武元 弘文さん 79 歳
退職後、認知症の妻を介護しながら、同じように悩む介護者を勇気づけたい。

交流会で勇気をもらって、介護者に勇気を与える側へ

武元弘文さん

 武元弘文さんは、平成20年から認知症を発症した奥様の介護を始めました。最初は「誰に相談すればいいのか、介護保険でどんなサービスを受けられるのか、どこで手続きするのか、何もわかりませんでした」と武元さん。
 悩んだ末、ようやく辿り着いたのが、介護について様々な情報を得られる「地域包括支援センター」でした。そこで武元さんは、浦安市認知症家族交流会に参加し、同じような悩みを持つ人たちと出会い、多くの勇気をもらいます。
 そして、今では奥様の介護の傍ら、浦安市認知症家族交流会が主催する「は一となーサロン」のアドバイザーとなり、介護者を勇気づけるボランティア活動を行っています。
 「介護家族の苦労話を聴き、自身の介護体験の中から前向きな話、楽しい話をすることで、挫けそうになりがちな介護家族を勇気づけたいんですよ」と、武元さんは優しく前向きな笑顔で語ります。

人や地域のために、自分の介護経験を生かしたい

多くの参加者が集まったメモリーウォーク

 「まさか定年退職後の人生に『妻の介護』があるとは思ってもいませんでしたが、今では妻に恩返しができていると思っています」。
 武元さんは、自宅で約3年間の介護を続け、今は特別養護老人ホームに入所した奥様を毎日訪ねています。
 平成24年からは、お世話になった人や地域のために自分の経験を生かすことを決意し、認知症介護予防活動推進団体「キラキラ応援隊」に参加し、グループでの活動をスタートします。その中で、小学生に認知症のことを教える活動や講演会活動を中心に、ボランティア活動の輪を精力的に広げています。
 また、自身の介護体験を綴った本を出版するなど、認知症の予防、介護の方法などの啓蒙活動に取り組んでいます。

「介護は楽しく前向きに」自分の生き方で勇気を与えたい

 現在、武元さんは「キラキラ応援隊」の同士と一緒に、認知症サポーター(認知症のよき理解者)を養成するためキャラバン・メイトの講習を受け、年に数回、公民館や学校で講演会・講話・寸劇などで認知症の啓発などを行っています。また、月1回の認知症家族会に出席し、会員家族の悩みを聴いてアドバイスをするアドバイザーとしての活動も継続しています。
 さらに、毎日、奥様が入所している特別養老人ホームで介護をしながら配膳や食器洗いのボランティアも行っています。
 「我々世代の男が介護をすることは、難しいことだとは思いますが、『楽しくなければ介護じゃない!』と言い続けていきたい」。
 武元さんの生き方そのものが、地域の認知症の介護家族や介護を終えた高齢者に勇気を与える活動となっています。