これから一生懸命やっていきたいというふうに考えておりますので、決して……
○福井専門委員 事務局自身の頭の整理ができていないのに、こんな検討会を設けて迷走させても、何の意味もない。ちゃんとまず我々の疑問に答えることをもって検討会なりを出発される前提にしていただきたいと思います。
○八田主査 2点、憲法問題と、どういう実害があるかということについて整理したものをまずお出しいただきたいと思います、それが検討会の出発点にも当然なると思います。
○名和室長 ご質問の点をよく確認させていだたいて、また検討させていただきたいと思います。
○福井専門委員 失礼ながら法律職の方ですか。
○名和室長 そうでございます。
○福井専門委員 だったらもうちょっとまじめに作業していただくのが筋じゃないでしょうか。きょうのご発言はちょっと驚きますね。
○八田主査 それでは、とにかく粛々と今のような問題についてご検討なさったことを報告いただいて、そこからまた議論をスタートしたいと思います。
お忙しいところをどうもありがとうございました。
以上