平成19年度 高齢社会対策(第2 4(2))

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第2 分野別の高齢社会対策

4 生活環境

(2)ユニバーサルデザインに配慮したまちづくりの総合的推進

高齢者等誰もが社会の活動に参加・参画できるよう、「バリアフリー化推進要綱」(平成16年6月バリアフリーに関する関係閣僚会議決定)を具体的な指針として、政府一体となって社会のバリアフリー化の推進に取り組む。

ア 高齢者に配慮したまちづくりの総合的推進

高齢者等すべての人が安全・安心に生活し、社会参加できるよう、高齢者に配慮したまちづくりを総合的に推進するため、バリアフリー環境整備促進事業を実施する。

また、商店街において大きな課題となっている空き店舗の解消・活用と、高齢化社会への対応を図るため、商店街の空き店舗を活用して、地域社会において高齢者交流拠点等の機能を担うコミュニティ施設を設置・運営する事業への支援を行う。

イ 公共交通機関のバリアフリー化、歩行空間の形成、道路交通環境の整備

「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平成18年法律第91号。以下、「バリアフリー新法」という。)に基づき、地方公共団体による基本構想の作成や公共交通事業者等によるバリアフリー化の取組を促進する。また、バリアフリー新法の施行に伴い、既存の「公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン」や「公共交通機関の車両に関するモデルデザイン」、及び「道路の移動円滑化整備ガイドライン」などを始めとする各種ガイドラインの見直しを行い、利用者にとってより望ましい形で公共交通機関や歩行空間のバリアフリー化が進むよう、一層の普及を図る。

鉄道駅、バスターミナル、旅客船ターミナル、航空旅客ターミナルにおけるエレベーター等バリアフリー施設の整備については、補助や日本政策投資銀行等による低利融資による支援を行うとともに、鉄道駅におけるエレベーター等の設置について、税制上の特例措置を講じる。

同様に、ノンステップバス、低床型路面電車等の車両の導入に対しては、補助及び日本政策投資銀行等による融資を行うほか、ノンステップバス、リフト付バス・タクシー、スロープ付タクシー、低床型路面電車、移動円滑化基準に適合する客席数60席以上の航空機の導入について、税制上の特例措置を講じる。

交通事故が多発している住居系地区や商業系地区において、面的かつ総合的な事故対策の実施により歩行者等の安全通行を確保するあんしん歩行エリアを中心に、〔1〕幅の広い歩道の整備、〔2〕歩道の段差解消・勾配等の改善、〔3〕上下移動の負担を軽減するためのスロープや立体横断施設へのエレベーターの設置、〔4〕歩行者用案内標識の設置、〔5〕歩行者等を優先する道路構造の整備、〔6〕自転車道等の設置による歩行者と自転車交通の分離、〔7〕生活道路における通過交通の進入及び速度の抑制並びに幹線道路における交通流の円滑化を図るための信号機、道路標識、道路構造等の重点的整備、〔8〕バリアフリー対応型信号機の整備、〔9〕歩車分離式信号の運用、〔10〕携帯端末を用いて安全な通行に必要な情報提供、信号機の青時間の延長等を行う歩行者等支援情報通信システム(PICS)の整備、〔11〕信号灯器のLED(発光ダイオード)化を推進し、高齢歩行者等の安全を確保する。

また、「生活道路事故抑止対策マニュアル」を活用するなどして、路側帯の拡幅による歩行者通行環境の整備、車道の中央線抹消による車両の走行速度の抑制対策等を実施する。

さらに、外周道路を幹線道路に囲まれている等のまとまりのある住区や中心市街地の街区などにおいて、一般車両の地区内への流入を制限して身近な道路を歩行者・自転車優先とし、併せて無電柱化や緑化等の環境整備を行って、交通安全の確保と生活環境の質の向上を図ろうとする「くらしのみちゾーン」を形成する。このため、平成19年3月までに登録した55地区に加え、更に意欲の高い地区を募集し、合意形成支援等ソフト面を含めた支援を実施する。

積雪や凍結に対し、鉄道駅周辺や中心市街地等特に安全で快適な歩行空間の確保が必要なところにおいて、歩道除雪の充実、消融雪施設等の冬期バリアフリー対策を推進する。

高齢者が安心して自動車を運転し外出できるよう、ゆとりある道路構造の確保や視環境の向上、疲労運転の防止等を図るため、生活道路における交通規制の見直し、付加車線(ゆずりあい車線)の整備、道路照明の増設、道路標識の高輝度化・大型化、道路標示の高輝度化、信号灯器のLED化、「道の駅」等の簡易パーキングエリアの整備等、道路交通環境の整備を推進する。

「心のバリアフリー」社会を実現し、ハード面のみならずソフト面も含む総合的な交通バリアフリー化を実現するため、交通ボランティアの組織化・活性化を促進するとともに、交通バリアフリー教室の対象を拡大する等、総合的な人材育成等を推進する。

ウ 建築物・公共施設等の改善

バリアフリー新法に基づき、建築物のバリアフリー化を引き続き推進するとともに、一定の建築物については、税制上の特例措置や、日本政策投資銀行等による政策融資等により支援を行い、優良なバリアフリー建築物の建築の一層の促進を図る。

さらに、バリアフリー環境整備促進事業により、バリアフリー新法に基づく認定特定建築物におけるスロープ、エレベーター等の整備に対し補助を行うことにより、高齢者・障害者等が円滑に利用できる建築物の建築を促進する。

窓口業務が行われている官庁施設について、高齢者等すべての人が円滑かつ快適に施設を利用できるよう、窓口業務を行う事務室の出入口の自動ドア化、多機能トイレの設置等による高度なバリアフリー化を目指した整備を推進する。また、既存施設について、自動ドア、エレベーター等の改修を積極的に実施する。

都市公園については、バリアフリー新法に基づき、特定の公園施設の新設、増設又は改築を行う際に公園管理者に基準への適合義務を課すことにより、高齢者や障害者を含むすべての人々が快適に活動できるよう、主要な園路の段差の解消、車いすでも利用可能な駐車場やトイレの設置など、公園施設のバリアフリー化を推進する。

エ 福祉施策との連携

大規模な公共賃貸住宅の建て替えに際して社会福祉施設等を原則として併設するとともに、高齢者等が利用する社会福祉施設を中心市街地等の利用しやすい場所に適正に配置するため、市街地再開発事業等において社会福祉施設等を一体的に整備する場合、補助の上乗せを行う。

農山漁村においては、ほ場整備等による福祉施設の用地の創出と農園等との整備を一体的に行う。

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