平成23年度 高齢社会対策(第2 4(1))

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第2 分野別の高齢社会対策

4 生活環境

(1)安定したゆとりある住生活の確保

「住生活基本計画(全国計画)」(平成23年3月閣議決定)に掲げた目標(〔1〕安全・安心で豊かな住生活を支える生活環境の構築、〔2〕住宅の適正な管理及び再生、〔3〕多様な居住ニーズが適切に実現される住宅市場の環境整備、〔4〕住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保)を達成するため、必要な施策を着実に推進する。

ア 良質な住宅の供給促進

(ア)持家の計画的な取得・改善努力への援助等の推進

良質な持家の取得・改善を促進するため、勤労者財産形成住宅貯蓄、独立行政法人住宅金融支援機構の証券化支援事業及び勤労者財産形成持家融資を行う。また、住宅ローン減税等の税制上の措置により、引き続き良質な住宅の供給を促進する。

(イ)良質な民間賃貸住宅の供給促進

高齢者が安心して暮らすことができる住まいの確保に向け、平成23年4月に「高齢者の居住の安定確保に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されたところであり、介護・医療と連携して、「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度を創設することとしている。このサービス付き高齢者向け住宅の供給促進のため、整備費に対する補助、税制の特例、住宅金融支援機構による融資を合わせて支援を行う。

(ウ)公共賃貸住宅の適切な供給

老朽化した公共賃貸住宅については、計画的な建替え・改善を推進する。

(エ)住宅市場の環境整備

新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)を踏まえ、中古・リフォーム市場整備のための総合的プランを策定し、実施する。また、引き続きホームセンター、家電量販店、家具量販店、百貨店、ドラッグストア等やラジオ番組との連携による消費者の普及啓発を行うほか、建物検査、住宅履歴情報の蓄積、保険制度への加入を行う事業に対する補助を継続して実施する。
インターネットを利用して消費者が中古住宅やリフォーム事業者を選択できる環境の整備を図る。
さらに、住宅エコポイント制度において、エコリフォームと併せて行うバリアフリーリフォームについてポイント発行対象とし、住宅の省エネ化と併せて、住宅のバリアフリー化を促進する。

イ 多様な居住形態への対応

(ア)持家における同居等のニーズへの対応

住宅金融支援機構において、親族居住用住宅を証券化支援事業の対象とするとともに、親子が債務を継承して返済する親子リレー返済(承継償還制度)を実施する。

(イ)高齢者の民間賃貸住宅への入居の円滑化

高齢者等の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、地方公共団体や関係事業者、居住支援団体等が組織する居住支援協議会が行う相談・情報提供等に対する支援を行う。

(ウ)高齢者のニーズに対応した公共賃貸住宅の供給

公営住宅については、老人世帯向公営住宅の供給を行う。また、引き続き地域の実情を踏まえた事業主体の判断により、高齢者世帯の入居収入基準を一定額まで引き上げるとともに、入居者選考において優先的に取り扱う。
都市再生機構賃貸住宅においては、高齢者同居世帯等に対する入居又は住宅変更における優遇措置を行う。

(エ)高齢者の高齢期に適した住宅への住み替え支援

高齢者等の所有する戸建て住宅等を、広い住宅を必要とする子育て世帯等へ賃貸することを円滑化する高齢者等の住み替え支援制度の普及を図る。
また、同制度を活用して住み替え先住宅を取得する費用について、住宅金融支援機構の証券化支援事業における民間住宅ローンの買取要件の緩和を行う。さらに、旧住宅公庫の融資について、返済期間中に自ら居住する要件を緩和し、高齢者等が所有する戸建て住宅等を子育て世帯等へ賃貸することを可能とする。

ウ 自立や介護に配慮した住宅の整備

(ア)高齢者の自立や介護に配慮した住宅の建設及び改造の促進

「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」(平成13年国土交通省告示第1301号)の普及など住宅のバリアフリー化施策を積極的に展開する。
住宅金融支援機構においては、高齢者自らが行う住宅のバリアフリー改修について高齢者向け返済特例制度を適用した融資を実施する。また、証券化支援事業において、バリアフリー等の性能に優れた住宅に係る金利引下げを行う優良住宅取得支援制度について、時限的に金利引下げ幅を拡大する。さらに、住宅融資保険制度を活用し、民間金融機関が提供する住宅改良等資金に係るリバースモーゲージの推進を支援する。
また、バリアフリー構造等を有する「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度を新たに創設し、その供給促進のため、整備費に対する補助、税制上の特例措置、住宅金融支援機構の融資による支援を行う。

(イ)公共賃貸住宅

公共賃貸住宅においては、バリアフリー化を推進するため、原則として、新たに供給するすべての公営住宅、改良住宅及び都市再生機構賃貸住宅について、段差の解消等一定の高齢化に対応した仕様により建設する。
この際、公営住宅、改良住宅の整備においては、中層住宅におけるエレベーター設置等の高齢者向けの設計・設備によって増加する工事費について助成を行う。都市再生機構賃貸住宅においても、中層住宅の供給においてはエレベーター設置を標準とする。

(ウ)住宅と福祉の施策の連携強化

高齢者住まい法に基づき、都道府県において、高齢者の居住の安定確保のための計画を定めることを支援していく。また、生活支援・介護サービスが提供される高齢者向けの賃貸住宅の供給を促進し、医療・介護と連携した安心できる住まいの提供を実施していく。
また、市町村の総合的な高齢者住宅施策の下、シルバーハウジング・プロジェクト事業を実施するとともに、公営住宅等においてライフサポートアドバイザー等のサービス提供の拠点となる高齢者生活相談所の整備を促進する。

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