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コラム3 地域における雪害対策

我が国では近年、豪雪地帯において屋根の雪おろしなど除雪作業中の事故が多発しており、雪害の犠牲者は平成22(2010)年度に131人、23(2011)年度に132人に達した。また、豪雪地帯の多くは人口減少や高齢化が進んでおり、23(2011)年度の犠牲者132人のうち85人(64%)は65歳以上の高齢者であった(注)。さらに、こうした地域では、農林水産業の被害や道路の除雪も課題となっている。

こうした雪害に対して、内閣府及び国土交通省では、「大雪に対する防災力向上方策検討会」において、豪雪地帯の雪害対策について検討を行い、24(2012)年4月に「大雪に対する防災力向上方策検討会提言 -豪雪地域の防災力向上に向けて-」及び先進的な取組をまとめた事例集「共助・公助による地域除雪の取組事例」を公表した。

この事例集では、自治会・町内会活動の一環として高齢者宅の雪降ろしを行う事例や、自治体や社会福祉協議会(以下、社協という。)が除雪ボランティアの登録制度を設けて除雪にあたる事例、地域住民が参加してNPOを組織し有償ボランティアを行う事例等、様々な形態の取組が紹介されている。ここでは、事例集の中から山形県及び岩手県の事例を紹介する。

山形県山形市では、平成18(2006)年豪雪の際、年始で人手不足のために高等学校へボランティアの要請を行ったことをきっかけに、高校生による除雪ボランティアの取組を始めた。市社協が、民生委員による情報をもとにした要支援者等のリスト作成、用具の貸し出しを行い、23(2011)年度は、市内9校の高校生や中学生がボランティアに参加した。年々、除雪活動を行う学校は増えており、除雪だけでなく一年を通した交流に発展している事例も見られるという。また、同県尾花沢市では、20(2008)年度より、宮沢地区の地域住民が共同で高齢者宅等の一斉除雪作業を行うとともに、地元中学生による除雪ボランティアを毎年実施している。

岩手県では、県社協の呼びかけにより、5(1993)年に、県内5町村で除雪ボランティアを行う「スノーバスターズ」が発足した。現在、スノーバスターズは15市町村に広がり、年間延べ2,000人以上の隊員が、各地域のニーズに応じて、高齢者宅等のパトロール、雪かき、道ふみ、雪下ろしの手伝い等の活動を行っている。

こうした除雪ボランティアの取組は、高齢化が進む豪雪地域における共助のあり方として注目されている。


(注) 平成22年度は、平成23年6月3日付消防庁「今冬(平成22年11月から平成23年3月まで)の雪による被害状況等」より、平成23年度は、平成24年4月16日付消防庁「今冬(平成23年11月から平成24年3月31日まで)の雪による被害状況等」より
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