平成22年度 高齢社会対策(第2 1(3))

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第2 分野別の高齢社会対策

1 就業・所得

(3)公的年金制度の安定的運営

ア 持続可能で安定的な公的年金制度の確立

公的年金制度の基本的な考え方や重要性について、国民の理解と合意を得るため、広報等を通じて啓発を図る。また、年金権の確保や負担の公平性の観点から、国民年金保険料の未納者に対しては、民間委託等を活用した納付督励を行うとともに、所得情報を活用した免除等申請の勧奨や強制徴収などの収納対策を着実に実施する。
基礎年金の国庫負担割合については、平成22年度においては、財政投融資特別会計からの一般会計への繰入れにより臨時の財源を手当てし、基礎年金国庫負担割合を2分の1としたところである。今後、「税制の抜本的な改革」により所要の安定財源を確保した上で、2分の1を恒久化するとともに、仮に恒久化する年度が24年度以降となった場合には、それまでの間も、臨時の法制上及び財政上の措置を講ずることにより2分の1を維持する。
年金制度については、雇用の流動化など時代にあった、公平・透明で分かりやすい年金制度とする観点から、年金制度を例外なく一元化し、全ての国民が加入する「所得比例年金」と月額7万円の「最低保障年金」を骨格とする新たな年金制度のための法律を平成25年に成立させることとしており、今後、具体的な制度設計に向けた検討を進める。
他方、新制度発足後も現行制度に基づく給付が続くことも踏まえれば、新制度との整合性も図りながら、現行制度の改善にも取り組んでいく必要があり、特に現時点で無年金の方が多数いることや、国民年金保険料の納付率が近年低下していることを踏まえれば、無年金・低年金問題への対応は重要な課題となっている。
具体的な対策としては、平成21年12月には、記録上では年金の受給資格期間を満たしていないが、任意加入等により年金受給に結びつく可能性がある63歳以上の加入者約50万人を対象として、加入期間の確認を促すためのお知らせを発送しており、これまでの記録問題の取組みにより、20年5月以降、202名(平成22年2月現在)が新たに年金受給権を得ることとなった。
また、平成22年通常国会に提出した「国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律案」には、保険料を納めやすくすることで、将来の無年金・低年金を防止する等の観点から、国民年金保険料の納付可能期間を2年から10年に延長する等の措置を行うことを盛り込んでいる。

イ 個人のライフスタイルの選択に中立的な公的年金制度の構築

上述の新年金制度における「所得比例年金」については、職種を問わず全ての人が同じ制度に加入し、所得が同じなら同じ保険料を負担し、納めた保険料を基に受給額を計算することとされており、今後、具体的な制度設計に向けた検討を進める。

ウ 公的年金制度の一元化の推進

上述のとおり、年金制度を例外なく一元化し、全ての国民が加入する「所得比例年金」と月額7万円の「最低保障年金」を骨格とする新たな年金制度のための法律を平成25年に成立させることとしており、今後、具体的な制度設計に向けた検討を進める。

エ 日本年金機構による適切な運営と年金記録問題への対応

年金記録問題については、その対応を「国家プロジェクト」と位置づけ、平成22年・23年度の2年間に集中的に取り組み、25年度までの4年間にできる限りの対策を進めることとしている。
具体的には、以下の取組などを行うことにより、引き続き、その解決に向け、全力を挙げて取組むこととしている。

<1>
紙台帳検索システムによるコンピュータ記録と紙台帳との突合せについて、平成22年秋頃までにはコンピュータ記録と紙台帳との突合せを開始し、優先順位を付けた上で、効率的に実施し、22年度中には、25年度までの4年間で全件照合を完了できる実施体制を整備する。
<2>
平成23年3月末までに、現在のパソコンを使ったインターネットでの年金記録の確認をより使いやすいものにし、また、自宅でパソコンが使えない方であっても、市区町村、郵便局等のパソコンを使って保険料納付状況などを確認できるようにする。
<3>
各種のサンプル調査の実施などを通じて未解決事案についての実態解明を進める。
<4>
一定の条件を満たす場合には、年金事務所段階での記録回復を進める。

また、日本年金機構においては、一刻も早く年金制度に対する国民の信頼の回復を図るため、最優先課題である年金記録問題への対応に併せ、サービスの質の向上や業務運営の効率化、業務の公正性・透明性の確保など、様々な取組を進めることとしている。

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