第2章 高齢社会対策の実施の状況 

4  生活環境

○ 「第八期住宅建設五箇年計画」(平成13年3月閣議決定。計画期間:13〜17年度)に基づき、高齢者等のニーズの多様性等に的確に対応し、加齢等による身体機能の低下や障害が生じた場合にも基本的にそのまま住み続けることができる住宅の供給及び普及、社会福祉施設との併設の推進等の医療・保健・福祉施策との連携の強化並びに住環境の整備により、安定的で質の高い居住の確保を図っている。
○ 高齢者等誰もが社会の活動に参加・参画し、社会の担い手として役割と責任を果たしつつ、自信と誇りと喜びを持って生活できる社会の実現に向けて、平成16年6月に決定された「バリアフリー化推進要綱」(バリアフリーに関する関係閣僚会議決定)を指針として、政府一体となって社会のバリアフリー化の推進に取り組んでいる。
○ 「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(平成12年法律第68号)に基づき、バリアフリー化の目標や交通事業者等が講ずべき措置、基本構想の指針等を示した、移動円滑化の促進に関する基本方針(平成12年国家公安委員会、運輸省、建設省、自治省告示第1号)が策定されている。このうち、平成16年10月に、市町村が作成する基本構想の指針となるべき事項について、重点整備地区内の建築物も含めた一体的なバリアフリー対応について配慮されるよう基本方針を改正しその旨を明確化した。
○ 高齢者の移動の円滑化を図るため、駅・空港等の公共交通ターミナルのエレベーターの設置等の高齢者の利用に配慮した施設の整備、ノンステップバス等の車両の導入などを推進している(表2−3−39)。

表2−3−39 高齢者等のための公共交通機関施設整備等の状況

表2−3−39 高齢者等のための公共交通機関施設整備等の状況

○ 「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(平成6年法律第44号)に基づき、高齢者等が円滑に利用できる建築物の建築を促進するため、不特定多数の者又は主に高齢者等が利用する特定の建築物の一定の新築・増改築の際に建築主に基準への適合義務を課すことにより、建築物のバリアフリー化を推進している。
○ 「振り込め詐欺」(いわゆる「オレオレ詐欺」等)については、平成16年12月に改正された「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律」(平成14年法律第32号)を活用するなどして、取締りを強化するとともに、被害実態に応じたきめ細やかな広報や金融機関等との連携に努めている。
○ また、平成16年3月に実施した「家庭内における高齢者虐待に関する調査」の結果を踏まえ、介護保険制度の見直しにおいて、高齢者虐待への対応を含む総合的な相談窓口機能を担う「地域包括支援センター」の創設等を行うこととし、17年2月に「介護保険法等の一部を改正する法律案」を第162回国会へ提出した。
○ 「住宅防火基本方針」(平成13年4月消防庁策定)に基づき、高齢者等を中心とした住宅火災による死者の低減を目標とした広報・普及啓発活動等の住宅防火対策を推進している。さらに、平成16年には、高齢者が過半を占める住宅火災による死者を低減するため、住宅用火災警報器等の設置の義務付け等を内容とする「消防法及び石油コンビナート等災害防止法の一部を改正する法律」(平成16年法律第65号)が第159回国会において成立し、16年6月2日に公布された。
○ 高齢者が安全に避難できる仕組みを築き上げるためには、早期の段階での避難情報の伝達と避難支援体制の整備が不可欠である。平成16年10月に立ち上げた、有識者等からなる「集中豪雨時等における情報伝達及び高齢者等の避難支援に関する検討会」においては、これまでの避難勧告・指示よりも早い段階で、高齢者等の避難行動に時間がかかる者を対象とした「避難準備(要援護者避難)情報」の発令や、高齢者等の一人につき複数の避難支援者を定めた具体的な避難支援計画(避難支援プラン)の策定など、市町村が高齢者等の避難支援について取り組むに当たって指針とすべき、「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」を17年3月に取りまとめた。
〇 農村高齢者の農業関係活動や地域活動への取組を推進するため、高齢者活動に対する啓発、高齢者の自立活動及び都市高齢者等と行う地域づくり活動等を促進した。また、高齢者の持つ経験や能力をいかし、森林の利用に関する社会参画を促進するため、森林環境教育活動の企画運営者研修や指導者情報の提供などを行った。

 

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