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第2章 第2節 5 高齢社会に対応した市場の活性化と調査研究推進のための基本的施策

第2節 分野別の施策の実施の状況

5 高齢社会に対応した市場の活性化と調査研究推進のための基本的施策

「高齢社会に対応した市場の活性化と調査研究推進のための基本的施策」については、高齢社会対策大綱において、次の方針を示している。

高齢者が健康で活躍しやすい環境づくりのために、高齢者に優しく、ニーズに合致した機器やサービスの開発を支援することで、高齢者向け市場を活性化させ、高齢者の消費を高めるとともに、高齢化に対応した産業の強化等を通じて高齢者が生活の質を保ち、安心で快適で豊かな暮らしを送ることができるような環境を形成する。

また、科学技術の研究開発とその活用は、高齢化に伴う課題の解決に大きく寄与するものであることから、高齢者に特有の疾病及び健康増進に関する調査研究、高齢者の利用に配慮した福祉用具、生活用品、情報通信機器等の研究開発など各種の調査研究等を推進するとともに、そのために必要な基盤の整備を図る。

(1)高齢者向け市場の開拓と活性化

ア 医療・介護・健康関連産業の強化

公的保険外の医療・介護周辺サービス産業創出のため、関連する規制・制度や事業化の可能性について調査・検討を行うとともに、サービスの創出・事業化に対する支援を行った。

イ 不安の解消、生涯を楽しむための医療・介護サービスの基盤強化

医療・介護従事者不足や医師の診療科偏在・地域偏在の課題等の解決のための取組として、地域医療支援センターの拡充(平成25年は30道府県に設置)、チーム医療の推進等を行った。医学部入学定員については、24年11月に入学定員の上限を125名から140名まで引き上げ、これを踏まえて25年度の医学部の入学定員を50人増員した(20年度からの定員増は累積1,416人)。また、病床に応じた医療資源の投入を行い、効率的・効果的な質の高い医療サービスを安定的に提供できる体制の構築に向けた取組を進めている。

また、地域包括ケアの推進等により住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるような体制整備を目指して、引き続き在宅での医療と介護の連携の推進など、制度、報酬及び予算面から包括的に取組を行っている。

ウ 地域における高齢者の安心な暮らしの実現

平成25年度においても、地域主導による地域医療の再生や在宅介護の充実を引き続き図った。そのため、介護関係者のみならず、医療関係者や地域住民などの多職種で地域の課題把握等を行う「地域ケア会議」の取組の推進や、情報通信技術の活用による在宅での生活支援ツールの整備などを進め、地域に暮らす高齢者が自らの希望するサービスを受けることができる社会の構築をすすめた。

高齢者が安心して健康な生活が送れるようになることで、生涯学習や、教養・知識を吸収するための旅行など、新たなシニア向けサービスの需要も創造される。また、高齢者の起業や雇用にもつながるほか、高齢者が有する技術・知識等が次世代へも継承される。こうした好循環を可能とする環境の整備を行っている。

(2)超高齢社会に対応するための調査研究等の推進と基盤整備

ア 医療関連分野におけるイノベーションの推進

医療分野の研究開発を関係府省が一体となって推進するため、平成25年6月14日、「健康・医療戦略」の関係閣僚申合せを行い、その内容は、同日付けで閣議決定した「日本再興戦略」に盛り込まれた。日本再興戦略に基づき、同年8月2日には、医療分野の研究開発の司令塔機能を担う「健康・医療戦略推進本部」を閣議決定に基づいて設置し、同本部の下で、26年度医療分野の研究開発関連予算の総合的な予算要求配分調整を実施した。また、26年1月22日の医療分野の研究開発に関する専門調査会において、重点化すべき研究分野とその目標を決定するための「医療分野の研究開発に関する総合戦略」の報告書が取りまとめられた。

国民が健康な生活及び長寿を享受することのできる社会の形成に資するため、世界最高水準の医療の提供に資する医療分野の研究開発及び当該社会の形成に資する新たな産業活動の創出等を総合的かつ計画的に推進するための健康・医療戦略の策定、これを推進する健康・医療戦略推進本部の設置等や医療分野の研究開発及びその環境の整備の実施・助成等の業務を行うことを目的とする独立行政法人日本医療研究開発機構を設置するため、「健康・医療戦略推進法案」及び「独立行政法人日本医療研究開発機構法案」を平成26年2月12日に閣議決定し、第186回通常国会に提出した。

イ 高齢者に特有の疾病及び健康増進に関する調査研究等

高齢者の介護予防や健康保持等に向けた取組を一層推進するため、要介護状態になる大きな要因である認知症、ロコモティブ・シンドローム(運動器症候群)等に着目し、それらの予防、早期診断及び治療技術等の確立に向けた研究を行っている。

高齢者の死因となった疾病の中で死亡率が最も高いがんの対策については、「がん対策基本法」(平成18年法律第98号)に基づく「がん対策推進基本計画」(平成19年6月閣議決定。以下「基本計画」という。)により推進してきたが、その策定から5年が経過し、新たな課題が明らかになってきたため、平成24年6月、新たな基本計画を閣議決定した。新たな基本計画では、従来の個別目標に加え、がん患者に対する職場における理解の促進、相談支援体制の充実等を通じ、がんになっても安心して働き暮らせる社会を構築することなどについて、新たに目標を設定した。がん研究についても、従前の取組に加え、新たながん診断・治療法やがん予防法など、がん患者の視点による実用化を目指した研究を効率的に推進してきた。

また、がん・認知症の早期診断・治療薬開発に資する分子イメージング技術の実証に向けた研究等を行うとともに、次世代のがん医療の実現に向けて、革新的な基礎研究の成果を厳選し、診断・治療薬の治験等に利用可能な化合物等の研究を推進した。さらに、こうした成果も活用しつつ、個人に最適な医療の実現に向けた取組を引き続き推進する。

微小ながんを超早期に発見し、がんの特性を正確に把握するための画像診断システム等や、微小ながんにピンポイントで放射線を照射することで、低侵襲な治療を実現する次世代放射線治療機器等の研究開発を行う「がん超早期診断・治療機器総合研究開発プロジェクト」、生体内において幹細胞の増殖・分化・再生を促進する次世代再生医療技術や、小柄な体格にも適用可能な小型の埋込み型補助人工心臓の研究開発を行う「次世代機能代替技術研究開発事業」を引き続き推進した。また、中小企業等のものづくり技術を活かして、医療現場の課題・ニーズに応える医療機器の開発・改良を推進するため、1医療現場からのニーズが高く、課題解決に資する研究課題を選定し、2優れたものづくり技術(切削、精密加工、コーティング等)を有する中小企業等と、それらの課題を有する医療機関や研究機関等とが連携した「医工連携」による医療機器の開発・改良について、3臨床評価、実用化までの一貫した取組を実施した。

ウ 高齢者の自立・支援等のための医療・リハビリ・介護関連機器等に関する研究開発

高齢者等の自立や社会参加の促進及び介護者の負担の軽減を図るためには、高齢者等の特性を踏まえた福祉用具や医療機器等の研究開発を行う必要がある。

そのため、福祉用具及び医療機器については、福祉や医療に対するニーズの高い研究開発を効率的に実施するためのプロジェクトの推進、短期間で開発可能な福祉用具・医療機器の民間による開発の支援等を行っている。

その研究開発の一つとして、高齢者の生活支援・社会参加拡大などに寄与するため、日常生活における行動・コミュニケーション支援において必要となる簡単な動作や方向、感情などを強く念じた際に生じる脳からの信号を利用し、移動支援機器やコミュニケーション支援機器などに伝えることを日常的に可能とする技術の研究開発を推進した。

また、「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」(平成5年法律第38号)に基づき、福祉用具の実用化開発を行う事業者に対する助成や、研究開発及び普及のために必要な情報の収集・分析及び提供を実施した。

介護等の分野で役立つサービスロボットについて、対人安全基準、安全検証手法の確立及び国際標準化に向けた取組を推進した結果、日本の提案が採用される形で、生活支援ロボットの国際安全規格ISO13482が平成26年2月に発行された。

また、民間企業等が行う高齢者や介護従事者等の現場のニーズに応えるロボット技術の研究開発の支援を実施した。さらに、早期市場化が見込まれるロボット介護については、介護現場への大規模な導入実証を開始した。

開発の早い段階から介護現場のニーズを伝達し、試作機器について介護現場での実証(モニター調査・評価)等を行い、介護ロボットの実用化を支援した。

エ 情報通信の活用等に関する研究開発

高齢者等が情報通信の利便を享受できる情報バリアフリー環境の整備を図るため、引き続き、高齢者等向けの通信・放送サービスに関する技術の研究開発を行う者に対する助成等を行っている。

また、最先端の情報通信技術等を用いて、運転者に対し、周辺の交通状況等をカーナビゲーション装置を通じ視覚・聴覚情報により提供することで危険要因に対する注意を促す安全運転支援システム(DSSS)やITSスポット等、高齢者等の安全快適な移動に資するITS(高度道路交通システム)の研究開発及びサービス展開を実施した。

オ 高齢社会対策の総合的な推進のための政策研究
(ア)政策研究調査

平均寿命が延びて人生が長期化している現在、将来を見据えて健康や能力開発、社会参加、資産等について「人生90年時代」への備えが必要となる一方、高齢期に向けた準備が不足していると考えられるため、高齢期に向けての「備え」に関する意識を把握し、若いうちからの「人生90年時代」を前提にした備えを促進する方策を検討する「政策研究調査」を実施した。

(イ)高齢社会対策総合調査・研究等

高齢社会対策総合調査として高齢社会対策の施策分野別にテーマを設定して高齢者の意識やその変化を把握している。平成25年度は、主として社会参加分野に関連して、地域社会への参加に関する高齢者の意識を把握するため「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」を実施した。

また、高齢者等の安全・安心な生活の実現のために、独立行政法人科学技術振興機構が実施する戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)において、研究者と関与者との協働による社会実験を含む高齢社会の問題解決に資する研究開発を推進した。

(ウ)中高年齢層の歩行中死亡事故抑止のための段階的教育手法に係る調査研究

交通事故死者数のうち横断歩行中死者の特徴を見ると、年齢層別では50歳代から死亡者数が増加の一途をたどり、70歳代半ばから急激に増加することから、横断行動について年齢層別の特徴等を把握・分析し、よりきめ細かな交通安全教育に資するための調査研究を実施した。

(エ)高齢者講習の在り方に関する調査研究

高齢者講習の在り方(高齢者講習の合理化及び講習内容の更なる充実(高度化))に関する調査研究を、平成25年度及び26年度の2か年で実施することとしており、25年度は、高齢者講習の実施状況や受講者等に対するアンケートなどの調査を実施し、基礎データを収集するとともに、改善の方向性や検証方法等について有識者による検討を行った。

(オ)視野と安全運転の関係に関する調査研究

現在、運転免許を取得する際の適性試験や運転免許証を更新する際の適性検査等における視野の測定は、一眼が見えない者のみを対象として実施されており、また、その合格基準は水平方向に150度とされ、上下方向については規定されていないところである。しかし、特に高齢者の中には、両眼が見える者であっても、緑内障等の病気等が原因で視力が維持されたまま視野が狭くなっている者がいることから、高齢者を対象とした上下方向を含めた視野に係る検査等の要否について検討を行うため、視野と安全運転の関係に関する調査研究を実施した。

調査研究は平成25年度及び26年度の2か年で実施することとしており、1年目の25年度は運転シミュレーターを使用しての視野狭窄が運転に与える影響の把握、東京都内運転免許試験場における免許保有者に対する視野検査、諸外国の制度調査等を実施した。

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