平成23年度 高齢社会対策(第2 1(3))

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第2 分野別の高齢社会対策

1 就業・所得

(3)公的年金制度の安定的運営

ア 持続可能で安定的な公的年金制度の確立

基礎年金国庫負担割合については、第177回通常国会に提出中の国庫負担割合2分の1を維持するための法案の早期成立に向けて取り組む。
また、参議院で継続審議となっている「国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律案(年金確保支援法案)」についても早期成立に向けて取り組む。

イ 個人のライフスタイルの選択に中立的な公的年金制度の構築

年金制度改革については、年金制度を例外なく一元化し、すべての人が「所得が同じなら同じ保険料」を負担し、納めた保険料を基に受給額を計算する「所得比例年金」の創設などを骨格とする新たな年金制度について、国民的な議論を行って、平成25年の国会に所要の法案を提出することとしている。

ウ 公的年金制度の一元化の推進

上述のとおり、年金制度を例外なく一元化することを含めた新たな年金制度を創設するための法案を、平成25年の国会に提出することとしている。

今後、平成22年12月の閣議決定「社会保障改革の推進について」を踏まえ、23年半ばまでに、具体的な制度改革案を明らかにするとともに必要財源の安定的確保と財政健全化を同時に達成するための税制改革の方針を示すこととしており、新たな年金制度についてもこの枠組みに沿って検討を進めることとしている。

エ 日本年金機構による適切な運営と年金記録問題への対応

日本年金機構については、厚生労働大臣が定めた中期目標に基づき、日本年金機構により作成された平成23年度計画を認可し、その着実な実施を求めることにより、公的年金制度の適切な運営の確保に努める。
具体的には、年金記録問題への対応については、紙台帳検索システムによる紙台帳等とコンピュータ記録の突合せ、インターネットでの記録確認をより使いやすいものとした「ねんきんネット」サービスの充実、年金通帳に関する調査の実施などの取組を進める。
また、国民年金の適用事務については、第3号被保険者の記録不整合問題に関して、法律による抜本的な改善策について的確な施行準備を行うなどの取組を推進するとともに、国民年金の収納事務については、平成23年度の現年度納付率が平成21年度と同程度の水準(60.0%)を確保することを目標に、市場化テスト受託事業者との連携を強化するとともに社会保障と税の一体改革の検討状況を踏まえつつ、厚生労働省と日本年金機構が連携を密にして更なる収納対策の検討を行う。
厚生年金保険等の適用事務については、未適用事業所の確実な把握に向け、厚生年金保険と雇用保険の適用事業所の全数突合等を行うとともに、厚生年金保険等の徴収事務については、適用事業所の新規適用時における口座振替の利用の協力を事業主に求め、また、納付指導に応じない事業所に対しては、必要に応じて、国税庁に委任する仕組みを適切に活用する。
給付事務については、年金給付の請求書を受け付けてから年金が決定され、年金証書が請求者の方々に届くまでの所要日数を設定した「サービススタンダード」の達成状況を適切に把握し、迅速な事務処理を推進する。
この他、年金相談の充実、サービスの質の向上や業務運営の効率化、業務の公正性・透明性の確保などの取組を進めることとしている。

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