第1章 高齢社会対策の方向

3 健康状態の多様性

(健康状態)
 自分の健康状態について、「良い」、「まあ良い」、「ふつう」と思っている高齢者は、男性で70.7%、女性で66.9%、また、健康上の問題で日常生活に影響のある高齢者(入院者や1か月以上の就床者を含む。)の割合は、男性で25.2%、女性で27.3%となっている。全体として、健康状態には問題ない高齢者が多いものの、男女別では、女性の方が男性より健康状態が良くない。
 また、年齢別にみると年齢の高い方が健康状態は良くない。特に85歳以上についてみると、健康について「ふつう」以上と認識している者は、男性で56.2%、女性で51.1%、健康上の問題で日常生活に影響のある者は男性で42.3%、女性で47.9%となっており、半数近くが健康状態に問題を抱えている(図1−1−13、図1−1−14)。

図1−1−13 自分の健康状態を「良い」、「まあ良い」、「ふつう」と認識している者の割合  <CSVデータ>

年齢階級別、男女別にみた自分の健康状態を「ふつう」以上と認識している高齢者の構成割合を示したグラフ


図1−1−14 健康上の問題で日常生活に影響がある者の割合  <CSVデータ>

年齢階級別、男女別にみた健康上の問題で日常生活に影響がある高齢者の構成割合を示したグラフ


(要介護者の状況)
 高齢者の要介護の状況をみると、在宅の65歳以上の者のうち、男性で4.3%、女性で5.3%が介護を要する状態となっている。女性の方が男性より割合が高く、また、要介護率は年齢とともに上昇する傾向にある。しかし、最も水準の高い85歳以上でも男性で17.2%、女性で22.6%であり、80歳未満では男女ともに要介護率は5%を下回っている。
 また、在宅の要介護者のうち「全く寝たきり」、「ほとんど寝たきり」の者の65歳以上の者に対する割合は男性で1.3%、女性で1.7%であるが、その半数程度が3年以上の寝たきり期間となっている(図1−1−15、図1−1−16)。

図1−1−15 在宅の高齢者の性・年齢階級別にみた要介護者率・寝たきり者率  <CSVデータ>

年齢階級別、男女別にみた在宅高齢者の要介護者率・寝たきり者率を示したグラフ


図1−1−16 寝たきり期間別にみた寝たきり者数  <CSVデータ>

年齢階級別にみた寝たきり期間別構成割合を示したグラフ

 このように、高齢者は全体としてみれば、病気等で何らかの自覚症状は持っていても、日常生活に影響はなく、健康状態はふつう以上と思っている。しかし、年齢が高くなると健康状態は低下し、また平均すると女性は男性より健康状態が良くない。高齢者の健康状態は多様であり、数は少ないものの長期間「寝たきり」の状況にある者もいる。

 

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