平成22年度 高齢社会対策(第2 1(1))

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第2 分野別の高齢社会対策

1 就業・所得

(1)高齢者の雇用・就業の機会の確保

ア 知識、経験を活用した65歳までの雇用の確保

平成18年4月より、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(昭和46年法律第68号。以下「高齢法」という。)に基づき、公的年金の支給開始年齢の引上げに合わせ、事業主に対して、22年度からは64歳、25年度からは65歳までというように段階的な定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)を講じることが義務付けられており、高年齢者雇用確保措置を講じていない事業主に対しては、公共職業安定所による指導、助言を実施するとともに、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の高年齢者雇用アドバイザーによる効果的な相談・助言を行う。
公務部門における高齢者雇用については、再任用制度の活用を基本とし、平成22年度から再任用の上限年齢が64歳に引き上げられることも踏まえ、その推進を図る。

イ 中高年齢者の再就職の援助・促進

「事業主都合の解雇」又は「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準に該当しなかったこと」により離職する高年齢離職予定者の希望に応じて、その職務の経歴、職業能力等の再就職に資する事項や再就職援助措置を記載した書面(以下「求職活動支援書」という。)を作成・交付するよう、事業主に対する周知・啓発を行うとともに、必要な指導・支援を行う。なお、これらの中高年齢者の有する豊富な職業キャリアの記載ができる「職業キャリアが長い方向けのジョブ・カード」を求職活動支援書としても活用することが可能となっている。
また、高年齢者等の安定した就職の実現を図るため、常用雇用に向けて中高年齢者を一定期間試行的に雇用する事業主に対して中高年齢者試行雇用奨励金を支給するとともに、高年齢者等の就職困難者を公共職業安定所等の紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対する助成措置(特定求職者雇用開発助成金)を実施する。
このほか、事業主団体と公共職業安定機関との協力の下、技能講習、合同面接会等を一体的に行うシニアワークプログラム事業を実施する。

ウ 多様な形態による雇用・就業機会の確保

高齢者の多様な就業ニーズに対応し、高齢者が生きがいを持って地域社会で生活できるようにするため、定年退職後等において、臨時的・短期的又は軽易な就業を希望する者に対し、意欲や能力に応じた就業機会、社会参加の場を総合的に提供するシルバー人材センター事業について、「教育、子育て、介護、環境」の分野を重点にシルバー人材センターと地方公共団体が共同して企画提案した事業の支援を拡大するほか、各シルバー人材センターにおいて会員が身近な地域で安心して働くことができるよう多様な就業機会を提供するとともに、適切な運営の確保を図る。
また、高齢者の技術、技能、資格、職業経験等を登録し、地域の企業、団体、家庭、地域コミュニティなどからの高齢者ニーズに適合させるために、ワークショップ、就業支援講座等を開催するシニア就業支援プログラム事業を実施する。

エ 起業の支援

45歳以上の高年齢者等3人以上が共同して事業を開始し、労働者を雇い入れ、継続的な雇用・就業の機会を創出する場合に、当該事業の開始に要した経費の一部を助成することにより、自らの職業経験等を活かして起業しようとする高年齢者等を支援する。
株式会社日本政策金融公庫(国民生活事業・中小企業事業)において、高齢者等を対象に優遇金利を適用する融資制度(女性、若者/シニア起業家支援資金)により開業・創業の支援を行う。

オ 年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けた取組

「雇用対策法」(昭和41年法律第132号)第10条に基づき、労働者の一人一人により均等な働く機会が与えられるよう、引き続き、労働者の募集・採用における年齢制限禁止の義務化の徹底を図るべく、指導等を行う。
また、公的年金の定額部分(男性)の支給開始年齢が平成25年4月以降65歳に引き上げられること、いわゆる団塊の世代が24年には65歳に到達し始めること等を踏まえ、希望者全員が65歳まで働ける制度、さらには企業の実情に応じて70歳まで働ける制度の普及に取り組む。
年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けた取組として、「70歳まで働ける企業」推進プロジェクトにより、先進的企業の取組内容等の周知や70歳雇用支援アドバイザーによる人事処遇制度等の見直しに対する個別相談・援助を実施するとともに、各地域の事業主団体等に委託し、地域において波及効果が期待できる企業を、規模・業種別にトライアル企業として選定し、希望者全員が65歳まで働ける制度及び70歳まで働ける制度の導入のための検討を行い、取組の意義や課題、ノウハウを関係者が共有することで、地域における気運の醸成と成果の波及を図る。また、定年引上げ等奨励金について、65歳以上への定年の引上げ、希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度の導入又は定年の定めの廃止、希望者全員を対象とする65歳前に契約期間が切れない安定的な継続雇用制度の導入や、勤務時間の多様化を行う中小企業事業主に対して助成するとともに、65歳以上まで働くことができる環境を整備するため、職域の拡大や処遇の改善、外部の高年齢者の活用に関して先進的な取組を実施する事業主に対して助成を行う。また、新たに高年齢者雇用確保充実奨励金を創設し、事業主団体が傘下事業主に対し希望者全員が65歳まで働ける制度及び何らかの形で70歳まで働けるための制度導入等の各種支援を実施した場合に、助成を行う。
日本政策金融公庫(国民生活事業・中小企業事業)において、エイジフリーな勤労環境の整備を促進するため、高齢者(60歳以上)等の雇用を伴う設備投資を行う事業者に対しては、雇用要件の緩和(2名以上から1名以上に緩和)を継続して措置する予定である。

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