第3章 高齢社会対策の実施の状況

ウ 高齢期に備える資産形成等の促進
 ゆとりある高齢期の生活に資するため、高齢期の所得の安定を目的とした、貯蓄等の自助努力による資産形成が必要であり、これを促進するために、金融商品の開発、資産運用の多様化、各種金融サービスの充実等が進められている。
 個人年金については、簡易保険、生命保険会社、銀行、証券会社等において各種の個人年金が提供されているが、簡易保険においては、生涯にわたる死亡保障と高齢期の年金を一つの契約で総合的に提供する保険・年金一体型の商品も提供している。
 また、確定拠出年金制度について、郵便局において加入申込みの受付等を行うとともに、個人型年金の運営管理機関として、運用商品の提示、情報提供等を開始した。
 さらに、勤労者財産形成年金貯蓄については、退職後の生活に備えての勤労者の計画的な自助努力を支援するため、元本550万円を限度として、利子等については非課税措置が講じられている。また、財形貯蓄活用給付金・助成金制度により、一般財形貯蓄を活用して育児介護等の費用に充てる勤労者に給付金を支給する事業主に対し、助成を行っている。
 また、高齢者の財産管理の支援等に資する痴呆性高齢者等の権利擁護のための新たな成年後見制度について周知を図っている(表3−1−13)。

表3−1−13 成年後見制度の概要  <CSVデータ>

○制度の趣旨
 高齢社会への対応及び福祉の充実等の観点から、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーション等の新しい理念と従来の本人の保護の理念との調和による柔軟かつ弾力的な利用しやすい制度への社会的要請にこたえる。

○概要
 従来の禁治産・準禁治産制度を、各人の多様な判断能力及び保護の必要性の程度に応じた制度とするため、補助・保佐・後見の三類型の制度とする。また、自己決定の尊重及び本人保護に配慮した制度とする。

(1)禁治産・準禁治産制度の改正(民法の改正)
新しい3類型 補助(新設) 保佐(準禁治産の改正) 後見(禁治産の改正)
判断能力の程度 不十分 著しく不十分 欠く常況
*補助:軽度の痴呆症者等が対象で、日用品の買物等は認められる。

(2)成年後見体制の充実(民法の改正)―後見・保佐制度の改正
社会福祉協議会等の法人や複数の者が成年後見人となることや、後見人の職権乱用を防止するために監督体制の充実を図るなど、社会的要請にこたえた制度とした。

(3)任意後見制度の創設(任意後見契約に関する法律)
自分の判断能力が低下する前に、本人が選ぶ後見人(任意後見人)に依頼し、将来の財産管理等について公正証書で委任契約をすることができることとした。

(4)戸籍記載に代わる成年後見登記制度の創設(後見登記等に関する法律)
プライバシー保護の観点から、これまで行ってきた後見などの官報公告と戸籍への記載を改め、新たな登録制度を行うこととした。
資料:法務省

 

テキスト形式のファイルはこちら

目次 前の項目に戻る     次の項目に進む