高齢社会対策説明「高齢社会フォーラム・イン東京」

「挑戦するシニアが時代を開く~多世代が支え合う地域社会に向けて~」

藤澤 美穂
内閣府高齢社会対策担当参事官

藤澤 美穂氏の写真

 皆様、おはようございます。

 暑い中、今日は本当にどうもありがとうございました。樋口先生から本当に心に響く貴重なお話をいただきまして、そういう盛り上った中でちょっとかたい話になってしまうかもしれませんけれども、10分か15分ぐらい、よろしくお願いします。

 先生からも御紹介をいただきましたけれども、毎年私ども6月に高齢社会白書というのをつくっております。その白書ができ上ったこともありまして、その内容を中心に、少し現状と対策について御紹介をさせていただきますので、お付き合いいただければと思います。よろしくお願いします。

○高齢社会対策大綱

藤澤 美穂氏資料スライド2 藤澤 美穂氏資料スライド3

 ここに見えるものと、皆様の資料、全く同じですので、どちらでもお好きなほうを御覧いただければと思います。資料の2ページ目と3ページ目が高齢社会対策大綱について記載したものです。樋口先生からも少し御紹介がありましたけれども、高齢社会対策というのは、私どもは内閣府ですけれども、内閣府に限らず、例えば厚労省ですとか、文科省ですとか、本当に様々な省庁でそれぞれの所掌に応じた対策を講じております。それの全体を取りまとめた対策の大綱というのが、この高齢社会対策大綱になります。今の対策大綱は平成24年の9月に閣議決定されたものでございます。

○全員参加による社会の構築

藤澤 美穂氏資料スライド4

 この大綱での5つのポイントということで、これは今日のフォーラムのテーマにも非常に関連しますけれども、例えば全員参加による社会の構築ということで、年齢にかかわりなく、皆様方の意欲、それから能力を最大限発揮して、様々な方が経済社会の重要な支え手となっていただいて社会参加ができるような社会の構築を目指す。

 こういった全員参加による社会の構築をはじめとして、平均寿命、毎年延びておりますけれども、人生90年時代に対応できる社会の構築、それから若い世代も含めて世代循環型社会の構築。それから、各地域では、住民の方々皆さんが支え手となってコミュニティーの構築を図っていく、地域社会の構築などを5つのポイントとして、今の大綱はつくられております。

○高齢化の現状

藤澤 美穂氏資料スライド5

 次のページ以降は、色々な表とかグラフがたくさん載っておりますが、それは基本的に先月つくりました白書に載せているものが主なものということで、御覧いただければと思います。この4ページ目以降は、高齢化社会の現状を数値で見たものなので、皆様もうよく御承知のとおりだと思いますが、御参考までにと思います。

 65歳以上の方々が総人口に占める割合を高齢化率と申します。昨年の高齢化率は26.0%でございます。下から2つ目の赤の点々で囲っているところ、26.0%ですね。これは当然毎年上がってきております。65歳以上の方を65から74歳と、75歳以上とつに分けますと、大体同じ比率でございまして、65から74歳の方が13.4%、それから75歳以上の方が12.5%ということになっております。それが今の現状です。

 次のページがもう少し将来を見据えて推計をお示ししたものでございます。今から45年後ということで、自分の年齢がわからなくなってしまうぐらいですけれども、そのころはどうなっているかといいますと、65歳以上が2.5人に1人という割合になります。それから、4人に1人が75歳以上ということで、45年先なので、少し遠いですけれども、比率もそれだけに非常に高くなるという推計になっております。

○高齢者を支える社会構造

藤澤 美穂氏資料スライド6

 それから、高齢者と若い世代と一緒に並べてみたものがこちらのグラフになります。現在、真ん中あたりにあります平成26年のところを見ていただければと思いますけれども、赤のグラフが65歳以上人口を、若い15から64歳の人口で支えている比率を示したものなんですけれども、平成26年は現役世代2.4人が高齢者の1人を支えている。45年後の平成72年には現役世代1.3人で高齢者1人を支えるということで、大体今の半分の現役世代が高齢者お1人を支えるというイメージになるかと思います。

○国際社会における日本の現状

藤澤 美穂氏資料スライド7

 次が、高齢社会を少し国際的に比較してみたものです。左側が欧米諸国の中で日本がどうかというのを見たもの、それから、右側がアジアの国々の中での日本を位置づけたものです。いずれも日本は赤い丸でつなげたもので、いずれにしても2060年には一番飛び抜けて高いグラフになっているのが日本です。

 日本も別にずっとこういう状態だったわけではなく、大体1980年ぐらいですか、左側の欧米のほうを見ていただくと、そのくらいまでは欧米の諸国の中でも非常に高齢化率は低かったんですけれども、2000年ぐらいを境にどっと飛び抜けていっております。樋口先生のお言葉を借りれば、本当にオリンピックで「高齢化」という種目があったら、断然金メダルをとれるという状況になっております。

○平均寿命と健康寿命

藤澤 美穂氏資料スライド8 藤澤 美穂氏資料スライド9

 それから、平均寿命が次の資料でございます。これは最新の情報について既に樋口先生から御紹介がありまして、そういう意味ではこれが古くなってしまっているかもしれませんが、白書で記載した6月の当時でいいますと、平成25年現在の数値が一番新しくなっておりまして、女性が86.61歳、男性が80.21歳になっております。45年後、2060年にそれが女性は90歳を超えて90.93歳、四捨五入すれば91歳、男性が84.19歳という推計になっております。

 それから、平均寿命とあわせて最近はよく健康寿命という言葉を耳にすることが多いように思うんですけれども、日常生活に制限がなく生活できる期間、これを健康寿命と定義しております。これと平均寿命を比較したものが、この9ページでございます。先ほど来申し上げているように平均寿命もかなり延びているんですけれども、健康寿命も延びてはいます。ですけれども、その延びを平均寿命と健康寿命と比較してみますと、平均寿命の延びほど健康寿命は延びていないということになっているので、やっぱり平均寿命の延びとともに健康寿命のほうも同じぐらい、あるいはそれを超えるぐらいの延びで延ばしていくということが必要だと思います。

○高齢者世帯の現状

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 それから、これは高齢者がいらっしゃる世帯、一番右上の丸で囲んであるとおり、全世帯の中で大体45%が65歳以上の方がいる世帯に今なっております。その高齢者がいらっしゃる世帯の中で、もう少し具体的に、それが単身世帯なのか、夫婦のみの世帯なのかというのを細かく分けて見たものがこちらのグラフでございます。一番下のピンクのところは単身というか、単独世帯、お一人の世帯ですね。それが25.6%で、下から2つ目の水色の部分が御夫婦のみの世帯で、こちらが31.1%で、2つ合わせて大体過半数になっております。

 今のは世帯で見たものなんですけれども、次の11ページが個人で見たものです。高齢者の方々がひとり暮らしかどうかというのを見たデータでございまして、これも世帯で見たのと同じような結果に当然なっております。ひとり暮らしの方、男女別で男性も女性も増えております。高齢者の方々のうち、ひとり暮らしの方がどのぐらいの比率かというのを男女別に見たものが折れ線グラフになっておりまして、赤いのが女性、緑のグラフが男性になっております。

 現在――現在といいましても、直近値が平成22年の数値になっておりますけれども、女性は高齢者のうち20.3%がひとり暮らし、男性の場合は11.1%がおひとり暮らしとなっております。これも2035年までの推計を出しておりますけれども、年々増えていくという推計値になっております。

○高齢者の意識

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 それから、次から3枚ぐらいの資料が、毎年白書をつくるに当たって特集というのを組んでおり、その資料です。今年の白書はひとり暮らしの高齢者の意識について特集をさせていただきました。あまり今年のフォーラムのテーマに直接は関係ないのかなと思って、今回のこの資料では特集部分の引用をちょっと少な目にしておりますが、是非、御関心のある方はホームページで見ていただくとか、あるいは販売もしておりますので、御覧いただければと思います。

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○高齢者の勤労意欲

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 15ページ、労働力人口の中で65歳以上の方がどのぐらいの比率かというのを見たものです。グラフのほうでその比率を示しております。平成26年で65歳以上の方が労働力人口、つまり15歳以上人口の中で就業されているか、あるいは失業されているか、その両方を合わせた方、その中で占める割合が10.6%になっております。これも年々増えております。

 それから、高齢の方々の就労希望が何歳ぐらいを念頭に置いているかという意識調査をしましたところ、具体的に何歳までと答えていただく部分を選択していただいた方も少なくないんですけれども、働けるうちはいつまでもと答えてくださった方が約3割ということで、大変多くなっております。それから、実際にも60代以上の方でも、男女別に見ますと男性のほうが多いんですけれども、いずれにしても多くの方々に就業をしていただいているというのが現状でございます。

○社会参加活動の実態

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 それから、この18ページ以降が社会参加活動関係の資料でございます。冒頭の審議官からの挨拶の中でも少し触れさせていただきましたけれども、高齢者の方々がグループ活動に参加していらっしゃる状況、あるいは、そのことについてどう感じているかということなどをお示しした資料です。今大体60歳以上の方々の中では、何らかのグループ活動に参加している方の割合というのは6割で、これも増加しております。

 それから、参加してよかったという方については、どういうふうによかったのかお聞きすると、友人を新しく得ることができたとか、充実感ができた、健康や体力に自信がついたということを挙げてくださる方が多くなっております。

 具体的にどういう団体に参加しているのかというのを見ますと、参加している団体で多いのは町内会とか自治会なんですけれども、参加したいという団体については趣味のサークルですとか、健康・スポーツ関係のものを挙げてくださる方が多くなっております。その参加するに当たっての重視するポイントは、活動内容が自分の関心に合っていること、まずそこがポイントで、あと都合のよい時間が選べることとか、費用がかからないことなどを挙げる方が多いです。

 世代間交流の話も色々先ほど来のお話の中で出ていましたけれども、若い方との交流をしていきたいと思っていらっしゃる高齢者の方、6割と多いです。この割合も平成15年、10年前と比べると多くなっております。

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○高齢者の生きがいと不安

 ちょっとだけ飛ばして、24ページ、生きがいを感じているかどうかというのをお聞きした部分では、十分感じている、あるいは多少感じているという方々が大体7割と多くなっています。もう少し細かく見ますと、近所づき合いの程度別で生きがいを感じているかどうかを見ますと、近所づき合い、非常に親しくご近所とつき合っているという方ほど、生きがいがあると思っていらっしゃる方が多い。それから、外出の頻度別に見ましても、ほとんど毎日外出しますよという方ほど、生きがいを感じていらっしゃる割合が高いという結果になっております。

 それから、色々な調査で見ますと、やっぱり高齢者の方々のご不安で一番大きいのは、大体健康や病気のこととか、寝たきりになってしまうのではないかというご不安の部分が非常に多いというデータが出ておりますので、健康の維持に向けた対策というのも、当然こういった色々な活動の前提として必要だと思っております。

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○エイジレスライフ― 本年の事例から

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 それから、白書とは別なんですけれども、毎年私ども内閣府でやっているものとして、年齢にとらわれずに生き生きとした生活を送ってくださっている、それをエイジレス・ライフ実践者と言っているんですけれども、そのエイジレス・ライフ実践者と、それから団体の方々で、地域におきまして積極的に社会参加活動をしてくださっている団体、こういう団体、それから個人の方々を毎年表章させていただいております。

 昨年度表章させていただいた事例から、今回、資料に6つほど引用させていただきました。一個一個御紹介する時間がなくて恐縮ですけれども、この中にも高齢者の方と、若い、例えば子育てをしている方々との交流とか、お互いの支援をしている地域での事例がたくさんあるということの御紹介でもありますが、是非こういうものをまた御参考にしていただければと思います。

 また午後、パネルディスカッションを3つに分けさせていただきます。

藤澤 美穂氏資料スライド30 藤澤 美穂氏資料スライド31

 これまでも皆さん、色々御支援いただいている方々ばかりだとは思いますけれども、皆様方の御活躍、それから御健康をお祈りいたしまして、簡単でございますが説明とさせていただきます。

 どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。