第3章 高齢社会対策の実施の状況

(5)子育て支援施策の総合的推進

 我が国における急速な高齢化は、平均寿命の伸長と並んで少子化がその要因となっている。活力ある高齢社会を構築するには、子供を持つこと、育てることそのものに大きな価値があるということを基本に、子育てを社会全体で支援していくことが重要となっている。
 このため、「少子化対策推進基本方針」(平成11年12月少子化対策推進関係閣僚会議決定)及び「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について」(平成11年12月大蔵・文部・厚生・労働・建設・自治6大臣合意、計画期間:12〜16年度。以下「新エンゼルプラン」という。)に基づき、子育て支援施策を総合的に推進している(表3−2−13、表3−2−14)。

表3−2−13 少子化対策推進基本方針の概要  <CSVデータ>

第1 目的及び基本的考え方
1 基本方針策定の目的
「少子化への対応を考える有識者会議」の提言(平成10年12月)の趣旨を踏まえ、政府が中長期に進めるべき総合的な少子化対策の指針として、この基本方針を策定。
2 基本的考え方
●少子化対策は、仕事と子育ての両立の負担感や子育ての負担感を緩和・除去し、安心して子育てができるような様々な環境整備を進め、家庭や子育てに夢や希望を持つことができる社会にしようとするもの。
●少子化対策の推進に当たっては、次の基本的視点に立つことが適当。
・結婚や出産は、当事者の自由な選択に委ねられるべきものであること。
・男女共同参画社会の形成や、次代を担う子どもが心身ともに健やかに育つことができる社会づくりを旨とすること。
・社会全体の取組みとして、国民的な理解と広がりをもって子育て家庭を支援すること。

第2 基本的な施策
1.固定的な性別役割分業や職場優先の企業風土の是正
2.仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備
3.安心して子供を産み、ゆとりをもって健やかに育てるための家庭や地域の環境づくり
4.利用者の多様な需要に対応した保育サービスの整備
5.子どもが夢を持ってのびのびと生活できる教育の推進
6.子育てを支援する住宅の普及など生活環境の整備

第3 少子化対策の推進体制等
●少子化対策推進関係閣僚会議において、本基本方針に沿った施策のフォローアップを実施。少子化への対応を推進する国民会議の活動を通じた国民的な取組みや情報発信を促進。
●特に重点的に取り組むことが必要な分野である働き方、保育サービス、相談支援体制、母子保健、教育、住宅等については、施策の具体的実施計画(新プラン)を策定。
資料:厚生労働省


表3−2−14 新エンゼルプランの概要  <CSVデータ>

■施策の目
1.保育サービス等子育て支援サービスの充実
  平成11年度 平成16年度
(1)低年齢児の受入れの拡大 58万人 68万人
(2)多様な需要に応える保育サービスの推進    
 1)延長保育の推進 7,000か所 10,000か所
 2)休日保育の推進 100か所 300か所
 3)乳幼児健康支援一時預かりの推進 450か所 500市町村
  5か年の累計 平成16年度までに
 4)多機能保育所等の整備 1,600か所 2,000か所
(3)在宅児も含めた子育て支援の推進    
 1)地域子育て支援センターの整備 1,500か所 3,000か所
 2)一時保育の推進 1,500か所 3,000か所
 3)ファミリー・サポート・センターの整備 62か所 180か所
(4)放課後児童クラブの推進 9,000か所 11,500か所

2.仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備

3.働き方についての固定的な性別役割分業や職場優先の企業風土の是正

4.母子保健医療体制の整備
国立成育医療センター(仮称)、周産期医療ネットワークの整備等

5.地域で子どもを育てる教育環境の整備

6.子どもがのびのび育つ教育環境の実現

7.教育に伴う経済的負担の軽減

8.住まいづくりやまちづくりによる子育ての支援
資料:厚生労働省

ア 保育対策
 保育対策については、新エンゼルプランに基づき、低年齢児の保育所受入れの拡大や多様な需要に応える保育サービスの提供を推進している。
 また、平成13年7月に閣議決定された「仕事と子育ての両立支援策の方針について」においては、「待機児童ゼロ作戦」として、16年度までにあわせて15万人の受入れ児童数の増大を図ることとした。

 

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