第1章 高齢化の状況(第3節4(2))

[目次]  [前へ]  [次へ]

第3節 高齢者の社会的孤立と地域社会 ~「孤立」から「つながり」、そして「支え合い」へ~

4 「孤立」から「つながり」、そして「支え合い」へと向かう取組

(2)人との「つながり」を持てる機会づくりを

第二のポイントは、高齢者が人との「つながり」を持てる機会づくりである。
つながりを持てる場の一つに「働く場」がある。我が国の高齢者は就業意欲が高く、「働けるうちはいつまでも働きたい」という者も多い(図1-2-4-2)ことから、高齢者の就業の場を確保することは仕事を通じた社会との「つながり」をつくり、「孤立」を防ぐことに役立つ。

一方、就業の有無に関わらず、地域において「人」とのつながりを持つことは重要であり、まず、高齢者が何らかの形で地域や近隣の人との接点をもつことによりふれあいが生まれ、さらには周囲が高齢者のニーズを把握することができ、「支え合い」を行う端緒となる。
社会的孤立状態を改善するためには、様々な態様に対応した施策を講じることが重要である。孤立状態にあっても日々の生活には困っていないが緊急の場合に不安を感じるという人、まさに孤立そのものが問題であり日々の「居場所」を求めている人、生命に関わる深刻な問題に直面している人など様々であり、「支え手」に求められるものをメニュー化することは容易ではない。支え合いの内容は、地域の中で「つながり」を持ち、当事者の意見を聞きながら探っていくことが重要である。
例えば、近年、家の中に引きこもっている高齢者に対して、まずは地域との「つながり」を回復するために、高齢者をはじめとした地域の誰でもが気軽に立ち寄って、お茶を飲んだり食事をしながらおしゃべりのできる「居場所」("サロン" "居場所" "コミュニティ・カフェ" "茶の間" 等と呼ばれている)をつくる動きが全国で拡がりつつある。こうした取組は、「居場所」を確保することそのものが孤独感にさいなまれている高齢者にとって意味を持つだけでなく、そこを訪れた高齢者から、何に困っているのか、何を必要としているのかを聞き出すことができ、その後の対応につなげることができるという意味でも高い意義を持っている。

→コラム「誰でも気軽に立ち寄れる『居場所』が増えている」(事例:特定非営利活動法人ふらっとステーション・ドリーム等)

→コラム「見守りや安否確認の取組」(事例:東京都日野市)

[目次]  [前へ]  [次へ]