第1章 高齢化の状況(第2節 1(3))

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第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向

1 高齢者の家族と世帯がどのように変化してきたか

(3)一人暮らし高齢者は増加傾向にあるも一人で過ごすことには不安を感じている

65歳以上の一人暮らし高齢者の増加は男女共に顕著であり、昭和55(1980)年には男性約19万人、女性約69万人、高齢者人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%であったが、平成17(2005)年には男性約105万人、女性約281万人、高齢者人口に占める割合は男性9.7%、女性19.0%となっている。今後も一人暮らし高齢者は増加を続け、特に男性で一人暮らし高齢者の割合が大きく伸びることが見込まれている(図1-2-8)。

図1-2-8 一人暮らしの高齢者の動向

なお、一人暮らし高齢者の割合が増加する要因としては、未婚率や離婚率の上昇、配偶者との死別後でも子と同居しない者の増加などが挙げられる。

一方、一人暮らし高齢者については、平成17(2005)年度において、「日常生活に満足」とする割合が74.0%に上っているものの、「心配ごとがある」とする割合も63.0%と過半数を超えており、14(2002)年度調査の41.2%に比べて20ポイント以上増加している。また、「心配ごとがある」一人暮らし高齢者のうち、「頼れる人がいない」と回答した割合は30.7%と、14(2002)年度調査16.8%から大幅に増加しており、一般世帯4.7%の約6.5倍となっている。さらに、14(2002)年度調査と比較して、「心配ごとがある」割合は約1.5倍に、「頼れる人がいない」割合が約1.8倍に伸びている(図1-2-9)。

図1-2-9 日常生活における心配ごと及びその内容について

こうしたことから、一人で過ごすことへの不安を感じている高齢者の割合が増えていることがうかがえる。

また、平成17(2005)年度において、緊急時の連絡先として「娘」「息子」を挙げている人がそれぞれ4割強と「兄弟姉妹」「となり近所の人」「友人・知人」等に比べて圧倒的に多数を占めていることから、一人暮らしであっても、多くの高齢者が子どもとのつながりを望んでいることがわかる(図1-2-10)。

図1-2-10 一人暮らし高齢者の緊急時の連絡先

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