第12回住宅・土地・公共工事・環境WG 議事概要

1. 日時

平成16年2月24日(火) 12:30〜13:15

2. 場所

永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室

3. テーマ
国土交通省ヒアリング

不動産取引価額情報の開示について

4. 出席者
(国土交通省)
土地・水資源局

伊藤鎮樹 土地・水資源局長

藤田博 総務課長

松葉佳文 土地政策課長

高岡良一 土地情報課長

(委員、専門委員)

八田達夫主査、森稔委員、福井秀夫専門委員、安念潤司専門委員

(事務局)

内閣府 福井和夫審議官、山根隆行参事官、下山洋文企画官、中山泰事務室次長 他


議事概要

○八田主査 ただいまから第12回住宅・土地・公共工事・環境WGを開催いたします。
 本日の議題は、国土交通省からのヒアリングで、不動産取引価額情報の開示についてでございます。これは、前回のワーキングの要請を受けて、国土交通省からこれに関しての案を提示してくださるということでしたので、それをお願いいたします。

○国土交通省土地・水資源局 伊藤局長 土地・水資源局長の伊藤でございます。
 前回の会議のご審議を踏まえまして、私どもとして不動産取引価格情報の開示についての今後の取り組みの考え方をご説明させていただきたいと思います。
 私ども、従来から土地取引価格情報の提供は、市場の透明化、取引の円滑化等という観点から早急に実現しなければならない重要な政策課題という認識で、これに取り組んでおるところでございます。このような制度を個人情報等の保護に対する国民の意識にも配慮しながら充実していくために、ひとつ越えていかなければならない問題として、やはり実施上の課題も含めて実績を通じて検証していくことが必要だと考えております。そして、それが幅広い国民の理解を得られることのベースになるものと考えております。
 そういうことを踏まえまして、以下の施策を講じるという考え方でご説明申し上げたいと思います。
 まず、aでございますが、法務省と連携しながら現行制度の枠組みを活用いたしまして、まず取引当事者の協力により取引価格等の調査を行い、国民に提供するための仕組みを早急に構築したいと考えております。そして、その仕組みに基づきまして、取引当事者の協力をいただいて取引価格情報の調査・提供を行う、こういうことを実際に始めたいと思っております。さらに、こういう制度について幅広い国民の理解を得ながら、一方で価格情報の正確さがどうなるか、あるいは個人情報保護の観点から、情報提供方法に関する技術的側面がどういう形で調整あるいは解決できていくか、ということを実績を通じて検証したいと考えております。
 そして、その結果を踏まえまして、取引価格情報提供制度の法制化を目標に、安定的な制度のあり方について引き続き検討して結論を得たいと考えているところでございます。
 スケジュールでございますが、16年度は調査・提供システムの構築、17年度はそのシステムに基づいて協力調査あるいは提供ということについて、一種の社会実験という側面もございますが、実際にそれを始めたいと思っております。そして、その結果等を踏まえ、その中で実務上の課題も含めて問題の検証を行い18年度には法制化を目標に安定的な制度というもののあり方について結論を得るという考え方で今後引き続きこの問題に取り組んでいきたいと考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

○八田主査 どうもありがとうございました。
 前回の私どものワーキングでお願いしていることは2つございます。第1は、法制化が必要であるから、直ちにできないならば、少なくとも法制化の目途をお示しいただきたいということです。
 第2は、もしそういう法制化の目途が立たないならば、むしろ義務づけしない制度を始めること自体をご再考願いたいということでした。任意の価格情報を出していただくというのをずっとそのまま続けるということは、かえって市場操作が行われる可能性があって危険であると思うからです。今回のご説明では、法制化の目途が18年ということが明確にされています。さらに、義務づけしない制度が、法制化を目標とした試運転として必要であるとも理解できる文面になっています。特に「価格情報の正確さが確保される」ということは、恐らく「市場操作をされることを防ぐ」という意味だと思います。それから、個人情報の保護する仕組に関しても、技術的な面で問題がないということを実績を通じてその仕組みを実施して検証していきたいと、そういうお話だと思います。
 とはいえ、いろいろ残る問題があると思いますので、委員の方、ご意見がありましたらご指摘ください。

○森委員 まず、質問の方からですが、aに「法務省と連携し、現行制度の枠組みを活用して」と書いてありますが、この「現行制度の枠組みを活用して」というのは、具体的にはどういうことですか。

○伊藤局長 基本的な考え方といたしましては、取引当事者の協力によって調査を行う場合には、不動産の取引、土地の取引があったということをできるだけ早く、またきちんとした形で把握するため、法務省の所管でございます登記の異動情報を法務省と連携して把握することが必要になります。そのためには、現行制度の枠組みとして地価公示法の枠組みがございますので、その枠組みの中で法務省のご協力をいただき、具体的な取引事例の調査という形で、調査をしていきたいと思っております。

○森委員 地価公示法の枠組みを使うという意味ですか。

○伊藤局長 はい。現在の枠組みの中で事例調査が可能でございますので、その枠組みの中で事例調査を行っていき、それを地価公示に活用すると同時に、こういう情報提供の仕組みにも活用していきたいと考えているところでございます。

○森委員 もう一つは、「取引当事者の協力により取引価格等の調査を行い」とありますが、当事者というのは、売り手、買い手あるいは仲介者、いろいろいる中で、具体的にはどちらのサイドを指しているのかということもありますし、その前の「現行制度の枠組みを活用して」というのは、何か今までと変わったことをするという意味ではなくて、今までどおりという意味なのですか。

○伊藤局長 まず第1の点でございますが、今までと変わったことをという意味につきましては、私どもとしては、現在の地価公示も一種の取引情報を提供していくシステムだと思っておりますが、こういう個別の価格情報を国民の個人情報の保護に配慮しながら提供していくということも、現行制度の枠組みを活用して可能だと判断しているところでございます。

○森委員 今の制度とどこが変わるのですか、変わらないのですか。

○藤田総務課長 大きくは、1つは、法務省から情報をいただくという部分、それから2点目は、今までは生の情報というのが出ておりませんでしたが、具体的な取引価格の情報を提供するという部分、さらに、これの活用ということで、法務省との連携によりまして従来以上の取引の情報を収集すると。この部分が今回新しく取り組む部分かと思っております。

○森委員 今、価格の情報も提供してもらうのだとおっしゃいましたが、そのとおりですか。

○伊藤局長 価格ではなくて、法務省の方は登記でございますので、異動情報といって取引があったという事実もしくはそこで取引の登記がなされたという情報でございまして、価格の情報は、基本的には異動情報をもとにして私どもが調査を行って提供していくということでございます。
 それから、先ほどの森委員のもう一つのお話でございますが、それにつきましては、あわせて課長の方からお答えいたします。

○藤田課長 取引当事者とおっしゃいましたが、基本的には、売り手、買い手であり、仲介の方は第一義的には考えておりません。

○森委員 「現行制度の枠組みを活用して、取引当事者の協力」によって価格の調査を行うということは、価格情報も含めて全部教えてもらうということではないのですか。

○伊藤局長 調査を行う主体は私どもでございますが、法務省からいただくものは実際の取引の登記の変更の情報だけでございまして、それに基づいて私どもが個別の取引者に対して価格も含めた調査を行いたいということでございます。

○森委員 それだけだとすれば一歩も進んでいないと思います。実際、法務省との連携が何も進んでいないように思います。

○伊藤局長 法務省との連携で従来より相当進むことは、法務省から私どもがその都度登記所へ行って閲覧してデータを把握しなくても異動情報を提供していただけると。登記の変更の事実を教えていただけるという点については、この調査を円滑に行う上で非常に意義があることだと思っております。
 それから法務省とも詰めていきたいと思っておりますが、実際にこういう調査を行うに当たっては、調査の協力のお願いなどについても法務省にもご協力を是非お願いしたいと思っているところでございます。

○八田主査 まず1つは、森委員がおっしゃるように、aのままでは、まずいのではないでしょうか。aは、後で法制化する制度のためにいろいろ検証するためのシステムをつくるといっています。一方、cのところでは、技術側面が解決されること等を実績を通じて検証するためのシステムをつくる、そのために、当面、現行制度の枠組みを利用するということだと思います。そういうことだから、後で法制度ができたときには、もう現行制度の枠組みとは違ったものになるということです。この点がどうもはっきりしていないのではないかというのが森委員の指摘ではないでしょうか。

○森委員 以前、国土法に基づき上限価格を抑えるために取引の届け出制度がありましたが、あの制度はまだそのままあるのですか、なくなったのですか。

○藤田課長 5,000平米とか 2,000平米とか大規模な面積に限りまして、事後に届け出いただくという事後届出制というのはございます。ごく例外的な首都機能移転の候補地など以外では、価格の審査はやっておりません。

○森委員 協力を得て連携し云々ということであれば、なるべくそういう情報はすべてこの関係当局で掌握しておいて、公表を拒む人の部分は除いて公表するということだと機能するのですが、取引事例があったかどうかを報告してもらって、それからアンケートを出してというのでは、協力しようという人もしないのではないかと思います。だから、取引の時点で情報は全部収集しておいて、公表していいかどうかだけを確認するというような方法が一番費用もかからないし、先程の枠組みを活用することにもなって正確な情報を得やすいのではないですか。つまり、うそというよりも間違いもありますから、間違えも入る余地がないという意味で、そういうようなことをなさってはどうですかということをお勧めしたいのです。

○伊藤局長 その点につきましては、今の森委員のご指摘の方向というのがcで書いてございます安定的な制度のあり方というところで、そういうものに向かって我々としても第1ステップとしてまずabのことをやりたいと。これによって、安定的な制度化に当たってのいろいろな問題、そしてまた、そのものがクリアできるかということを実務上の課題も含めまして検証して、最終的にcのような考え方に持っていきたいという考え方のもとに、まず第1ステップとしてabのことをやりたいというのが私どもの今日ご説明する趣旨の本意でございます。

○森委員 少し観点が違うのですが、最初の「取引価格情報の提供は、市場の透明化、取引の円滑化等を図るため」というように書いてございますが、実は、日本の不動産市場は非常に不活発なのです。中古住宅マーケットはほとんどないのですが、その遠因になっているのは価格情報が正確に提供されていないということもあるのです。ですから、取引の円滑化を図るというのはいいのですが、活性化とか拡大とか、本来の市場経済化を進めるためという目的のところをはっきり書いておいてほしいと思います。そのために何が必要かということで透明化だけではしようがないと思うのですが、その辺はいかがですか。

○伊藤局長 その点につきまして、実は、諸外国、特にイギリスの例を見ますと、確かに開示をした時期に取引が増えているという数字は私どもも把握しております。私どもも、基本的に、この情報開示制度だけではなくて、税制などいろいろなものを組み合わせて活発化していきたいという考え方を持っております。
 そして、同時に、この提供制度が活発化につながるのではないかと我々は諸外国の例から思っておりますが、こういうことの実証ということを通じて、やはりそこも見ていきたいと思っているところでございます。
 実は昨年夏以降、いろいろな方と議論している中でも、活発化という議論についてはたまたまアメリカやイギリスは不動産の上昇期と開示が重なったがゆえにそうなったのだというご意見の方もおられまして、そこは人それぞれに若干見方が違うところもあるものですから、私どもは、万人共通に理解していただける透明化あるいは円滑化というところを例示として出させていただいておりますが、気持ちとしては、この「等」の中には、私どもは活発化のことも実際にabのような取り組みを通じて検証していきたい項目の一つでございます。

○八田主査 今の局長のおっしゃったようなことでしたら、「取引の円滑化・活性化」というように「活性化」という言葉を入れてもよろしいのではないでしょうか。

○伊藤局長 これは、私どもの認識としてもそうでございます。

○安念専門委員 このcは、ついに法制化を目標になさるということで、ここまで進んだかと思いまして、大変敬意を表するところでございます。
 考えてみますと、確かに取引価格の生の情報に直接アプローチするというのは意外と難しいことで、 100%正確に、あるいは 100%の取引事例について全部情報を悉皆収集するということを考えても、これはどの道できることではないわけですから、ある程度のコストで相当程度に信頼できる、しかも、相当程度の範囲の情報を収集すると。そういうある程度緩い枠組みでいかなければいけないと思うのですが、そうだとすると、売買契約書を直に見せていただくのが一番と、こういうことになるだろうと思います。もちろん売買契約書を直に見せていただくのが難しいからいろいろ議論があるのだろうと思うのですが、しかし、これは既に局長もご指摘のとおり、法務省の所轄であるところの登記制度と密に連携しなければとてもではないが別途やるといってもコストばかりかかってろくな情報は収集できないということになると思うのです。
 もともとを考えてみますと、所有権の移転登記だけではありませんが、およそ不動産の登記をするときには、登記原因証書というものを申請のときに添付しなければいけないわけで、登記原因証書は、売買契約について言えば、本来は売買契約書だったはずなのですけれども、あれはどういうわけだか、これは皆さんに申し上げるのは釈迦に説法でしょうけれども、売買契約書は司法書士さんは持っていかないです。司法書士がつくっていた売買契約書にかわる原因証書を持っていくわけです。そうすると、価格が把握できないことになっているのだが、もとの不動産登記法の精神に戻ってもらえばいいのではないかと思うのです。もともとは登記原因証書と書いてあって、それはどんな注釈書にも売買契約書のことなのですと書いてあるのだから、売買契約書に売買価格が書いていないはずがないわけです。それを窓口に法律のもとの条文どおりに持ってきてくださいと。それを法務省がチェックして国土省に流していただくと。こういうシステムがいろいろ各省間の協議とかそんな気楽なことを言わないでくれよとおっしゃるのはよくわかるのですが、一番簡潔明解というふうに私は思うのですが、いかがなものでございましょうか。

○伊藤局長 私がどこまでその点についてお答えできる立場にあるかどうかはわかりませんが、日本の登記制度というのは、単にこういうことであれば合理的ではないかということだけで決まっているわけではない部分も先生はご専門のところなので当然ご理解いただけると思うのですが、今の我が国の登記制度で価格を登記事項にしないというのも、これは我が国の一つの民事的な問題としての経緯また方向がある話だと思っております。
 私どもは、そこについていいとか悪いとかということではなくて、今この問題としてはそういう価格情報というものが市場に個人情報保護とかプライバシー等を調整しながら出ていくことが意義があることだということで、そういう考え方のもとに、今の登記なりそういう民法の一つの枠組みの中で、また憲法の枠組みの中で、どういうふうに私どもの政策課題を実現していくかと。そういう立場でこの問題にアプローチをさせていただいております。

○安念専門委員 お立場はよくわかりました。
 ただ、これは私のひとり言として聞いていただければよろしいのですが、プライバシーのことを言うなら、それは乙区を見れば丸裸だろうと申し上げたいです。特に我々サラリーマンが住宅ローンを組んでしまえば、登記簿の乙区を見てしまえば、どこにどれだけの借金があって何年で返す、それは掛け値を8割だというように考えれば、不動産の値段も大体わかってしまうわけで、我々零細なサラリーマンで言えば、乙区を見ればファイナンスに関する限りプライバシーも何もないのです。それは皆さんも実感としておわかりのはずだと思うのです。
 それから次に、価格情報は、登記簿上に私は載せてくれと申し上げているのではなくて、不動産登記簿上に売買価格を載せてくれと言っているのではなくて、法務省の窓口、法務局の窓口で本来なら売買価格を見られるシステムになっているはずだから、それを通報してもらうのが一番簡単ではありませんかと、こういうことでございます。登記簿の仕組みそのものを変えてくださいということを申し上げているのではございません。

○福井専門委員 冒頭の数行の部分ですけれども、取引価格情報の提供は重要な課題であり、このような制度を充実していくためには云々とございますが、現在は、取引価格情報の提供制度がないからこれから構築されようとしているのですよね。

○伊藤局長 時系列として言うと、重なっている部分がここの中に書いてあるのでわかりにくいと思うのですが、これまでの規制改革会議との検討の中で、こういう仕組みを通じて、まず手始めに社会実験として第一歩として現行制度の枠組みを活用した提供を始めると。それをどう充実していくかという認識が次ということになるのですが、そういう意味で、cのところへ最終的な認識のポイントを置いてこの前文が書いてあるというようにご理解いただければと思います。

○福井専門委員 論理的に正確にすると、今はなくてabという移行期間を経てcに行く、こういうことだと思います。だとすると、今の時点で文章でまとめる、ないしは、恐らく今回の答申なり報告の素案的なものとしてイメージされておられるのだとすると、正確にすると、やはりこの提供制度は今はゼロだということが前提だということがわかるように書いた方がいいと思います。
 したがって、3行目の充実というのは、むしろ実現かまたは構築として、さらにcのところにはっきり法制化を目標と明記されているわけですから、やはり最初にそれがわかるように、「このような制度を」ではなくて、「このための法制度を」としていただく。さらに言えば、最終的にabとcの違いは、従来のやりとりでも先ほど来の森委員とのやりとりでも明らかになったように、abの段階だけで本当に正確さが担保できるかどうかというところの検証が必要になっているわけですから、そういう意味では、ターゲットのcというのは正確な取引価格情報の提供だと思うのです。とすると、平仄を合わせて論理的に誤解がないようにするのであれば、「正確な取引価格情報の提供は」で冒頭を始めていただいて、「それは重要な政策課題であり」の次の「このような制度を」というのは、「このための法制度を」として、3行目は充実とあるのは実現か構築かというような形にしていただくという方が理屈の上では筋が通るのではないかと思いました。

○伊藤局長 最初の前文のところの法制度ということなのですが、私どもは、目的と手段の議論が法律の議論としてはあるのだと思っていまして、ここで最初に「このような法制度を」ということで、何か法制度でなければだめだというところからの出発は法律を詰めていく議論としては少し違う側面があります。そこで、できれば、ここはこのような制度をということでさせていただいて、むしろ三行目ですけれども、「配慮しつつ構築し、さらに充実していくためには」と、こういうふうにさせていただいて、構築がまず現行制度の枠組みを活用してということとつながり、そして、cのところで最終的な目標としてつながっておりますので、手段を詰めていく検討の過程という議論で言うと、ここはニュートラルな制度という形で書かせていただければ一番ありがたいと思っております。

○福井専門委員 目的手段の関係で言うと、正確な取引価格情報提供というのが究極の目標です。それを実現するための手段として、法制度もあれば、法制度によらない制度、ないし運用もある、こういう位置づけです。程度で言えば法制度が恐らく担保として強いという強弱があるということだとすると、これは書き方の工夫の問題かもしれませんけれども、まず取引価格情報の正確な提供を目標とするということがあって、そのためにいろいろな制度があり、その制度の中でも一種の最終目標としてはまさにcにあるように法制化の目標だ。そういう序列関係がわかるように書いた方がいいのではないかと思ったのですけれども、このまま見ると、今あるものを充実というようにも読めるので、それだと現時点の文章としては少しミスリードではないかと思ったのです。

○伊藤局長 そこの点については、確かにこの前文と後ろの関係とか、ご指摘の点についてはそういう側面があると思いますので、今のお話を踏まえて、また正確な取引価格の提供というのが重要な課題であって、そういう制度を構築し、さらに充実していくというために、我々として検証ということが必要だというものの考え方の流れを時系列的な整理をして書かせていただくということについては、またご指導賜りたいと思っています。よろしくお願いいたします。

○八田主査 どうもありがとうございました。
 確かに、最初から充実ではおかしいですね。「まず構築し、充実」と先ほど局長がおっしゃったような文章に直せば、福井専門委員の問題は解決すると思います。
 ほかには。

○安念専門委員 先生がまとめてくださったので構わないのですが、せっかくのパンチラインですから、福井専門委員がおっしゃるように、このための法制度をというように示していただいて、せっかくの局長の不退転のご決意をそこでパンチラインとして出していただくというのが、これがやはりよろしいかなと私も存じます。

○伊藤局長 我々が法律というものを詰めていく一つの過程というのは法律改正というものが前提にあって詰めていくのではなくて、ある施策を追及していく上で法律改正というものの必要が出てくればそれが法制度になっていくという流れだと思っております。この問題について、昨年来、私どもも法制化を目標にしていろいろと取り組んできているわけでございますが、やはり一番のポイントは、日本においてはほぼ無から有をつくり出そうという議論でございまして、通常、私どもとしてやっていく場合には、その間にステップを積み重ねて最終的に法律に到達していくということです。

○福井専門委員 こういうようにしたらどうでしょうか。「このような制度」のところはそのままにして、先ほどの「配慮しつつ構築し、さらに充実」のところを、「構築し、さらに法制度化も含めて充実していくためには」というのであれば、abcと全く論理的には整合すると思うのです。そういうことであれば大目標ではない分、問題ないと思います。

○伊藤局長 別にこだわりはないですけれども、できるものなら、下にcがありますので、私どもとしては、構築、充実と言えば、きれいに下につながるという感じはあるのです。

○福井専門委員 やはり議論の大前提は、法制度化の一点に関して大議論を重ねてきたわけですから、新聞の見出しと同じでリードを見たら大体のことがわかる。しかも論理的に同じであれば、よりわかりやすく書いた方が内容的にも誤解がないと思いますので、是非そのようにいたしませんか。

○伊藤局長 先ほども申し上げましたように、この問題について、私どもこれを実際にこの目標に向かって詰めていくに当たって、先生方のように既に結論が出ておられる方々と、そのことに対して若干の疑問符を持たれながら、私どもがご説明をし、私どもが理解を深めていただかなければならない方々、いろいろな方々が実際にはいらっしゃいます。
 法制化という議論は、例えば国民の権利、自由に対する影響とか、あるいは法律事項というものがあるかどうかとか、そういうことは一つずつ施策を詰めていって、その施策と目的、手段など、いろいろなものが妥当かどうかという議論を通じて最終的に到達する姿でございます。私どもの考え方はcの中できちっと目標というものを示した上でこの取り組みはしていくということでbとしておりますので、前段のところはどちらかといいますと意義、内容という議論で、そして、それを実現していくための手段、段階というのがabcと、こういうように同じ内容を前段で言っていることとabcで言っていることは、言ってみれば、横から見るか上から見るかという関係だと思いますので、ここのところでは価値中立的な表現をできればさせていただければ大変ありがたいというように思っているところでございます。

○八田主査 「法制化を含めて」というのは、実にうまい表現だと思います。そうすれば、確かに法制化が突出しない形になると思います。しかし、局長のお気持ちも非常にお強いような感触を受けます。あとほかにはございませんか。
 今までの議論で、将来検討されるときに、ぜひご考慮いただきたいというさまざまな指摘が森委員からも、安念専門委員からも、福井専門委員からもご指摘があったと思います。ぜひそれらをご考慮いただきたいと思います。
 文面に関しては、先ほどの我々の議論を通じて、まず「正確な」という言葉を冒頭に入れること。2番目に、森委員がご指摘になったことですが、「取引の円滑化」の後に「・活性化」ということを入れること。3番目に、これは福井委員のご指摘に局長がお受けになったことですが、「配慮しつつ、構築し、さらに充実していくためには」と修正するということで大体の意見が一致したと思います。
 次に、全く内容がないことなのですけれども、先ほど局長がお読みくださったときに気がついたのですが、一番最初の3行目の後ろの方に「幅広い国民の理解が得られるよう」というのがありまして、それから、cのところに「幅広い国民の理解を得ながら」というのがあります。これは国交省の方々がこれを置きたいとおっしゃるならいいのですが、二度繰り返すまでもないように思うので、cの方は外してもいいのではないかというように思うのですけれども。

○伊藤局長 まさに先程の福井専門委員との議論で申し上げれば、物事を横から見るか上から見るかということであり、前の方が政策とか認識とかといった考え方を入れており、後の方が具体的ないわゆる内容ということを表しているということですので、cの方を削るということについては、八田主査のおっしゃるとおりだと思います。

○八田主査 では、その4点、修正をお願いしたいと思います。
 あと、ほかにご議論ございますか。

○福井審議官 1行目ですが、「取引の円滑化・活性化等」ということになるのですか。

○八田主査 私は入ると理解していますけれども、どうでしょうか。

○福井審議官 今ある「等」のかわりに「・活性化」を入れるのか、「・活性化」の後にもさらに何かあって「・活性化等」となるのでしょうか。

○伊藤局長 これは、これまでの規制改革会議との関係では特に議論になっていなかったことでございますが、やはり「等」という中で、最近の市場が変わってきておりまして、やはり取引の際に自己責任あるいはそういうことを踏まえて納得して売り買いをもっとしたいというときに情報を充実してほしいという議論が一般国民の方からの意見としてはございました。そういう意味が、あるいはもう少し違う消費者行政的な性格の側面もここの中に入って、将来、この制度の意義ということでは入っていいような気もしておりますので、そういう意味で言いますと、そういうことも含めて受けられる表現としては「等」という表現があった方が我々としてはいろいろな方々への幅広い説得という意味では、いろいろなつながりになるかというように思っております。

○八田主査 それでは、お忙しいところどうもありがとうございます。
 これをもちまして閉会させていただきます。

以上


内閣府 総合規制改革会議