第2章 高齢社会対策の実施の状況 

2 健康・福祉

○ 健康づくりや疾病予防を国民的な合意の下、国全体として積極的に推進するための法的基盤として、1)健康づくりを総合的に推進するため、国が全国的な目標や基本的な方向を提示すること、2)地域の実情に応じた健康づくりを進めるため、地方公共団体において、健康増進計画を策定すること、3)職域、地域、学校などの健康診査について、生涯を通じた自らの健康づくりに一層活用できるものとするため、共通の指針を定めることなどを内容とする健康増進法(平成14年法律第103号)が平成15年5月1日に施行された。
○ 介護保険制度については、平成12年4月の制度施行以来、在宅サービスを中心に、制度の利用が大きく伸びているところであり、おおむね順調に実施されている。また、介護保険制度は、3年ごとに市町村において保険料を見直し、介護報酬の改定を行うことになっているが、15年4月に、全国市町村において保険料の改定を行い、また、国において、在宅重視、自立支援、サービスの質の向上の観点からの介護報酬の改定を行った。
○ 福祉用具の選択・活用に関する情報を提供するため、福祉用具・住宅改修の利用事例、車いすや特殊寝台の選び方、介護保険給付対象福祉用具の寸法や機能等の商品情報をデータベース化し、これらの情報を利用者や介護支援専門員等がインターネットで検索できるシステムを開発した(平成16年4月から運用開始)。
○ 介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質の向上を図るため、平成15年度から、介護支援専門員実務研修について、ケアマネジメントの重要性の認識を深めるためカリキュラムを改正するとともに、介護支援専門員現任研修についても業務習熟度に応じた研修体系に改めている。
○ 痴呆性高齢者グループホームについて、平成14年度から義務付けられた外部の第三者によるサービス評価を引き続き推進している。
○ 少子高齢化がピークを迎える将来においても医療保険制度の安定的な運営を図るため、健康保険法等の一部を改正する法律(平成14年法律第102号)の附則に基づき、保険者の統合及び再編を含む医療保険制度の体系の在り方、新しい高齢者医療制度の創設、診療報酬体系の見直しに関し、平成15年3月に基本方針を閣議決定した。基本方針においては、年金制度の支給開始年齢や介護保険制度の対象年齢との整合性、また、一人当たり医療費が高く、国民健康保険・被用者保険の制度間で偏在が大きいことを考慮して、65歳以上の者を対象に、75歳以上の後期高齢者と65歳以上75歳未満の前期高齢者のそれぞれの特性に応じた新たな高齢者医療制度を設けることを基本的な方向とした。
○ 平成14年1月に公表された「日本の将来推計人口」において少子化が一層進行する見通しとなったことを受けて、その流れを変えるため、15年3月に政府として「次世代育成支援に関する当面の取組方針」を取りまとめ、従来の「子育てと仕事の両立支援」に加え、「男性を含めた働き方の見直し」、「地域における子育て支援」、「社会保障における次世代支援」及び「子どもの社会性の向上や自立の促進」の四つの柱に沿った対策を総合的・計画的に進めることとし、さらに、同年7月には、これらを推進する基盤となる次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)及び地域における子育て支援の取組強化を図るための児童福祉法の一部を改正する法律(平成15年法律第121号)が成立した(図2−3−26)。

図2−3−26 次世代育成支援対策推進法の概要〈平成17年度から10年間の時限立法〉

図2−3−26 次世代育成支援対策推進法の概要〈平成17年度から10年間の時限立法〉

 

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