「第3章 活性化に資するビジネス・生活インフラ整備」における所管省等の主な意見

2.司法サービスに関するインフラ整備

事項(所管省等)意見
(1)法曹人口の更なる拡大
(司法制度改革推進本部・法務省)

今後、国民生活の様々な場面における法曹需要は、量的に増大するとともに、質的にますます多様化、高度化することが予想され、国民が必要とする質と量の法曹の確保・向上こそが本質的な課題であると考えられる。

このような観点から、司法制度改革推進計画(平成14年3月19日閣議決定。以下「推進計画」という。)では、「法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、平成22年ころには司法試験合格者数を年間3,000人程度とすることを目指す」とし、「現行司法試験の合格者数を、平成14年に1,200人程度に、平成16年に1,500人程度に増加させる」としており、現在この閣議決定に基づき関係機関において制度設計を行っているところである。

年間3,000人は上限を意味するものではないが、我が国の法曹人口の在り方については、我が国の経済・社会構造、法文化を始めとする様々な要因や国民が望む法曹の質と量などの社会からの要請に基づいて市場原理によって決定されるものであって、他国との比較によってのみ決まるものではない。

(2)法科大学院非修了者への司法試験受験資格の確保
(司法制度改革推進本部・法務省)

司法試験改革の基本的な視点は、法科大学院を中核とし、法学教育・司法試験・司法修習を有機的に連携させた「プロセス」により、21世紀の司法を支えるにふさわしい資質・能力を備えた人材を養成することである。ただし、「経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者にも、法曹資格取得のための適切な途を確保する」(推進計画)ことも必要であり、これらの者には、法科大学院修了者と同等の学識・能力があることを予備試験によって確認した上で、司法試験の受験を認めることとする方向で検討を行っている。

この場合において、法科大学院修了者と予備試験合格者が司法試験において公平に取り扱われるべきことは当然である。

予備試験の適正を担保するためには、試験制度の性質上、予備試験合格者の新司法試験合格率の比較により形式的に判断するだけではなく、様々な要因について総合的かつ継続的に検証を行っていくことが必要である。

(3)専門分野(知的財産権、国際企業法務、医療等)に通じた法律家の養成
(司法制度改革推進本部・法務省)

新司法試験については、推進計画で「法科大学院の教育内容を踏まえた」ものとされている。

新司法試験の具体的内容については、今後、法科大学院における教育内容等や社会におけるニーズの高さなどを踏まえつつ、幅広い分野を検討することが望ましいと考えられる。

現在、大学等において、法科大学院での教育の充実について、創意工夫によって独自性・多様性を発揮し、幅広い分野の科目を開設するなどの方向で検討がなされているところであり、各法科大学院での教育内容が具体的になっていない現段階で、新司法試験について一定の方向性を示すことは適切ではない。

(5)司法修習の給費制の見直し
(司法制度改革推進本部・法務省)

推進計画は、司法修習について「新司法試験実施後の司法修習が、司法修習生の増加に実効的に対応するとともに、法科大学院での教育内容をも踏まえ、実務修習を中核として位置付けつつ、修習内容を適切に工夫して実施されるよう、司法修習の具体的な内容等について、最高裁における検討状況を踏まえた上で検討を行い、少なくとも主要な事項の枠組みについて結論を得る。また、併せて、司法修習生の給費制の在り方につき検討を行う。」としており、この閣議決定に基づき検討を行うものである。

司法修習は、裁判官、検察官、弁護士のそれぞれについて実務修習を行うことのできる貴重な機会であり、法理論教育を基調として実務との架橋を強く意識した教育を行う法科大学院とともに、21世紀の司法を支えるにふさわしい資質・能力を備えた人材を養成する「プロセス」を重視した法曹養成制度において欠くことのできないものである。

給費制の在り方については、法科大学院を含めた新たな法曹養成制度全体の中で司法修習の位置付けを考慮しつつ、貸与制等の代替措置の導入を含め、その見直しを検討することが必要であり、現時点において、「希望者のみを対象として有償で実施する体制に移行する。」ことを所与の前提として検討することは適当ではないと考えている。

(6)弁護士法第72条の見直し
(司法制度改革推進本部・法務省)

弁護士法第72条は、最高裁大法廷判決を始めとする累次の判例において示されているように、弁護士でない者が、自らの利益のため、みだりに他人の法律事件に介入することを業とすると、当事者その他関係人らの利益をそこね、法律生活の公正円滑な営みを妨げ、ひいては法律秩序を害することとなることから、これを禁止するために設けられたものであり、今日においても合理性、必要性を有する規定と考えている。

また、司法制度改革は、「司法制度改革審議会の意見の趣旨にのっとって行われる(司法制度改革推進法第1条)」ものであるから、司法制度改革推進本部としては、司法制度改革審議会意見及び同意見の趣旨にのっとって策定された推進計画に従って検討を進めていくべきものである。そして、推進計画は、「弁護士法第72条について、隣接法律専門職種の業務内容や会社形態の多様化などの変化に対応する見地からの企業法務等との関係も含め検討した上で、規制対象となる範囲・態様に関する予測可能性を確保することとし、遅くとも平成16年3月までに、所要の措置を講ずる。」としており、予測可能性の確保に関する具体的な方策については言及しておらず、その内容については、今後、司法制度改革推進本部を中心として検討を進め、具体化していくべきものである。

1)の「弁護士に認められる業務独占の範囲を必要最小限のものとすること」については、「必要最小限」がいかなるものを意味するのか判然とせず、趣旨が不明確である。仮にこれが弁護士法第72条が過剰な規制であることを前提とするものであるとすれば、上記のとおり同条は合理的かつ必要な規定であるから、相当でない。

2)の弁護士法第72条ただし書に関しては、現在、規制内容の予測可能性確保の観点から、ただし書の「この法律」に「他の法律」を加えることを含めて、その改正の必要性について検討中である。

3)の「法廷外法律事務について、弁護士以外の専門家(隣接法律専門職種に限定しない)が行えるようにすること」については、同条の立法趣旨を踏まえないものであり、妥当でない。

3)の「会社がグループ内の他の会社の法律事務を有償で受託できるようにすること」に関しては、今後、推進計画に従って検討を行うことになるが、司法制度改革審議会の審議でも、そもそも資格のない者に有償で法律事務を取り扱わせることを認めてよいのか、仮にいわゆる親会社・子会社間でこれを許容するとしても、親子会社の関係は多岐にわたっており、許容する範囲をどのような基準で画することができるのかといった議論がなされていたところであり、現時点でこのような結論を明記することは適当でない。

3)の「消費者保護の必要性が薄い対事業所向けサービスについては直ちに業務独占範囲外とすること」についても、同条の立法趣旨に照らして慎重に検討する必要がある上、司法制度改革審議会意見が具体的に求めるものとまでは考えがたい。

4)の「弁護士資格を有しない社員が会社の訴訟代理人となること」については、当該会社のみならず、相手方を含め当事者の利益保護に反したり、迅速・的確な訴訟手続の進行の妨げとなるおそれがあり、また、司法制度改革審議会の審議でも、仮にこのような制度が創設された場合には、形式的に権限を付与された社員であることを取り繕うことなどにより、制度が悪用され、非弁活動を助長するおそれが否定できないなど、強い反対意見があったところである。こうした問題点や経緯を踏まえると、検討自体を否定するものではないが、現時点でこのような結論を明記することは適当でない。

5)の弁理士の訴訟代理権については、司法制度改革審議会においては、特許権等の侵害訴訟の場で弁理士の専門性を活用する必要がある一方で、当該訴訟類型は比較的高額の事件が多いと考えられるため単独受任を認めることには慎重な意見があったために、弁護士と共同受任する事件に限って付与することとされたものであるから、直ちに単独の代理権を付与すべきとする意見には反対である。規制改革の観点からとりまとめられた規制改革推進3か年計画とも整合性がとられている(総合規制改革会議事務室にも確認済み)にもかかわらず、こうした経緯を踏まえることなく、「職種間の垣根を低くする趣旨に反するもの」と一方的に決めつけているのは、まことに遺憾である。

(6)弁護士法第72条の見直し
5)(弁理士の訴訟代理権について)
(経済産業省)
  1. 規制改革委員会第2次見解以降、司法制度改革審議会や産業構造審議会知的財産政策部会において訴訟代理を行うために必要な能力について議論がなされた。このなかでは、ユーザーを含む関係者間で、

    1. 訴訟運営への影響等を勘案した場合、弁理士の特許権等の侵害訴訟での代理権については、信頼性の高い能力担保措置が必要である。

    2. 弁理士の単独受任を認めるためには、現状では、長期の研修等極めて高度な能力担保措置が必要であり、この場合は却って弁理士の訴訟代理への参入の妨げとなる。

    3. このため、弁護士との共同受任を原則として、現実的な形の研修等の能力担保措置により弁理士に訴訟代理権を付与すべきである。

    との共通認識が形成されている。

  2. 以上の認識に基づき、今通常国会において、所要の研修を終了した弁理士について弁護士との共同受任を原則として訴訟代理権を付与する旨の弁理士法の改正が行われたところである。

  3. このように弁理士に対する訴訟代理権についてはユーザーを含む関係者の意見を聞きながら実態に即した形で規制改革がなされてきており、今後は、弁理士の訴訟代理における実績を踏まえ、更に、訴訟受任の在り方等が検討されていくこととなる。

  4. したがって、「弁護士との共同との条件を付したことは職種間の垣根を低くする趣旨に反するものである」との認識は誤解に基づくものと思料する。

(7)弁護士業に係る規制緩和
(司法制度改革推進本部・法務省)

「特定共同事業の要件緩和」については、司法制度改革審議会意見の趣旨である、弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の積極的な推進のための方策としては、特定共同事業の要件緩和以外にも様々なものが考えられるところ、その方策については、現在、国際化検討会で検討が行われているところであり、現段階で「特定共同事業の要件緩和」のみに限定することは適当でない。

外国法事務弁護士による雇用禁止の撤廃については、司法制度改革審議会意見において「将来の課題として引き続き検討すべきである」とされており、また、推進計画においても全く言及されておらず、現時点でこのような結論を明記することは適当でない。

(上記意見に対する当会議のコメント)

法曹人口の拡大と法科大学院で幅広い分野を教育することの必要性について、司法制度改革推進本部及び法務省は、基本的には当会議と方向性が一致しているが、その具体的な対策を決めるには時期尚早という型の意見が多い。しかし、特定の利害を反映した参入制限が行われる可能性は、万全の策をもって事前に封じておく必要がある。例えば、予備試験の適正な担保をするためには、様々な要因を考慮するとともに、本文に述べたような、合格者数の確保をすることが、最低限の条件として必要である。

一方、弁護士法第72条と弁護士業に関する所管省等の意見は、当会議の見解と本質的に相容れないものが多い。司法サービス拡大の観点からは、当会議の見解を採らざるを得ないと考える。

3.都心高度化

事項(所管省等)意見
(1)重畳的規制の整理・合理化等
3)加圧防排煙の規定
(国土交通省)

ご指摘の加圧防排煙(避難経路機械給気・居室機械排煙)システムと、従来より一般的に用いられてきた排煙方式とは、一概にどちらの安全性能が高いとは言えない。

ご指摘の加圧防排煙システムは、主として附室等を設置するスペースが確保可能な大規模建築物等を対象として、個別の建築物の形状等を基に計算を行い、給気、排煙設備を制御しなければならない高度なシステムであるため、大臣の認定により安全性の確認を行えば、ご指摘の軽減化も含め、現行基準でも実現可能であるが、計算を行わずに仕様規定だけで建築を可能とすることは困難である。

(2)道路の立体的利用に係る制度拡充(道路内建築制限の緩和)
(国土交通省)

1.既存の道路への拡充について

立体道路制度は、幹線道路の整備を促進するために創設した制度であるため、現行制度においては、既存道路について立体区域の決定等はできないこととされている。

既存の道路空間は都市における貴重なオープンスペースであり、また、当該道路が市街地における開放空間として確保されていることを前提に建築された沿道の建築物等に対する影響が大きく、市街地環境の悪化のおそれがあることから、既存の道路について、道路空間の立体的な利用を行うことは不適切である。

2.一般道路への拡充について

立体道路制度の適用対象を一般道路にまで拡充することは、いたずらに市街地環境を悪化させるのみならず、交通全般の安全性を損なうものであるため、現行建築基準法においては、自動車専用道路及び特定高架道路等に限られているものである。

3.街区の統合・再編

都心の高度利用は、市街地再開発事業などの事業に伴い必要となる道路の路線の廃止・変更等により、既存の区画街路も含めて街区を統合・再編することで可能である。


内閣府 総合規制改革会議