平成27年度 高齢社会対策

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第1 平成27年度の高齢社会対策

平成27年度における主な施策は次のとおりである。

(1)就業・年金

○高齢者等の再就職の援助・促進

再就職が困難である高齢者等の円滑な労働移動を強化するため、労働移動支援助成金により、離職を余儀なくされる高年齢者等の再就職を民間の職業紹介事業者に委託した事業主や、高齢者等を受け入れて訓練(OJTを含む)を行った事業主に対して、助成措置を実施する。また、平成27年度より当該助成金の拡充を行い、離職を余儀なくされる高年齢者等を早期に受け入れた事業主に対する助成措置を実施し、労働移動の一層の促進を図る。

○情報通信を活用した遠隔型勤務形態の開発・普及

平成26年6月24日に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」に基づき、高齢者等の遠隔型勤務形態に資するものとして、テレワークの一層の普及拡大に向けた環境整備、普及啓発等を関係省庁が連携して推進する。

○育児・介護休業法の周知と見直し

「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)について、制度の内容を周知するとともに、企業において介護休業等の制度が定着し、法の履行確保が図られるよう事業主に対して指導等を行う。

なお、平成22年6月に施行された改正育児・介護休業法の施行後5年の見直しに向け、検討を行う。

○企業年金制度等の整備

企業年金制度等については、働き方の多様化が進む現状や、今後の公的年金の給付水準調節等を踏まえつつ、さらなる普及・拡大等を図り、公的年金制度を補完する役割を強化する必要がある。このため、「平成27年度税制改正の大綱」(平成27年1月14日閣議決定)を踏まえ、「確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」を国会に提出し、必要な見直しを進めていく。

(2)健康・介護・医療

○介護予防の推進

平成27年度からは、新しい「介護予防・日常生活支援総合事業」が開始され、多様な生活支援の充実、高齢者の社会参加と地域における支え合いの体制づくり、介護予防の推進等を図ることとしており、地域包括ケアシステムの構築に向け、市町村の取組を支援していく。

○高齢者医療制度の推進

社会保障制度改革プログラム法に基づき、より負担能力に応じた負担とし、被用者保険者の支え合いを強化するため、被用者保険者の後期高齢者支援金について、総報酬割部分(現行制度では3分の1)を段階的に引き上げ、平成27年度は2分の1、平成28年度は3分の2とし、平成29年度から全面報酬割を実施するなどを内容とする「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」を第189回国会に提出している。

○地域における包括的かつ持続的な在宅医療・介護の提供

地域医療介護総合確保基金を活用し、在宅医療・介護サービスの充実等のための地域の取組を支援していく。また、在宅医療・介護の連携推進に係る事業について、「介護保険法」(平成9年法律第123号)の地域支援事業に位置付け、市区町村が主体となって群市区医師会等と連携しながら取り組むこととしている。実施可能な市区町村は平成27年4月から取組を開始し、30年4月には全ての市区町村で実施していく。

○地域の支え合いによる生活支援の推進

平成27年度においては、既存の地域福祉関係事業を再編し、年齢や性別、その置かれている生活環境などにかかわらず、身近な地域において誰もが安心して生活を維持できるよう、地域住民相互の支え合いによる共助の取組を通じて、高齢者を含め、支援が必要な人を地域全体で支える基盤を構築するため、自治体が行う地域のニーズ把握、住民参加による地域サービスの創出、地域のインフォーマール活動の活性化等の取組を支援する「地域における生活困窮者支援のための共助の基盤づくり事業」を創設し、引き続き地域福祉の推進に取り組むこととしている。

(3)社会参加・学習

○高齢者の社会参加と生きがいづくり

企業を退職した高齢者等が、地域社会の中で役割を持って生き生きと生活できるよう、一定の収入を得ながら自らの生きがいや健康づくりにもつながる有償ボランティア活動を行い、同時に介護予防や生活支援のサービス基盤となる活動を促進する「高齢者生きがい活動促進事業」を実施する。

○消費者教育の取組の促進

消費者教育関連の教材、取組、講座といった様々な情報を集約し提供している「消費者教育ポータルサイト」について、利用者の利便性の向上を企図して、消費者教育推進会議での議論などを踏まえつつ、平成27年度中にシステム改修を行うなど、消費者教育に関する取組を更に推進する。

(4)生活環境等分野

○公共交通機関のバリアフリー化、歩行空間の形成、道路交通環境の整備

高齢者や障害者、外国人旅行者等も含め、誰もが必要に応じて移動に関する情報を入手し、積極的に活動できるユニバーサル社会の構築に向け、ICT(情報通信技術)を活用した歩行者移動支援を推進する。平成27年度は、歩行者移動支援に必要なデータのオープンデータ化及びその利活用の促進に向けた現地での試行等の取組や必要な支援策の検討を行う。

(5)高齢社会に対応した市場の活性化と調査研究推進

○高齢者に特有の疾病及び健康増進に関する調査研究等

がん対策については、平成24年6月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」に基づき策定された「がん研究10か年戦略」を踏まえ実施する。また、基本計画に明記されている政策課題の解決に向けた政策提言に資することを目的とした調査研究等に加えて、がんの新たな予防法・早期発見手法の実用化、新規薬剤・医療機器開発、標準治療の開発等を目指した研究を強力に推進する。

○情報通信の活用等に関する研究開発

高齢者等が安全で快適に移動できるよう、最先端の情報通信技術等を用いて、運転者に周辺の交通状況等を視覚・聴覚情報により提供することで危険要因に対する注意を促し、ゆとりをもった運転ができる環境を作り出すことにより、交通事故を防止する安全運転支援システム(DSSS)やETC2.0サービス等のITS(高度道路交通システム)に関する研究開発及びサービス展開を実施する。

(6)全世代が参画する超高齢社会に対応した基盤構築

○非正規雇用労働者対策の推進

派遣労働者、有期雇用労働者及びパートタイム労働者といった非正規雇用の様態ごとの法制面での対応として、第189回国会に提出している「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案」が成立した場合には、その内容の周知等を行い円滑な施行に取り組むとともに、有期契約労働者については、引き続き、改正労働契約法の周知等を行う。また、パートタイム労働者については、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(平成5年法律第76号)に基づく是正指導等により同法の着実な履行確保を図る。

○子育て支援施策の総合的推進

子供と子育てを応援する社会の実現に向けて、平成22年度から26年度までの5年間で目指すべき施策内容と数値目標を盛り込んだ、少子化社会対策基本法第7条に基づく大綱に基づき、総合的な子育て支援を推進していく。また、子ども・子育て支援新制度が、平成27年4月に本格施行されることから、同制度の着実かつ円滑な実施に取り組む。

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