高齢者の経済生活に関する意識調査結果の概要

◎ 調査の目的

 急速に進展する高齢社会に対して、国民の一人一人が長生きして良かったと実感できる社会を築き上げていくためには、就業・所得、健康・福祉、学習・社会参加、生活環境等に係る社会システムが高齢社会にふさわしいものとなるよう、不断に見直し、適切なものとしていく必要がある。

 このような観点から、本調査においては、55歳以上の男女を対象とし、主として就業・所得分野に関連して、「高齢者の経済生活に関する意識」をテーマに取り上げ、高齢者の収入・支出、就労、資産等、高齢期において安定した生活を送るために重要になると思われる諸項目について調査を行うことにより、今後の高齢社会対策の推進に資することを目的とする。

※ 本調査は平成13年度に続き3度目の調査で、その項目は前回調査とほぼ同様のもの。

◎ 調査対象等

(1)調査対象者

 全国の55歳以上の男女(従来60歳以上のみを対象。55~59歳の者については、今般初めて対象とした。)

(2)主な調査事項

  1. 就労に関する事項
  2. 収入・支出に関する事項
  3. 資産に関する事項
  4. 介護に関する事項
  5. 社会保障制度に関する事項

(3)標本数及び有効回収数(率)

  1. 標本数 4,000人
  2. 有効回収数(率) 2,176人(54.4%)

(4)調査実施期間

 平成19年1月11日~2月4日

注 1:数値は対象者が明記されていない場合は全て60歳以上の数値。
注 2:55~59歳までを50歳代とする。

◎ 結果概要

1 高齢者の収入・支出、資産

(1)現在の経済的な暮らし向き(Q1)[調査結果P9]

1. 「現在の暮らしに経済的に心配がある」者は、4 割弱(前回調査から約 1 割増加)。 (27.9%→37.8%)
2.  他方、「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」者と「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」者を合わせると約6割(60.7%)。

図1-1-2 現在の経済的な暮らし向き (Q1)(前回比較)

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(2)貯蓄(Q19、22)[調査結果P102、111]

1. 「現在の貯蓄額は、老後の備えとして足りないと思う」者は、6割強(64.7%)
2. 前回調査から、「足りないと思う」者が7.6ポイント増加(57.1%→64.7%)
3. 前回調査から、過去 1 年間に貯蓄額が「減った」が8.9ポイント減少(54.0%→45.1%)。

図3-5-1 老後の備え (Q22)(前回比較)

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図3-2-1 貯蓄額の増減(Q19)(前回比較)

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(注1)平成13年度は「増える傾向にある」
(注2)平成13年度は「増えも、減りもしていない」
(注3)平成13年度は「減る傾向にある」

(3)過去1年で大きな割合を占める支出(Q15)[調査結果P82]

1. 「健康維持や医療介護のための支出」(44.2%)が最も高く、「自己啓発・学習」は著しく低い(1.9%)。
2. 特に、50歳代では、「自己啓発・学習」は1%にも満たない(0.7%)。

図2-6-1 過去1年で大きな割合を占める支出(Q15)(3つまでの複数回答)

図2-6-1 過去1年で大きな割合を占める支出(Q15)(3つまでの複数回答)

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(4)生活費不足分の対応方法(Q11SQ)[調査結果P61]

1. 「生活費を節約」が60歳以上(65.5%)、50歳代(70.9%)ともに、最も高い。
2. 前回調査より、「生活費を節約」が6.4ポイント(71.9%→65.5%)、「子供からの援助(同居を含む)」が17.9ポイント減少(44.2%→26.3%)。

生活費不足分の対応方法 (3つまでの複数回答)(前回比較)

生活費不足分の対応方法 (3つまでの複数回答)(前回比較)

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(注1)平成13年度は「生活費を節約して間に合わせる」
(注2)平成13年度は「貯蓄を取り崩してまかなう」
(注3)平成13年度は「子供と同居したり、子供に助けてもらう」
(注4)平成13年度は「自宅などの不動産を処分したり、担保にして借りたりしてまかなう」
(注5)平成13年度は「財産収入(家賃収入、地代、配当金、利子など)でまかなう」


2 高齢者の就労

(1)収入のある仕事の有無とその内容(Q3)[調査結果P19]

1. 前回調査より、「仕事はしていない」がやや減少(69.9%→67.9%)。

図1-3-2 収入のある仕事の有無とその内容(Q3)(前回比較)

図1-3-2 収入のある仕事の有無とその内容(Q3)(前回比較)

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(注)平成13年度は「臨時・パート」


(2)収入のある仕事をしている理由(Q4)[調査結果P23]

1. 収入のある仕事をしている理由は、「生活費をまかなうため」の割合が最も高いが(53.9%)、次いで、「健康によいから」(37.8%)、「生きがいが得られるから」(34.6%)が高い。
2. 前回調査より「生活費をまかなうため」などの経済的な理由がやや増加、「健康によいから」が減少(45.4%→37.8%)。

図1-5-2 収入のある仕事をしている理由 (Q4)(3つまでの複数回答)(前回比較)

図1-5-2 収入のある仕事をしている理由 (Q4)(3つまでの複数回答)(前回比較)

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(3)退職希望年齢(Q5)[調査結果P33]

1. 60歳以上では「働けるうちはいつまでも」が約5割(48.5%)。

図1-7-1 退職希望年齢 (Q5)

図1-7-1 退職希望年齢 (Q5)

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(4)仕事を選ぶ際に重視する条件(Q9)[調査結果P47]

1. 前回調査より「経験が生かせること」がやや増加(21.7%→23.8%)し、「体力的に軽い仕事であること」(25.9%→20.5%)、「仕事先を探すのが容易であること」(12.2%→1.4%)が減少。

図1-12-2 仕事を選ぶ際に重視する条件 (Q9)(前回比較)

図1-12-2 仕事を選ぶ際に重視する条件 (Q9)(前回比較)

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(注)平成13年度調査は「仕事をしていないものに、働くために最も必要な条件は何か聞いている」

(5)収入のある仕事をしていない理由(Q6)[調査結果P35]

1. 「年齢制限で働くところが見つからない」が最も多く5割弱(45.7%)。
2. 50歳代は「家事や介護など家でしなければならないことがあるから」が最も多く4割弱(36.8%)。この回答をした者は、女性(43.5%)が男性(9.5%)よりも34ポイント高い。

図1-8-1 収入のある仕事をしていない理由 (Q6)(3つまでの複数回答)

図1-8-1 収入のある仕事をしていない理由 (Q6)(3つまでの複数回答)

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3 社会保障給付の水準と負担の軽減

(1)公的年金の割合 (Q13-2)[調査結果P76]

1. 夫婦の収入額の中で、公的年金の占める割合が「10割」の者が5割強(52.3%)。
2. 50歳代では、夫婦の収入額の中で、公的年金の占める割合が「0割」の者が8割強(81.1%)。


(2) 私的な年金・保険への加入の有無とその内容(Q20)[調査結果P105]

1. 「生命保険」に加入している者(45.7%)、「いずれも加入していない」者(41.4%)ともに約4割。
2. 50歳代は、「生命保険」に加入している者(69.4%)は約7割、「いずれも加入していない」者(19.2%)は約2割。

図3-3-1 私的な年金・保険への加入の有無とその内容(Q20)(複数回答)

図3-3-1 私的な年金・保険への加入の有無とその内容(Q20)(複数回答)

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(3)就業による収入が得られなくなった場合の年金による生活費(Q11)[調査結果P58]

1. 「足りないと思う」者は6割弱(56.9%)、「年金で生活がまかなえる」者は、3割強(32.7%)
2. 前回調査と比べて、「足りないと思う」者が10.3ポイント増加(46.6%→56.9%)
3. 「足りないと思う」者は60歳以上(56.9%)と比べ、50歳代(65.6%)は8.7ポイント高い。


図1-16-1 就業による収入が得られなくなった場合の年金による生活費 (Q11)

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図1-16-2 就業による収入が得られなくなった場合の年金による生活費(Q11)(前回比較)

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(4) 世話の費用(Q27)[調査結果P134]

1. 「年金等の収入でまかなうことができると思う」が3割弱(27.9%)、次いで「子供からの経済的な援助を受けることになると思う」が 2 割強(23.0%)。
2. 前回調査より、「年金等の収入でまかなうことができると思う」が4.9ポイント減少(32.8%→27.9%)し、逆に、「子供からの経済的な援助を受けることになると思う」は12.1ポイント増加(10.9%→23.0%)

図4-3-1 世話の費用 (Q27)

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(注1)年金等の収入でまかなうことができると思う:
 「特に用意しなくても年金等の収入でまかなうことができると思う」
(注2)自宅などの不動産を担保にお金を借りてまかなうと思う
 「貯蓄だけでは足りないが、自宅などの不動産を担保にお金を借りてまかなうことになると思う」


図4-3-2 世話の費用 (Q27)(前回比較)

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(注1)年金等の収入でまかなうことができると思う:
 「特に用意しなくても年金等の収入でまかなうことができると思う」
 平成13年度は「特に用意しなくても年金でまかなうことができると思う」
(注2)自宅などの不動産を担保にお金を借りてまかなうと思う
 「貯蓄だけでは足りないが、自宅などの不動産を担保にお金を借りてまかなうことになると思う」
(注3)平成13年度は「自宅を売却してまかなうことになると思う」

(5)税金と社会保険料の負担感 (Q14-1、14-2)[調査結果P78、80]

1. 税金と社会保険料の負担感を重いと感じている者は、ともに約7割。(税金70.6%、社会保険料71.9%)
2. 60歳以上より、50歳代の方がともに重いと感じている。(税金82.6%、社会保険料83.7%)

図2-4-1 税金の負担感 (Q14-1)

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図2-5-1 社会保険料の負担感 (Q14-2)

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(6) 日常で負担を感じる支出(Q17)[調査結果P93]

1. 「医療費」が5割弱(46.0%)、次いで「生命保険や損害保険などの保険料」(25.5%)、「食費」(24.2%)が 2割強であったが、「負担を感じているものは特にない」(22.6%)も 2割強。
2. 「医療費」は60歳以上(46.0%)が、50歳代(31.3%)と比べ14.7ポイント高く、「生命保険や損害保険などの保険料」は 50歳代(42.5%)が、60歳以上(25.5%)と比べ17ポイント高い。

図2-8-1 日常で負担を感じる支出(Q17)(3つまでの複数回答)

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(7) 社会保障給付と負担(Q28)[調査結果P138]

1. 負担増はやむを得ないと考えている者は約4割(38.3%)で、前回調査より約1割減少(45.9%→38.3%)。50歳代では約5割(48.1%)。
2. 給付の水準が下がってもやむを得ないと考えている者は約2割(23.7%)で、前回調査よりやや増加(21.5%→23.7%)。50歳代では約3割(27.6%)。

図5-1-1 社会保障給付と負担 (Q28)

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図5-1-2 社会保障給付と負担 (Q28)(前回比較)

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(注)1 負担増はやむを得ないと考えている者は(注1)(注2)(注3)の合計
 2 給付水準が下がってもやむを得ないと考えている者は(注4)(注5)の合計

(8) 世代間の負担の在り方 (Q29)[調査結果P142]

1. 「すべての世代の負担が増えたり、給付水準が下がったりしてもやむを得ない」者は約3割(32.1%)で前回調査よりもやや増加(30.5%→32.1%)。50歳代では約4割(42.3%)。
2. 「高齢者世帯の負担が増えたり、給付水準が下がったりしてもやむを得ない」者や、「子供や孫の世代の負担が増えたり、給付水準が下がったりしてもやむを得ない」者は、前回調査よりもそれぞれやや減少(18.2%→14.9%、12.9%→9.6%)。

図5-2-1 負担増の内容 (Q29)

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図5-2-2 負担増の内容 (Q29)(前回比較)

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