第1章 高齢化の状況(第2節 コラム1)

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第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向

コラム1 高齢者の能力を活用したソーシャルビジネス

第1章第2節4「高齢者の就業」で見たように、我が国における高齢者の就業意欲は高い状態にある。今後、労働力人口の減少と高齢化が同時進行することを踏まえると、高齢者が年齢にかかわらず、働き続けたり起業できる環境を整えることが重要である。ここでは、ソーシャルビジネスを支援するために経済産業省がとりまとめた「ソーシャルビジネス・ケースブック」から、高齢者が社会的課題に事業性を確保しながら取り組んでいる事例を紹介する。

信州西山地域の郷土食であった「おやき」を販売している株式会社小川の庄は、人口3、000人の長野県小川村において、地元の素材と伝統、高齢者の労働力を活用した「新しい村づくり」を目指して創業した。「集落一品づくり」(お年寄りが自宅の近くで働くことができるように集落ごとに工房を作ること)や「60歳入社、定年なし」(60歳以上でも入社でき、生涯現役で働き続けられること)を目標に事業を行っている。従業員は高齢者の技と経験を生かして楽しく働き続けている。

コラム1の写真

特定非営利活動法人「よろずや余之助」は、定年後に仲間と一緒に楽しく過ごしたいという代表者の思いから結成され、雇用の増大や新たな産業の創出を目的に経済産業省が実施した平成14年度市民活動活性化モデル事業(市民ベンチャー事業)に採択されたことをきっかけに、コミュニティ・カフェや地域の物品販売等の事業を開始した。カフェでは地域の人が気軽に相談できる無料相談窓口が常設され、代表の同級生であった専門家が対応しており、相談ごとの中からイベント事業など「よろずや余之助」の収益事業も生まれている。

コラム1の図

これらは、地域のコミュニティによる結びつきを強化すると同時に、事業でも成果をもたらした事例であり、今後の広がりが期待される。

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