3 良好な健康状態  前期高齢者(入院者や1か月以上の就床者を含む。)の健康状況をみると、自分の健康について「良い」、「まあ良い」、「ふつう」と思っている者は男性で74.5%、女性で72.0%、また、健康上の問題で日常生活に影響のある者は、男性で20.9%、女性で20.8%となっている(前掲図1-1-13、図1-1-14→13ページ)。  前期高齢者について、人口10万人当たりの受療率(医療機関にかかっている割合)をみると、入院については、男性2,846、女性2,131、外来では男性11,296、女性12,796となっている。後期高齢者(入院は男性5,454、女性6,404、外来は男性14,220、女性13,727)と比較すると、いずれも前期高齢者が低く、特に入院は男性で約半分、女性では約3分の1となっている(表1-2-6)。 表1-2-6 主な年齢における受療率(人口10万対)  前期高齢期に受療率の高い主な傷病をみると、入院では、悪性新生物(男性486、女性231)、脳血管疾患(男性459、女性306)となっている。外来では、高血圧性疾患(男性1,476、女性1,941)、脊柱障害(男性1,141、女性1,330)となっている。このように、生活習慣に起因するものが多い(表1-2-7)。 表1-2-7 主な傷病別に見た受療率(人口10万対)  また、要介護等の状況についてみると、在宅の前期高齢者のうち要介護者の占める割合は、男性で2.3%、女性で1.7%となっており、後期高齢者と比較すると、男性で6.2ポイント、女性で8.5ポイント低い(前掲図1-1-15→14ページ)。また、介護保険施設の入所者の対人口比は1%を下回っており、後期高齢者では年齢により大きな差があるものの2〜13%となっていることと比較すると、入所率が極めて低いことが分かる(後出第2章表2-2-31→97ページ)。要介護等になる要因をみると、脳血管疾患が男性で半数を、女性で4分の1を占めている(後出第2章図2-2-32→98ページ)。  このように、前期高齢者の入院受療率や要介護率は後期高齢者に比べて格段に低い。比較的健康状況がよいこの時期に、疾病や要介護の予防を進めることが重要と考えられる。 (新大綱に基づく施策の方向)  高齢期に受療率の高い生活習慣病を予防するため、栄養・食生活、運動、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣の見直しを行い、個人による選択を基本とした主体的な健康づくりを支援する。このため、十分かつ的確な情報提供や、運動施設、分煙等の環境整備を促進するとともに、科学的根拠に基づいて目標設定、活動成果の評価を行う。  また、健康づくりを進めるための基盤として、長寿医療に関する国立高度専門医療センターを整備し、高齢者の身体特性や特有の疾病に関する医療の研究体制を充実する。