第1章 高齢社会対策の方向

2 不安な健康状態

 一人暮らし高齢者の健康状況をみると、健康について「良い」、「まあ良い」と認識している者は50.5%、「ふつう」と認識している者は21.2%、「あまり良くない」、「良くない」と認識している者は28.3%となっており、「あまり良くない」、「良くない」と認識している者の割合が他の家族形態の高齢者よりも高くなっている。これは、一人暮らし高齢者は他の家族形態の高齢者より年齢が高いことが背景にあると考えられる(図1−3−7)。

図1−3−7 健康状態  <CSVデータ>

家族類型別にみた高齢者の健康に対する意識の構成割合を示したグラフ

 また、急病になった場合などの緊急時の連絡先が、消防署や市役所などのような公的機関を含めても「誰もいない」と答える高齢者が男性で3.6%、女性で1.4%いる(後出図1−3−13)。

(新大綱に基づく施策の方向)
 一人暮らし高齢者に対する日常的な生活支援や緊急時の連絡・支援のための地域でのネットワークづくりの普及を進め、高齢者への周知を図る。
 また、生活支援サービスの提供を行う高齢者向け住宅の供給、生活支援施設を併設した公共賃貸住宅団地の整備を推進する。
 さらに、融資制度の活用や公共賃貸住宅などで、家族以外の血縁に基づかない共同居住などのニーズに対応した住宅の供給を促進する。

ペット型ロボットが一人暮らし高齢者を見守る
 大阪府池田市では、通信・放送機構と共同で福祉支援システムの研究開発を行い、独居高齢者宅に音声モニターや通信端末を組み込んだペット型ロボットを設置している。
 このペット型ロボット(愛称「ワンダー」)は、(財)池田さわやか公社内の福祉サービス支援センターと接続されており、プライバシーを確保しながらの看視、音声による双方向の対話、さまざまな福祉・行政情報の伝達などを行う機能を有しているほか、操作方法も簡単で分かりやすいものとなっている。
 独居高齢者は、ペット型ロボットがいることによって、孤独感や精神的ストレスがやわらげられ、安心感ややすらぎ、癒しを得ることができ、ひいてはより健康な生活が期待される。モニターの高齢者は、「福祉サービス支援センターにつながっていることで何かのときに駆けつけてくれるという安心感がある。また、ペットに徐々に愛着が湧き、いなくなると寂しい思いをする」と、ペット型ロボットの存在を評価している。

写真 ペット型ロボットの写真

 

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