ウ 高齢者医療制度の改革  急速な高齢化、経済の低迷、医療技術の進歩、国民の意識の変化など、医療制度を取り巻く環境は大きく変化しており、将来にわたり、医療制度を持続可能な制度へと再構築していくために、その構造的な改革が求められている。  これに対して、平成13年11月には政府・与党社会保障改革協議会において、医療制度を構成する保健医療システム、診療報酬体系、医療保険制度等について基本的な視点や将来方向を示した「医療制度改革大綱」が決定され、これに基づき、14年3月、健康保険法等の一部を改正する法律案を第154回国会に提出した。  改正法案においては、高齢者医療制度の改革として、 @ 高齢者の経済的地位の向上に応じた負担とする観点から、70歳以上の高齢者の患者負担について定率1割負担(一定以上の所得の者に関しては定率2割負担)を徹底すること及び低所得者に配慮しつつ、自己負担限度額等を見直すこと(図3-2-11)、 図3-2-11 自己負担限度額等の見直し(70歳以上の高齢者)(月額) A 後期高齢者に施策を重点化する観点から、老人医療の対象年齢を現行の70歳以上から75歳以上に5年間で段階的に引き上げるとともに、老人医療費に係る公費負担の割合を現行の3割から5割に5年間で段階的に引き上げること(図3-2-12)、 図3-2-12 老人医療の対象年齢及び公費負担割合の引上げ〜拠出金の負担を軽減〜 B 老人医療費の伸びを適正化するための指針を策定すること、 等の内容が盛り込まれており、平成14年10月からの実施が予定されている。  また、附則において、保険者の再編・統合を含む医療保険制度の体系の在り方、新しい高齢者医療制度の創設、診療報酬体系の見直しに関する基本方針を平成14年度中に策定し、その方針に基づき所要の措置を講ずることを始め、医療保険制度の改革に関する各般の課題について改革を進めることが規定されている。