第8回住宅・土地・公共工事・環境WG 議事概要

1. 日時

平成15年11月11日(火) 13:00〜15:30

2. 場所

永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室

3. テーマ
1 国土交通省・警察庁ヒアリング

○ 道路占用許可・道路使用許可の弾力化について

2 国土交通省ヒアリング

○ 土地収用法の積極的活用について

○ 市街地再開発事業の推進方策について

○ 日影規制の見直しについて

○ 不動産取引価額情報の開示について

4. 出席者
(警察庁)
交通局

交通規制課 倉田課長、宮内課長補佐

(国土交通省)
<道路占用許可・道路使用許可>
道路局

路政課 林部課長

同課道路利用調整室 菊地室長

<土地収用法>
総合政策局

糸川官房審議官

総務課 加藤課長

土地収用管理室 小川室長

国土環境・調整課 岡田課長

道路局

国道・防災課 石川国道事業調整官

航空局飛行場部

新東京国際空港課 吉田整備推進調整官

<市街地再開発事業>
都市・地域整備局

市街地整備課権利変換システム調整室 名和室長

同課 水谷再開発事業対策官

<日影規制>
住宅局

市街地建築課 井上高度利用調整官

<不動産取引価額>
土地・水資源局

土地情報課 高岡課長

土地政策課 松葉課長

(委員、専門委員)

八田達夫主査、森稔委員、村山利栄委員、福井秀夫専門委員

(事務局)

内閣府 福井和夫審議官、宮川正室長 他


議事概要

【道路占用許可・道路使用許可の弾力化について:国土交通省・警察庁ヒアリング】

○八田主査 それでは、ただいまから第8回住宅・土地・公共工事・環境ワーキンググループを開催いたしたいと思います。
 きょうはお忙しい中をいらしてくださいまして、どうもありがとうございました。
 第1の議題は、国土交通省、警察庁ヒアリングで、道路占用許可・道路使用許可の弾力化についてです。これについては、私どものご質問あるいは問題意識に対して資料を提出していただきましたので、それについてご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○国土交通省道路局林部路政課長 道路局の路政課長でございます。よろしくお願いいたします。
 事務局を通じて資料をお出ししてあるかと存じます。3枚紙でございます。とりあえず私の方からご説明をさせていただきまして、後ほど、警察庁さんの方から補足等があればということにさせていただきたいと思います。
 まず最初に、道路法の道路占用許可と道路交通法上の道路使用許可双方の概念整理ということでございます。
 1番目が、道路占用許可制度の趣旨でありまして、一般交通の用に供するという道路の本来的機能を発揮するために、道路管理者が道路への物件等の設置に関して、本来的機能の発揮に支障がないか、つまり道路の構造あるいは交通に支障がないかという観点からチェックをいたしまして、そういうことがないように、この占用許可という形で、本来的機能の発揮と、それ以外の道路空間の有効利用とを調整していると、こういう制度でございます。
 一方、道路使用許可、これは物件の設置の有無を問わずに、道路上で工事ですとか工作物の設置、あるいは露店等の出店等の場合に道路交通の安全・円滑の確保と、そういった道路の使用について調整を図るために使用許可という制度で対応しているということでございます。
 具体の事例を3つ挙げてございますが、(1)地下に埋設物を設置する場合、道路占用許可は工事から設置期間中、ずっと占用許可が必要です。使用許可については、もう地下に入るということであれば、工事のときのみ使用許可が必要と、こういう違いが出てまいります。
 それから、道路上でマラソン大会といったような物件の設置を伴わない使用がある場合、これは道路使用許可は必要ですが、道路占用許可は不要。露店等の設置については、両方とも必要というような事例をここでは挙げてございます。
 2点目、具体の判断基準でございますが、道路法上は占用許可基準というのが一応法律にありますが、これは物件が占用許可できるという物件に該当するということとか、期間、場所、構造等について一定の基準に適合することとかという最低限の基準は政令で決めてございますが、それ以外は基本的に運用の世界になってございまして、その運用の具体的なものの考え方をここに書かせていただいております。
 一つは、ご存じのように、税金で整備されるという公共的な施設でありますので、その、いわば本来的機能とは別の有効利用ということでありますので、いろいろなものがもし競合するということであれば、観念的には、より公共性が高いものを優先すると。当然のことながら、本来の趣旨からして、道路の構造とか交通への支障が最小限となるような安全性の原則みたいなこともございます。
 こういうことでありますので、個別具体の対応としては、占用目的とか形態とか諸要素をそれぞれの事例に応じて、総合的に判断をして決めるということで、例えば露店とか屋台の出店、あるいはオープンカフェみたいなものについて言えば、地元の合意といいますか、地元の自治体あるいは商工会議所等がかんでいろいろな計画をしていただいて、そういう意味で一定の公共性もあり、占用者とか場所とかについても、そういう中で調整が行われたものに対して許可を行っているというのが実態でございます。
 占用料の決め方でございます。これは、いわゆる国が管理をしております指定区間内国道は政令で定めております。それから、自治体が道路管理者となっております地方道につきましては、地方公共団体の条例で定めるという仕組みでありまして、具体的な事例を下に挙げてございますが、物件として電柱と露店・屋台を挙げていますが、場所によって違っておりまして、甲地というのが50万人以上の市、乙地がその他の市、丙地が町村と、こういう3つの地域区分をしてございまして、電柱ですと、年間1本当たり幾らという数字でございます。露店とか屋台ですと、1日当たりの平米当たりの単価をここに挙げてございますが、政令では地価等を勘案して、このような値を決めているということでございます。
 3点目、オープンカフェの事例の詳細ということで、注文をとってはいけない制約などあるのかというようなお尋ねでございますが、前回お示ししたのは、宇部市が14年度に実施したオープンカフェの事例でございまして、これは主催者が地元商店街でありまして、利用者から注文をとるといったことは行ってございます。
 占用主体は宇部市ということでありますので、これは自治体が占用主体の場合は占用料は取らないということになってございますので、占用料は取っておりません。
 道路局の方からは以上でございます。

○警察庁交通局倉田交通規制課長 警察庁の交通規制課長の倉田でございます。よろしくお願いいたします。
 ただいま道路局さんの方からご説明があったとおりでございますが、若干補足をさせていただきます。
 資料は3ページというところでつけさせていただいておりますが、「道路使用許可の許可基準」というところの資料を提出させていただいております。
 ここにありますように、道路使用許可につきましては、現に交通の妨害のおそれがないと認めるとき、あるいは条件を付与することによって交通の妨害のおそれがないというときには、許可をするという原則でございます。
 ただ、交通の妨害のおそれがあるときといったものでございますが、その場合であっても、公益上または社会慣習上やむを得ないものであると認めるときは許可をするという構造になってございます。
 公益上の必要ということでございますが、例えば、地方公共団体がその事業として行うものであるとか、あるいは地域としての取り組みで、地域住民の賛同を得られているようなもの。そして、その必要性が交通の妨害の程度を上回っているというものについて許可をするという構造になってございます。
 また、伝統的・社会的に是認された社会慣習上のものにつきまして、その必要性が交通の妨害の程度を上回るというときについて許可をするという仕組みになってございます。
 具体的には、ここに例示をさせていただいておりますが、地方公共団体等が関与して市街地活性化を目的に行うオープンカフェですとか、あるいは地方公共団体等が観光振興のために出店者を調整した上で行われる朝市ですとか、あるいはフリーマーケット等もあるかと思いますが、そういったものですとか、あるいは祭礼やイベント等に伴い出店される露店といったものにつきまして、少なからず許可をしているという状況があるところでございます。
 今後、こういうような許可事務をより円滑に進めることによって、ひいては地域のにぎわい創出等にも資することになりますよう、実施主体と警察あるいは住民、利用者といったところの調整、合意形成の円滑化を図るために必要な事項等を明確にして、都道府県警察に通達するなど指導してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 以上、補足説明でございます。

○八田主査 どうもありがとうございました。
 これについては、私ども、この間申し上げましたように、道路は交通のためだけでなく、例えばエンターテイメントの目的で使うとかオープンカフェで使うなどのように、いろいろな目的に使えます。そのときにその場合の許可条件として2つの改善が考えられます。1つは道路使用への応募が多く混雑が予想される場合には、料金を取るべきではないのかということです。しかし、特に非常に多くの屋台の出店の要請がある場合に、料金を取ることが、ある程度入札的なことを行って取ることができないだろうかというのも問題意識としてありました。
 もう一つは、占有や使用の許可に際して、既得権が尊重され、競争が行われていないという点です。今の警察の許可にしても、例えば靴磨きの人が、終身の権利を持っている。そして、場合によっては相続できる。そのかわり、新規の参入は全然認められていない。それから、昔の博多の屋台にしても、これも結局は終身の権利であって、新規参入者は認められていないし、その子供たちはそれを継承できる。もともとは交通の障害にならないようにということで発生した権利かもしれないけれども、それが、特定の人の既得権化しているという状況がある。そういう権利を期間を区切って許可を出して、そして、もし混雑がある場合には、入札にかける必要がある。それをしないで、今のように、いろいろなところで終身的な権利を認めていることの正当化といいますか、それはどうしてそういうことができるのかということについて伺いたいのですけれども。

○林部路政課長 初めに料金の問題でございますが、資料の2枚目にございますように、占用料というものは徴収してございます。それで、ここの例にありますように、露店とか屋台というのは、1日当たりの平米当たりの単価でありまして、こういう商業的利用ということに着目して、上の電柱と比べますと、これは1年間365日分ですので、そういう意味では、かなり政令上も高額の占用料ということで、そういう意味の差はつけているということがまずございます。
 それから、おっしゃっているのはそうじゃなくて、一律に決めるのではなく、入札で……

○八田主査 博多なんかの場合には、非常に多くの人が屋台を出しました。余りに多いために道が混雑するということと、既存のラーメン屋さんにとって、それは営業妨害であるという問題がありました。

○林部路政課長 博多の事例ですが、基本的に、どのような形態に対して許可するということは、先ほど申し上げたとおりですけれども、それは一律に経済的に幾ら払う人にということで考えているんではなくて、地元の合意といいますか、一定の公共性といいますか、そういう地元の総意に基づくもの、だれもが合意できるような、賛成してくれるような方に許可するという運用が基本だと思っておりまして、博多について言えば、これは歴史的な経緯があったのですね。これも福岡市地元のご判断で、実際に占用する人はだれとか、期間をどうするということを地元で合意を形成していただいたものについて申請が上がってきて、それに対して許可するということをやっておりまして、これも地元でそういう合意形成があるから許可しているということでありまして、これも形式的には1年間とか期間を切ってやっているわけでございます。それを更新、更新という形で来ているのだろうと思いますけれども、そこ辺りはあくまで地元の方で別の形ということで合意がなされれば、占用許可権者としても、それに応じた対応ということにはなってくると思いますけれども。

○八田主査 それに関連して伺いたいのですが、地元の公共団体がそういう出店に関して料金を取る、占用料金とは別に料金を取るということは認められているのですか。地元の団体が許可を与えて、それに対して、国交省が許可を与えるという場合に、地元の方が前もって料金を取るということは認められているのでしょうか。

○林部路政課長 それは、私どもの制度としては関知していない世界になろうかと思いますが、道路管理者は、占用許可主体から占用料を取るということでありまして、宇部市のオープンカフェなんかは、例えば宇部市が占用主体でございますので、この場合は市なので占用料を取る仕組みはないのですが、これが民間になれば、一定の占用料をいただきますけれども、その実施主体の中で、どういうお金のやりとりがあるかということについて、基本的には関知する立場にはないわけでございます。

○八田主査 一つは、そういう混雑があるような場合には、国有財産の最も有効利用という観点から見たらば、本当ならば、国交省ができるだけお金を取る仕組みがあった方が、最低のコストで最大の利用ができるわけですね。

○林部路政課長 おっしゃることはよくわかるのですが、そういう形の中で、いわゆる入札で落札する人は一番高い人というようなことで運用していたときに……

○八田主査 入札をしなくても、終身の使用権は廃止できると思います。新規の人が入ってもいいよということにすれば、入札しなくても、そこについては毎回許可を出すたびに、かなり高目の価格を設定していくということも可能だと思います。もちろん入札も可能だと思います。混雑を抑制する方法はいろいろあるけれども、根本は新規の参入を禁じているというところに問題があるのではないかと思うのですが。

○林部路政課長 新規の参入を禁じているということではなくて、占用の申請があって、妥当だと思えば、もちろん許可できるわけですけれども、博多のよさのところで、そういう形で運用すると、道路管理者が矢面に立って運用すると、そこはおっしゃるように、何らかの基準で切っていかざるを得ないわけですが、そこを道路管理者自らやるということではなくて、警察の方でもそうだと思いますけれども、やはり地元の方でそういう調整をしていただいて、それがととのったものに対しては許可するということで、そういう中で入れ替えとか新規とかということが可能であれば、それは占用許可主体で対応するということはもちろん可能ではあるわけです。

○八田主査 そうだとすると、国有財産の最も有効な活用というのは妨げられているのではないか。一番お金を取る、そして安く全体のコストを下げるという目的には反するのではないかというふうに思うのですけれども。
 次に靴磨き屋さんですね、丸の内の靴磨き屋さん。あれの場合には、やっぱり占用も使用許可も両方とも要るわけですか、それともあれは特に物を設置しないから、道路の使用許可だけで済むわけでしょうか。

○倉田交通規制課長 道路使用許可については、道路使用許可を出しているというものでございますが。

○林部路政課長 占用は、国道とかで実態がないものですから……

○八田主査 使用許可の世界でしょうね。

○林部路政課長 ええ、国道等は事例がないということもあるのですが、占用許可をしているという事例はつかんでおりません。

○八田主査 そうすると、ああいうところで終身の権利があるということは、これはどういうことでしょうか。どうも、先ほどの目的ですね、使用許可が、結局は、交通の障害になっているかどうかということを気にして決めているのでしょうか。もしそうならば、これだけの靴磨き屋さんの数ならば、大丈夫だろうということを設定したら、それを2年なり3年置きの免許の改定というような形でその数内ではどんどん新規参入者が入ってもいいようにする、応募が余り多くなり過ぎるならば、先ほど申し上げたような形で入札制度を設けるなりして数を制限して交通に過大な影響を与えないようなことをする、というのが最も秀でた業者に営業させる混雑対策だと思います。ところが現状では、そうなっておらず、非常に甚だ不明瞭な形で終身の権利を持っているというのは、これはどういうことでしょうか。

○倉田交通規制課長 終身の権利を持っているというよりは、基本的に許可はたしか1年更新であるかと思いますけれども、その更新の機会に更新していく、継続しているということだと思うのですが、ご指摘の駅前における靴磨きということでございますが、駅前の道路ということにつきましては、その形態にもよりますが、通常、交通バリアフリー法の特定経路にわたっているというところもあって、また自転車の通行も認めているというようなのが通常でございますので、交通の妨害のおそれが全くないと言えるかというと、それはなかなか難しいというのはあるんだろうと思います。そういう中で、現に営業なさってらっしゃる方について、現に地域に根づいておられるということから、社会慣習上やむを得ないという形で許可をしているというのが実態というところだと思うわけでございます。
 ただ、ご指摘で、じゃ、ほかの人はどうなのかということに関して言えば、例えば、どこかが元立ちになって、じゃ、これだけのスペースが、この際、靴磨きなり、そういう駅前の文化の一つの創造として、こういうスペースはこういう営業に当てたらどうかといったようなビジョンなりがあって、そういう中で、何か応募をされるような方がおられて、それがその出店の手続が皆さんがなるほどと思うものということで合意がなされているようなものであれば、我々の交通の安全と秩序という観点からのもちろんチェックはあるにせよ、そういった許可の対象にしていくということもあり得る話であろうかと思います。

○福井専門委員 既得権があるから、なかなか断りにくいという、政治的な理由はわかるのですが、もし、行政訴訟が起きたらどうなりますか。要するに、今まで許可をもらっていた人以外の人が使用許可申請をして、前からいる人がいるから、あなたは不許可だということになって、不許可処分の取消訴訟が起きたときに、平等原則や裁量の濫用という観点から、もちこたえられると思いますか。

○倉田交通規制課長 現に許可申請がなされているという事例は承知していないのですけれども、その新規参入の方からですね。それがあった場合には、同じ条件下であれば先願主義ということになりましょうし、そうでない場合には、より交通の妨害の程度の低いものということで優先ということになろうかと思います。

○福井専門委員 そうしますと、同じような交通の妨げであるならば、先願ということは、要するに、ある1年などの期間が切れるときに、今までそこで靴磨き屋さんをやっていた人ではない人が先に申請すれば、そっちの方の人に切り替わるということですか。

○倉田交通規制課長 その状況によりけりだと思いますけれども、そういうこともあり得るとは思います。

○福井専門委員 それならまだフェアだと思うのです。受け付け順だと。でも、多分主査が申し上げたとおり、そうは受けとめられていない、というのが、恐らく使用許可を受けている人たちの意識ではないでしょうか。だとすれば、そうじゃないように、すなわち、今の先願主義なら先願主義、あるいは同じ条件でないなら、より交通の支障の少ない方という、文字どおり行政法の講学上の警察許可の厳格なルールに服しているんだということを公にすると同時に、それを具体的に、使用許可に当たっている公安委員会なりに徹底すべきじゃないでしょうか。

○倉田交通規制課長 おっしゃるような運用をしっかりしていくということは、そのとおりだとは思いますが、でも、今挙げられている例というのは、ただ全体から言うと、かなり例外的な事例ではないかなという印象は持っていることは正直なところでございまして、通常、交通の妨害がないところであれば、当然使用許可は出しますし、交通の妨害のあるところにつきましては、先ほど述べましたようなところで、それぞれ判断をしながらやっていくという実態でございまして、博多の事例もございましたけれども、あれはあれでまたいろいろな経緯がある中、福岡市の方でも協議会なりをつくってご検討されてらっしゃったという状況を踏まえて運用がされているものだと承知しておりまして……。

○八田主査 今おっしゃったことについて触れたいのですが、その博多の事例だとか丸の内の靴磨きの事例だけが解決すればいいということを言っているのではなくて、それらに共通の要素があると思うのです。既得権を維持して、新規の参入者を入れないということです。道路を使用したい人が非常に多いときに、誰を選ぶ基準として、何らかの形での価格を使わずに、従来からやっていた人を優遇するという形になっている。これは、そもそも政治性を排除するような仕組みがないということではないか。ちゃんときちんと合理的に人々からの需要が最もある商業活動に対して、道路を使わせるきちんとした仕組みがないのではないか。その仕組みをつくることによって、象徴的に今のような2つの事例が解決できるとしたら、ほかにもそういう仕組みが役に立つのではないかと、そういう観点から申し上げているわけです。

○森委員 道路の立体的な土地利用というのは、今のところは新設の場合に限って認められているわけですが、その場合、道路側が区分地上権なり利用権なりを持つのか、建物側が持つのか、その辺の基準というのはあるのでしょうか。

○林部路政課長 それは立体道路制度のこと、現行の。

○森委員 そうですね、立体道路の、立体的な土地利用といいますか、道路の上に建築物を建てた場合。

○林部路政課長 いわゆる狭義の立体道路制度のことで言うと、要するに、これは建築基準法上、道路内建築制限が緩和される。それは地区計画で、自動車専用道路の整備とあわせてそういう土地利用が適切な場合ということが地区計画で決まれば、そういうものについては、建築基準法上の道路内立体区域の、道路内建築制限が外れて、道路法上の道路区域について、立体的な区域が設定できるというのが現行制度でございまして、それはもともとの所有権を残したまま、道路管理者の側で立体的な区域を設定すると、道路管理者の側が、いわば区分地条件的なものを取得するという、今のいわゆる狭義の道路立体制度の仕組みでございます。

○森委員 そういう意味で、既存の道路の上に建物を建てる場合には、今度は逆転して、建物側が区分地上権を持つということになるのですか。

○林部路政課長 そこはそういう対応もあるし、反対の対応もあるでしょうし、あるいは今もあるのですが、道路占用制度という形で、占用許可をして、それに基づいて建物を建てるということも選択肢としては出てこようかと思います。

○八田主査 占用許可の場合は仮使用みたいな感じですが。

○林部路政課長 それについては仮使用でも何でもなくて、占用許可を受けた主体が、その権原で建物をつくることができるということですので、それは仮使用でも何でもなくて、今おっしゃっているように、既得権化しない、期間を決めて、更新、更新ということにはなるのでしょうが。ただ、いずれにしても、立体道路の制度といいますか、広い意味で道路内建築、道路と建築物の一体的利用ということについては、去年ここでお決めいただいた枠組みの中で、今、関係部局と検討中という状況でございます。

○村山委員 1つ質問させていただきたいのですが、この2ページ目の2のところで、占用許可の相手方のところなんですけれども、地方自治体、地元自治体や商工会議所等の関与により、一定の公共性がというふうに書いてありますが、これは通常の、例えば民間の企業もしくは民間の団体がこういったオープンカフェとか賑わいをつくるようなものをするときに、それが交通の著しい妨げになるということになれば、もちろんだめなのは決まっていますけれども、そうでなければ、何らかの形で地元自治体とか商工会議所が絡まなければできないと、どこかで公的な主体が絡まないとできないという読み方ですか、それとも、この「等」のところで、ある程度幅を持たせて、民間の企業でもこういったことが、交通の条件、交通の妨げにならない限りはできるという読み方なのでしょうか。

○林部路政課長 特定の民間事業者が、民間人が営利目的のために結局道路空間を使うことを認めるということになると、それで皆さんの合意が得られるかということがあるものですから、また、ひいては既得権化していけばどうなるということがあるものですから、運用として、やはりある程度公共性が担保されていて、地域の総意があるようなものに対して許可をするというような運用をしているということでございます。

○村山委員 だから、こういった文言がなければいけないということはもちろんわかるのですが。

○林部路政課長 ですから、こういう要件を外して、例えば出てきたものみんなに許可していくということだと、なかなか地域の合意も得られないので、結果的に……

○八田主査 料金を取ればいいじゃないですか。

○林部路政課長 だから、そうなると、要するに料金さえ払えば、あるいは一番高く払えば、だれでもいいということになると、これがまた本当に地域の合意が得られるのかと。

○八田主査 交通の障害にならない限り、何の問題もないと思いますけど。

○林部路政課長 そこは、我々の今の考え方は、やっぱり料金という――料金はそもそも、さっきも言いましたように、相対的には高い料金を占用料とかでとってはいるのですけれども。

○八田主査 高い料金を払えるということは、それを使う大きな需要があるということですよね、背後に。

○林部路政課長 そういう中で、より地域の合意に基づいた形態に対して許可をしているというのが今の運用ではあるわけですね。だから……

○八田主査 政治的に決定がされてしまうし、道路管理者が……

○林部路政課長 政治的といいますか、地域の合意の、地域のコンセンサスの形成の仕方として、道路管理者の側で、それを直接やるのではなくて、地元で形成していただいたものに対して許可するという運用をしている。

○八田主査 その考えを採用すれば、すべて物を売るときにも、地域の合意でできたものだけを、合意でできた値段で売れということになる。社会主義ですね。事業者に競争させて、たくさん払える人に使わせるというのは、交通の障害にならない限り、消費者の観点から見て最も合理的だと思いますけども。

○林部路政課長 だから、一般的にはそういう混雑して困っているという状況ではないのですよね。博多みたいなことをおっしゃいますけども。

○八田主査 東京駅前で、だれでも靴磨きをやっていいよと言ったら、それは混雑するでしょう。それから、カフェを出してもいいよと言ったら、それは当然混雑しますよ。だから、そういう商業的な使用に対して料金を取ればいいでしょうということです。

○林部路政課長 ですから、そこの調整を、こういう問題、考え方でやっているということではあるのですけどね。

○八田主査 料金によるフルイがない限り、必ずそういう政治的な、あるいは既得権を重んじた解決方法になるだろうと言っているわけですよね。少なくとも、そうならざるを得ないでしょう。要するに、先ほどの博多の屋台だって、屋台の数を制限して、その範囲内で許可を出せば、それは別に国交省が直接やったって何の問題もないと思うのですね、交通に関しての権威は国交省ですから。その範囲内で自由にやってくださいよということにする。もし、何らかの理由で地元が数をもうちょっと制限してくださいと言ったら、それは聞きましょう。そのかわり、だれに配分するかは全部国交省が決めると、それで何にも構わないと思いますけどね。

○林部路政課長 今先生がおっしゃったような、そういうことを通じて収益を上げた場合に、道路管理者の側に道路管理に還元していただけるような方策というのは、実は検討したいと思っております。占用料ということとは別ですけども。

○森委員 例えば、六本木ヒルズの場合には、開発前は、既存の都道である環状3号線が、ただトンネルのように通り抜けていて、それが区分地上権になっていたのですが、開発にあわせて環状線を六本木通りにすりつけることにしたので、その上部が使えなくなったのです。ただ通り抜けているときは、道路側が区分地上権をお持ちだったわけなのですけれども、そこをすりつけることにした途端に、部分的に道路用地にかわってしまって、今度はその上に、人工地盤を乗せて広場をつくりました。向こう側との申し渡しで、その施設は道路用地上の公園か何かの扱いになってしまったのですが、問題はそれから先で、その公園の上でカフェなり何なりをやろうというときに、だれが、どちらに向かってお金を払うのかと、しかも、組合で広場をつくる金を出し、もちろんすりつけ道路の工事費も出しているのですが、その場合でさえ、まず上に自由に店舗を出していいとか悪いとか、そのレベルから議論をしておりまして、大変なのです。

○林部路政課長 ですから、まさにそういうところの地権者とか関係者で協議していただいて、合意を形成していただければ、そこに対して、公園なのか、道路なのかよくわかりませんけれども、許可するということは大いにやっていきたいと私どもは思っています。

○森委員 それが都道の上に区の管理する公園が乗ったということで、だれの許可を得ればいいのかというのも難しい問題があるので、いずれだんだんに相談して、そのルールを決めていただきたいと思います。例えば銀座の場合、数ブロックまとめてスーパーブロック化して開発して、今ある道路の上に、言ってみれば、ふたをしてしまって、下はショッピングアーケードとして残し、さらに、しかるべきところにはタワー状の住宅なりを建てるといった開発をしようというときに、それは一体どの扱いになるのか、道路の占用許可なのか、区分所有なのか、容積の賃貸なのかとか、いろいろなルールが、どれをどう適用していいかわからないという現状がございます。もちろん既存道路の上に建てられないという、今の法律のままだったら、一度廃道にしてから、またここは道路に戻すのでしょうか。そのときは、今の法律だと、道路交通法上の道路ではあるけれども、道路法上の道路ではないというようなことに相なるのか。それも道路としてもう認めようという方向になるのか。
 そういったことについて、これから一体的な土地利用、あるいはまちのつくり方を推し進めていこうとするときに、何か新しいルールが要るのではないか、また誰がその費用を負担したり、税金を払ったりすることが必要なのか、あるいは支払わなくてもいいのかを含めてですが、ルールが必要だと思っているのですが、その辺のご研究は始まっているのでしょうか。

○林部路政課長 要するに、例の道路と建築物の一体的利用について、見直しについていろいろな検討を関係部局としているということは申し上げているとおりですが、道路との関係で申しますと、都市計画行政とか建築基準行政上、道路区域内への建築物の制限を政策目的で一定の場合に緩和しようという方向になれば、道路固有の立場で、それをだめということは多分なくて、建築、都市行政、住宅行政上の政策判断のオーケーということになれば、道路としては、今ある占用許可という方式で対応するか、あるいは今ある立体的な区域を設定して対応するかということは、選択肢としてはいろいろあろうかと思いますけれども、道路はそういう立場でございます。道路上の道路でなければ、我々道路局としては全く関係のない話になるわけです。

○八田主査 時間がかなり押しておりますので、福井さん、最後に1つだけ手短にお願いします。

○福井専門委員 多分、使用でも占用でもそうですが、割り当てをやろうとすると、必ず超過需要が生じる。その処理の仕方として、どのやり方が適切かということに尽きると思います。そうすると、もちろんある程度みんな住民のコンセンサス等がないといけないというのはそのとおりですが、だとすれば、だめなものをあらかじめ列記しておいて、それ以外のいろいろな利用目的の中で、例えば価格順で決める。利用価格が上がり、占用料は、例えば道路管理の特定財源でもいいと思うのですけれども、そういう一種の秩序をはっきり決めておいた方が、使用でも占用でもうまくいく。
 自治体が介在すれば、何となく許可権者としては責任を逃れられるといったお気持ちじゃないかと思うんですけれども、それも必ずしもそうでもない。自治体とは、ご承知のように、地元に密着していればしているほど、いろいろ政治的な圧力、既得権者からの陳情やらを受けやすいものですから、むしろ、自治体がやったからオーケーというのではなくて、やはり許可権者が独自に、公正さ、平等原則とか裁量の潜った濫用をチェックするという責務は、本来の責任者として一層強いと思うべきだと思います。

○八田主査 この話は、もともと村山委員が、賑わいの創出ももっとスムーズにいくようにという問題意識で始まったのです。考えてみると、道路というのは交通のためだけじゃなくて、いろいろなものに使える。にもかかわらず、道路というのは交通の目的のためだけに作られているともともと規定されていたことによって、その他の目的で使うときの効率的な枠組みがない。これから道路をどんどんいろいろなものに使えるとすると、特に商業施設、あるいは商業用途に使う場合に、正しいレントの工夫をぜひ、国交省だけじゃなくて警察庁の方にもお願いしたいと思います。そうすることによって、既得権を優先しないで、合理的な形で、商業施設を利用する人も、道路を利用する人も満足するような仕組みができるのではないかと思っております。

○福井専門委員 それと同時に、なるべく自由に使えるように、弾力的な行政をお願いしたいということです。

○八田主査 どうもお忙しいところありがとうございました。

【土地収用法の積極的活用について:国土交通省ヒアリング】

○八田主査 どうもお忙しいところをお越しくださいまして、ありがとうございました。
 次に、土地収用法の積極的活用についてご見解を伺おうと思います。
 こちらからの問題意識をお送りしておると思うのですが、これについてご見解を伺いたいと思います。

○国土交通省総合政策局糸川官房審議官 国土交通省審議官の糸川であります。よろしくお願いいたします。
 座って話させていただきます。
 私どもから、基本的には土地収用法の関係の資料を本文2枚紙と別添3枚、それから成田空港と圏央道の関係の資料をお配りさせていただいていると思いますので、ご確認いただきたいと思います。
 私の方からは、「土地収用法の積極的活用等に関する取組みについて」という2枚紙と、それの関係資料、色つきのものを3枚用意しておりますが、これに基づきましてお話をさせていただきたいと思います。
 もうご案内のとおりでございますが、土地収用法は公共の利益の増進と私有財産との調整を図ることによりまして、国土の適正かつ合理的な利用に寄与するということを目的としているわけですけれども、このような土地収用法あるいは土地収用制度に関しましては、いろいろな立場の方からいろいろなご意見をいただいております。今回ご指摘ございますように、土地収用法に基づく手続が円滑に進まない事例もあるじゃないかというご指摘もいただいていることは十分承知しているところでございます。
 そういったことから、実は、この土地収用法、昭和26年にできまして、その後、昭和42年に改正をして以来、大幅な見直しがなかったわけですけれども、ただいまのようなご指摘をいただいたことを踏まえまして、大幅な見直しを行いました。その結果、ここでも一度ご説明申し上げさせていただいているかもしれませんが、平成13年に土地収用法の改正を行い、昨年の7月から施行したという流れになっております。
 恐縮でございますが、改正の内容を改めてご説明させていただきますと、色つきの方の1枚目、2枚目に書いております。
 今回の関連のところだけ申し上げますと、1枚目の真ん中近所に、「土地収用制見直しの基本的考え方」という欄がございますが、大きく分けまして、一つは事業認定、これは公益性があるやなしやということを判断する手続でございますが、この事業認定の手続につきましては、住民や第三者機関の意見を参考にする制度を創設するとか、そういったことで、従前より慎重な手続のもとに判断するということにさせていただいております。
 その一方では、収用委員会の手続の方におきましては、権利者の利益を阻害することなく、収用手続の合理的かつ円滑な遂行を確保するというようなことで整備をさせていただいております。
 それらが、収用委員会の円滑な遂行を確保するためにどういうことを具体的に整備したかということでございますが、本文の2枚紙の方に戻っていただきたいと思います。その関連の改正内容を記されていただいております。
 収用委員会といいますのは、主たる任務は補償の相手方、どの人に補償したらいいのかということ、補償金額を確定するということを、ある意味では準司法的な手続に基づきまして行っていくというのが主要な任務になっているわけでございますけれども、いろいろな事例を見ますと、こういった収用委員会の審理におきまして、事業認定の公益性、こういったものに関する不服など、そういった任務と直接関係のないような地権者の方が申し立てるということによりまして、審理の円滑な遂行に支障を来すような事例も見受けられております。
 その下の例のところに、圏央道第1ステージ、あきる野インターから日の出インターの事例が書かれておりますけれども、この第1ステージの収用委員会の手続に1年11カ月かかっておりますけれども、そのうちの審理のおよそ7割がそういった事業の必要性、公益性にかかわる議論であったといったような実態もございます。
 こういった状況を踏まえまして、平成13年の改正土地収用法では、収用委員会の審理におきまして、事業認定に対する不服など、収用委員会の審理と関係のない主張をすることができない旨を明文化しております。条文で、従来の解釈を明文化しているということで、収用手続の円滑・合理化を図ったところでございます。
 また、例の方に書いておりますが、仮に今回改正法の趣旨に照らし合わせた手続で順調に収用委員会の審理が進んだと仮定いたしますと、この圏央道第1ステージと類似の事例であれば、恐らく収用委員会の審理は3分の1程度に合理化されるのではないかというように見込んでおります。それが第1点目の改正点でございます。
 このほかの主な改正点といたしましては、「その他改正土地収用法の効果」のところに掲げさせていただいておりますけれども、一つは、起業者は土地物件調書を作成することが必要になりますけれども、従来でありますと、その土地物件調書の作成につきましては、関係者の立ち会い・署名押印というものが必要でありましたけれども、1筆の土地に権利者が多数いらっしゃって、なおかつ補償金が僅少の場合、具体的に言いますと100人以上で補償金が1万円に満たない場合ですけれども、そういった場合には、公告縦覧方式によりこういった土地物件調書の作成をできるような特例制度をつくっております。実際に圏央道第2ステージ、関係者1,808名いらっしゃるような立木トラスト等ございますけれども、こういったところにこの特例を適用した事例がございます。
 第2点目といたしまして、「補償金払渡方法の合理化」でございます。補償金の払い渡しにつきましては、現金を持参してお渡しするというのが原則になっておりました。ただ、これですと、関係者の方がたくさんいるとか、あるいは持参しても、なかなか受け取っていただけないといいますか、本人が不在の場合とかといったようなことで、なかなかお渡しできない場合があるということで、実際に別添の資料の3枚目の改正の効果というのがございますけれども、日の出町の廃棄物処分場の場合は、この払い渡しだけで約半年、180日間かかっているといったような事例もございます。こういったことをもう少し合理化しようということで、現金書留によっても払い渡しもいいというようなことで新しく改正をしております。実際に圏央道第1ステージ、あきる野インターから日の出インターの事業におきましては、関係人121名の方がいらっしゃる借地トラスト地につきまして、書留郵便による払渡といったようなもの実施したりしておるというような実績もございます。
 こういった形で、一応土地収用法の円滑な運用を図るというような枠組みができたと我々認識しておるわけでございますが、2枚目にまいりまして、これからこういった改正土地収用法を実際に改正した趣旨に沿った形で活用、あるいは運用していただかないといけないということで、第1点目は、適期申請ルールの周知徹底等ということで、これにつきましては、繰り返しご説明しておりますように、いわゆる3年80%ルールの徹底等について、今努めているところでございます。
 第2点目は、実際にこの土地収用委員会、収用手続をいたしますのは、収用委員会という形になりますので、そういったところで、改正土地収用法の的確な運用を図っていただかないといけないということで、現在、各都道府県収用委員会、あるいはその事務局に対しまして、連絡協議会ブロック会議等の場を通じまして、改正法の趣旨手続等についての周知徹底を図っているといったようなことでございます。
 そういったことで、今後、収用審理事務といったものについて改正土地収用法の確立、改正土地収用法に沿ったものにしていただくように、今、周知徹底を図っているということでございます。
 繰り返しになって恐縮でございますが、改正土地収用法が施行されましてようやく1年ちょっとたったということでございます。現実に改正土地収用法が適用されて、土地収用委員会が動き出すというのも、これからが本格的になってくるといったような状況でございますので、我々としては、改正土地収用法の積極的な活用、それから収用委員会におきます的確な運用ということを一生懸命やっていくということが当面の最大の課題であるというふうに認識しておりまして、そういったことを通じまして、今後、土地収用手続の円滑化に向けて成果が上がってくるというように考えているところでございます。
 以上が土地収用の積極的活用等に関する取り組みについての我々の考えでございます。
 なお、参考に、執行不停止の原則の考え方を掲げさせていただいております。事業認定処分でありますとか収用裁決処分に対する取消訴訟が提起される場合が多々ございますが、行政事件訴訟法上は処分の取り消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行あるいは手続の続行を妨げないといったような、いわゆる執行不停止の原則がうたわれておりますので、念のため申し添えさせていただきます。
 引き続きまして、圏央道、それから成田空港につきまして、担当の局より現状につきましてご説明させていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

○国土交通省道路局石川国道・防災課国道事業調整官 それでは、圏央道についてご説明させていただきます。道路局国道・防災課の石川と申します。よろしくお願いいたします。
 圏央道につきまして、圏央道はご案内のとおり、首都圏3環状の1つでございまして、都心から40キロから60キロ圏内、総延長約300キロの自動車専用道路でございまして、国土交通省といたしまして、重点的な投資を図り、整備の促進を行っているところでございます。
 圏央道の都内区間につきましては、平成元年に都市計画決定をいたしまして、今、審議官よりご説明のございました日の出・あきる野間、この区間を第1ステージと呼んでいるわけでございますけれども、この区間につきまして、平成4年より用地買収に着手しておるところでございます。
 第1ステージは、あきる野から青梅間を一括して事業認定区間といたしましたけれども、日の出・青梅インター間は既に決着しまして供用しておりますので、今般いろいろと話題になっておりましたあきる野・日の出間でございます。
 また、土地収用法適用との関連で申しますと、平成11年8月20日、事業認定の申請をいたしておりまして、その後、平成12年1月19日に事業認定の告示、その後、裁決の申請、平成14年9月30日に権利取得明け渡し裁決が出ておるところでございます。その間、平成12年12月15日に事業認定取消訴訟等が起こっております。地権者等は、当初約600名いらしたわけですが、現在残っておられる方は6名ということで、実質的には、明け渡し期限も過ぎておりますので、現在元地権者という形になってございます。明け渡し期限は平成15年5月17日、逐次明け渡し期限が出まして、最も遅い箇所で5月17日でございました。その後、6月27日に、事業者より東京都知事に対しまして代執行の請求ということをさせていただきまして、その後、都知事より戒告書の送付という手続が行われまして、明け渡し期限が来まして、引き続きまして、令書を送付するという手続に入ろうとしていたところでございますが、10月3日に東京地裁より東京都知事に対しまして代執行手続の執行停止決定というものが出されたわけでございます。この決定は極めて異例な決定でございまして、起業者といたしましても、東京都知事と一緒に10月7日、これまた即時抗告をいたしたところでございます。今後、東京高裁より適切な判断が早期に出されることを我々としては期待しているところでございます。以上でございます。ありがとうございました。

○国土交通省航空局飛行場部吉田新東京国際空港課整備推進調整官 それでは、成田空港につきましてご説明させていただきます。私、航空局、新東京国際空港課調整官をやっております吉田と申します。どうぞよろしくお願いします。
 お手元の資料2点ほどございますけれども、最初に、「成田空港の施設計画」という図面の方を見ていただきたいと思います。
 現在の成田空港の状況でございまして、下の方からいきますと、オレンジ色の部分がA滑走路4,000メートル、これが、昭和53年開港当時より供用されておりました4,000メートル滑走路でございます。その上の方に、紫で第1旅客ターミナルビルというものがございますが、このA滑走路と第1ターミナルビルをあわせまして一期地区と呼びまして、私ども、最初にこの一期地区の部分をつくりまして供用したということでございます。
 その上の方にまいりますと、第2旅客ターミナルビルというのがありますが、ここから二期工事と呼んで工事を進めた部分でございまして、第2ターミナルビルにつきましては、平成4年12月から、その上のオレンジ部分、平行滑走路2,500メートル、それから左の方に暫定平行滑走路2,180メートルとございますけれども、実は、緑の外枠がございますが、これが現在用地を確保している部分でございまして、オレンジ色の平行滑走路2,500メートルをつくろうといたしますと、実は、用地を買えていない部分がございます。改めて後でご説明させていただきますが、この関係で、暫定平行滑走路ということで、この赤い斜線の部分を北にずらす形で、平成14年4月から供用しているという状況でございます。
 それでは、もう1点の方の資料を説明させていただきます。
 こちらの方が、「成田空港問題のこれまでの経緯について」というものでございますが、新東京国際空港につきましては、昭和30年代後半から、当時は羽田空港が非常に逼迫していたという状況を踏まえまして、新たな首都圏に対応した国際空港をつくるということで検討が進められまして、昭和38年に、当時の航空審議会から答申をいただきまして、3カ所ほど候補地があったんですが、基本的には富里というところ、今の空港の所在地の隣でございますが、ここにつくるという決定がなされましたが、それにつきまして、地元の非常に強い反対がございまして、昭和41年には、閣議決定で、「新東京国際空港の位置及び規模について」という決定がなされまして、ここで現在の成田空港の位置、いわゆる三里塚に空港をつくるということが決定をされました。その後、建設を進めたわけでございますけれども、昭和42年ごろから過激派がこの反対運動に介入してまいりまして、いわゆる成田闘争が生じました。
 その後、昭和44年には収用法の事業認定をいただきまして、事業を進めたわけでございまして、昭和46年には第一次代執行、第二次代執行ということで執行を行いました。しかし、この間、東峰十字路事件が発生をいたしまして、機動隊と反対同盟といいますか過激派がたまたま行き会ってしまいまして、そこで乱闘になりまして、警官3人の方が亡くなるというような事件も起きております。
 その後、何とか用地取得を進めまして、昭和53年、一期地区部分だけということで供用しようという運びになりましたが、そのときに、極左暴力集団が管制塔を襲撃するという事件が起きまして、当初3月を予定しておりました開港が5月に延びるという状況になりました。
 この間、5月の開港までには、政府としても成田新法という法律をつくりまして、空港周辺3キロ以内で極左暴力集団が暴力行為のために集合するような建物につきましては、使用禁止命令ですとか撤去命令ができるような法律を制定しております。それから、空港警備隊を特別に設けておりまして、1,500名体制を確立いたしまして、現在もこの体制で警備を続けていただいております。
 その後、成田空港は順調に運用されまして、非常にまた状況が逼迫しておりましたので、昭和61年からいよいよ二期工事ということで着手をいたしました。新しいターミナルビルと平行滑走路をつくるということで着手をしたわけでございまして、62年には団結小屋を成田新法を使って除去するというようなことがあったわけでございますが、昭和63年、極左暴力集団が当時の千葉県の収用委員会の会長が極左暴力集団に襲撃をされまして、かなりの重傷を負うという事件が発生いたしました。その後、極左暴力集団が収用委員会全員に脅迫をかけてまいりまして、その結果、全員が辞表を提出して、委員会が機能を停止するという状況が現在も続いております。
 その後、成田空港の第2ターミナルビルには着工ができるということで、平成4年12月からターミナルビルだけは供用したわけでございます。
 平成元年には改めて成田新法に基づきまして団結小屋10カ所に対しまして使用禁止命令というものをかけております。
 こうした非常に厳しい闘争、成田空港問題の一方で、何年もやっておりますこの成田空港問題につきまして、話し合いで解決しようという動きも出てまいりまして、平成2年に当時の江藤運輸大臣が反対派と話し合いをするという動きを契機といたしまして、平成3年から6年にかけまして、成田空港問題シンポジウム・円卓会議という一連の流れがございました。ここでは東京大学の隅谷先生にお願いをいたしまして、シンポジウムを15回、円卓会議を12回ということで精力的な反対同盟との討議を進めていただきまして、そこで一方では国が譲歩し、一方では反対同盟側も譲歩するという形で一定の成果を得ております。
 具体的には、シンポジウムにつきましては、国側は土地収用裁決申請を取り下げる、これが話し合いに入るということの前提でございました。それから、国は二期工事のB滑走路、C滑走路の建設計画を白紙に戻す。円卓会議におきましては、平行滑走路の整備が必要であるというところは反対同盟も認める。ただし、その用地取得は話し合いにより行うという合意がなされました。
 その後、平成8年に、「今後の成田空港整備の基本的考え方」というものを地域に公表しておりまして、この中で、空港整備と地域に対する共生策、それから地域の整備、これを三位一体で推進するということを約束するとともに、平行滑走路について円卓会議の結論に従いまして、話し合いで2000年度に完成することを目標として進めるということを公表したわけでございます。その後、平成10年にも、地域と共生する空港づくりとは何だというところを地域と諮って作成をしております。
 次のページでございますけれども、こういった話し合いの動きを受けまして、平行滑走路をつくるという道筋ができたわけですが、平成10年10月になりまして、東峰地区、これが平行滑走路の南端になりますが、この南端部分に住んでおります住民、実際にそこに住んでおられる農家の方1戸を含みます8戸が、空港絶対反対という声明を発表いたしまして、ここで2000年度を目標といたします平行滑走路の計画がやむなくついえるということになりまして、平成11年5月には、正式に目標断念を公表いたしまして、引き続き、5月21日には、暫定平行滑走路の整備を含む平行滑走路を建設するという方針を公表いたしまして、閣議でも大臣が発言をしております。これは、2,500をあくまでも目指しますが、それが当面困難であるという場合には、暫定措置として、北にずらす形で2,180メートル、約2,200メートルの平行滑走路をつくるということでございます。
 その後、工事の方は順調に進みまして、懸案となっています用地が買えたこともございまして、平成13年10月には滑走路の工事が完成、10年4月には供用を開始ということでございます。
 ただ一方で、昭和53年以降現在まで約500件のゲリラ事件が発生をしておりまして、極左暴力集団の活動が弱まったというような形跡は今のところは見られません。
 下の方に4、用地取得の進展でございますが、先ほどのシンポ・円卓の流れで、かなり反対同盟の方々に理解を得ておりまして、未解決の用地は、平成6年、円卓会議終了時、21.3ヘクタールございましたものが、現在では5.2ヘクタールまで減っておりまして、空港全体の0.5%でございます。
 なお、用地内に住んでおられる方は、農家が2軒、その他ということで用地の外に住んでおられますが、用地の中に土地を持っているということで3.5ヘクタール、いまだに用地が残存しているという状況でございます。
 私どもといたしましては、成田空港問題という非常に大きな問題を経まして、シンポ・円卓という話し合いの流れでここまでようやくたどりついたということでございまして、現在も、本来の2,500メートル平行滑走路をつくるという目的で地元の方々に何とかご理解いただけるように話し合いを続けているところでございます。
 以上でございます。

○八田主査 どうもありがとうございました。非常に具体的なケースについてもお話しくださいまして、ありがとうございました。
 私どもの問題意識は、基本的には国家的な観点から見て必要なもの、例えば圏央道だとか成田空港のようなものについては、収用の過程で国がもっと強い関与ができてもいいので、そのための具体的な方法をそろそろ考えるべきではないでしょうかということであります。
 具体的には、まずあきる野のように、実際の収用が始まってからも、事業認定の正当性に関する訴訟が続いている、そして、そこに関する議論が解決しない限り、収用を進めることはできないというような事態に対する対応です。今の法的な枠組みの中でもう十分だと考えてらっしゃるのか、それとも、これを何らかの措置を講ずるべきなのかということ、そういうことについての何らかの具体策ができればと思います。
 これについて、森委員あるいは福井委員から。

○福井専門委員 まず、収用審理で計画のことや事業のことが話題になったという点ですが、この間の執行停止決定でも、裁判のときにも、審査権限はないけれども、収用委員会が被告となって事業計画を説明しないといけない。そこの主張がなっていないから、このままだと負けるというような認定がなされていたと思いますが、それは古くから議論がある違法性の承継という問題で、解釈論としては分かれています。まだ最高裁判例がないので、収用委員会被告の収用裁決取消訴訟の中で事業認定の違法は争えるという下級審判例と、争えないという下級審判例が分かれていまして、この間の執行定止決定の方は、争えるという方の説です。成田などでは争えないという判決もあったと思いますが、これは恐らく、せっかく法改正で収用委員会の審議で事業計画の違法は主張できないとしても、訴訟法の問題で、裁判の段階でどちらにせよ、こういう見解をとられると、必ず争われることになるのです。そうすると、事業認定が終わった段階ではけりがつかずに、また裁決の段階で計画が蒸し返されるということは、立法にしないと防げないということになります。
 今、別途司法制度改革推進本部でやっている行政訴訟の検討会などでも話題にはなっているのですが、その前提となる計画なり先行手続の段階で違法性を遮断するような立法的措置を講じれば、少なくとも裁決の段階の争いではそちらの問題にはならないという議論があります。こういう新たな立法措置についてどうお考えになるのかというのが一つです。

○糸川官房審議官 私ども、従来から、いわゆる違法性の承継というものは、これは事業認定の段階で争おうと思ったら争えるわけですから、その段階で争っていただくということが法的安定性を早期に確保するということで当然の解釈ではないかというように理解しておるわけですけれども、そういった意味も含めまして、今回、そこまできっちり訴訟法上でも取り扱いについては措置はしておりませんけれども、先ほどご説明申し上げましたように、公益性の問題とか、そういった問題については、収用委員会では取り上げないということを明文化したつもりでございます。
 そういった意味で、先ほど道路局の方からご説明がございましたけれども、特に執行停止が、こういった代執行までいったときに、執行停止の仮処分の決定があるというのは、極めて異例な事態でございまして、我々としては、今回の圏央道の事例については大変遺憾に思っているといったような状況でございます。

○八田主査 これは、13年の改正土地収用法で、収用委員会審理と関係のない主張をすることができないということを明文化した、この法律のために今度はうまくいくはずだというご主張ですか、それとも、これにもかかわらず……

○糸川官房審議官 審理指揮が、そういうことを明文化することによって、従来から我々解釈は変えておらないのですけれども、やはり審理指揮を行っていただく収用委員会の先生にとってみれば、先ほど言いました準司法的な手続ということで手続が進んでいきますので、当事者が主張しているものは、やはり取り上げないといけないのではないかという判断をどうしても安全サイドとしてされる。ところが、明文の規定で、これは取り上げちゃだめよと、意見書に書いていても無視しなさいよということを明文の規定で明らかにしたわけです。そうしますと、収用委員会の先生方も、これは法律7条に基づいてだめよということは言えるので、審理指揮もやりやすくなるのではないか。

○福井専門委員 それはそうです。ですから、収用委員会審理では、要するに事業計画の違法を言えなかったというのは、今までから同じで、今度の改正は確認規定なのです。創設規定じゃない。とすると、そこは前と事情は同じで、ある意味では当然のことを明記していただいたわけですが、今ここで、私が問題提起したのは、そこの場面じゃないのです。要するに、権限なんかなくたって、結局は裁決の違法事由として、認定の違法事由が含まれるのだというのが、私もおかしいとは思いますが、下級審の一部に強固にある流れです。今回もそれをとっているものですから、13年の改正のいかんにかかわらず、違法性が承継するという立場をとる判決の観点から言えば、審査権限とは無関係にどっちにしろ裁決取消訴訟で認定の違法は蒸し返せるのです。それは13年の改正で止めることはできないというのが現在の違法性の承継の問題です。

○八田主査 それと執行不停止の原則とはどういう関係になるのですか。

○福井専門委員 不停止というのは、行政事件訴訟法の規定で、収用法とは関係なく、およそ一般的に、原則として処分の段階になったからといって、そのまま執行について、処分に対する取消訴訟があったとしても、止めなくちゃいけないわけではないとされています。個別に申し立てて、必要があるときだけとめるというのが一般則です。

○八田主査 じゃ、結局、裁判のところでは、これは余り役に立たないですね。

○福井専門委員 そうです。今回のあきる野のような事件は必要があると思えば止まるでしょうが、その止まること自体は個別の判断ですから、ある意味じゃ、先例としてはそんなに重い意味はない。むしろ重い意味があるのは、違法性の承継が当然にあるということを宣言しているという部分です。そっちの方は、結局、訴訟法の問題ですから、収用法の審理の実態部分をいじっても結局はどうしようもないということなのです。

○糸川官房審議官 福井先生がおっしゃっている問題点があることは事実ですけれども、今度、明文の規定で、もうそういうことを見るなということは明らかにしておるわけでございまして、我々としては、福井先生がおっしゃるように、従来から、そうした違法性の承継はないということで考えておりまして、それぞれ明文の規定で、そういった収用委員会の審理で審議できないものを持って、収用委員会を当事者にした訴訟で、当事者が判断できないものを主張しろということは、そもそも常識的に考えておかしいのではないかと考えておりまして、やはり事業認定は事業認定の対象として……

○福井専門委員 そういう問題ではありません。結論はおかしいのですが、彼らの論理は訴訟審理の際の違法主張の是非に関する解釈論ですから、裁判官が決めるときの理屈としては、行政事件訴訟法23条で、行政庁の訴訟参加を使って、判断能力がない被告じゃなくて、参加人たる認定庁が攻撃防御すればいいという理屈であり、審査権限の有無のところは、裁判上は理由にならないと言うことでほぼ片が付いており、審査権限がないことを理由に訴訟での違法主張ができないなどと言う理屈は、実は崩れているのです。

○糸川官房審議官 おっしゃるとおりですけれども、通常考えれば、やはりそこを攻めようと、攻撃しようとするときは、攻撃する相手を真っ正面に据えてやっていくと、しかも、そういった一定の期間――ここで解釈論をやってもしようがないのですけれども、そういった事業認定を取り上げて……

○福井専門委員 わかります。私も違法性は承継しないという論文を自分自身で書いていますから、全く同感ですが、ここは実体上の審査権限の問題じゃなくて、訴訟法の問題です。要するに、現に下級審で強い流れがあるわけです。違法性が承継するという。一方では承継しないというものがあるのですが、最近は形勢が悪いのです。とすると、最高裁判決が出る前は、下級審が結局どっちの流れにつくのかというのは、ある意味では裁判長の判断ですから、恐らくこのあきる野みたいなケースは最高裁で承継しないという判決が出るまでは、恐らくずっと続くのです。こういう下級審で分かれている、裁判で分かれている問題の一番手っ取り早い解決は立法ですということを申し上げているだけです。解釈論としては全く同じです。

○八田主査 立法は、収用法なり何なりでできると。

○福井専門委員 できます。

○八田主査 それはどういう形で。

○福井専門委員 いろいろな書き方があると思うのですけれども、裁決取消訴訟では認定の違法を理由とすることができないと書くことも一案です。現に収用法の中の不服申し立ての規定には、ちょっと違いますけれども、損失補償の不服を理由とすることはできないという、大体同類の規定がありますから、立法論として可能だというのは確立した学説です。

○八田主査 そうすると、これは一刻も早くそういう手を打つべきだということにはなりませんか。

○糸川官房審議官 立法上、どういう形でやっていくかというのは、いろいろ考え方はあろうかと思いますけれども、先ほど福井先生もおっしゃったように、我々は我々として、そういった考え方に立っているわけですけれども、全体の行政法の議論とか、いろいろな裁判所の動向とか、そういったことも踏まえてやっていく必要もあるのかなという感じもいたしますが、いずれもそれだけをもってなかなか立法的な措置というのも、ちょっと裁判の審査をしているときに水を差しながら、それだけを目的にして立法措置をするということも、やはりなかなか立法論としては難しい部分があるかなと。やはり何か、これだけ議論が分かれているという状況の中で、我々としては立法的にある程度我々の考え方を明らかにしたということでこの問題は整理したと思っておりますけれども、そういったところに水を差すようなことを正面に据えた立法をするということは、なかなか正直言って、行政に携わる者としては難しいなという感じがしております。

○森委員 六本木ヒルズの場合、代執行を当然すべき、もう権利変換が終わったのに不法占拠している人に対しても、区も都も代執行をしてくれない。仕方がないので、民事訴訟で明け渡しをやったのですが、裁判官も「これがもし控訴されて、本来の代執行で公にやるべきものを民間手続で明け渡したことが違法だと言われたら困るな」と言っておられました。つまり、行政側はやるべきことをやらない、無作為である。また実は、権利変換計画を認めるときに、代執行させないということを組合側が裏から約束してくれということを言っていたのですが、そういう状態になっているという、そのこと自体を何とかしないといけないのではないかと私は思っているのですけれども、おそらく、また同じことで、収用委員会が決定したところで、だれも代執行しなければ同じことですよね。

○八田主査 今日は非常に忌憚ないご説明をいただきまして、どうもありがとうございました。私どもで、きょうのお話に基づいて検討させていただきまして、また改めてご要望をお出ししたいと思います。どうもありがとうございました。

【市街地再開発事業の推進方策について:国土交通省ヒアリング】

○八田主査 大変お待たせいたしました。時間が大変遅れておりますので、説明を本当に簡単に3分程度でお願いいたします。そして、こちらからご質問いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○国土交通省都市・地域整備局名和市街地整備課権利変換システム調整室長 それでは、手短にご説明させていただきます。
 先般、検討会を設けて検討を進めたいということを申し上げたところでございますが、本日お持ちいたしました資料で、その検討会の構成、内容等について記載してございます。
 検討会の構成につきましては、お手元の資料のとおりでございまして、都市計画の学者の方がお一方、行政法のご専門の方がお二方、公共団体からお二方、公団お一方、民間事業者お二方、計8人で委員会を構成する予定でございます。
 検討内容につきましては、組合施行による市街地再開発事業の実態・問題点につきまして、ご参加いただく民間事業者お二方の方から検討会の場で、またその実態についていろいろ問題点をご指摘いただきたいと考えております。
 それから、めくっていただきまして、検討の内容でございますけれども、組合の設立要件といたしまして、その組合設立にかかわる人数要件、面積要件について見直すことが適当か、見直すとすれば、どういうことが考えられるかといったことについてご意見もいただきたいと考えております。
 また、組合設立以外につきましては、組合設立後、総会におきまして、設立時とおおむね同様の要件で特別議決を要するものといたしまして、例えば定款、事業計画の変更等がございますし、また、普通議決で足りるものとして、収支予算、権利返還計画等がございますけれども、これらについて、その設立の際の要件を見直した場合に、これについてあわせて見直す必要があるかどうかといったこともあわせてご検討いただきたいと考えております。
 それから、一つ考えられる方策としまして、都市計画決定後、転出者の方がいらして、同意率が下がるというような問題意識に対応いたしまして、組合の設立等の前倒しをすることが可能かどうか。その組合の設立あるいは申請手続を早期に行うための方策として、どういったことが考えられるか。その場合、同意の対象者について、どのように確定すべきかなどについてご意見も承り、考えてまいりたいと考えております。
 そのほか、これに限らず、組合、再開発会社が施行する市街地再開発事業の促進方策につきまして、ご意見を伺った上で考えてまいりまして、その問題意識にお答えできるような対応方策というものを何とか打ち出していきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○八田主査 どうもありがとうございました。
 若干気になったのは、もう検討会の委員は完全に最終的に決まっていると。

○名和権利変換システム調整室長 はい。

○八田主査 法律の方や都市計画の方がいらっしゃるが、経済学者は全然いないんですね。

○名和権利変換システム調整室長 はい。今はこういうメンバーで考えてございます。

○八田主査 この問題に関しては、経済学が重要だと思うのですけどね。メンバーに入れていないことには、何か理由があるのですか。

○名和権利変換システム調整室長 特段の理由で外したということではございませんけれども、制度についてご検討いただく上でこういうメンバーの方、また実際の事業の必要性とか問題点ということにつきまして、実際事業を行う方ということで考えております。

○福井専門委員 元々のここでの問題提起の議論は、ある意味で経済学の理論に基づいた極めて素直な提言をしているのです。そのことを判断できる人が入っていない検討会というのは、ちょっと理解できません。もともと、こういう問題提起は経済学の市場の失敗の理論できっちり説明できる議論なのです。それをちゃんと他のメンバーにわからせてあげる立場の人がいないところで、一体何を検討するのですか。それは人選に問題があると思います。

○八田主査 どうも最初から結論が見えているような人選のような気がします。

○名和権利変換システム調整室長 最初から結論を決めているということは全くございませんで、私どもとしまして……

○八田主査 しかし、経済学者を入れていないというのは、この種の規制緩和に関する議論では、ちょっと不思議な感じがします。

○福井専門委員 何か特定の意図があるんですか。

○名和権利変換システム調整室長 いや、全くその特定の意図で外すとかそういうことではないです。

○福井専門委員 だったら、元々の議論が今言ったとおりだということは、これでご理解いただけたと思いますので、再検討されてはどうでしょうか。

○八田主査 あるいは追加されたらどうでしょうか、経済学者を。

○福井専門委員 幹部とご相談ください。

○名和権利変換システム調整室長 それは検討させていただきます。

○福井専門委員 まことにおかしい人選だというのが、今見た限りでの印象です。公正な審議をやる気があるのかどうか、極めて疑いの濃厚なメンバー構成に見えます。すなわち、特定の人が、というのではない。分野構成が、です。

○八田主査 法律の分野の方は、新しいことをやるための論理をつくるというよりは、やはり今の法律の根拠を守る方ですよね。やはり、新しいことをやろうというのだから、経済学の人が入った方がいいと思います。

○福井専門委員 経済学といっても、マルクス経済学とかいろいろいるわけで、ちゃんとした経済学の人を入れていただくというのが大事です。

○八田主査 規制緩和に詳しい人がいいと思いますけどね。
 あと時間がないですから、ほかの委員の方たちからどうぞ。

○福井専門委員 3ページの人数要件のところですけれども、この組合の各個人が共同して事業を営むから、人を構成要素としている。だから、人数要件が必要だというのは、非常に飛躍だと思うのですが、こういうことを述べた何らかの学説なり、あるいは公的見解なりはありますか。

○名和権利変換システム調整室長 これは、他の組合制度がそうであるということと……

○福井専門委員 それは前も言ったように、他の組合制度はいいです。学説を前にお聞きしていたはずです。

○名和権利変換システム調整室長 それにつきましては、組合に強制力を与えている前提としての人数要件ということで書いてございますが、この市街地再開発組合、土地区画整理組合もそうでございますけれども……

○福井専門委員 質問に答えてください。学説なり公的見解はありますかということです。

○名和権利変換システム調整室長 今、それをご説明しようとしているところでございまして、その公共組合と位置づけている、行政主体という位置づけが与えられるということでございますので、そういったものについては、民主的なコントロールというものが必要であるといったようなご指摘がございまして、そういったところから人数要件は必要である……

○福井専門委員 だから、どこのだれが、どの場面で言っているのですか、あるいはどの紙に書いてあるのですか。文献の名前とか、それの何ページかというのを特定して、コピーとともに後ほど示してください。前も同じことを申し上げたはずですが、きょうも出てきていないということは、これは要するに説明者ご自身の頭の中にだけある見解というふうに理解せざるを得ないのですが、そういうことですね。

○名和権利変換システム調整室長 いえ、後ほどまたそれは。

○福井専門委員 だったら、前回も学説や文献をお示しくださいと言ったのに、なぜきょうもわけのわからない答弁をされるだけで、具体的な文献をお示しになれないのですか。

○名和権利変換システム調整室長 例えば、塩野先生の行政法の教科書でございますとか、そういったことで公共組合の説明等がございますので、そういったものから……

○福井専門委員 だから、人数要件が必要だということが書いてある学説ですか。私自身、塩野先生の講義なり、あるいは学説なりも熟知しているつもりですが、聞いたことがないですよ。どこに書いてありますか。

○名和権利変換システム調整室長 人数要件そのものということではございませんけれども、そういう特別な行政主体として、民主的なコントロールですとか……

○福井専門委員 具体的なものを見せてください。それから、さらに民主的になされるということですけれども、例えばこういうことがあり得るわけですよ。1人の面積でいえば95%持っている一種の組合員なり構成員がいる。残りの5%は、人数でいうと2,000人いるというときに、こういうときに2,000対1で、いわば、95%の面積を持つただ1人の財産権を極めて侵害するような組合の行為を行う、もしくは構成員、組織体としての行為を行う、それは民主的なのですか。

○名和権利変換システム調整室長 ですから、そういう小規模地権者が多数で大規模地権者の権利を制限するといったようなことにつきましても、そういうことができないように面積要件が付加されているということでございまして、例えば、設立のときにそうですし、先ほども……

○福井専門委員 違います。問題をすりかえないでください。面積じゃなくて、人数が必要である、要するに、人数で決めることが民主的だという命題の当否の問題ですから、人数で決めるのが民主的なら、今の例も民主的じゃないとおかしいのではないですか。

○名和権利変換システム調整室長 ですから、両方の要素を考慮しているということでございまして、その民主的な要素ということと、他方で、土地の利用という側面がございますので、その……

○福井専門委員 人数がどういう場合なら民主的で、面積がどういう場合なら民主的なのですか。要するに、これは憲法の制約、憲法の財産権に関する制約ですから、これも繰り返し申し上げていますが、憲法論でも説明くださいということです。これは立法論を言っているのです。何度も申し上げますが。ほかにも組合があると、何度も何度も毎回連呼されますけれども、ほかの立法というのは、解釈の産物です。何度申し上げたら理解されるのでしょうか。現行制度に何かがあるということは、制度の説明にはなっても、これからあるべき立法について、こういう先例もありますというだけのことです。それと違うものをつくることができないというときには、憲法違反であるというか、実質的に何か政策で妥当性を欠く場合があるという証明が必要です。これももういいかげん何度も繰り返すのが嫌になるほどですが、前回、これも丁寧にご説明申し上げたはずです。そこに対応したお答えは一体どこにあるのですか。

○名和権利変換システム調整室長 そこの弊害という問題でございますけれども……

○福井専門委員 弊害の前に憲法論はどうなっているのですか。要するに、現行制度でもって立法論を正当化することはできないということを一体理解されておられるのでしょうか。

○名和権利変換システム調整室長 その立法政策の問題としましても、権利返還というような公権力の行使を認めるためには、主体としての公共性が必要であるということが一つございます。それから、その弊害の問題としましては、もし人数要件が……

○福井専門委員 本当にその中身として、それが憲法違反である、要するに、人数要件と面積要件で、人数要件がなければ憲法違反だというロジックを教えてください。憲法解釈論としてのロジックを教えてください。

○名和権利変換システム調整室長 何度も申し上げておりますけれども、やはり主体としての公共性が必要だということでございまして……

○福井専門委員 それはトートロジーでしょう。

○八田主査 憲法論的には、人数要件は必要ではないということとお認めになるわけですよね。そう了解してもよろしいわけですか。

○名和権利変換システム調整室長 そこはやや微妙な問題かと思います。確かに、明らかに人数要件が必須だと、それがなければ、憲法違反であるということを明確に言っているものはございませんけれども、他方で、そういう主体としての公共性、行政主体としての主体性を認めるためには、民主的なコントロールが必要である。

○福井専門委員 民主的に言えば人数なのか、人数は民主的の代表指標だというような、そういう学説なり公式見解があるなら教えてください。私は、寡聞にして、そんなとんちんかんな学説は聞いたことがないのです。

○八田主査 憲法論からは人数要件が必要であるということは出てこないということはお認めになるということですよね。しかも、そういう学説も特に引用できるわけではないと。だから、もし人数要件が必要であるということをご主張になるのなら、憲法論ではなくて、別なところに根拠を求めたいと、そうおっしゃりたいのではないですか。

○名和権利変換システム調整室長 憲法論につきましても、いろいろ私どもも勉強しているところでございますけれども……

○福井専門委員 勉強の成果を見せてください。どこにあるのですか、この紙の中の。成果として、どこに、憲法学者のだれが、どの文献で、何を言っているのですか。

○名和権利変換システム調整室長 明確にその人数要件がなければ、憲法違反であるというようなことを……

○福井専門委員 だから、捏造できなかったから、持ってこられなかったのでしょう。ごまかし続けるのはいいかげんにやめたらどうですか。

○森委員 たくさんの人がいらっしゃっても、どんどん転出が進むと、地権者としては1人になってしまうのですね。それで3分の2の同意が必要ということですから、反対だという人が10人のうち4人残っていると、もう再開発はできない。面積で96%買っても、人数からいって、もうできないということになってしまうのは、実態論としてもおかしくないですかと我々としては感じているのです。

○名和権利変換システム調整室長 私ども考えましたのは、確かに、当初からご指摘いただいておりますように、事業としての熟度が上がっていく中で、転出者の方がおられるために、同意率が下がるというようなこともございましたので、そういった意味では、事業の熟度が上がっている段階で、早期に組合が設立できるような方策と、そういったことも含めて考えていきたいというふうに思っているところでございます。

○森委員 街全体としては、やっぱりそういう再開発をした方がいいということになったとしても、たまたま違う生活様式の方がいいと思っている人がいた時に、我々で街の意向を受けてやっていくと、だんだん違う生活様式の方がいいと思っている方は転出されていきます。その時には、結局、売りましょうということになり、買っていくと、要件を満たせなくなって、もう民間の施行でできませんということになってしまうわけです。そうならないように、権利変換が済んでから買いますから残ってくださいということをやっていますけれども、本当はそんなことしなくてもいいのではないですか。

○福井専門委員 6ページにお答えがあります、先方の。要するに、これはそれで構わない、何が悪いかという意味でしょう。6ページは。これもちょっと信じがたい文章ですが、どういう意味ですか。それで構わないということでしょう、ここに書いてあることは。任意に土地を買い進めることは、一般の土地売買と区別できるものではなくて、法的に評価できない。こういうことを一体どういうつもりでおっしゃるのですか。実害がないということですか。

○名和権利変換システム調整室長 組合の設立のときの人数要件をカウントする上で出ていった方を賛成とみなすというのは、やはり問題があるのではないかということでございまして、今、森委員がおっしゃいましたような問題意識については、私どもも認識しているところでございますし、そのための方策として、例えば、組合の早期設立とか、そういったことについても考えていきたいということを申し上げておるわけです。

○福井専門委員 問題意識がわかっているのだったら、こういうまるで関係のないことで、しかも、憲法的にも立法政策的にも根拠のないことを連呼するのではなくて、もっと前向きの議論の材料を持って来られないのですか。何のためにこんな木で鼻をくくったような、全く問題意識自体も認識されておられないかのような愚劣なものを平気で持ってこられるのか、そこがまず理解に苦しむ。

○八田主査 少なくとも検討委員会には、憲法上の問題はありませんよということは、まず明確に言われて、そこから議論をスタートしていただくべきじゃないですかね。それで、今、森委員がおっしゃったような現実的な問題があるため、最終的には多くの人が望んでいたことが実現できなくなる。そういうことを何とか防ぐ必要があるのではないか、そういうことを説明された後で議論をスタートすべきなのではないですか。

○名和権利変換システム調整室長 もちろん私どもも議論するに当たりましては、ここでございました議論についても、十分ご紹介してあるつもりでございます。ただ、憲法上の問題について、若干つけ足しさせていただきますと、先ほど、公共組合という性格を持つものだということで申し上げましたけれども、これも、例えば塩野先生の教科書にも書いてあったかと思いますけれども、やはり強制加入ということは、結社の自由に対する重大な侵害でもあるので、主体としての公共性といったものが十分名認められなきゃいけないというようなこともご指摘されているところでございますが、そういったこともご紹介しながら議論を進めていきたい。

○福井専門委員 だから、人数要件に関して、具体的に塩野さんの学説で何を書いてあって、一体何を根拠にされているのかということを、今みたいにごまかす形で伝えられても意味がないのです。まず、こちらにちゃんと教えてください。

○森委員 再開発の場合、公共性がなければ、そもそも認められないのです。本来、人数要件だけあれば認められるというものでもないのです。

○名和権利変換システム調整室長 もちろん、都市計画決定ということが前提でございますが。

○福井専門委員 それは公共性を満たさないから人数要件が足りないということにはならないと思いますよ。

○森委員 公共組合だからというのは、そういう何か単なる底辺みたいなもので全部正当化できるほど生易しい制度ではないですよ。

○八田主査 それでは時間も押しておりますので、今ご指摘申し上げたようなことについて、ご回答もいただきたいし、それから今後の委員会の構成についてもご考慮いただきたいと思います。

○福井専門委員 とにかくこれでは、何もやってきていないのと同じですから、もう一回ちゃんと前回と今回のご依頼事項について文書でまともな形で回答いただきたいと思います。

○八田主査 どうもお忙しいところありがとうございました。

【日影規制の見直しについて:国土交通省ヒアリング】

○国土交通省住宅局井上市街地建築課高度利用調整官 1点目は、都市再生緊急整備地域の中で、日影規制が高度利用の制約になっているということでございますが、ご指摘のような点もあろうかとは思いますが、基本的に、緊急整備地域といいますのは、ここでございますとおり、都市機能の高度化、それから都市の居住環境の向上というようなことを目的にしておりまして、一律に土地の高度利用をするということまでは要求していないということで、一律に例えば日影規制は適用すべきでないということにはならないのではないかと思っております。やはり基本的には、日影というのは、条例で公共団体が適用するかどうかということを判断することになっておりまして、地域の実情に応じて公共団体の方で判断していただくべきものではないだろうかというふうに考えております。
 2番目の、先般ご提案申し上げました現行制度を活用した日影の適用除外等を行うということにつきまして、これ自体が総合的な計画の立案に支障が生じるのではないかということでございますが、これらの制度自体は、その地区全体を一律に高度利用するということまでは求めておりませんで、一部高度利用して、一部は残していくというようなことも想定をしております関係からしましても、現行制度を活用することによっても、総合的に計画をつくるということについては、ともに支障がないのではないかというふうに考えております。
 3点目に、特定街区と同じような形に、都市再生特別地区はならないのかということでございますが、特定街区自体は、これまで大体全国で100地区ぐらい指定されておりますが、日影規制ができてから、日影規制の対象区域に当たるところはほとんどございません。4つとか5つとか、それぐらいでございますが、この場合も、ここに書いてございますとおり、日影時間のチェックをして、周辺に日影が落ちないと、日影の問題が生じないということを判断して、周辺住民のコンセンサスをもらっているということでございまして、都市再生特別地区と基本的に同じになっているのではないかというふうに考えております。
 4番目は、これはご質問の趣旨がよくわからなかったのですが、恐らく規制時間を超える日影を受けている方の同意があれば、適用除外にしていいのではないかということでございますが、基本的な同意等が非常に大事なことだとは思っておりますけれども、単に同意だけだということになりますと、やはり同意後に長期間にわたりそこに日影を落としていいかということについてはクリアできませんので、全員にいただくわけではありませんけれども、同意を得た上で、都市計画の手続を踏むとか、あるいは条例改正の手続を踏んでいただいて、その地域を日影規制から適用除外するというようなことをやっていただく必要があるのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。

○八田主査 4番については、同意がある場合には、それをどうやって同意があったということで担保するかということだと思うのですが、これについては、通常の条例だとか都市計画的な手続を通じてやればいいではないかということですね。私、実例を知らないのですが、条例を作ってもらうのはそんなに簡単なのですか。お互いに同意したと、そのために金銭取引もあったかもしれない。それでやりましょうということになったときに、そこは……

○井上高度利用調整官 例えば条例とか都市計画であれば、当然、その住民、その地域で例えばこういう開発をするという前提があって、周りも含めて、もう日影は要らないということであれば、そういう要請を公共団体にしていただきまして、条例であれば議会の手続を踏む。例えば都市計画であれば、3分の2の地権者が合意すれば、都市計画の案を提案することができるようになっております。それから、都市再生特別地区の場合には、事業者が提案するということもできますので、そういう提案制度を活用していただくことによりまして、この地区は、この部分を含んで日影適用除外にするような、例えば都市再生特別地区とか、あるいは地区計画とか、そういうエリアにするという提案をしていただいて、その上で、都市計画審議会等で議論をするということになるのではないかと思います。

○八田主査 わかりました。

○森委員 通常のマンションとか大規模建築を建てるとき、近隣の反対とか補償要求というのはありまして、それを満たして話し合いがつくまでは、実際問題としては、建築許可をもらえないというのが実態です。日影規制に関しては、それをあえて規制したところで、やっぱり許可できないということになるので、そこまで頑張る必要はないのではないかと。日影というのは、近隣に対する受忍範囲を超えているかどうかとか、その他認めない、紛争の種になるから、レベルを決めておくとかというような問題であって、絶対的に必要なものではないのではないか、世界的にはそんな例はないのだから。だから、せめてこういう特定の地域にかかわる場合は外してもいいのではないか。一般的に、同意さえあれば外してもいい種類のものではないのかということを本当は言いたいのです。

○八田主査 今考えているのは、全員合意の場合ですか。それとも、3分の2合意。

○森委員 全員合意の場合です。

○八田主査 文句はないと言ったのですね。

○森委員 文句はないということは、そういう人はいないということなのです。

○八田主査 そういう場合については、手続を簡単にしてもいいのではないでしょうか。

○井上高度利用調整官 それで、全員同意が仮にある場合は、先般も連担みたいなものを使っていただけるのではないかと。都市計画というのは、逆に言うと、全員同意でなくてもできる可能性はあるわけで、むしろ、なかなか地域的に全員同意が難しい場合には、やはり都市計画の提案などを通じて、むしろ積極的にその地域をどう変えていくかということのご提案をいただくことによって、公共団体もそれであれば大丈夫じゃないかということを判断できるのではないかと思うのですけれども。

○八田主査 連担を使うといいじゃないかというご提案ついては、森委員は。

○森委員 連担を使うということの合意を得る方が、建ててもいいのではないかという合意よりはるかに難しい合意です。それは、言うべくしてできない。

○八田主査 ということは、連担をやるとなると、いろいろなことについて一つの敷地としてみなすことになりますから、難しいということですね。それならば、日影に関してだけ限った連担というようなものができれば、今のような答えも可能なのですね。

○井上高度利用調整官 制度上は、既存の地域については、今のままで、あるいは同じぐらいのレベルのものが建てられるようにしておいて、こちらを大きなものを建てると。全体として容積はどうやりとりするかという問題はあるにしても。それから、そこに日影を落とすことについても納得いただければ、特段こちら側が、今でも例えば将来ものすごく大きなものを建てたいという場合には、確かにそういう問題が起こるのかもしれませんけれども、制度上それが使いにくいようになっているとは、私どもは思っていないのですけれども。

○森委員 日影も、ご承知のとおり、一定の距離はなれれば、さして障害もないし、一定の距離が離れているということは、実はほかの日影もたくさん入っていて、そのものずばりが影響することもほとんどないというケースが多くなっているのです。にもかかわらず、日影規制の場合に限って同意だけでは適用除外できないという、それほど大事なのかと、その辺は、要するに一般扱いでいいではないかということですよね。ただ、それで何が起こるかがご心配ならば、この特別地区だけでも対象に、特区みたいにやってみたらどうですかと、そういうことをぜひお伺いしたいなと思ったのですけど。

○井上高度利用調整官 特区の場合は、エリアの中は日影が適用除外になっているものですから、できれば、エリアを少し広げていただいてやっていただくことが一番できますし、仮に、森委員は、なかなか日影というのは日本独特ではないかということですけれども、住民側からすると、その部分は非常に我々に対しては非常にシビアに要求が来るものですから、なかなかこれを一律に緊急整備地域であれば、適用除外というのは相当難しいと思っています。

○八田主査 お話を伺っていますと、全員合意ならば、連担でやればいいじゃないかとおっしゃったのに対して、森委員が、実は連担というのは非常に難しいとおっしゃった。ところが、例えば、アメリカで容積率の取引をするときというのは、容積率だけ連担されるわけですよね。そして、日本の連担というのは、非常にうまくできた制度だけれども、これは何から何まで一度にやらなくてはならない。容積率も日影も、それから建ぺい率も。それほど全部ができなくてもいい、日影だけに限った連担のようなものができないだろうかと。具体的な提案としては、そういうことだと思うのです。それはできないことはないのではないですか。確かに法律をつくるのは大変だけれども、それをやることによって、都市の再開発は随分うまくいくのではないかと思う。いろいろ少なくとも話を面倒くさくするとあれだから、少なくとも日影に限って連担というのはあり得ると思うのですけれども。

○井上高度利用調整官 その辺も法律上は利用できますけれども、運用の世界として、例えばそういう特別に容積だけの場合ということもあるのかもしれませんけれども、必ずしも法律でこれをそれぞれ分ける必要はないのではないかと。むしろ今みたいに、パッケージでできるようにしておいて、あとは実際にエリアごとに公共団体の方で判断をしていただければいいのではないかと思っているのですけれども、かえってそういうふうにすると、非常に使いにくいことになるのではないかと思うのですが。

○八田主査 今の連担も用意しておいて、それとは別に日影に限ったサブ連担というのもあってもいいのではじゃないかと。

○森委員 まじめな話、ニューヨークなどでも、隣棟間隔は8メートルとか10何メートルとか地域によって離さなくてはならないというルールがありますけれども、こういう再生地区の場合、かなり大きな街路をはさんだ向こう側の問題であって、それこそ8メートルとか10何メートルとか18メートルとかというような距離は当然離れている。それから先の方は、影というのは無限に行きますから、もう同意でいいというぐらいのルールにして頂きたいと思います。それこそ、高い物を建てるのだって同じことなのです。それをやめてほしいということを言っているのです。

○井上高度利用調整官 こればかりは、本当にどのぐらいの日影が落ちるかということを実際に絵をかいて測っていきますから、高いものが建てば、当然長い距離に数時間日影を落とすことになりますから、やはりなかなか距離が離れていても、実際に日影が相当時間かかるところに対しては、おっしゃるようなことはなかなか難しいと思います。

○森委員 日影がかかっても、もう薄い日影になって、雲がかかっているのと変わらないので、雲は通っちゃいかんと言っているようなものですよ。いろいろな建物や、高速道路等で日影が実際に出ていても、そこには新たな日影を出してはいかんという、そういうことを言っているのと同じです。

○井上高度利用調整官 そんなに薄いところの日影の部分のことが問題になっているのではなくて、本当に相当深い影が当たるところが規制対象になっていると思うのです。

○森委員 もう1点、具体的なことで、そんなに大事かということを議論したい。

○八田主査 今の森委員の問題意識というのは、結局、本当に連担をいざやるとなると結構大変だと、だから、日影に関して、もうちょっと簡単な方法が全員合意の場合はできないだろうかということです。これは何とかご検討いただけないかと思います。

○井上高度利用調整官 もしそうなると、個別にそういうのをつくるという議論になってしまって、かえって今よりも使いにくくなると思うので、今でもできるわけですから、あとは運用の世界ではないかなと私は思います。

○八田主査 その連担でできると。

○井上高度利用調整官 はい。

○八田主査 だけど、連担だと全部について入るから、大変じゃないかと。

○井上高度利用調整官 全部やるかどうかもむしろこちら側の提案の中身によりますので、全部やらなくてもいいわけです。

○八田主査 限ることもできるわけですか。

○井上高度利用調整官 はい、それは構わないと思います。

○森委員 今おっしゃっているのは、連担というよりも、地域地区を塗りかえるというような形にした方が早いということになりますよね。つまり、日影規制がかかってもいいという地区にしてしまえということで、それが一番早いのですが、それをするぐらいならば、クレームがない限りは、このケースはいいというような、特定街区の場合に準ずるということにしてもらった方が現実的だと思っているのです。

○井上高度利用調整官 先ほど申し上げましたが、大体特定街区は同じように日影のチェックをしていますので、そこは同じではないかと思います。

○八田主査 これについては、今日いただいたご意見をもとに検討させていただきたいと思います。どうもお忙しいところありがとうございました。

【不動産取引価額情報の開示について:国土交通省ヒアリング】

○八田主査 お待たせいたしました。お忙しいところお越しくださいましてありがとうございました。
 それでは、かなり時間が押しておりますので、二、三分程度ご説明いただきたいと思います。

○国土交通省土地・水資源局高岡土地情報課長 国土交通省の土地情報課長の高岡でございます。よろしくお願いいたします。
 きょうは、最近の状況を説明したいと思いますが、この11月14日に土地情報ワーキンググループを開催することを予定しておりまして、そこで最終的な取りまとめ案についてご審議をいただく予定としております。
 それから、月末に土地情報ワーキンググループの上の機関であります国土審議会土地政策分科会の企画部会にご報告というようなことを考えておるところでございます。
 以上でございます。

○八田主査 この間の私どもは、A案で基本的にやっていただきたいと主張いたしました。それで最後の方に、実は、B案にも結構いいところがあるというご発言があったところで終わったと思います。私はあくまでA案でと思うのですが、仮にB案でいくとしたら、そこには築年も入っていない、それからコンクリートか木造かも入っていない。それから、マンションであるか、普通の戸建てであるかということも入っていないと思うのです。これで、例えば証券化のために十分な情報であるというふうなことは言えんと思うのです。だから、仮に地番を特定しないとしても、やはりそういう非常に基本的な情報というのはどうしても要るのではないか。それから、少なくとも最寄り駅までの直線距離というようなものならば、それは登記書類から出せるのではないかと思うのです。そういった種類の、後で統計的処理をするためにどうしても必要な情報をB案に加えてお出しになるというようなことがあれば、まだそういうことを検討する可能性はあるかなとは思います。しかし今のままのB案だと、これはあくまで反対せざるを得ない、やっぱりA案でいくべきだというふうに主張せざるを得ないというふうに思うのですが、その点についてどうでしょうか。

○高岡土地情報課長 いずれにいたしましても、土地情報ワーキンググループのお考えを受けてということになろうかと思いますので、今おっしゃられたようなことについて土地情報ワーキンググループにてご説明したいと思っております。
 国土交通省はどういう案でと決めたわけではないのですけれども、おっしゃっていることを考えますと、階高というのは、やっぱり特定との関係で若干どうかと、あるいは構造の話については……

○八田主査 階高も、例えば3階よりも高いとか、そういうようなのはかなり必要なのではないでしょうか。7階、8階というようなところだと、仮に特定されても、中にたくさんありますから。だから、そういうものは、あのマンション、ビルだなというのがわかっても、どっちの方向かわからないとか、そういうことならば可能なのではないでしょうか。

○高岡土地情報課長 登記上も、何階建てとか、書き方にいろいろあるものですから、それをどういうふうに整理するか、あるいは構造についても、鉄筋コンクリート造というのをRCにするのかとか、どういうものはどういう整理で載せる実務的なことをよく詰めてみないと、できるのか、できないのか……

○八田主査 それは、もともとA案ではそういうコンクリートか木造かというのは入れようということでしたから、そこのレベルで結構だと思うのです。

○高岡土地情報課長 まだ詰めた議論をしていませんけれども、特定性の問題もあるし、そういう実務面でどこまで追いつくのか。A案だったら、そのままになると思うのですけれども。

○八田主査 ご主張としては、プライバシーのために、特定化できないということが必要だとおっしゃるわけですけれども、これは程度問題でして、B案そのものでも、金をかけてやれば、何平米というのがわかるわけですから、それは探せるわけです。特定化するのにある種の難しささえあれば、できるだけそこの不動産の性質というのはわかるようになっていないと、情報が有効に活用できないのではないかと思うのです。だから、それは手間でしょうけれども、できるだけの努力をそこでしていただきたいと思うのです。

○高岡土地情報課長 ご希望は十分承ります。よく詰めてみたいと思いますけれども、なかなか難しいものがあるという感じを受けています。

○森委員 新聞情報しか見ていないのですが、土地と建物は別々に価格を表示すると書いてありましたけれども、それは本当ですか。

○高岡土地情報課長 分けられるのであれば、分けて書いていただくということで、例えばマンションですと、難しいかもしれません。

○森委員 マンションではなくても、何でも難しいのではないですか。つまり、どういう基準で評価をするのですか。

○高岡土地情報課長 ですから、一応書けるものは書いていただくという感じで、基本的には総額幾らと。

○森委員 それは、買い主側の評価ですか、売り主側の評価ですか。

○高岡土地情報課長 一応買い主に書いてもらおうということを今考えておりますので、その方が書ける範囲で書いていただければと。

○森委員 今までは税務署や何かの基準ですと、再建築価格とか何かで評価して云々と、それを取引総額から差し引いて、残りが地価だと、こういうふうに出すことになっていますよね。そういうことにはならないのですか。

○高岡土地情報課長 余り厳密にやりますと、なかなか書きづらいかなと思っておりますので、可能な範囲で分けられる場合は分けて書くということです。

○森委員 何のために分けるのですか。

○高岡土地情報課長 分けて、正確な情報がわかれば、それだけ土地がどうとか、一つの判断要素になろうかと。

○八田主査 基本的には、総額でもよいということですね。

○高岡土地情報課長 はい。

○村山委員 総額が出ていれば、別に分けて混乱を生じる可能性も逆に出てくるので、総額が出ていればいいと思うのです。

○八田主査 総額があれば、もうそれで十分だと。しかし、分けてあえて書く場合には、分けて書いてもよいと、そういうことだと思いますね。

○森委員 建物に注力して買う人もいれば、土地に注目して買う人もありますよね。だから、全然違いますけれども、無理やりに分けて評価するというのは、むしろ例外的な日本的な習慣なのではないですか。

○高岡土地情報課長 そういうつもりではございません。

○森委員 要するに、一体でいいということですね。

○高岡土地情報課長 そうです。

○村山委員 A案にしてしまうと、やはりプライバシーの問題という、土地価格情報の公開がもたらす効用の裏側にあるものが難しくなるという議論は非常にわかるのですけれども、すみません、前回お休みしてしまったんですけれども、ただ、確かに、B案のままですと、若干我々というか世間が求めているニーズというものに欠ける部分がございますので、そのA案の中にもともと入っていた中の一部でも、その築年数は、今おっしゃられたような形態とか、マンション、戸建てということをある程度の範囲内で開示していただかないと、せっかくここまで努力してやっていただいたものが、有効性が希薄化するのではないかというふうに考えておりまして、そのB案にプラスアルファ、もう一歩入れていただくということを希望したいと思います。

○八田主査 今の村山委員のご発言につけ加えれば、A案の場合には特定できるから、ちゃんと調べれば、これが南向きであるとか、角地であるとか、全部調べることできたのです。ところが、今度はそういう特定ができませんから、それだけにかえってA案に附属的にあった情報よりも、もっと余計に、例えば最寄駅までの距離みたいなことが出ると非常に具合がいいし、マンションであるかどうかというようなことも出るといいと。だから、そこの付加的な情報というのは、A案よりも必要性がもっと高いのではないかと思います。

○村山委員 せっかくここまでやっていただくのですから、結局出てきた情報の内容が余りにもわからないということになると、逆にものすごく無駄になってしまうので、もちろんA案でやっていただければ一番いいのですけれども、多分A案だといろいろすごく反対意見が多いというのはわかるので、逆に立法ができ、こういったものがやっと8合目までいっているのでできないというのはわかるのですが、逆に、今のB案のままだと、せっかくやっていただいても公平性が希薄化されるというのは非常に懸念しております。

○高岡土地情報課長 ご意見はよく承りました。前回も言いましたけれども、C案でも町名ごとにどういう取引がやられていると、この町名とこの町名は全然違うなという統計だけでも非常に役立つというふうに言う方もいらっしゃいますし、あるいはB案ぐらいになりますと、さまざまな面積の土地の価格、生の価格が出るというのは非常に大きなことだと思っております。今、地下公示でやっている標準的なものだけでなくて、上物つきの、まさに取引されているものが出るとか、あるいは160万件もの実際の生の価格が出るというのは非常に大きいことだと思います。今、地価公示の地点は3万件しかございません。やはり新しい情報が求められているということです。
 例えば、住宅地で、100坪ぐらいの住宅地を標準的なものとして、坪100万円ということで地下公示をやるのですけれども、値づけを見てみますと、150万円ぐらいになっているのがほとんどの取引実態。何故かと一般の消費者が考えたときに、細分化されているんだなと、今取引されているのは。そういうものばかりだなとか、いろいろな情報がわかるという意味で、いろいろな各層にいろいろな情報が与えられて、今以上に役に立つことは間違いないと思います。今の状況に比べると本当に助かると言ってくださる方も多い。そういう面もご理解いただきいと思います。

○八田主査 しかし、この間の調査では、自分たちの家の個別のところが知られることと、それからほかの取引情報を知ることができることを勘案して、プライバシーによって反対するという人は、取引をしたことのない人たちに聞いても、半分以下なのです。これをもし取引した経験のある人に限って聞いたら、恐らく非常に少ない割合になるだろう。だから、プライバシーにかかわらず情報を公開しろという意見というのは非常に強い。それから、立法政策の観点から見たら、まず先ほど申し上げたような、証券化のために必要だということがあります。それから、公開されていない不動産売買情報を持っていることによって、情報がない人に、情報を売って利益を得ている人たちがいるわけですから、そういう無駄な価格を消費者が払わなきゃいけないという状況は大変望ましくないと思います。したがって立法政策上の観点からは、将来的には、やっぱりA案でいくべきだと思います。だけども、あえてここで導入を容易にしようというのなら、B案に少なくとも先ほどから議論になっているような程度のことはやっていただかないとまずいのではないか。そうじゃなかったら、やっぱりこれはA案でいくべきだという主張に我々はならざるを得ないと思います。

○高岡土地情報課長 やはりエンドユーザーが国民でございますので、どういうものを選ぶかというのは非常に大きな選択だろうと思います。また、選択された案をどう実現するかということも、本当に重要なことで、その両方について、あらゆる観点から、いろいろな方のご意見を聞いて熟慮して、本当に国民のためになることをやりたいと思っております。

○八田主査 まず、政策目的は何であるかというところにいつも立ち返ってご検討をお願いしたいと思います。
 どうもお忙しいところありがとうございました。

以上


内閣府 総合規制改革会議